パワーストーンとおかげ横丁

　外宮（げくう）にお参りしました。駅伝はあるし、外宮前広場では地元の出店がいっぱい出ているし、何だかにぎやかそうにやっていました。伊勢うどんで有名なお店も行列ができていました。何だかニギニギしい感じです。クルマは何とか止められました。

　それで、お参りをしました。遷宮をしてそれほど時間は経っていないので、リセットされて白と黒の石だけの土地と新しい社殿とが並んでいると、新たな気持ちになります。

　いくつかあるお宮様に、すべてお参りすることはしなくて、すぐ内宮へ行こうということになりました。確かに何か目標がない感じです。とにかく、伊勢神宮に行くという目的は達成されたのですが、外宮だけでは片詣りです。内宮にお参りして、満願達成です。

　それで、内宮をめざすのです。でも、その前に、外宮でみんなが囲まれた石に手をやっています。こんなのは今まで見たことがありませんでした。新しく作られたわけではなくて、少しずつ民間信仰みたいな感じで、ありがたがって、今に至っているのかもしれません。

　母などは、「あったかいような気がした」とその気になっています。雰囲気がやらせるものなんでしょうし、いわれも何も書いてないのに、勝手にみんながありがたがっています。まあ、それでいいんでしょうね。



　そして、内宮へ向かう道での完全ストップです。私の前の大阪からのレンタカーのみなさんも、たぶん、運転手を残して、駅伝見物に出かけたのでしょう。みんなが何百メートル先の駅伝選手を見に行きました。

　母も親戚の人たちも、歩いて先に行ってしまいました。みんなケータイを持っているので、運転手を置き去りにしてもいいのです。ということは、午前１～２時くらいのこのあたりは、ものすごい電波の嵐で、ただでさえハワースポットなのに、電波もすごいから、宇宙から見たら、海に突き出た半島のところで何か騒ぎがあるらしいと見えていたかもしれないです。サンダーバード５号のゴードンさん？（じゃなくて、ジョンさんでした。ゴードンさんは４号でした！）なら、すぐに見つけて、警戒してくれてたかもしれないです。いやはや……。



　かくして駅伝のゴールのドラマが終了し、ギャラリーは少しだけ落ち着いてしまいます。そして、クルマも動き出して、私は有料化された内宮駐車場に初めてクルマを止めることになりました。たまたま空いたところに止めることができました。

　親戚の方々は、ゴール前の各大学のエールの交換に感動し、地元の自宅前の方とも再会します。いっそのこと、自分たちは大阪・三重へ旅に行くんだよと報告してあり、相手も孫の応援に伊勢神宮に行くんだよと言ってあればよかったのですが、お互いにそこは秘密にしてあって、少し気になったので電話してみたら、お互いにこちらに来ているというのを知り、ゴール地点でお互いを見つけ合うことができて、奇遇を喜び合ったということでした。

　私は、すべてが終わった後に合流したので、エール合戦も見られず、鹿児島のご近所の方とも会わず、とりあえず内宮へお参りしよう、案内しようということで、お昼ご飯を食べるのも忘れて歩き始めました。

　さてここから、当然鹿児島から駅伝の応援に来たご近所の方と一緒に行動したわけではないのに、パターンが限られているせいか、内宮の正殿で会い、宇治橋のたもとで会い、おかげ横丁ですれちがい、赤福本店でも見かけ、そこから移動して二見浦に出てみると、このご近所の人は二見に宿をとったそうで、ここでも会ってしまいます。

　母は、そのご近所さんのオバチャンの方と、多少の面識があるそうで、うれしいやら、恥ずかしいやら、へんてこりんな顔をしていましたが、あまりの偶然が度重なり、母なりに喜んでいて、何度も何度も「不思議だ」を繰り返していたのでした。

　それから、私たちは、奥さんが予約してくれた榊原温泉へ行きました。いやはや、のんきというか、優雅というか、お伊勢詣りを満喫するのでした。