廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

レコードで聴くべきアルバム(2)

2020年09月01日 | Jazz LP (Europe)

Enrico Pieranunzi / Space Jazz Trio Vol.2  ( 独 YVP Music 3015 )


第1集から2年後の1988年にリリースされた第2集。音楽の成熟度はさらに増し、楽曲のメロディーの美しさはここに極まっている。
ポピュラー音楽のようなキャッチーさではなく、わかりやすい抽象性に富んだ美しさで、これはアメリカのジャズでは決して見られない。
音楽の土台がまったく違う。こういうのをやられると、アメリカのミュージシャンは黙ってしまうしかない。

グループの纏まりも見事で、なんと高度な演奏だろう。一糸乱れぬ、とは正にこのことだろう。ベース奏者とドラマーのことは不勉強で
よく知らないけれど、繊細な音楽を構成するのに大きな役割を果たしている。有名なだけが偉いということではない。

自身の音楽が明確に確立されていて、誰かの物真似とは無縁であるところが素晴らしい。わざわざお金を出して手に入れないと
聴くことができないオリジナルな音楽で、他では代替がきかない。私もいい加減いい年齢なので、こういうものにお金を使いたいと思う。

音質もグッと向上していて、音場感は最高にいい。自然な残響感、楽器の音のクリアな輝き、全体のバランスの良さ、どれも満点の仕上がり。
アナログとデジタルの幸せな出会いを楽しむことができる。


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レコードで聴くべきアルバム

2020年08月30日 | Jazz LP (Europe)

Enrico Pieranunzi / Space Jazz Trio Vol.1  ( 独 YVP Music 3007 )


私がピエラヌンツィを知ったのは1996年に "The Night Gone By" が発売された時で、ちょうどその頃ティエリー・ラングにハマっていた
こともあって、同じ系統のピアノ・トリオということでずいぶん熱心に聴いた。当然の流れでユニオンのCDフロアに行って、他の作品も
あれこれ買い込んで聴いた訳だが、その時にこのスペース・ジャズ・トリオ関連のものがシリーズとして数巻並んでいた。
純粋なトリオ形式のものとしてかなり期待して聴いたのだけど、これらのCDの音が悪く(楽器の音がくすんでいて分離が悪く、デッドな音場)、
音楽の良さがまったく感じられなくて非常に落胆した。

そういうこともあって長い間このトリオのことは忘却の彼方へと消えていたんだけれど、当初はアナログも出ていたということを知って、
聴いてみるとこれがまるで別の作品のような音の良さで、ようやく溜飲を下げることができた。

この第1集は1986年のリリースで、制作にあたっては当然キースのスタンダーズのことが念頭にあっただろう。スタンダーズは世界のジャズの
潮流を大きく変えたグループだったため、欧州を中心にして雨後の筍のように同様のピアノ・トリオが生まれたわけだが、このトリオは
おそらくは差別化を図るためにスタンダードは演奏せず、オリジナル曲だけでアルバムを構成した。そして、スタンダードを演奏しなくても
同様の感銘を与えることができることをきちんと証明した。

硬質なダンディズムに溢れ、高度な音楽的コントロールがよく効いた素晴らしい演奏で、耽美的でロマンティシズムを信条とする
他のトリオ群から大きく距離をとった音楽が素晴らしい。禁欲的でありながらわかりやすく、耳に残るメロディーが散りばめられている。
スタンダーズの物真似はできても、このトリオへの追従は難しいだろう。


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ほどほどの毒気

2018年07月16日 | Jazz LP (Europe)

Steve Kuhn Trio / Watch What Happens !  ( 独 MPS 15 193 ST )


2000年以降、日本のVenusレコードと契約して俗っぽいスタンダード集を粗製濫造するようになったスティ-ヴ・キューンの姿に驚かされたのは、きっと
私だけではないだろうと思う。 60年代の硬派な作品群と、そこから感じられた尖った感性を持った若者という従来のイメージからはあまりにかけ離れた
それらのアルバムには、正直言って、失望と怒りしか感じなかった。 日本のレーベルはなぜいつもこうなんだろう、と諦めだけは済まない感情が沸いたものだ。

尤も、それらと並行して別レーベルではもっと違う音楽をやっていたから、こちらは金のためだけと割り切っていたのかもしれないし、それで少しでも彼の生活の
足しになっていたのであれば、それはそれでよかったのかもしれない。 リスナーも興味のない物に対しては文句など言わずに黙ってやり過ごしておけば
それでいいだけなのかもしれない。 ただ、かつてのスティーヴ・キューンが好きだった愛好家にとって、新作が出るたびにガッカリし続けなければいけない
というのは結構キツイものがあった。

