確か、日曜日、奥さんのお供をして隣町の図書館に行きました。私は突然やる気を見せてドナルド・キ-ンさんの本を探したんですけど、見つけられたのは大作の『明治天皇』の全二巻でした。チラッと見たら、私なら何年もかかりそうでした。だから、借りるのはやめて、そういう世界もあるらしい、ということで切り上げました。
読み始めたら、意外といけるという可能性もあります。もっとしっかり見てみたら、いけるかどうか、判断できるんだろうけど、今回はパスしました。
それよりも、古本屋さんまわりをする楽しみができたのだ、ということにしておきたいです。どうして今ごろキーンさんに夢中になったのか、それはもう三島由紀夫さんやら、司馬遼太郎さんなど昔好きだった作家さんたちと今の私をつなげてくれるから、こんなオッサンになってしまったけれど、昔漠然と楽しんでいた本の世界を再構成したい気持ちなんでしょう。
それが、いかほどのものになるのか、そんなのは知りません。ただ、懐かしいし、新しい風を感じます。そして、今さらながら、キーンさんという日本文学や日本を愛してくれた人を知ることができた喜びを感じます。
キーンさんは、今風であったり、今の日本で流行っているような、中身のない、景気だけは良さそうな、心のこもらない、工夫や努力を感じられない、瞬間的に儲けられたら文句も言わぬ、そんないい加減な日本風を何とも思わなかった人です。しっかりとした古典的な根幹がないと好きになってくれませんでした。
そのキーンさんに注目してもらえた明治天皇も、渡辺崋山さんも、きっと何かあると感じています。『渡辺崋山』(2005 新潮社)はうちにあるから、ずっとほったらかしだったんですけど、読めそうな気がしています。そのうち挑戦してみます。
そのあと、同じ町内の丹生大師にお参りに行きました。久しぶりにお参りしました。
とっかかりの蓮池は、夏などはきれいなスイレン(ハスだったかな?)を見せてもらえる池なんですけど、季節は冬ですから、凍っていました。
お昼の光がきれいでした。氷の上に木々のシルエットが浮かんでいました。
私は、その光をみせてもらって、もう満足でした。お参りもさせてもらいましたけど、それは仏様に「よく頑張ってるな」と認めていただくまで、自分もそれなりに努力しなきゃいけないから、ただ「よろしくお願いします」とだけ言わせてもらって、帰ってきました。
うちの奥さんは、もういつもどこでもお祈りしているそうですから、彼女も私も、とりあえず頑張らなきゃいけないです。
1 氷の上影たちは人を照らす
2 三百年空から降りて人の世へ
3 冬の野へ屋根より降りたシャチ瓦