何だかイメージ先行の私です。現実は甘いものではないけれど、イメージの中でなら、雪の降る町の中を颯爽と歩く自分の姿が浮かんできます。
浮かんでくるんじゃないですね、ぼんやりとしたイメージにもならない憧れみたいなものでしょう。現実は、寒いし、足もとは冷たいし、シャーベット状の歩道は危ないし、そんなに滑りはしなかったけれど、憧れもへったくれもありませんでした。
お腹もすいて、何だかソワソワしながら、闇雲に歩いてみました。
彦根の駅の東側には近江鉄道が走っています。JRで着いた時、ああ、向こうに電車が止まっているなというのは見えていました。すぐにそれに乗ればいいんだけど、到着した満足感があったんだと思います。
駅の跨線橋の北側にこんな風になっている窓がありました。
城跡のある風景というタイトルのついた窓でした。コロナ予防のため、一部の窓は開いています。こんなに寒いのに、風は吹き抜けるのです。
そして、この文字というのか、旗印というのか、駅から見える城跡とは、石田三成さんの佐和山城でした。
そこもしっかり雪が降ってたんだなと思って、納得しながら乗り場に下りていくと、さっきの電車はいませんでした。
さっきといって、ついさっき、
この写真の右側の二両編成です。米原行きと書いてあったみたいです。
おお、これに乗せてもらったらいいや、そう思って階段を降りて行きました。そうしたら、さっき見下ろしていた電車はもうそこにはいませんでした。
ちゃんと時間を調べてあったら、無理をしてでも乗ったことでしょう。でも、もういない。そして次は? 一時間後ということでした。
なんという無計画なんでしょう。そして、上から撮ってた電車に乗り遅れるなんて、マヌケというしかなかった。
だから、仕方なしに近江鉄道のカレンダーを千円で買い、お城に向かうことにしました。
お城までは何回か来たこともあったので、歩いてすぐだし、街を見て歩こうと思ったんです。
市役所が見えて、展望ホールからお城や琵琶湖が見えるという案内もありました。入って見ようか、という気も起こしたんですけど、あまりあれこれ手を出すのはよくないかと、あきらめ、何かの撮影でたくさんのスタッフとたくさんのエキストラさんがスタンバイしている横を抜けて行きました。
誰が来ているのか、誰も来ていないのか、よくわからないし、何の撮影なのかもわかりません。でも、有名な人なら、もっとたくさんの人だかりがあるだろうし、有名な人であっても、そういう人を見かけたとしても何にもならないし、その辺りはとても淡白な気分で、スイスイ抜けて行きました。
お城についたら、たくさんの施設が雪にもかかわらず公開されています。お馬さんの小屋というか家、いくつかの櫓、まだ歩き始めだから、割と元気で、何だって見てやろうという気持ちがあります。靴の脱ぎ履きは面倒だけど、それでも、野次馬の気持ちの方が勝っていました。
かくして、久しぶりの彦根城。久しぶりの坂道、雪のしずくにずっと襲われながら歩いて、やっとお山の上にある天守閣の足元くらいにたどり着きます。
日曜日だけれど、あいにくの雪だし、コロナ下でもあるし、ほどほどの観光客です。でも、しゃべりからすると大阪の男の人たち集団もいました。何をしにこちらに来られたんでしょう。
そう、ご家族で、小学生の女の子を中心とする家族とか、そういうファミリー層もいたのかなあ。
天守閣のある空間にたどり着いたら、ひとまず湖を眺め、竹生島を見つけて、南の方が太陽に照らされているけれど、湖北の彦根は雪の中だし、対岸の湖西地方も同じような雪催い、ああ、雪国の空の下にいる自分は、久しぶりに彦根城に入ろうとしている。
でも、足もとは冷たい。飲み物は持参したお茶だけで、前日に食べようと思ってた菓子パンは家に忘れたままだった。
目標は半分達成したものの、まだお城にも入っていないし、町歩きといっても結局は古本屋さんに行くだけじゃないの?
まさにその通りなんだけど、とりあえず今は、お城にいるんだから、中を見させてもらおう、ということで中に入れてもらったんでしたね。