甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

古都さんぽ 京都駅(山折哲雄)

2017年02月05日 15時39分07秒 | 三重の文学コレクション
 古都さんぽというコラムがあって、山折哲雄さんが書いておられました。それをお借りしてきました。新宮に関係のあるところだけ抜き書きします。


 京都駅の構内は、北側の在来線から南側の新幹線にかけて20本近くの線路からできている。線路そのものは横一列に並んでいるが、そこから出発する電車は千年の都から「最果ての地方」へと、東西南北に枝分かれしていく。

 人の流れをみていると、上り下りともごった返している。だが目を凝らすと、その中間あたりの6、7番線あたりで急に人の波が薄くなり、しずまり返っている。階段を下りていくとそこから出て行く電車の数は少なく、その終着駅も南は紀州の新宮だ。逆に北西に向かえば鳥取の倉吉だった。「地方消滅」の危機が叫ばれる今日、いずれも「辺境の地」である。

 はじめて新宮を訪れたときのことを想いおこす。そこは詩人の佐藤春夫を生み、大逆事件に連座して刑死した大石誠之助の誕生地としても知られる。また神話時代の面影をのこす熊野速玉大社が鎮座する霊場でもある。そば近くそそり立つ神倉山は、神武東征の伴をした高倉下命(たかくらじのみこと)を主神として祀(まつ)る。……中略……





 京都駅から南の新宮まで約四時間半……中略……京都駅の人気のない6、7番線は、さしあたりはるかな神話と歴史に向かって旅する始発駅、ということになるだろう。

 観光日本一の京都は、そろそろこれまでの内向きの姿勢を転換させ、「地方創生」を推し進めるための始発駅へと、わが身を変えるときにきているのではないか。二月四日・土曜 朝日新聞夕刊より




 そうですね。京都駅は、外からのお客を迎えることには熱心でした。たくさんの観光客を受け入れ、出て行くときもたくさんお土産を買ってもらうための装置でした。

 でも、もうそろそろ京都駅に関西の中心になってもらっていいのかもしれない。

 大阪駅はただの通過駅で、たくさん降りて、たくさん乗るけど、もうそこからどこかへ旅に出る駅ではなくなりました。南へ向かう列車も、西へ向かう列車も、山陰に向かう列車も、あることはあるけれど、京都や新大阪からやってきたのを迎えるだけです。

 だれも大阪駅から遠くへ旅立とうとは思わないのです。新大阪へ行くか、空港へ行くか、それしかないのです。ビジネスでの利用はあるだろうけど、旅の始まりではない。

 京都駅は、ちゃっかり関西の中心になって、やがて北陸新幹線もやってくるし、リニアだって来るかもしれない。そうか、近世のように、ここを中心として日本各地に行くようにすればいいのだなと思ったので、抜き書きしました。

 事実だけど、大阪育ちの私としては、少し残念ではあります。


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