廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

一生懸命いいところを探してみるけれど・・・・

2014年10月26日 | Jazz LP (Epic)

Curtis Fuller / South American Cookin'  ( Epic LA 16020 )


このレコードは世評が真っ二つに割れているような気がします。 

ズートの演奏がいいという話や陽気な楽曲を集めた企画がいいという話がある一方で、内容が幼稚で底が浅いという話もあって、どちらにも
ウンウンと頷けるところがあります。 Epicレーベルのモノづくりはしっかりしているからレコード偏愛派は内容に関係なく褒めるし、
実際にボントロを吹く私の知人はカーティス・フラーの手抜き加減の酷さをボロクソに言うし、とここまではっきり評価が割れるレコードも珍しい。

私はトロンボーンが好きなので基本的には好意的に接することが多いのですが、このレコードにはちょっと閉口します。

"Willow Weep For Me" のテーマ部の間抜けな表情はとにかく酷いと思うし、"Besame Mucho" での情感のカケラもない吹き方は無神経だと思うし、
"One Note Samba" の単音モールス信号に終始する演奏も酷いと思います。 どうも、やっつけ仕事だった感がします。 ”枯葉”でのズートは
素晴らしいですが、そもそもこの時期のズートはどのレコードも素晴らしいのでこれは当たり前だろうと思うし、録音も奥行き感の乏しいのっぺりと
平面的な音場感で、そういう意味でも聴いていて感銘を受けることもありません。 唯一、"Wee Dot" はなかなか聴かせる演奏ですが、
これ1曲だけじゃなあ、と思います。 さすがに、この曲は J.J. の手前もあって手抜きはできなかったんでしょう。

私がプロデューサーなら、間違いなく Willow~ と One Note~ はボツにして、両面2曲にしていたと思います。 現に収録時間が足りずに、
複数の曲の終わり方がフェイドアウト処理されているんですから。 

いずれにせよ、音楽的な感動はほとんど感じられず悪い所ばかりが気になるので、レコードをかける度にイライラしてしまいます。
いいところを一生懸命を探すことは探すのですが、そもそも聴く側がそんなことをしなきゃいけないなんて、とバカバカしくなる。
これはそのうち処分することになるんだろうなあ、と思います。



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中古探しは一時中断

2014年10月25日 | Jazz CD
タイトル通り、今週は中古CD漁りはしませんでした。 しばらくは行かないつもりです。 ちょっと漁場を荒らし過ぎたかもしれないので、
当分は寝かせておこうと思います。 時間を置けば、また回復するかもしれません。

その代わり、再発された新品を買いに新宿館の1Fに行きました。 これは、待ってました! という再発です。





■ Sonny Rollins / After The Bridge  ( RCA/Sony Music Labels SICP 4192-3 )

中期ロリンズの傑作で、私にはこのアルバムはロリンズ全作の中でも3指に入る1枚です。

全体的にアレンジやリハーサル的なものを排除した非常にラフな作りですが (どうもそういうものをわざと排した感じ)、このざっくりした感じが
この人の柄の大きい演奏によく似合っていて、欠点にはならずに逆に素晴らしいです。 

雲隠れから戻ってきたロリンズはフリーをやるんだろう、という大方の予想を見事に裏切ったのがRCAの諸作で、「フリーはやらない」宣言とも言える
このアルバムを聴いて精神的に救われたジャズメンが当時どれだけたくさんいたことだろう、と思います。 プレスティッジやブルーノート時代とは
まったく違うやり方で歌ものを吹き続ける様は素晴らしく、ある意味一番ロリンズらしい姿が聴けるのがこの時期かもしれません。

同時に、ピアノのハービー・ハンコックが素晴らしくて、音数の少ない、それでいて透き通った音色は最高です。


■ Steve Grossman / Standards  ( DIW 803 )

これは再発ではなくデッドストックなのかもしれませんが、久方ぶりに来日するということで盛り上がっていたDUに設置された特設コーナーで
平積みされていました。 この盤は中古ではまったく流通しないので、ありがたく買いました。

バリバリ・ブリブリとアドリブを吹き続けるというのが看板のこの人がニューヨークのスタジオで録音したスタンダード集で、ライヴで聴かれる
激しい姿は影を潜めていて、演奏自体はおとなしい感じです。 でも、凡庸さや退屈さとは無縁なのはさすがで、じっくりと聴かせるところが
素晴らしく、やっぱりこの人は何かを持っている人なんだなあ、ということがとてもよくわかります。

ミシェル・ペトルチアーニとスタジオで録音したデュオ作品も良かったですが、こちらのほうが王道のジャズらしくて好きです。



あと、以前買った際にここに載せきれなかったものも少しばかり。





■ Larry Young / Groove Street  ( Prestige/ビクター VICJ-23095 )