そんな訳で、今でも彼の若い頃のレコードをしつこく聴いている。 アメリカの当時のお寒い状況に見切りをつけて欧州で活動していた頃のこのアルバムは
抒情的なスタンダードとほどほどの毒気が入り混ざる、長く聴くに耐える傑作。 バカラックとカーラ・ブレイが同居する独特のセンスが光る。

ピアノのタッチも既に誰の影響も感じさせない独自の硬質さで貫かれていて、ピアノ音楽を聴く快楽度が非常に高い。 バックを務める現地ミュージシャンとの
相性も良くて、この人のこの時期のアルバムでしか聴けない美意識に失望という言葉は無縁だ。 


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シュワちゃんも真っ青

2017年01月09日 | Jazz LP (Europe)

Bruno Marini / West Of The Blues  ( 伊 LMJ 3342 )


"ダダッダッダダン、ダダッダッダダン ~" というテーマ曲が聴こえてきそう。 タフで、マッチョで、危険な香りがする。

バリトン、ベース、ドラムスのピアノレス・トリオで自作のブルースのみをゆったりと流していく、ジャケットの印象そのままの内容だ。
ダークでディープな色合いのサウンドが深夜の雰囲気を吐き出していく。 

ベースの音程が少し甘くてリズム感もちょっとユルいのが気になるけれど、音楽を駄目にするほどではないし、幸いにして全編ブルースなのでそれくらいで
ちょうどいいのかもしれない。 ドラムもちょっと無駄なおかずが多いかなあとも思うけど、3人の音量のバランスもいいので耳障りではない。
マリーニのバリトンは相変わらずよく鳴っている。

例によって自主制作のようだけど録音も良く、オーディオファイルが喜びそうな感じだし、ジャケットも凝った造りになっている。 イタリア人らしい
モノづくりへのこだわりに満ちている。 空間表現に長けた音場感なので、音量を絞って聴いたほうが逆に雰囲気が出る。 深夜聴きに向いている。

まあ、特に変わったことをしているわけではないのでそれ以上の感想は出てこないけれど、渋い刑事サスペンス物の映画のサントラなんかに使われそうな
カッコイイ音楽になっている。 ひねくれたところもなく、素直な感じがこの人の最大の美点なのかもしれない。 人は見た目ではわからないのである。


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しばらく安レコばかり漁っていたお陰で余っていたお小遣いが少しあったので、セールの売れ残りに手を出してみた。 あとは黒いジャケットのやつが未聴だが、
いずれ安いのが出てくるだろう。


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新たなる希望

2016年12月31日 | Jazz LP (Europe)

Gidon Nunes Vaz / Night Life  ( 蘭 Tritone Jazz Records 8719326027715 )


2016年最後の記事は、やはり今年リリースされた新作で締めようと思う。

今年公式デビューしたオランダの25歳のトランペッターで、驚くことにこれが3作目になる。 第1作目、2作目とも中古ではよく見かけたけれど、視聴した
限りではあまり印象に残るところがなくて見送っていたのだが、これはレコードでも発売されることやジャケットデザインもカッコよかったことから、
レコード発売と同時に買ってみた。

3管セクステットの現代の上質なハードバップが展開される。 DUのブログでは往年のブルーノートの名前が引き合いに出されているが、あまりそれを
思い出すようなところはなく、どちらかと言えばそういう過去の遺産を昇華した典型的な現代ジャズになっている。 欧州ジャズの胡散臭さがなく、
アメリカの若手が演奏しているような雰囲気になっているところが面白い。 現代のジャズを「ジャズらしさがない」と嫌う人も、これならそういう違和感を
感じることなく聴けるんじゃないだろうか。 特にバラードの出来がとても良いと思う。

全体的に非常に洗練されていて、ムラのないきめ細かな演奏に終始していて、3管のアンサンブルもアクセント程度の使い方でセンスもいい。 優秀な若手が
揃ったんだなあ、と感心させられる。 まだ25歳ということで、音楽には深みのようなものが欠けているけれど、それは今後のお愉しみというところだ。
ジャズで食っていくのはなかなか大変だろうと思うけど、志を忘れずに続けていって欲しいと思う。 バラードの上手い人は大成するはずだ。


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普通のニュースなどでもアナログ・ブームが取り上げられたりして、今年は特に新作のアナログ・リリースが目立っていたと思う。 イマドキのアナログはプレスも
丁寧で、うるさいマニアの目から見ても合格点が出せるものが多い。 今回のギドン・ヌネスだって、ジャズファンにアピールするにはレコードでの発売が
有効だということをわかってのことだろう。 こういうのはいいことだと思う。 私もこの作品がCDだけのリリースなら買っていなかったと思うからだ。
来年もこういう新作のアナログリリースが増えていってくれるといいな、と願いつつ、今年最後のブログを閉じようと思う。

