家を出るとき、NHKの「日曜美術館」で不染鉄(ふせん・てつ)という日本画家さんのことを取り上げてやっていました。去年の夏、東京駅のアートギャラリーで特別展をやっていたということですから、たぶん今朝のは再放送だったんでしょう。
私は、知らない日本画家だと、そんなの見なくていいやと、スルーしていたのを、たまたま再放送で見たということになるのかな。
長野県の交流があったという女性(絵を習ったのかな?)は、不染鉄さんから来るハガキを百枚ほどすべてファイルに保存してあったということでした。
どうして不染さんが、その女の人に絵入りハガキを送り続けたのか、それはわからないけれど、ステキな交流だと感心しました。自分の日常を吐露する場が必要な時、私みたいなものでも、こうしてブログを書いて、ネット社会に放流しているけれど、画家でも、何かそういう気持ちを受け止めてくれる人が必要なときって、あるのかもしれない。
トップの絵は、衝撃的な絵で、巨大な廃船が薄暗い町の上にそびえているみたいな絵でした。まるでノアの箱舟か、それとも宇宙戦艦ヤマトか、とにかく巨大な廃船が横たわり、それを人々が静かに見上げるような構図になっていました。
戦争を体験した不染鉄さんの、戦争体験をふまえた絵だったそうです。ああ、ナマで見てみたいけれど、どこに行けば見られるんでしょう。ネットの中では見られるけれど、パソコンごしに見るなんて、何だか味気ないです。
ガラス越しでもいいから、その絵に向き合って、その絵のある空間に身を置きたいと思いました。もちろん、私は鈍感なオッサンなので、何も感じないというオチがつくだろうけど、それでも、見たという記憶をとどめたいです。
去年の秋、奈良県立美術館でも特別展が二十数年ぶりに行われたということですが、もちろん私は何も知らず、行こうという気にもなりませんでした。ああ、ザンネンです。
それで、「廃船」をテレビで見ながら、「そうだ。船の絵を描こう」と思い、ペイントで二枚ほど描いてみました。でも、サッパリです。もう少し研究しないといけません。
さて、テレビは途中で切り上げて、奥さんと近所の図書館の除籍図書の処分配布に参加しました。争奪戦にならず、淡々と気になる本をもらってきました。
ドイツ文学の池内紀先生の本を三冊、藤城清治さんのスケッチ本、向井和正というデザイナーの版画集、その他ビジュアル系の本をもらってきました。
なにしろ、読む本は、なかなか読まないので、サッと見られる本をもらいました。いくつ見て、いくつ読むことでしょう。
毎年、いくつかをもらってきますが、読み終えたら、申し訳ないけれど、処分しないといけないかもしれない。とにかく、どんどん本がたまってきますから……。
そして、東海道五十三次を司馬江漢が描いていて、それを広重がマネして描いたのだという、元絵新発見というのが1996年ころにあったそうです。その本ももらってきたんですが、ネットで調べてみると、元絵ではなくて、後の人の贋作という話です。ガッカリ。
司馬江漢ファン(自称)の私としては、そんなことも知らなくてショックだけど、確かにニセモノと言われればそう思えます。手抜き感があります。まあ、司馬江漢風に描かれ五十三次絵ということで持っておきましょう。新鮮味はないので、まあ、こんな感じ。でも、そういうのをわざわざ持っていなくてもいいかな。気に入らなかったら、処分してしまおう。
とにかく、図書館って、いろんな本を持っていて、ほとんど読まれていないものがいっぱいあるみたいです。ああ、辛いですね。どうしてみんな本を読まないのかなあ。