Joanne Grauer / Joanne Grauer Trio ( 米 Mode MOD-LP-113 )
アルバム1枚残して消えた人だから・・・と情報を求めて調べてみると、意外にも色んな記事に出くわして驚いた。 いわゆるジャズ・アルバムはこの1枚
だけのようだが、その後幅広く活動していてジャンルにとらわれない作品も少し残していたりしているようで、この後の足跡がわかってしまう。
美人は得だ。 放っておいても誰かがフォローしてくれる。
大方の女性のピアニストがそうであるように、彼女もピアノの基礎がしっかりとした弾き方をしているのがよくわかる。 このアルバム録音時はまだ
10代だったそうだが、演奏が安定しているのが凄いところだ。 フレーズに迷いがないし、ジャズの雰囲気を上手く出していてそんな若い歳だとは
とても思えない。 もちろん、この人だけの何かを感じるところまでいっているとは思わないけれど、これだけ弾ければまずは立派だと思う。
非常に清潔感漂う音楽で、それがいいか悪いかはともかく、聴いていくうちに好感度がどんどん上がっていく。 ウェストコースト臭さはなく、
いい意味で中庸的だし、何より新鮮な感じがあってそこがいい。 収録された曲が平凡なので、もっといろんな楽曲を弾いてもらいたかったし、
違うレーベルの音でも聴いてみたかった。
1枚の作品でそのアーティストを知るのは難しいが、彼女の場合はこのアルバムの出来がいいので愛好家にはいい印象が残っているのではないかと思う。
MODEレーベルのレコードは特定のものを除けばどれも安いし流通量も多いので、このアルバムも変なプレミアが付かずにすんでよかった。
ピアノトリオを気軽に愉しむのにはうってつけのいいレコードだと思う。