当ブログを訪問して下さった皆様には深く御礼を申し上げます。 よいお年をお迎え下さい。


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隙間を縫うちょうど良さ

2016年11月15日 | Jazz LP (Europe)

Rudi Brink / Teach Me Tonight  ( 蘭 CNR 657.508 )


今日は私用があり年休を取ったのだが、空き時間に先週の漁盤で拾ってきた安レコを聴いて時間を潰す。 そういう聴き方に丁度いい内容だ。

オルガン、ギターらをバックにテナーのワンホーンでゆったりとスタンダードを吹くムード音楽一歩手前の内容だが、バックの演奏がとても控えめで、
テナーの邪魔をしない趣味のいい演奏をしている。 ルード・ブリンクのテナーは適度に硬質でフレーズも端正で優等生な感じが好ましい。 1973年の
ジャズが下火になっていた時期の録音で、いい意味で力の抜けた作品になっている。 深夜のバーなんかでかかっていると、おっと思うような感じで、
それ以上でも以下でもないけれど、これ以前の時代のジャズはどれも力のこもった内容が多いし、これ以降になるとジャズがジャズらしくなくなるから、
そういう意味ではある種の需要にはその隙間を縫ったちょうどいい感じなのかもしれない。

時々見かける別に珍しくもないレコードだけど、この初版の紺レーベルは数が少ないかもしれない。 ジャケットも艶ありで写真の発色がきれい。
とにかく安い値段で転がっていて、更に色別割引の対象だったのでその値段の安さに負けて買ってしまったが、これはこれで悪くないと思う。



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買い取りの分岐点

2016年11月13日 | Jazz LP (Europe)

Bjarne Rostvold Quartet & Trio / Jazz Journey  ( デンマーク HIT H-r 701 )


今や市場価格は50万円だそうだ。 それだけ弾が無いということなんだろうけど、デンマークという国は元々音楽が文化としても産業としても他の欧州
諸国と比べると地味で、地場の音楽であるクラシックの世界でも輩出した作曲家といえばニールセンやホルンボーくらいだし、レコードもほとんど生産
されていない。 そんな中でジャズのレコードが作られていたことは異例なことで、弾数が少ないのは仕方がない。

アメリカのジャズへの憧憬もここまで徹していると、逆にすがすがしい。 憧れ度合が純度100%でひねくれたところがないので、驚くほど爽やかな雰囲気だ。
きっと、そういうところが受けるのだろう。 自分のジャズへの憧れをぴったりと綺麗に重ね合わせることができるという感覚が心地よいのだ。

一番耳につくのはB面のピアノトリオ群。 ベント・アクセンのビル・エヴァンスへの傾倒振りは徹底していて、"You Don't Know What Love Is" では
ブロック・コードの弾き方やコード進行をエヴァンスの手癖で完全に固めている。 世にエヴァンス派と言われるピアニストは星の数ほどいるけれど、
ここまで完コピの精度が高い人はあまりいないだろう。 ビャルネ・ロストヴォルドのブラシワークはシェリー・マンのそれだし、ウォーキングベースは
レイ・ブラウンそのもの。 つまり、リヴァーサイド時代のエヴァンスがレイ・ブラウンとブラシを持ったシェリー・マンをバックに演奏したような感じだ。

A面はトランペットが入ったワンホーンだが、テンポ設定やアレンジの方向がヴァーヴ系に見られる中庸的な路線で、いくら "Mr. PC" が取り上げられて
いるとはいえ、モダンの雰囲気は希薄だ。 ノーグランやクレフのレコードを聴いて勉強したんだろうというのが手に取るようにわかる。 

そういう本場のジャズへの強い志向性が高い演奏力と欧州の高級な録音技術で録られているので、音楽的なオリジナリティーは何もなくても、アメリカの
レコードにはない品質の高さが担保されている。 でも、だからと言ってそんな非常識な価格にしてしまうと今度は買い直しが効かなくなるという意識が
働いて、かえってレコードが流通しなくなるんじゃないだろうか。 買い取り価格を吊り上げればレコードが集まるという法則の中にも分岐点は存在する
ように思う。


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ドミチルの熱い夜

2016年06月12日 | Jazz LP (Europe)

Dusko Goykovich / As Simple As It Is  ( 独 MPS/BASF CRF851 )


