近江鉄道がゆっくりと入ってきました。16時は過ぎてたかな。二両の電車からはたくさんの高校生たちが降りてきました。
いろんな高校の子らが一緒くたになって吐き出されるから、いろんな子がいます。
真っ先に降りようとする男子高生たちは、狭い改札口に駆け込んできます。どうしてキミらはそんなに早く出たいの? いちはやく改札を出て、連絡する電車に乗るのか? まさか、そんなにすぐに乗らなきゃいけないものって、ないと思うけど。
そうか、降りて来る高校生の集団の一番乗りというのが大事なんだね。確か、ボクもそんなことがあった気がする。長い下り階段を一斉に降りて、改札をだれがトップで抜けていくのか、そんなの何の得にもならないけど、競争気分、縁起かつぎ気分、変てこな競争心みたいなもので、やってたもんな。一番で改札を抜けるために、電車の扉に立って、最初にまん中から出られるように、位置取りだってしたんだもんな。
そして、女子高生たち、いろんな制服がいて、スカートのしっかり長い子たち、みんな髪をくくって質素な感じ、そんな子らがいるかと思うと、二人だけのチェックの短いスカートたちの子、お化粧もしているのかもしれないし、他を圧する空気もまとって降りて来るよ。
そういういろんなスタイルがごっちゃになって何分間が一緒に揺られて、終着駅の貴生川で解放されて、みんなドッと外に飛び出していくのか。
背景バラバラの、スタイルも様々の人たちが、ほんの一瞬集って、また散っていく。乗っているお客はみんな十代半ば、年寄りはいない。そうか、それも青春というものか。
雑多な思いがゴチャゴチャして、交じり合わないのかと思うと、どこかでつながったり、離れたり、刺激し合ったり、不思議な年代の子らが、今ここで学校の時間を終わろうとしていました。
あとは、それぞれの夜の時間になっていくんですね。
私は、そういう雑多な空間というのを避けたい気持ちだし、第一、そういうところをめざしても、誰もいないかもしれないな。