甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

南野忠晴「正しいパンツのたたみ方」

2017年01月19日 21時57分18秒 | 三重の文学コレクション
名松線の終点、伊勢奥津(いせおきつ)という駅に、最近古民家カフェができた、というのは聞いたことがありました。場所は、伊勢奥津の駅を出て、街道の方へ下りていくと、造り酒屋さんがあります。そこから川を渡ってどんどん伊勢に向かっていく途中に、そういえば古民家を再生して、何か作っている様子なのは見たことがあります。

 こんなところで、古民家を再生するって、なかなかないことだよなと少しだけ見たんですが、でもまあ、他人のおうちだし、私が興味本位で見るのもいけないことだから、そのまま行き過ぎてしまいましたが、それはたぶん、去年の三月頃だったと思われますが、まさかそれが古民家カフェだったとは、知りませんでした。

 そして、最近私のまわりの人で、時々おしゃれなお店をめぐる人たちがいて、最近できたお店だといって紹介してくれたのが「葉流乃音(はるのん)」というお店でした。

 パンフレットも持ち帰ってくれて、あれこれと教えてもらいましたが、私はたぶん行かないだろうなと話半分で聞いていたものでした。でも、鉄道撮影のついでに行ってもいいのかなという気もしていました。


 この前、たまたま聞いていたラジオ、NHKの「すっぴん」という番組です。パーソナリティーは高橋源一郎さんでした。そこで高橋さんが紹介していた本が、南野忠晴著「正しいパンツのたたみ方」(岩波ジュニア新書 2011)でした。

 著者は大阪の高校の先生だったそうです。最初の十数年は英語教師として働いていた。それがどうしても家庭科の教員になりたく思い、資格を取り、受け直して家庭科初の男性教員になったという方でした。どうしても家庭科の教員になりたかったのは、いくつかの思いがあって、高校においても、いろんな実践をしたそうで、その授業でのできごとを本にされたということなのです。

 最初の方には、「家族」をテーマとして生徒たちに議論させたり、話し合わせたりして、少しずつ教室の空気が変わっていくのを、かなり上手でリアルかつコンパクトに書いておられます。

 生徒たちに、イラストを見せながら、これは家族と言えるか? というのを調べていったそうです。

 結婚して10年になる夫婦は? みんなが家族だと答えたそうです。

 結婚していないけど、10年同棲している男と女は? それはかなりの数で家族でないと答えたそうです。生徒たちは、結婚したというワクがすごく大事なものとしてあるようだ、というのです。

 それじゃあ、10年一緒のおじいさんとおばあさんとネコは家族か? というと、みんなこれまた家族だと答えたそうです。

 だったら、ネコじゃなくてカメは? 数が減り、金魚は? もっと減り、 サボテンは? と聞くと、1人だけが意地で家族だと答えたそうです。

 そうして家族とは何か? という疑問になり、ネコが家族というのは、ネコには家を出て行く自由があるが、カメや金魚、サボテンでは自由がない。一緒にそこにいようという意志がある者が家族なんじゃないの。という風に議論が深まったということです。


 そんな話し合いがあった後、南野さんは書いておられます。

 生徒たちは、これからさまざまな経験をしてゆくことでしょう。そして、本当に多様な「家族のあり方」を体現してゆくことでしょう。それぞれがそれぞれで精いっぱい生きてゆくことが大切なことであって、定形化されステレオタイプ化された家族イメージを生きることが必ずしも「幸せ」につながるわけではありません。でも、「結婚していないカップルは家族じゃない」と考える人の多さからもわかるように、生徒たちの「幸せの形」はずいぶん固定化されていて、それ以外の生き方は「失敗」であるかのように思い込んでいたりします。

  人というのは、生まれ、育ち、別れ、結ばれ、やがて老い、死にゆく存在です。変化こそが人生の本質です。家族も例外ではありません。そういう意味で言うと、人生に失敗などというものはなく、すべてが変化の中の一断面です。大切なことは、いつでもものごとを前向きに考えられるかどうかです。

 というふうに生徒たちに伝えておられたんだろうなと思いました。

 この本は、これから社会とか、もっといろいろと進んで行くみたいですけど、まだそこまで読んでいません。


 それにしても、何が「三重の文学」なんでしょう?

 というと、実は最近ようやくすべてがつながって、私がよく鉄道の写真を撮りに行く伊勢奥津の駅からほんの少しのところにある古民家カフェというのは、この南野忠晴さんが大阪の教員を退職されて、適当な場所を探していて、たまたま三重県の津市に古民家が見つかって、そこでカフェをしたり、出前で講演されたり、あちらこちらで活躍されているということでした。

 そうだったのか、私とそんなに年齢は変わらないけど、すごい人はいるもんですね。


 というわけで、大阪の高校の先生をされてた方ですけど、無理矢理に「三重の文学」に私が入れました。少し増えて、私としてはうれしいんです。すてきな人がどんどん三重県に来てくださればいいなあと思うのです。


★ 写真は、2016年3月に名松線全線復活のイベントの時に撮りました。そして、昨日、南野さんがNHKの教育テレビに出ておられました。奥様もたぶんスタジオにはおられたのかな。また今度、お邪魔しないといけないな、ちゃんとご挨拶しなきゃなと思いました。(2019.7.27 5:35am 台風は潮岬の北を上っているそうです。そんなに雨は強くありませんでした。これからなのかな。)


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