私がダスコのことを初めて知ったのは1980年代の終わり頃だった。 ウィスキーか煙草かオーディオか、もうよく憶えていないが何かの広告だった。
そこにはEnja盤 "After Hours" の裏ジャケットの "Remenber Those Days" の手書きの五線譜の写真と "あのドミチルの熱い夜・・・" というようなコピーが
載っていて、それがとても印象的だった。 そこで新宿のDUの地下に行くと、壁に備え付けられたレコードラックの中にはちゃんと "Dusko Goykovich" の
仕切り板があって、そこには何枚かの新品の輸入盤が並んでいた。 "ドミチル"、"Remember Those Days" という2つのキーワードでレコードを探してみた
けれどそれらしきものは見つからず、仕方なくその時は "スインギン・マケドニア" のEnja盤の新品を買って帰った。 そういう時代だった。

私が廃盤蒐集をやめていた18年ほどの間に起こった欧州盤バブルの時期にはダスコの作品のすべてが陽の当たるところに引きずり出されて軒並み価格が
高騰したんだそうだが、私はその狂騒の様を全く知らないので、今でもこの人に対するイメージは大学生だったある冬の寒い日に新宿で出会ったダスコの
イメージのままだ。 凍えて白い息を吐きながら新品のきれいなレコードを抱えて帰った、懐かしく親密な記憶がゆっくりと蘇る。

東側から西側を眺める視線で演奏される彼の音楽は私のそういう懐かしい記憶群と相性がよく、折に触れてよく聴くのだが、それらの中で最も好きな作品が
このドミチルでのライヴだ。 これは彼の作品の中では最もアメリカのハードバップに近寄った音楽になっており、特にオランダの隠れた名手である
フェルディナンド・ポヴェルのテナーが最高の出来でそれに応える素晴らしい演奏になっている。 リズム隊のサポートも見事で、5人がまるで常設のバンド
であるかのような纏まりと適度なスピード感で疾走する様に聴き惚れてしまう。 隅々まで行き渡る繊細さと程良いマイナー感が堪らない。

あのドミチルの熱い夜、という広告コピーでまだ知らない大人の世界があることを知り、まるでそれに手繰り寄せられるのようにこのレコードに出会ったのが
90年代の半ば頃でその時にも聴いて感激したけれど、今聴いても同じ感動を覚える私には稀有なレコード。 ダスコの作品ではなぜか唯一これだけがCD化
されていない。 絶対に再発するべきだと思う。



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ヴェローナの怪人

2016年05月07日 | Jazz LP (Europe)

Bruno Marini / Love Me Or Leave Me  ( 伊 プライベート LMJ 3338 )


ブルーノ・マリーニは1958年生まれのイタリアはヴェローナのバリトンサックス、オルガン奏者である。 以上、終了。

これ以上書くことがない、それくらいよくわからない演奏家。 欧州盤ブームを仕掛けたマニア本の中で初めて紹介されたことで、一部のコレクターに
珍重されるようになったが、情報も無ければレコードも出回らず、今でもその素性はよくわからないままらしい。 自己名義の作品も私が知る限りでは、
レコードが4枚、CDが2枚のみ。

本当なのかどうかはわからないが聞いたところによると、お金持ちの家柄でがつがつ働く必要が元々なく、残したレコードも知り合いや仕事の関係者に
配る分だけプレスして終わったらしい。 このレーベルも本人の関係者の私家レーベルらしく、共演して知り合ったルード・ブリンクを誘って1枚レコードを
作らせたりした。 アメリカのベテランとの共演も多いようで、ジャック・マクダフやスティーヴ・レイシーらのレコーディングにも参加しているようだ。

このアルバムはバリトン、ベース、ドラムのピアノレス・トリオで1987年5月18日にヴェローナのCIMスタジオで録音され、1988年にリリースされている。
スタンダードをメインにしたアメリカのジャズを志向した平易な内容で、その選曲はタイトル曲や "Bye Bye Blackbird" などいささか古めかしいが、
演奏は非常に現代的な質感でそのギャップに驚かされる。 私家盤にも関わらず録音がとても良く、深く澄んだエコー処理がオーディオファイルを
喜ばせる音場感になっているし、演奏もスピード感とキレがあり、非常に清潔でスタイリッシュな印象だ。

バリトンサックスの音を乱暴に分類すると、ジェリー・マリガンのような柔らかくソフトな音とペッパー・アダムスのような硬質な音に分けられるが、
ブルーノ・マリーニの音は後者に属する。 ただ、そのフレーズはアダムスのようなドラマツルギーに満ちたそれではなく、スタン・ゲッツのような
なめらかに流れるようなフレーズで、そこにこの人の他にはない個性がある。 そして、録音の良さがそのバリトンの深い音を際立たせている。 

