
7【許由(きょゆう) 巣父(そうほ)】 8【許由の瓢( )】
7の意味……人格が[ア・高潔(こうけつ) イ・高慢(こうまん) ウ・高尚(こうしょう)]な人のこと?
8の意味……徹底して俗世間の煩(わずら)わしさを嫌うたとえ。→「瓢」のよみは?
古代の立派な王様の堯(ぎょう)さんが、後継者として適任の人を探していました。もう息子に王位を継がせるのはあきらめていました。冷たいような、やさしいような、すごく現代的な感覚です。
「息子が王としてやっていくのは無理だろうし、本人がかわいそうだ。とてもこの職務に耐え切れないだろう。だから、私はだれか私のメガネにかなう人を探したい!」と判断を下しました。
王とは何か? それを知っている堯さんは理想の後継者を求めました。
そんなときに、許由という人のうわさを聞きます。堯さんは、できる人というのではなく、派手なパフォーマンスをしない、地味で自然と輝きを放ち、みんなから「ぜひ王様になってほしい」と推薦されるような立派な人を求めていました。
そして、「王様の自分のところにまで達するウワサであれば、本物かもしれない!」と思ったかもしれません。でもガセネタということもあるので、オーディションというか、面接というか、本人と会って話したいとは考えたでしょう。
王に認められたら、その天下を譲ってもらえるのです。普通なら、指名された人間は、ラッキーと喜ぶところです。そんなウマイ話はめったにありません。

ところがです。「堯という王様が王位を譲ろうとしていて、あなたが候補者になりましたよ」という話を聞かされると、この許由さんは、「汚れたことを聞いた」と言い捨てて、すぐにきれいな水の流れる穎水(えいすい)に行き、そこで耳を洗ったというのです。それから後は、箕山(きざん)という山奥に雲隠れしてしまったということです。
欲がないというのか、清廉潔白というのか、中国の隠者の伝統として、一切の現世の物欲・権勢欲をそぎ落とした人だったのです。何もそこまでしなくてもいいでしょう。
おそらく、「一度王に会って、説教でもしてこよう! 私は王様の位なんて全く興味がないんだよと、言ってくるよ」などという人は、スケベー心のある人なんでしょうね。実は、ひょっとしたらひょっとするかも! という欲望を隠すために、そんなことをいう人はたくさんいます。しぶしぶ位に就いてみたら、ガラリと態度の変わる人なんて、歴史の中にはたくさんいますし、自分たちの現実にもたくさんいます。実はみんな王様やお山の大将(古いですね)、社長、トップになりたくてウズウズしているんです。

牛をつれている巣父さんです!
さて、世の中には上には上がいて、許由さんが耳を洗って欲望まみれのイヤな話を流そうとしたのを見ていた巣父さんです。彼はそのような汚れた水は自分の牛には飲ませることができないと、連れていた牛を水飲み場から避難させたという、オマケの話があります。《荘子ほか》
こんなふうに、中国の隠者のみなさんは、清廉比べをしていて、どれだけ世間から超越していられるかを競いました。おもしろい人たちだと思いますが、私にはマネできません。でも、あこがれもあります。
許由さんの後日談があります。一切の俗事を捨てて箕山に住んでいた時に、粗末な野菜や木の実を食べて暮らし、容器などは持たず、川の水を手でくんで飲む自給自足の野人生活をしていました。
見るに見かねたある人が瓢箪(ひょうたん)をプレゼントしてくれました。その器で水を飲むようになりましたが、ある時水を飲んだ後に木にぶらさげておきました。そこへ風が吹いてカタカタ音がしました。すると、許由さんは、その音がわずらわしいので打ち壊してしまったということです。《琴操(きんそう)》 ……面倒なものはすべて省略・削除する積極的なマイナス志向の人ですね。
答え 7・ア 8・ひさご
7の意味……人格が[ア・高潔(こうけつ) イ・高慢(こうまん) ウ・高尚(こうしょう)]な人のこと?
8の意味……徹底して俗世間の煩(わずら)わしさを嫌うたとえ。→「瓢」のよみは?
古代の立派な王様の堯(ぎょう)さんが、後継者として適任の人を探していました。もう息子に王位を継がせるのはあきらめていました。冷たいような、やさしいような、すごく現代的な感覚です。
「息子が王としてやっていくのは無理だろうし、本人がかわいそうだ。とてもこの職務に耐え切れないだろう。だから、私はだれか私のメガネにかなう人を探したい!」と判断を下しました。
王とは何か? それを知っている堯さんは理想の後継者を求めました。
そんなときに、許由という人のうわさを聞きます。堯さんは、できる人というのではなく、派手なパフォーマンスをしない、地味で自然と輝きを放ち、みんなから「ぜひ王様になってほしい」と推薦されるような立派な人を求めていました。
そして、「王様の自分のところにまで達するウワサであれば、本物かもしれない!」と思ったかもしれません。でもガセネタということもあるので、オーディションというか、面接というか、本人と会って話したいとは考えたでしょう。
王に認められたら、その天下を譲ってもらえるのです。普通なら、指名された人間は、ラッキーと喜ぶところです。そんなウマイ話はめったにありません。

ところがです。「堯という王様が王位を譲ろうとしていて、あなたが候補者になりましたよ」という話を聞かされると、この許由さんは、「汚れたことを聞いた」と言い捨てて、すぐにきれいな水の流れる穎水(えいすい)に行き、そこで耳を洗ったというのです。それから後は、箕山(きざん)という山奥に雲隠れしてしまったということです。
欲がないというのか、清廉潔白というのか、中国の隠者の伝統として、一切の現世の物欲・権勢欲をそぎ落とした人だったのです。何もそこまでしなくてもいいでしょう。
おそらく、「一度王に会って、説教でもしてこよう! 私は王様の位なんて全く興味がないんだよと、言ってくるよ」などという人は、スケベー心のある人なんでしょうね。実は、ひょっとしたらひょっとするかも! という欲望を隠すために、そんなことをいう人はたくさんいます。しぶしぶ位に就いてみたら、ガラリと態度の変わる人なんて、歴史の中にはたくさんいますし、自分たちの現実にもたくさんいます。実はみんな王様やお山の大将(古いですね)、社長、トップになりたくてウズウズしているんです。

牛をつれている巣父さんです!
さて、世の中には上には上がいて、許由さんが耳を洗って欲望まみれのイヤな話を流そうとしたのを見ていた巣父さんです。彼はそのような汚れた水は自分の牛には飲ませることができないと、連れていた牛を水飲み場から避難させたという、オマケの話があります。《荘子ほか》
こんなふうに、中国の隠者のみなさんは、清廉比べをしていて、どれだけ世間から超越していられるかを競いました。おもしろい人たちだと思いますが、私にはマネできません。でも、あこがれもあります。
許由さんの後日談があります。一切の俗事を捨てて箕山に住んでいた時に、粗末な野菜や木の実を食べて暮らし、容器などは持たず、川の水を手でくんで飲む自給自足の野人生活をしていました。
見るに見かねたある人が瓢箪(ひょうたん)をプレゼントしてくれました。その器で水を飲むようになりましたが、ある時水を飲んだ後に木にぶらさげておきました。そこへ風が吹いてカタカタ音がしました。すると、許由さんは、その音がわずらわしいので打ち壊してしまったということです。《琴操(きんそう)》 ……面倒なものはすべて省略・削除する積極的なマイナス志向の人ですね。
答え 7・ア 8・ひさご