

Sonny Rollins / A Night At The Village Vanguard ( 米 Blue Note BLP 158 )
このアルバム、本当に名盤なのだろうか。 30年前からずっと聴き続けているけど、未だに良さがわからない。
サックスを実際に吹く人が褒めるのはよくわかる。 こんな演奏ができる人は他にいないからだ。 楽器を演奏する、という語感をとっくに超越している。
フレーズの触感も心なしか当時は表立っては見えていなかったフリーに接近しているようなところもあり、実はかなり野心的で進歩的な内容でもある。
そういう文脈で称賛されるのならわかるけれど、そんな話は聞いたことがない。 ただ、名盤である、と人は言う。
単なるリスナーとしてこれを聴くとどうだろう。 全編に渡ってロリンズは吹きまくっているけれど、どのフレーズももっさりしていて、いつものキメが
まったく効いていない。 どうも何かを試していたような気配があるんだけれど、上手くいっていない。 ロリンズはフレーズで聴き手の感情を揺さぶる
ことができる数少ない人だけど、ここでの演奏にはそういうところがほとんどない。
でも、一番ダメなのはRVGの録音で、正直、この録音は明らかに技術的な失敗作だ。 全体に膜で覆われたような鮮度の悪さと平面的で興を削ぐ音場感の
悪さは手の施しようがない。 特に酷いのはエルヴィンのドラムで、もはやおもちゃの太鼓を叩いているようにしか聴こえないし、ベースの音も小さく
埋没していて、演奏の凄みみたいなものが何も聴き取れない。 何とかロリンズのテナーを一番前に持ってくるようなデフォルメをしているけど、サックスの
音色自体がふさがったような不自然な音なのだ。
RVGは管楽器の管にマイクを突っ込むようにしたりグランドピアノの弦の傍にマイクを置くことで個々の楽器の音をニアフィールドで拾って音圧の高さを
担保していたけど、ライヴでは当然そういう録り方ができないので、この人の弱点が露呈してしまう。 狭いヴィレッジ・ヴァンガードには十分な機材は
持ち込めないだろうけど、それでも他のアーティストのヴァンガード録音と比べるとその酷さは歴然としている。
当時最高のジャズミュージシャンとして君臨していたロリンズの演奏として本来はレコード3枚分の曲が収録されたのだから、ブルーノートとしては全部
出したかったはずだ。 でもこの内容を勘案して、1枚に絞ったのだろうと思う。 ブルーノートだから、RVGだから、50年代後期のロリンズだから、
そういうキーワードだけで名盤扱いにするのはおかしいんじゃないだろうか。
本盤がイイと言う声を直接、何度も聞いていますが、実は自分もこの盤、あまり聴きません。と言うより他の作品に手が伸びてしまいます。
ただ、他のts奏者では、逆立ちしてもこんなプレイはできないなぁ、とも思います。
オリジナルを聴いているワケではありませんので、何とも言えませんが、今度、じっくり聴いてみます。
そうなんですよねえ、すごい演奏なんです、どこからどう聴いても・・・・
でも、心の底から「すごい、これは大好き!」とはどうしても言えない。
私は自分の感覚が間違ってるんじゃないか、と他の好きな盤よりもつい頻繁に聴いてしまうという天邪鬼で、"OLd Devil Moon"なんて、そらで歌えるくらい聴き込んでるんですけど・・・・
以前に拝読したブルーノート1500盤台と4000盤台の位置づけの件といい、今回の1581といい、ムムムと思ってコメントします。
1558(vol.2)は随分と好意的に聴くのですが、殊この盤についてはこれまでのめり込めずに来ておりまして、努めてCDをトレイに載せるのですがフリーの萌芽を感じるからか「う~ん、今回もアカンかった」とうなだれること数知れず、でした。フリー云々、編成云々ではない、アドリブフレーズの「節」の弾け無さという視点で今一度再聴しようと思います。
ライヴ演奏なので、スタジオ録音とは本質的に建て付けが違うのはよく理解した上で聴かなきゃいけないんでしょうけど、
それにしてもグッとくるものが稀薄なんです(私には)。
その原因がどうも自分でもよくわかりません。
言われてみると単調というか盛り上がりにかけるかなぁと思いました。
ピアノレストリオというのも関係あるのでしょうか。
評論などで熱気が溢れるすごい演奏とありますが 凄い装置で聴くとそう聴こえるのでしょうか?
盛り上がりに欠ける、というのはきっと録音上の問題じゃないでしょうか。 ライヴなのに、音場が死んでいるというか。
すごい装置で聴くと、すごい演奏に聴こえるんでしょうか・・・ なんか、違うような気がします。
まあ名盤との距離感なんて、そんなものでしょうね。
録音は私もがっかりで、BLPのモノを入手しましたが、印象に残らないなあ。Riversideの例のエヴァンスのライヴとは比較にならないように思いますねえ。空間が捉えられていない。
録音が悪くてもいい演奏であれば感動させられるものなので、これはそういう意味では?のつく内容なんだろうと思いますね。
エヴァンスのライヴは、モノラルは平凡な音だけど、ステレオ盤で聴くといいですもんね。