これは松阪駅に快速みえが到着したところです。松阪から1時間と少しで名古屋までつなげています。近鉄特急でもそんなに早くは走れないと思うのですが、JR東海のただの快速なのに、停車駅を最低限にして次から次と走って行きます。ディーセルなんだけど、エンジンのテンポは速くて、鉄橋を渡る時など、たとえば、揖斐川・長良川・木曽川あたりを越えていく時にも、ずっと小刻みな音が続いています。
鈴鹿あたりでは、高架の上を悠々と走っていくので、このあたりでも近鉄以上の速さを感じるんですけど、ずっと単線を走っているのに、他の電車たちは負担を強いられているんでしょうか。快速みえを通すためには、各停はどこか避けられるところがあるホームではかなり待たされたりします。反対側からくる車両も、お互いにすれ違わなくてはならないから、駅でやり過ごすことになります。
まあ、長くて四両、基本は二両ですから、そんなに長くないし、小さな駅で相手がついたらこちらも発車の切り替えをしながら走っています。
普通列車は、鳥羽と亀山を結ぶ参宮線、途中の多気駅から和歌山の新宮に向かう紀勢線とありますが、もちろん単線ですし、基本は二両、閑散時は一両というかたちで運転されています。
三重県内でJRさんの複線になっているところはないのです。
松阪市内に、不思議な光景があるポイントがあります。それがこの写真で、県内に二つの鉄路が並んでいるところはないはずなのに、どういうわけかJRの線路があります。
近鉄だったら、たいていは複線で上り下りがあるはずですけど、これは電車のケーブルもないから、やはりディーゼルしか走れないJRの線路です。
どうして二本並んでいるのか?
答えはカンタンで、右側が参宮線・紀勢線の鉄路で、まっすぐ行くと津や四日市につながります。左側は、松阪から伊賀地方の名張までつなげるはずだったけれども、挫折して山の中の伊勢奥津というところまで走る名松線の線路です。
だから、二つ並んでいます。マニアであれば、この二つの線路をすれ違う電車の写真を撮りたいと思うでしょう。理論的には可能で、上りと下りがすれ違うのであれば、写真は撮れるはずです。
でも、そんな危ないダイヤは組まれてなくて、それぞれバラバラに管理されていると思います。
入って来る車両と出ていく車両、そんなのが見られたら、奇跡的ではあるのですが、調べたらそんな瞬間はあるんでしょうか。
でも、私に言わせれば、そんな鉄道模型の配置ではないのだから、たまにやって来る車両、突然現れ去っていく車両みたいな、スカスカのダイヤでいいと思います。ただここを走ってくれているだけで、私はしあわせです。
とはいうものの、もっとしっかり利用して、鉄道を生かしていきたいです。
鉄道がある、ということは、私たちの道が閉ざされていない、どこかにつながる保証になります。近鉄があるからいいし、クルマでどこへでも行けるかもしれないけれど、選択肢を与えてほしい。都会の人の当たり前を、私たちもほんの少しだけ残してほしい。
地元民も利用して、よそから来る人たちも楽しめる、そんな鉄道であってほしいんですけど、政治的には、経済的には、儲からないものはどんどん廃止しろ、となるのでしよう。
私たちの力で、地元の鉄道会社が成り立っていく知恵が欲しいんですけど、何かないだろうかな。都会的な発想ではなくて、地元密着の発想で、考えていきたいです。