そういう諸々の要素がいい方向に出ていて、第一印象はやたらカッコいい。 でも、何度か聴き返していくうちに今自分が感心しているのは、ジャズを
輸入品として上手く処理して、一番美味しいところだけを手際よく抽出してみせるセンスの良さと器用さに対してなんだな、いうことに気付いてしまう。
こういうところは、奇しくも同じイタリアのバッソ=ヴァルダンブリーニに対して抱く感想とまったく同じだ。 

この作品しか聴いたことがないので他の作品の内容がどうなのかはよくわからないが、おそらくは同じような傾向なのではないだろうか。
ただ、その少ないカタログの中にはフリーに寄った演奏もあるようで、それには興味をそそられる。 そこにはもう少し違う何かがあるのかもしれない。



      

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北欧ピアノトリオのレコードにまつわるあれこれ

2016年03月12日 | Jazz LP (Europe)




Knud Jorgensen / Jazz Trio  ( スウェーデン Opus3 8401 )


DU新宿ジャズ館1Fのマンスリー・バイヤーズ・セレクトの1月号に取り上げられているのを見て初めて知ったこの作品、店頭で試聴してみるときらびやかな
音質と軽快な演奏が印象に残った。 1984年の録音というからCDよりもレコードのほうがいいんだろう、と探してみると簡単に見つかったのはいいけれど、
ちょっとした手違いと行き違いがあって、2枚が手許に来るという失敗をしてしまった。 

同じレコードを複数枚持つ趣味はないので、溜め息混じりでどちらを処分しようかと検盤していて、初めてジャケットデザインが違うことに気が付いた。
上のものはメンバー全員の名前が記載されていて、紙質も木目の粗い質感でエンボス加工の紙で白っぽいクリーム色。 下のものは "Jazz Trio" という
タイトル表記で、木目の細かいざらついた質感のエンボスではない紙で色は少し黄味がかったクリーム色。 裏面はまったく同じデザインと表記になっている。
背表紙もまったく同じだ。

盤のほうはどうかというとこれがまったく同じで、材質も重量も形状もスタンパーも何も違わない。 強いて言えば、レーベルの色合いが上のほうは黄味
がかったクリーム色で、下の方は白っぽいクリーム色で、ジャケットの色合いとは逆転しているくらい。 音質もまったく同じだ。

どちらが初版なんだ?とマニアの端くれとしては気になるけれど、手に持った時の直感的な質感に違いはまったくないので、単にジャケットが違う工場で
作られただけなんだろう、という結論で自分の中では落ち着いた。 でも、これではどちらを処分すればいいのかますますわからなくなってしまう。
盤質もどちらも差がなくて、迷いに更に拍車がかかる。

両方の盤を通して聴いていくうちに、店頭で試聴した時の印象とは違うものが自分の中に残った。 音質は極めていいし、非常に軽妙洒脱な演奏でとても
耳あたりがいい。 でも、このピアノは上面だけで演奏されているように聴こえる。 演奏は3人ともとても上手いし、トリオとしてとても纏まっている。
でも、どれも手先だけで弾いていて、どうもあまり心がこもっていないような気がする。 だから、私の心の奥底にまでは響いてこない。

酒を飲むラウンジなどでかかっていたらきっと心地よいBGMになるだろうし、こういうタイプの音楽はピアノトリオの1つの王道であることは間違いない。
でも、アメリカでこういうレコードを出したら、きっとミュージシャン仲間からは陰で笑われるだろうし、この後は本人にもCMの仕事くらいしか来なくなる
んじゃないだろうか。 北欧という距離感だから許されているようなところがあると思う。




Jan Johansson / Innertrio  ( スウェーデン Megafon MFLP 2 )


Jan Johansson / 8 Bitar  ( スウェーデン Megafon MFLP 1 )


昨年末に安価で手に入れたヤン・ヨハンソンの有名盤、こちらはクヌード・ヨルゲンセンとは対照的にとても上質な音楽で、芸術としての格が全然違う。
スタンダードと民謡採取の成果がうまく配置されてずっしりとした聴き応えがあるし、演奏の質の高さは凡百のピアノトリオとは一線を画している。

クリアで端正なタッチ、終始落ち着いたリズム感、ひんやりと透き通った音場感、楽曲の纏め方の上手さなど、これ以上の完成度はないのでは、と思う。
敢えて粗探しをするとすれば、あまりに知的な音楽なのでそのスノッブさが鼻につくという向きがあるかもしれない、ということくらいか。

"8 Bitar" には中におまけが入っていた。 メガフォン・レーベルのカタログ冊子だ。



なかなか上品なラインナップだなと感心しながら見ていくと、上記の2枚にはステレオプレスがあることがわかった。 私が買ったのはステレオ表記が
ないのでおそらくモノラルプレスなんだろう。 録音時期を考えると元々は当然ステレオ録音だったのだろうから、もしかしたらステレオプレスの方が
音が自然な感じなのかもしれない。 だからこれらのレコードは安かったのかもしれないな、と思うとようやく腑に落ちるところが出てきた。

