古いカード入れから、取り出して打ち込むことにしました。30年ぶりの出会いみたいな、懐かしい感じがあります。
1・メタセコイア
メタセコイア(和名・アケボノスギ)は高さ30m余りになるスギ科の落葉高木。約五千万から百万年前に栄え、北半球各地で化石が見つかっていたが、北米大陸に現存する常緑の大木、セコイアの同属と考えられていた。
ところが、昭和16年、当時京大講師だった三木茂博士が、化石の研究から①葉が小枝に対になって生えている。②球果の鱗片が十字に対になっている――など、セコイアにない特徴を発見。セコイアにギリシア語で、「後」を意味する「メタ」を付け、新しい属として学会誌に発表した。
三木博士は、すでに絶滅したと考えていたが、くしくもこの発表と同じ年、中国・長江(揚子江)の支流、磨刀渓の奥地で高さ35mもある珍しい針葉樹の大木が見つかり、戦後、中国の学者によって、三木博士のいうメタセイア属の現存種と判明、「化石が生きていた」と世界の学界の注目を集めた。
メタセコイア(和名・アケボノスギ)は高さ30m余りになるスギ科の落葉高木。約五千万から百万年前に栄え、北半球各地で化石が見つかっていたが、北米大陸に現存する常緑の大木、セコイアの同属と考えられていた。
ところが、昭和16年、当時京大講師だった三木茂博士が、化石の研究から①葉が小枝に対になって生えている。②球果の鱗片が十字に対になっている――など、セコイアにない特徴を発見。セコイアにギリシア語で、「後」を意味する「メタ」を付け、新しい属として学会誌に発表した。
三木博士は、すでに絶滅したと考えていたが、くしくもこの発表と同じ年、中国・長江(揚子江)の支流、磨刀渓の奥地で高さ35mもある珍しい針葉樹の大木が見つかり、戦後、中国の学者によって、三木博士のいうメタセイア属の現存種と判明、「化石が生きていた」と世界の学界の注目を集めた。
〈1988.5.30 月曜・毎日新聞夕刊より〉
どうして新聞でメタセコイアを取り上げたのか、あまりに古すぎて何だったのかわからないです。高校の時には中庭にこの大木がありました。もう伐られてしまったけれど、私たちには憩いの場所でした。だから、メタセコイアはあこがれでしたね。
2・エンピツ
文房具の話は僕も大好きなので、ボールペンはあれが良い、消しゴムはこれに限るというようなことを埒もなく酒場で話し続けていたのだが、そのうちに相手が「ところで村上さんはいつもどれくらいの硬さの鉛筆を使っているんですか?」と訊ねた。僕はいつもFの鉛筆を使っているので「えーと、Fだけど」と答えると、その人は「そうですか。でも」Fの鉛筆って、僕いつも思うんですけど、セーラー服を着た女学生って感じがしませんか?」と言った。……中略……時間が経つにつれてそのことだけがだんだん気になりだしてきた。何故Fの鉛筆がセーラー服を着た女子学生なのか一度考えはじめると、考えれば考えるほどわけがわからなくなり、頭が混乱してくる。そしてわけがわからないなりに、Fの鉛筆がしっかりとセーラー服を着た女学生に見えてくるのである。
〈1985.8.2付け週刊朝日 村上春樹さんのエッセイより〉
村上さんも、そのまわりの人も、いろんなイメージを抱く人たちがいて、その交流が新しいものを作って行くんです。
それではHはどうかというと、これはなんとなく「ポリス」(というロックバンドです)のスティングに感じが似ている。スティングについては僕はべつに悪感情は持ってないけれど、感情の良し悪しにかかわらず、鉛筆がスティングに似ているというのはなんだかすごく気になるものである。耳もとでいつも「ポリス」の音楽が鳴り響いているような気がするものだ。
〈1985.8.2付け週刊朝日 村上春樹さんのエッセイより〉
ポリス、スティングさん、最近聞いてないですけど、また、聴くチャンスあるだろうか。わざわざ聴こうという気持ちにならないです。そういうものかな……。
ポリス、スティングさん、最近聞いてないですけど、また、聴くチャンスあるだろうか。わざわざ聴こうという気持ちにならないです。そういうものかな……。