甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

長い地下道の先にあるもの

2021年12月21日 21時15分18秒 | 1970ばんぱくkids

 記憶ちがいではなくて、確かに歩いたハズなんだけど、それがいつのことなのか、どこだったか、少し混乱しています。小学校の高学年のころだったのかなあ。

 普段はあまり行かないデパートに行かねばならない事情がありました。家族で行ったはずでしたが、松坂屋だったのか三越だったのか。それとも、どこか違うとこでしたか。

 中学の美術の授業で、切り絵の課題が出ました。色紙を貼り付けて好きな世界を作るというものでした。私は画用紙のすべてに何らかの色紙を置いて私なりの世界を作ったら、市の中学生部門で入選して、美術館に飾られることになりました。その会場がどこかのデパートだったのではないかと思ったら、資料によると、大阪市美術館だったようです。その時の招待状のハガキが家に残してありました。そんな過去の栄光のハガキを大事に持っているなんて、私って、あまり褒められたことがなかったのですね。

 だったら、どこかのデパートはどこだったのか。

 地下鉄を降りて長い地下道をテクテクまっすぐ歩きました。それは何かの悪夢だったのか、いや、そうではないな。長くて、人が少ない地下道だった。土日の中心街にポツンとあるデパート、そこをめざしてたんだと思います。地下道が細長く続くなんて、大阪にはよくあることでした。でも、寒くて、雨が降ってて、人影もまばらな、さびしい長い道でした。

 記憶の中でだけそんなで、本当はごく普通の地下道だったのかもしれないけれど、または、土日でお勤めの人が全くいない中心街の地下道だったのか。

 あやふやなことを書いていますね。そこで何が起きたんでしょう。



 松坂屋というのが、実は大きな会社であるというのは、二十代の頃、上野からの御徒町を経て秋葉原まで歩いていたとき、そう山手線沿いにアメ横という、繁華な商店街があって、そのアメ横に守られるように細長く存在した松坂屋は、意外と大きなデパートで、東京では、大阪ではメロメロになってる松坂屋がこんなに大きいなんて、とても意外な感じがしたものでした。

 それから後、名古屋にも何度か行くことがあって、名古屋の繁華街の栄(サカエ)には、これまた大きな位置を占めるデパートであったと知りました。松坂屋さんは傾いているデパートではなかった。ちゃんとしたステータスを持っていました。

 名古屋ではナンバーワンのデパートだと見直していました。けれども、東海各地に作られていた岡崎、四日市などに、周辺都市に作られていた松坂屋さんは、近年になってどんどん閉店していきました。巨大な組織の松坂屋でさえも、地域店舗は引き上げねばならないくらい、大規模小売業というのは厳しくなっているようでした。

 閉店の度にその最後の賑わいがニュースになってたりしましたけど、地方都市はデパートさえ持てない世の中になったのだと思います。デパートのある都市は幸いです。私の住んでいる松阪はかつては、2つのデパートがあって、1つは何度も利用させてもらいました。けれども、21世紀を前にしてそれらは消えて行きました。

 県庁所在地の津市には、まだ1つ残っています。ここも、県内に少ないデパートということで、年に何回かは利用しますが、若い人は利用してない気がする。お年寄りとオジサン・オバサンばかりがお客さんみたいな感じ。



 さて、大阪の松坂屋さんはかなり昔に引き上げていました。大阪店の本屋さんは頑張っていて、本棚も充実しているし、立地もステキだったのに、商売がしんどくなって、廃業してしまいました。

 大阪の三越さんは、90年代まで映画を見せてもらいに行ったでしょうか。私も、大阪から離れることになって、三越さんと縁が無くなったら、大阪のお店もなくなってしまいました。

 小さい頃、長い地下道を歩いて、父と手をつないでだったのか、とにかくデパートの中に入り、何かは見たと思いますし、何も印象に残っていないんですけど、雨の日曜の長い地下道だけが記憶に残っていて、夢に見たような気もするんです。

 どこだったのか、というよりも、私の中の地下道の記憶というものでしょうか。行く先はあるはずなのに、なかなかたどり着けない。大阪の地下道は、せせこましくお店スペースが作られているはずなのに、そこには何もなくて、ひたすらテクテク歩くだけでした。

 何だか、今も同じような道を歩いているようなものなのかもしれません。行く先は未来のどこかにあります。そんなに楽しいとこではないかもしれない。でも、何か用事がそこにある。私の絵でも飾られているのかもしれない。家族はそばにいるんだろうか。いるような、いないような、よくわからない薄暗い道です。


★ 杉浦非水さんの「大阪の三越」の一連のポスターを見させてらって、何か記憶の箱が少し開いたはずなんですけど、すぐ閉じてしまった。

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