レコードだとそこそこの値段になるこの盤も、中古CDだと500円。 高いお金を出してまでレコードは買いたくないけど音楽は聴きたい、という
場合にはうってつけのパターンですね。 人気が無いなんて愚かだなあ、と思いつつ、1人でこっそりとこういうのを丹念に拾っていきます。

ブルーノートの録音はあまりピンとこなかったこの人も、プレスティッジ時代の録音は邪気のない素直な音楽で理屈抜きに楽しめます。
テナー、ギターも入る鉄板の構成ですが、ここでのビル・レスリーのテナーに耳を奪われます。 この手のオルガンジャズに参加している
テナー奏者たちはなぜか2流扱いされますが、それは大きな間違い。 傾聴するべきテナーがたくさんあります。

ジミー・スミス師匠のようなわかりやすさと比べると地味な音楽ですが、大人向きの渋いジャズに仕上がっていて素晴らしいです。


■ The William Ash Trio / The Phoenix  ( Smalls Records SRCD-0006 )

現代ジャズギターの傑作です。 ピアノの入らないギタートリオ編成で、私の大好きな構成。

ピックを使わず指の腹で弾く暖色系の音色が素晴らしいですが、それ以上に全体を覆う清潔なブルース感が抜群です。
ウェス・モンゴメリーへの深い敬愛を素直に表明したアルバムで、1曲目のオリジナル曲 "Bill's Groove" がとにかくカッコいい。
月並みなイメージですが、深夜のバーでの酒と煙草が似合う、いわゆる "夜ジャズ”になっています。

ジャズギターのアルバムでは個人的には最高に好きなものの1枚です。





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Charlie Mingus が残してくれたもの

2014年10月19日 | Jazz LP (Europe)

Lars Lystedt Sextet / Jazz Under The Midnight Sun  ( Swe Disc SWELP 10 )


60~70年代のジャズを聴いているとチャーリー・ミンガスの影を感じることが結構あって、特に辺境の地に行くほどそれは多いような気がします。

日本人は元々音楽に対して教条主義的に接する悪いクセがあるので、チャーリー・ミンガスのような思索的な音楽を前にすると畏怖の念を持って
しまいがちで、理解もできないし好きでもないのに褒めたりしますが、西洋の人々はもっと直感的に、肉感的に彼の音楽を聴いているような気がします。

私が20年振りにレコード買いを再開する前の下調べでネット検索をしていた時、クラブジャズが流行った頃にさかんに書かれたブログの残骸の中に
このラース・リーステットのレコードがよく載っていて、The Runner という曲がカッコいい、とやたらと褒められていました。 へえ、そうなのか、
と思い、程なく手に入れて聴いてみましたが、私が感じた印象は少し違うものでした。

このアルバムは、ブルースの形の崩し方、管楽器の音の発色やハーモニーの重ね方、馬の嘶きのようなサックスのフレーズ、祝祭的な調子はずれの
旋律など、あきらかにミンガスの音楽の影響が濃厚です。 もちろんそれだけではなくて、独特の北欧的な暗さが全体を覆っていることや平均律からの
逃走を試みるピアノのフレーズの多用などがブレンドされているので、一聴すると他では見られないオリジナリティーで武装していると感じますが、
それでも彼らがミンガスの音楽に心酔していてこれを創ったんだろうな、ということが容易に聴き取れます。 でも、そういう複雑な構成要素が
混乱することなく整理されているところにセンスの良さがあって、それが多くの人を魅了するのだと思います。 まあ、いいレコードです。

そう言えば、その昔、ヴィンテージマインでこのレコードが何年もの間、売れ残ってポツンと置かれていたのを思い出します。 セカンドプレスだった
せいかもしれないし、その割に高額だったせいかもしれませんが、大きな部屋の窓際の隅っこに設けられた欧州盤コーナーに長い間残っていました。
もっとも、当時この盤のことを知っていた人はほとんどいなかったはずで、あれがセカンドだなんて誰にもわからなかったか・・・



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今週の成果 ~ Cedar Walton の輝き

2014年10月18日 | Jazz CD
今週は不調でした。 ここ2~3週間の中で薄々感じてはいましたが、DUさんは年末セールの準備で忙しいのかもしれません、中古CDの新着は
気のない感じが続いています。 回転も悪く、いつもの気合いが感じられません。 面白そうなものはすべて年末のセールに廻されているらしく、
言い方は悪いですが「出がらし」が並んでいる感じです。 仕方ないので、持っていない安い定番ものを少し買いましたが、ここに載せるほどの
ものはありません。 なので、しばらくは店に行くのを止めようかな、と思っています。 別に何が何でも何か買いたいというわけではないですし、
がっかりするのも嫌ですからね。


