昨日、松阪市の山手の飯高町というところにある香肌窯(かはだがま)というところの作品展に行ってきました。
ここにたどり着くまでに、一度道の駅に寄り、お昼ごはんの助六寿司を食べたり、たまたまそこで行われていた山里マルシェをのぞき、マルシェだから、それなりにお店はあるんですが、同じ場所で大音量でよさこいソーランみたいなチームが出たり入ったりしていて、何だか落ち着きませんでした。
若い世代ならば、こんな騒々しいところで、各テントのあれこれをながめて楽しむんでしょうけど、私たちはどちらかというと、いい年の夫婦ですから、騒々しいところは苦手です。もう何もする気持ちもなくなって、すぐに退散してきました。若い世代が楽しめる環境は、私たちにはしんどくなっています。
だから、適当に住み分けして、若い世代の領分にはなるべく入らず、自分たちが安心できる空間に行かなくてはならない。そして、もし迷い込んでそんなところに行ってしまったら、すぐに逃げ出さなくてはならないのです。
シイノキの花、もう山のいろんなところで吹きだしています。飯高の谷沿いにも、山の上にポコポコ白っぽいクリーム色の花が付いているみたいだった。
もう一つの目的地、道の駅からそんなに遠くない香肌窯の窯元・兼自宅にお邪魔してみました。私はたぶん二回目で、奥さんはもっと何度か来ているようでした。
茶畑の道をかけのぼり、少しだけ横道にそれると、そこにひっそりとあって、まわりのたくさんの草木にびっくりして、あれこれ入るまでに写真を撮りまくりました。
最初のフクロウは、陶器ではなくて、木彫かなと思うのですが、建物の塀のところに何気なく置かれていました。他にもいろんな置物があって、それらを撮っているときりがないくらいで、ちっとも作品にたどり着きませんでした。
さあ、勇気をもって中に入ってみよう!
そうしたら、小さなお皿、コーヒーカップ、置物、何かのキャラクターみたいな造形物、少し大きなお皿、形は何となく武骨です。でも、中に描かれている絵は、すごく繊細で、こちらは奥さんの担当ということだそうですが、ご夫婦で役割分担をされてずっと作り続けておられるようでした。
私は、前に来た時、自分では使わないかもしれないけど、家にこんなのがあってもいいかと、少し大きなお皿を買った覚えがあります。もう何年か前です。それはもう奮発しました。気が大きくなってたんですね。たまたまお金を持ってたのかもしれない。
でも、昨日は、シブチン魂が強く働いて、買おうという気持ちを抑えきりました。ゆるくすると、買ってしまいそうでした。
奥さんは一つだけ何か買ったみたいでした。
さあ、帰ろうかと思ったものの、あちらこちらに心を奪われ、奥さんが注目した小さな草の花も写真を撮りました。
何という花だろうと山野草の写真ののった本を最初から順番に見続け、「ひとりしずか」と「ふたりしずか」というのを見つけます。
どうやらこの小さな花は、ふたりしずかの方らしい。ああ、こんなことが世界で起こっているんです。私は何も知らないで、自分のみみっちい気持ちと戦っていた。つまらないことでした。だったら、いいなあと思ったお皿を買えばよかったけれど、もう乗り遅れていたので、買えなかった。
でも、小さな花を見つけたという、ささやかな思い出はできましたね。静かな山里でのお話でした。