Charlie Parker / Cheers ( スコットランド S.C.A.M. Records JPG 2 )
このS.C.A.M(Specially Collected American Music)というレーベルはエディンバラに居を構えていたらしいが、パーカーのブートを4枚
出しただけだったらしい。レコード会社というより、個人が自費出版したのではないだろうか。それにしてはジャケットはラミネート仕様で
丁寧な創りだし、プレスもしっかりとしていて、ブート臭さはあまりない。
そして何より、パーカーの音が非常にいい。公式録音のものと同等、若しくはそれ以上の音なのだ。1949~53年にかけての複数の演奏が
収められているにも関わらず、一貫してパーカーのアルトが朗々と太い音で鳴っている。レッド・ロドニーとのクィンテットだったり、
パウエル、ミンガスとのワン・ホーンだったり、スェーデンへの演奏旅行中のエリクソンとの録音だったり、と時と場所がバラバラなのにも
かかわらずだ。同じ人の録音ではないはずなのに、なぜ、こうも統一した音場感なのかが謎である。
先の記事へのコメントでもご指摘いただいた通り、同じ音源が別レーベルでもリリースされていたりして、こういう非公式音源は
裏ルートでは自由に取引されていたらしい。
そして何より貴重なのは、パーカー・ウィズ・ストリングスのライヴ演奏が聴けることだ。公式レコードがアメリカでヒットしたため、
ノーマン・グランツがパーカーに弦楽隊を帯同して全米でコンサートをやらせたのは知っていたが、まさかその音源が残っているとは思わなかった。
この時の演奏が聴きたいなあと以前から思っていたので、これには小躍りしてしまった。
パーカーの演奏は月並みだが "神憑って" いて、聴けば聴くほどその凄さが際立つ。ジャズが記録されて100年が経つけど、後にも先にも
この人を凌駕する者はやはりいないのだ、ということがこんなにもいい音で記録されていたということが素晴らしい。