この前の日曜日、雪の彦根に行きましたね。そこで、ハチミツを買いました。
長浜あたりでミツバチを飼っておられるご夫婦でした。もう少しお話すればよかったのに、何だか適当に話をさせてもらって、それで小さいのを二つだけ買ってきました。
駅前から彦根城にまっすぐ向かって、ぶつかるところは護国神社でした。そこには用はないから、迂回してお城に向かわなくちゃと思っていたら、雪まみれの護国神社の境内で日曜の朝市、みたいなのをやっているようでした。
といっても、地元野菜・地元食材・地元特産物などのコテコテの地域朝市ではなくて、若い人たちが企画して、地域で独自の活動をしている人たちのテントが並んだ若者市場でした。
カフェのお店、ドーナッツ、パン、お菓子、木工、そういうのがありました。
お腹は空いてたのに、ドーナッツを買おうという気になれなかったのは、少し寒かったからでしょうね。もう少しホッコリしたところで、歩きながらドーナッツ食べるとかならいいんですけど、とてもそんな気にはなれませんでした。
神社の本殿の手前でお店は途切れて、そんなにたくさんあるわけではありませんでした。でも、雪の町の中に突然現れた若者たちで、何だか少しだけ夢を見ているようでした。これは、ほんとに現実のことなのか?
まあ、もちろん、現実で、寒いし、雪は止んでるんですけど、日差しはないし、空はどんよりしています。朝市の風景を写真でも撮ればよかったけれど、これまたそんな気分にはなれなかった。
もうさっさとお城に向かった方がいいのかもしれませんでした。
小さなハチミツのびんをたくさん置いてあるテントのところに来てしまいました。お客さんはそんなにいません。お店の方は、そんなに売ろうとしているわけではなく、とりあえず試食できるから、どうぞということでした。
何を試食できるんだろう?
小さな四種類のびんは、それぞれ四月、五月、六月、それから後の月日と、季節ごとのハチミツということでした。味音痴の私にわかるわけがないのに、女性はどうぞどうぞ、はい、スプーンをどうぞ、というのです。
それで、寒いのに、スプーンを持たされてしまった。四月から順に四つ食べさせてもらって、淡白な甘さから、少しずつ味が濃くなっていくような感じだと思いました。
濃いというのか、いろんな味が混ざっているというのか、最後のびんの味は、夏の草原の感じがしたようでした。
別に夏の草原が好きなわけではないし、気に入ったという訳ではなかったけれど、いろんな味が混ざっているのがいいのかなというセコイ気持ちで、六月と夏のハチミツの二つを買いました。二つで700円ということでした。
小さなびんだから、1つ350円というのはそれなりの値段だったのかもしれないけれど、それはそれ、旅は出会いが大事と思って、何だか得したなと思いました。こんなものを見つけられた喜びみたいなのがあったのかな。
それで、勢いづいたのか、チラッと前を通った時、手持無さたでボンヤリしていたお姉さんのところに再び行ってみました。お姉さんは、ひょうたんのストラップを売っているようでした。
「あのー、これはいくらですか」と、顔の描いてあるひょうたんはあまりにそれらしくて、とても小さいひょうたんなんだけど、赤と紺の配色が気に入ったひょうたんストラップをプイッと買ってしまいました。なんと200円でした。さっきハチミツやさんで百円玉とかは使ったから、千円札を出したんですけど、お姉さんの持ってた金庫が開きませんでした。
どうやら寒いし、ちっとも開け閉めするチャンスがなかったから、金庫は開かなくなっていました。そして、お姉さんは仕方なく、前のテントの人に両替えしてもらっていました。何だか申し訳なかった。
さて、家に帰り、ひょうたん自慢をしてみたら、奥さんにケチョンケチョンでした。「そんなの百円でも買わない。百均でも誰も見向きもしない」と断言するではありませんか。
ああ、私はそんなものを買ってしまったのか? そんなに言われても、それは私の彦根の思い出なんですけど、「ばかだねえ」と言われても、「お姉さんに弱いなあ」と言われても、とにかく気になったから、安いみたいだし、お客さんはいなさそうだったから、買ってみようと思ったんですけど、おバカだったかなあ。
まあ、二百円くらいなら、いいんじゃないですか! もっといろんなところでムダはたくさんしていますね!
あれ、ハチミツのびんの横の切り株細工はなんでしたっけ? 彦根城のスタッフさんが作って、無料で配ってた置物でした。もちろん、そのシンプルさは素朴で稚拙なんだけど、よくわからない顔みたいなのも、おもしろいと思ったんですけど、ダメだったかなあ。私の机の上には飾ってあります。変てこなのが少しずつ増えていきますね。