そういう不調の中で手にしたのは、僅かにこんな感じでした。





■ Slide Hampton / Roots  ( Criss Cross Jazz 1015 )

Cedar Waiton、Clifford Jordan とのクィンテットによる1985年録音。

スライド・ハンプトンなのでちょっと込み入った、面倒な感じかなあと思ったのですが、これがとてもなめらかで繊細で洗練された質感で、
いい意味で裏切られる内容でした。 ハンプトンの音は若い頃よりも小粒になったような気がしますが、クリフ・ジョーダンのマイルドな音色とは
相性が良く、アンサンブルもきれいで驚きました。 

そして、シダー・ウォルトンがうまく全体をまとめています。 この人は作曲にも長けていて、日本では過大に評価され過ぎているトミー・フラナガン
なんかよりもずっと音楽性が高かった人。 そういうところが、演奏にもグループをまとめる力にも現れているように思います。


■ Cedar Walton / Reliving The Moment  ( High Note HCD 7765 )

1977年末から翌年頭にキーストーン・コーナーで行われたライヴを録音したもの。 こんな音源が未発表のままだったとは。 
きっと、まだまだたくさんのこういう優れた演奏がどこかに眠ったままになっているんでしょう。

フレディー・ハバードとボブ・バーグの2管フロントが情熱と理性のうまくバランスがとれた演奏をしていて、とてもいいです。 
Ugetsu や Impressions などの選曲も良く、音質も悪くなく、演奏のダイナミックさがソリッドに伝わる名演です。
何かを大事に抱きかかえるかのような、やさしい温もりのようなものをなぜか感じるのです。

これは当たりでした。 素晴らしい。


しかし、こうやって2枚並べてみると、ずいぶん地味な絵ですね。 
でも、マニアも高じると、こういう地味ジャケに名演の匂いを嗅ぎ取るようになるようです。 まるで、トリュフを嗅ぎだす豚のようです。 ブー。



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"Boogaloo" Joe Jones

2014年10月12日 | Jazz LP (Prestige)

Joe Jones / Boogaloo Joe  ( Prestige PR 7697 )


最近ハマっているのが、この "Boogaloo" Joe Jones のレコードたち。 

本名は Ivan Joseph Jones 、1940年サウス・ジャージー生まれで、1968年にプレスティッジからデビューしています。 このアルバムの1曲目のタイトル
から、他のジョー・ジョーンズたちと区別するために "Boogaloo" Joe Jones と呼ばれるようになっています。

ジャズというよりはいわゆるレア・グルーヴといわれるジャンルに属する内容ですが、このレア・グルーヴというのは定義がはっきりしません。
60年代後半から顕著になったブルースやソウルミュージックに片脚どころか両脚をどっぷりつかったジャズ、若しくはジャズと融合した
ソウルミュージック、という感じのようですが間違ってたらごめんなさい。 いずれにせよ、オルガンやアーシーなテナーサックスがキーになってます。

ただ、この人の場合はそれほど脂っこくなく、そういう要素がちょうどいい塩梅になっていてとても聴きやすいです。 特にこのアルバムは全体的に
穏やかでゆったりしたムードがあり、"People Are Talking" というケニー・バレルを思わせる静かに透き通ったバラードや "Dream On Little Dreamer"
というペリー・コモのヒット曲で見事なギタープレイを聴かせてくれるとてもいいアルバムです。 

ラスティー・ブライアントのテナーも少し抑えた感じだし、バーナード・パーディーもサポートに徹していて、ジョー・ジョーンズのギターを前面に
出そうとしています。  


このアルバムが「静」だとしたら、こちらは「動」のアルバムという感じです。



Boogaloo Joe Jones / Right On Brither  ( Prestige PR 7766 )


1曲目からベースがブーンと唸ってカッコいいのですが、全体的にブリブリで元気な曲が多いです。 ギター、オルガン、テナーが互角で対等に
ソロを受け持ち、それらをバーナード・パーディーが後ろから煽っていく。 B面最後の名曲 "Let It Be Me" が明るくゆったりと締めます。


まあ、どちらも何も考えず音楽に身を任せていればいいわけで、楽に聴けるという意味ではこれに勝るものはないかもしれません。
アメリカ音楽の最も優れた姿であるソウルミュージックに最接近したジャズの最良の姿の一つがここにあります。



