少し遅くなりましたが、やっと河出文庫版の「ウホッホ探検隊」を読みました。
この帯には、ひどいことが書いてあります。
「このタイトルから
絶対に
予想できない
感動が
待っている」 注:小説です
まあ、今の若い人に訴えるためには、これくらいしなきゃいけないのかもしれないけど、何だか悔しいです。そして、たぶん、若い人は、なんだこれと、スルーしていくだろうな。
私にアイデアがあれば、もう少し若い人に訴える方法を打ち出すのですが、アイデアはありません。
ここに何があるか、もう考えるばかりです。
1943年生まれのあがたさん。東京生まれということですが、そのルーツには沖永良部島の人がおられて、そちらの研究もされていたそうです。だから、作品の中で、沖永良部島を訪ねたことも書いておられました。
二人のお子さんがおられて、もう今なら40代くらいになっておられるかもしれない。この作品を世に出すとき、二人のお子さんにも、こういうのを出すけど、いい? と、たずねたそうです。
二人のお子さんたちは、いいよとでも言ったんでしょう。1984年に福武書店から出ています。文庫も福武から出て、福武文庫はやがて撤退して、あがたさんの作品を読むことができなくなりました。
私は、古本屋さん巡りをして、やっといくつか手に入れたという具合で、それではいけないと、河出文庫さんが出してくれたんですけど、もう消滅しかかっているかもしれない。
何しろ、ドラマにもならないだろうし、なったとしても、連続で続けられないし、単発ドラマでは流れにならないし、難しいです。
嘆いても、仕方がないので、とりあえず、私の見つけたことをメモしてみます。
1982年の冬に公開された映画「E.T.」という作品がありました。それを家族で見に行った時のことを語る場面があります。
お母さんは、二人のお子さんを映画を見せるのに精一杯で、途中で寝てしまって、最後のみんなで自転車のまま空を飛ぶファンタジーシーンがあって、そのあたりで家族っていいねと感動したというふうに語ります。
「空飛ぶ自転車。私もいつか、あんな夢を見たことがあるような気がする。それに最後のシーンでさ、お母さんが子どもたちを見守っていて、お父さんがお母さんに寄り添っていたでしょう。お父さんもお母さんも、子供の夢を大切にしているのよね」
「バッカみたい」と次郎が跳び上がり、君と二人で笑い出した。
「すげえ思い違い」と君が言った。
「あれはお父さんじゃないよ。あの三人のお父さんは、女の人とカナダへ行っちゃっていないんだよ」
「じゃ、あの男の人は誰」
「NASAの科学者だよ」
「え、そうなの」
「あんた何見てたんですか」
お母さんはドジでアホだというのは、その思い違いのことなのだ。そのあと君は言った。
「スピルバーグ監督は、七歳の時に両親が離婚して孤独だったから、いつも空を見てUFOを待ってたんだよ。それで子供の時の夢をずっと抱き続けていて、〈E.T.〉を作ったんだ」
それは映画を見る前に、雑誌で仕入れた情報であるらしかった。君はスピルバーグ監督やエリオット少年に自分を重ねて、映画を見ていたんだね。
2018年の二月に、今さらながら「ウホッホ探検隊」を読み返し、ついでにETを思い出し、昔、彼女と池袋で座席を必死になって探して、どうにか座って見たということを思い出しました。
今さらながらだけど、知らないことが多すぎます。
今日は、メモだけ書いておいて、何か書けそうだったら、また書きます。何もわかっていない私に何か書けるのか、それはわからないけれど、とにかくまた今度!
……2013年の冬の写真です。