クヌード・ヨルゲンセンのレコードも、1984年プレスにも関わらずステレオ/モノラルのコンパチとなっている。 北欧の一般家庭のオーディオ環境のことは
よくわからないけれど、どちらのアーティストのレコードも割と遅い時期まで併用対応しているということは、自分ん家のオーディオ機器を永く大事に使い
続けている人が多いということなんだろう。 そういうところは何だかとても好ましいと思う。 



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レコード産業が成り立たない国で

2016年01月11日 | Jazz LP (Europe)

George Gruntz, Hans Kennel, Heinz Bigler, 他 / Swiss All Stars  ( スイス Exlibris GC 380 )


ジョルジュ・グルンツという人は60年代初頭の段階で欧州では既にある程度の大物として扱われていますが、そこに至る経緯がレコード漁りをしている範囲
だけではどうもよくわかりません。 我々の前に大物として姿を現す前の姿がほとんど記録されておらず、誰かのバックでピアノを少し弾いていることくらい
しかわかりません。 お出かけ好きだったらしく、あちこちの国のレコーディングに参加してはいますが、そのピアノだって特に何がどうということもない。

このレコードはそんなグルンツが1964年にスイスの腕利きたちを集めて大きめの編成を組み、スタジオライヴ形式で2枚組のアルバムとして録音したもので、
自身はバンドリーダとしてスコアを書き、ピアノも弾いています。 ただスコアを書いたと言ってもヘッドアレンジ程度のものだし、そのアレンジ自体も
アメリカの白人ダンスバンドからの引用が多く、アレンジャーとしてもどうなのよ? という感じです。 ところが、ここに集まったミュージシャン達の
1人1人の演奏が実に素晴らしく、結果的にそれが大きなボトムアップになってこのレコードがとてもいい作品に化けています。 アレンジの?なところは
そのおかげで全然気にならない。

この演奏の中で1番耳を奪われるのが、Heinz Bigler のアルト。 音はジャッキー・マクリーンそっくりで、吹き方はもっとなめらかで癖がなく、これが
圧倒的に素晴らしい。 こんな人がいるんだ、と調べてみましたが、どうもリーダー作が残っていないようで、唯一、未発表音源を集めた本人名義のCDが
1枚あって、廃盤セールの常連組になっているらしい。 バラードメドレーの中で彼が吹く "I Can't Get Started" はこの曲のベストかもしれません。

他のメンバーも演奏力が高く、レコードがあまり残っていないのが不思議です。 スイスという国はもともとレコード産業にあまり熱心ではなかった国で、
クラシックでさえレコードがあまり作られなかった。 販売も当時は通信販売の形態が主流だったようで、もしかしたらプレス工場もなかったのかもしれない。 
人口が少ない国だし、音楽産業はあくまで文化事業であって、ビジネスとしては成り立たなかったのかもしれません。 このレコードも事前の予約受付分の
300枚のみのプレスだったらしいですが、この手の話はあまり信用できないにせよ、スイスらしい話ではあります。

やっていることは定型的なジャズで没個性的で音楽的には何の面白味もありませんが、とにかく演奏があまりにしっかりとしているので、その力だけで
2枚組でも飽きることなく最後まで愉しめるところが見事なレコードです。 腕利きのスタジオミュージシャンが集結した散発的なセッション、という
感じなのが惜しい。 その後も一緒に演奏したライヴなどが私家盤として残ってはいるみたいですが、常設バンドとして本格的に活動していたら、きっと
音楽的にもっと発展したものが作れていたに違いないと思います。  


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季節と音楽

2015年12月13日 | Jazz LP (Europe)

Jan Johansson / Jazz Pa Svenska  ( Megafon MFLP S4 )


今年の秋は気温の高い日が多くて、東京の街では木々が十分に紅葉することなく12月を迎えています。 本来、季節と音楽というのは密接な関係があって、
その季節に聴くのに相応しい音楽というのは必ずあると思うのですが、こうも日々の季節感が希薄になってくると、冬が来たらこれを聴こうと大切に
とっておいたレコードを取り出すことをうっかり忘れてしまいそうになります。 そうならないように、このレコードは12月に入ったら棚から出して、
レコードプレーヤーの傍に置いておくようにしました。

スウェーデンのピアニスト、ヤン・ヨハンソンがベース奏者とデュオでスウェーデンの古い民謡ばかりを取り上げたこのアルバムは、国や人種を超えて
懐かしさを感じる穏やかで優しいメロディーの曲ばかりが収録された傑作。 我々には馴染みのない曲ばかりですが、どの曲も "Dear Old Stockholm"
を想わせるような心の琴線に触れる旋律で、そういう曲をピアノとベースだけで、音数少なく、静かに、静かに、本当に静かに紡いでいきます。