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今週の成果

2014年10月11日 | Jazz CD
今週も少しつまみましたが、ハズレが多くてがっかりの日々でした。 なので、少し前に手に入れたものも混ぜての記載です。





■ Bernt Rosengren / Late Date ~ A Tribute To Lars Gullin  ( Mirrors MICD 003 )

スウェーデンの筆頭テナーによるワンホーントリビュート作品で、レア本に載っていたとのことで2,100円といういいお値段。

この人のテナーは硬質な音と土台のがっしりとしたアドリブラインが身上の素晴らしいものですが、この盤自体はラース・ガリンの音楽を
やることが主眼になっているので、彼本来の持ち味は後退していてあまり印象に残らない仕上がりです。 各楽曲が短いせいもあって、
演奏のダイナミックさに欠けます。 企画先行による弊害の悪い見本。


■ P.J. Perry / Nota Bene  ( 私家録音 )

隠れた実力派がアルトのワンホーンで臨んだ快作。 おそらく自分のやりたいことをやるために私家録音を選んだのではないかと思います。

パーカーズ・ムードを皮切りに芯の太い輝かしい音で一直線に吹いていく内容で、フィル・ウッズのEpic盤なんかを思わせます。
音楽的には特に何も目新しさはありませんが、アルトの音を思い切り浴びたい時には最適で、ジャズファンには喜ばれる内容です。
録音も大変きれいで、◎。






■ Eric Kloss / To Hear Is To See !  ( Prestige/ビクター VICJ-23779 )

盲目のアルト奏者がプレスティッジに残したワンホーンの快作で、チック・コリア、デイヴ・ホランド、ディ・ジョネットというスーパートリオが
バックを務めています。 チックのプレスティッジ録音は珍しく、ここではエレピも弾いていて時代の雰囲気を醸し出しています。

69年の録音で、この時期のジャズはファンキー、ソウル系が主流だったにも関わらず、そういう時流には背を向けて新しい時代のバップを
やろうとし続けたこの人らしい意欲作。 音楽の種類はまったく違いますが、ハンデを背負いながらも音に強い意志のこめている様子は
デヴィッド・サンボーンと重なる部分があります。

フリージャズもきちんと意識しながらもメインストリームを堂々と進む姿に感銘を覚えます。


■ Evan Parker、Alexander von Schlippenbach / Elf Bagatellen  ( FMP Postbox 100 227 )

エヴァン・パーカーの代表作のほとんどは廃盤になっているので、こういうのを聴こうという酔狂な人はこまめに中古を探すしかない。
でも、流通頻度が低いので簡単には手に入りません。 それをいいことにAmazonでは法外な値段の中古が出ていますが、まさかそんなのを
買うわけにもいきません。 どこかでちゃんと再発してくれないでしょうか・・・・ ただ、普通に聴きたいだけなのに。

このシュリッペンバッハとの常設トリオは、いわゆる一般的なフリージャズのイメージ通りの音楽です。 たぶん、ピアノが入っているからだと
思います。 フリーをやるリード奏者にはピアノを入れないことを好む人が多いですが、いいパートナーに出会えたのでしょう。

この人は、サックスが本当に上手い人です。 それは一聴してすぐにわかります。 フリージャズのサックスはヘタだがらこんな演奏でごまかして
いるのか、上手くないとこういう演奏ができないのか、正直言ってよくわからないところがあります。 今まで聴いてきたサックス奏者たちにも
みんな同じような印象しかありませんが、この人だけは違います。

それにしても、激しい、そして王道のフリーっぷりです。 これを聴いた後では、アルバート・アイラーの音楽は子守唄に聴こえます。





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デックスの本当の力が発揮された盤

2014年10月05日 | Jazz LP (Blue Note)

Herbie Hancock / Takin' Off  ( Blue Note 4109 )


ハービー・ハンコックの初リーダー作ということで「フレッシュな感覚」と書かれることが多いですが、実際はフレッシュとは程遠い質感があります。
収録された6曲のうち、半分はファンキーを偽装してはいるがまったく新しい肌触りの戦略的な楽曲で、残りは余計な飾りのないストレートで
これまたまったく新しいムードが漂うハービーの本領が発揮された楽曲、と計算され尽くした感のある、恐るべき完成度です。

この1歩先を行く曲想を持った楽曲たちを、フレディとデックスが本当に見事に支えているのに感心します。 特にフレディの曲想把握の適切さは
素晴らしく、おそらく他のトランぺッターではこの役割は務まらなかったはずです。 見た目で損をしている感が否めませんが、実は賢い人です。

ただ、私がこのアルバムを聴くのはデックスがいるからです。 新しいムードに触発されたのか、デックスは力のこもったフレーズを連発していて、
このアルバムを1つ上の次元へと押し上げています。 これがショーターやコールマンだったら、締まりのないぼやけた印象で終わっていたかも
しれません。 このアルバムにおける最大の功労者は間違いなくデックスだと思います。 アルバム最後の "Alone And I" が心に沁みます。


ハービーのブルーノート作品はなぜか全般的に音質が冴えなくて、モノラルだステレオだの議論も虚しく、せっかくの名作も台無しなんですが、
どうやらハイレゾの音質は一皮むけた素晴らしさだそうです。 今はまだ機器の値段が高くて導入する気になれないのですが、そちらの値段が
こなれてきたら、まずはハービーの諸作を聴いてみたいと思っています。 これが一般に普及すれば、オリジナル盤の値段も下がるでしょうね。




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今週の成果

2014年10月04日 | Jazz CD
今週ものんびりとつまみました。





■ Jimmy Hill / Evergreens, etc  ( 自主制作盤 8253461444 )

アルトのワンホーンでスタンダードを軽快に吹いて行く気持ちのいいアルバム。 星の数ほどいるローカルミュージシャンの1人ですが、
エッタ・ジョーンズのバックで長く吹いていたそうです。 老齢になってようやく陽の目を浴びたようで、その喜びをライナーノーツに記しています。

濁りのないきれいな音でテクニックも上々、フレーズのバウンド感も心地好く、ベテランらしい余裕たっぷりな演奏なので、何の不安もなく
聴いていられます。 音楽的な深みは何もないのでそういう切り口では語るべきことはないのですが、何も考えずに流していればそれでいい音楽で、
これはこれでいいんでしょう。 こういう演奏家がいたんだ、という発見で得をしたような気分にさせてくれて、それはそれで嬉しいものです。


■ Bernie Senensky / Wheel Within A Wheel  ( Timeless Records SJP 410 )

カナダ人ピアニストがオランダのレーベルにアルトのボビー・ワトソンと残した快演。 ワトソンのアルトは意志の強い音とスタイルでこちらに
ぐいぐいと迫ってきます。アルトの演奏が所々でフリーに近づいたり離れたりする瞬間があって、これがなかなかスリルがあります。 

このタイムレスというレーベルは質の高いジャズの音盤をたくさん作った素晴らしいレーベルで、これもピアニストのことは知らなかったのですが、
このレーベルなら大丈夫だろうと思って買いました。 期待を裏切らない内容でした。






■ Frank Rosolino / Fond Memories Of...  ( Double-Time Records DTRCD-113 )

1996年にルイス・ヴァン・ダイクのピアノトリオやオーケストラをバックにスタンダードを屈託なく吹いた作品。 この人のトロンボーンは
明るい色調のビッグトーンが身上で、豪華なバックにも負けない演奏を聴かせてくれます。

Jay Jay のような端正なスタイルとは違い、もっとエモーショナルでサックスを思わせるようなフレーズでアドリブを紡いでいきます。
音にも張りがあって、トロンボーンにはありがちなこもったような雰囲気はまったくなく、素晴らしいなあと思います。
スタンダードを選んでいますが、テーマ部が短めに抑えて後はすべてアドリブで通すので、腕に相当自信があるんだと思います。
そのフレーズもマンネリ感はなく、とてもイマジネイティヴ。 演奏の力量を実感しながら聴ける盤はそう多くはないです。



■ Last Exit / Cassette Recordings 87  ( Enemy/徳間 32JC-299 )

ビル・ラズウェル、ペーター・ブロッツマン、ソニー・シャーロック、シャノン・ジャクソンらの驚愕ユニットによるNorth Sea Jazz Festivalでの
ライブ録音。 ラスト・イグジットとしては3作目で、音質は問題なくいい状態です。

言葉を失ってしまう1作目と同様のスタイルですが、こちらはまともな音楽にやや接近したアプローチが所々見られます。 ブロッツマンのテナーは
時々ジミヘンのように聴こえたり、シャーロックのギターは時々エイドリアン・ブリューのようだし、様々なイメージの断片が行ったり来たりする。
複雑な音楽ですが、こちらにいろんなことを考えさせ、様々な想念を呼び起こさせるという意味において、優れた音楽と言えるのではないでしょうか。

DUの新宿ジャズ館でフリーの中古を100枚投入、というので喜び勇んで行ってみました。 あまり知識がないので並んだその内容の有難みが
まだよくわかりませんが、そういう自分の知識の未熟さが今は愉しいです。 新宿店は昔からフリーに強い伝統があります。
これからもこういうフリー特集をどんどんやってほしいです。 楽しみに待ってますよ、DUさん。



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