ヤン・ヨハンソンのピアノには誰かの物真似ではない自身のオリジナリティーがあって、輪郭のはっきりした粒立ちのいいタッチと冷たく透き通った音が
際立った、なかなか聴かせるピアノです。 だからこういう楽曲をやるのにはうってつけだと思うし、自身のルーツにもなっているであろう母国の音楽を
とても繊細な形でジャズに取り込んだことが成功しています。 才能ある人による企画の勝利です。

寒い冬の早朝に聴いてもいいし、早く暮れる夕刻に聴いてもいい。 1日のうちのできるだけ静かな時間帯を選んで、そこで少しステレオの音量を上げて
聴くと、幸せな気持ちになります。 立体感のある録音も素晴らしく、部屋の中に豊かな音場感が大きく拡がっていきます。

スウェーデン本国では25万枚を超える異例のベストセラーを記録した有名なレコードです。 人口が1千万人弱の国で25万枚超と言うのは、日本で言えば
今年の芥川賞作品「火花」以上の大ヒットということになるわけで、当然ながらレコードは大量に存在するのでとても安く買うことができるし、ちゃんと
CDにもなっていて入手も容易です。



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今週の拾い物、迷惑なお客のこと、など

2015年11月21日 | Jazz LP (Europe)

Albert Bover Trio / Bilbon Bizi-Bizian // Live in Bilbao  ( Moskito Records MR-002 )


DU新宿ジャズ館の1Fではマンスリーでバイヤーズ・セレクトという企画をやっていて、これが痒い所に手が届く感じの内容でなかなか面白いのですが、
今回のラインナップの中にこのアルバムがありました。

バルセロナ出身の若いピアニストで目立たないけれども着実に作品をリリースしているそうで、ピアノトリオ愛好家には知られた存在なのかもしれません。
スペインのアリアーガ音楽院でのライヴ演奏ですが、とても落ち着いて深い趣きのある演奏で、ぐっときました。 自身のオリジナル2曲、
ジョビンの"Luiza"、メキシコのピアニスト Consuelo Vazquez の作品、という通好みの好プログラムです。 

ベースとドラムが静かなサポートに徹する中、ボベルは端正で節度のある、それでいて深いタメの効いたセンスのいいピアノを弾いていきます。
ライヴだからといって派手な演奏をすることもなく、丁寧に観客に聴かせようとしているのがとてもいい。 
バップ臭くもなく、欧州きれい系でもなく、自分のスタイルのある人です。 特に、ジョビンとヴァスケスの曲が素晴らしく、感心しました。 
飽きずに長く聴けそうな良い作品で、きっとこの人はいいピアニストになるでしょう。

アナログとCDのセット販売で、こういう形式のものは初めて買いますが、これは便利でいいなと思いました。 レコードはフラットエッジの重量盤で
丁寧な仕上がりになっていて好感度アップ。 音は過剰なイコライジングを排した自然な録音で、十分だと思います。


このアルバムを買う前に3Fで中古CDを物色していたのですが、そこではた迷惑なお客(オヤジ)がいました。 
「DUさんは、一般的な名盤の未開封の新品CDをいくらくらいで買い取りしてくれるの?」とデカい声で店員に向かって喋りだしました。
「内容にも依るんですが、そうですねえ、ちょっと現物を見ないと正確には・・・」と若い店員さんが控えめに答えると、
「いやいや、大体の相場を聞いてるんだよ、例えばさあ、カインド・オブ・ブルーなんかの何度も再発されているようなヤツの未開封だよ」とますます
大きな声で畳みかけます。
若い店員さんも対処に困りながらもその後何回かのやり取りの後、「まあ、500円とか、それくらいかもしれません」と言うと、「ああ、それくらいなのね」
と言って、そのオヤジは出て行きました。 若い2人の店員さんはお互いに顔を見合わせて苦笑いしながらも、悪態をつくこともなく(偉いね)、
中断していた棚出しの作業に戻りました。 昔のアルバイトには態度の悪いのがいたけど、今の店員さんはよく教育されているのか、みんなとても接客
態度が良くて、見ていて感心します。

それに比べて、ジャズの店舗には態度やマナーの悪いオヤジがとても多い、と感じます。 他のジャンルのお店にもよく顔を出すのですが、それらと
比較すると、特にジャズのレコードやCDを漁っているオヤジの態度の悪さは群を抜いているように感じます。 当然、ジャンルごとにお客の年齢層は
違って、クラシック館のレコードを漁っているのは老人が9割を占めてるし、ロックは中年、ソウル、クラブ系は若者です。 でも、彼らは総じて
礼節をわきまえていて、互いに譲り合うし、店員に横柄な態度を示す人もあまりいません。 勿論そちらにも変な人はいるんでしょうが、ジャズ館では
そういう客を割とよく見ます。

こちらは物色している時は色々と考え事をしているのに、こういう手合いがいると思考が邪魔されて、本当に迷惑です。 特に探していた盤を見つけて、
かなり慎重に内容のチェックをしている最中にこういうのが現れると、本当にぶん殴りたくなります。 気分も悪くなるし、もう最悪です。
やっぱり、中古漁りは静かに落ち着いてやりたいものです。 自分もそういう迷惑なオヤジにならないよう、気を付けなくちゃ。


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70年代のノルウェーの風景 2

2015年09月26日 | Jazz LP (Europe)

Guttorm Guttormsen Kvartett / Albufeira  ( ノルウェー Octave OCLP 03 )


グットルム・グットルムセンの第2作で、1979年7月にスタジオ録音されたもの。 同じワンホーンカルテットですが、今回はアルトも吹いています。

前作から4年ものインターバルを経てどうなっているかというと、前作よりも意識的に半歩ほど当時の主流派ジャズに近づいた雰囲気があります。
第1作は無理をせず自分たちの心象風景をありのまま綴ったような感じでしたが、こちらはかなり意図的にジャズに取り組んだ跡があり、そういう意味では
音楽家としての自意識が以前よりも強くなっている印象を受けます。 楽曲の中の起承転結がより明確になっているし、自分に与えられた小節数の中で
事前にかなり練習を重ねたようなフレーズを演奏しているので、かっちりとした感じがします。 

アルトの演奏はかなりおぼつかないところがあって、運指が遅れたりリズムに乗りきれないところも多く、まだまだこれからというところです。
ピアノとドラムが前作とはメンバーが変わっており、ドラムは前作の人のほうが圧倒的に上手く、そのせいでこの作品は全体的にリズム感が少し
ぎこちない感じがします。 また、レーベルも変わった影響か、録音も少し貧しい仕上がりになっています。 今回はメンバー各人がオリジナルを
持ち寄った楽曲構成になっているので、曲ごとの雰囲気がバラバラで統一感が稀薄で、最後の曲なんかはまるでリターン・トゥ・フォーエヴァーの
アルバムに入っていそうな曲で、聴いていて思わず苦笑いしてしまいます。

プロとして自覚的な音楽をやろうとしたところは伝わってくるので立派だと思いますが、ここではまだその成果は出ていないなあ、というのが率直な
感想で、この後の作品をといきたいところですが、これ以降はアルバムがないようなのでどうなったのかよくわかりません。 北欧の演奏家はあまり
アルバムを出すことに執着しない人が多く、これが北欧のジャズの実像を把握しにくくしています。 ここで途切れてしまったのは、残念です。



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70年代のノルウェーの風景

2015年09月26日 | Jazz LP (Europe)

Guttorm Guttormsen Kvartett / Sotunudi  ( ノルウェー MAI 7509 )


1950年生まれのノルウェーのリード奏者であるグットルム・グットルムセンは自己名義のアルバムを今のところ2枚だけ残していますが、これは1975年7月に
スタジオ録音された第1作。 ここではソプラノサックスとフルートをワンホーンで吹いています。

アメリカのハードバップやその後のフリーやスピリチュアルの欠けらはどこにもない、当時の平均的なコンテンポラリージャズで、似た雰囲気を探すとすれば
ECMのガルバレクの音楽が一番近いですが、あそこまで北欧音楽の土着的な伝統にどっぷりとつかった感じではなく、もっと素朴で遠く離れた田舎の
静かで澄んだ空気の匂いがします。 

グットルムセンのソプラノはやはりガルバレクの影響を受けているのか、中低音部の音色や吹き方はよく似ているし、演奏はかなりしっかりしています。
バックのピアノトリオも過不足のない安定した演奏で悪くない。 どの楽曲もテーマ部のメロディーは平易でわかりやすいし、世界を席巻したフリー、
ファンキー、スピリチュアルなどで汚されてもいないので、なかなか感じのいい音楽になっています。

テナーやアルトは吹かず高音域のリードだけを使っているので全体的に清潔な雰囲気で統一されているし、グットルムセン作曲のオリジナルばかりで
構成されているのでアルバムとしてのまとまりもよく、刺激に欠けるところはありますがシンプルで質感のいい音楽になっていて、コンテンポラリー系が
あまり好きではない私でも好感を持って聴くことができます。 重厚なモダンジャズに疲れた時の箸休めにはちょうどいい感じです。



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