[5月12日10:00.東京都墨田区 敷島エージェンシー シンディ&敷島孝夫]
(三人称に戻ります)
敷島は社長室でシンディが撮影・編集した、事務所関係者のPR動画を閲覧していた。
〔(初音ミク)「敷」、(MEIKO)「島」、(未夢)「エー」、(結月ゆかり)「ジェン」、(Lily)「シー」、(井辺翔太)「を」、(鏡音リン)「どうぞ」、(鏡音レン)「よろ」、(KAITO)「しく」、(一海)「お願い」、(巡音ルカ)「します」〕
「どう?バッチリ撮れてるでしょ?これでこの事務所も、年内にはメジャーだよ!」
シンディは片目を瞑って得意げに笑った。
「演出はいいと思うんだが……。1つ問題が……」
「なに?ミクの縞パンチラくらい、いいじゃない。どうせライブでも、あの衣装じゃ、パンチラ上等でしょ?」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「何気にMEIKOとルカにも、巨乳のセクシーポーズを取ってもらったよ」
「いや、そういうことじゃないって」
「女性ファンが付くよう、KAITOにはちゃんと……」
「いや、今映っているこのコ達は別に問題無いんだ」
「じゃあ何?」
「俺はこの事務所の関係者全員を撮るように言ったよな?」
「そうよ。だから、プロデューサーや一海も撮ったじゃない。あ、今さらそれは関係無いなんて言わないでよね!」
「いや、それでいいんだ。だが、お前は1つ忘れてるぞ」
「だから何?」
「お前もこの事務所の関係者だってことを忘れてるみたいだな!?」
「ああーっ!?」
「つーわけで撮り直し!ったく、せっかくカメラ渡したのに、横着して自分の目で撮りやがって!」
「そんなぁ……」
[同日11:00.同場所 MEIKO&敷島孝夫]
「ただいまぁ」
「おっ、お疲れさん。午後も仕事入ってるから、少し休憩したらまた頼む」
「はーい。今度は河童酒造さんの広告撮影だったっけ?」
「酒瓶片手のあのポスターがウケたみたいだからな。河童酒造の沖浦社長も大絶賛だったよ」
「お役に立てて何よりです」
MEIKOはペコリと頭を下げた。
ロイド達の口から出て来た今のセリフは、彼らにとって至上の喜びの言葉である。
MEIKOが奥の休憩室に行くと、今度は事務机にいた一海が話し掛けた。
「社長、昨日、平賀教授から電話がありました」
「平賀先生が?」
「社長へ出産祝いに、私の姉妹機、二海を子守り用として送るそうです」
「そうか。それはありがたい。何しろ、マリオ達じゃ子守りにならないもんな」
「代わりに、この事務所の警備をさせますか?」
「まあ……このビル自体、機械警備が入ってるから大丈夫だと思うけど……」
「社長のマンションも機械警備入ってますよね?」
「まあね。埼玉の賃貸マンションと、こっちのマンスリーマンションもそうだ」
「それと、まもなくエミリーさんの新ボディが完成するので、立ち会いをお願いしたいとのことです」
「……そうなのか。意外と早いな。まあ、学界で天才児と呼ばれてる平賀先生が本気を出せば当たり前か」
「そうですね」
「良かった。あの人が敵に回ったら、世界の終わりがやってくる。正義感の強い先生で良かったよ」
「はい」
「この事務所は……単なる芸能プロダクションではないということだよ」
「分かってます」
そこへ電話が掛かって来た。
「はい、お電話ありがとうございます。敷島エージェンシーです。……あ、はい。いつもお世話になっております。……はい」
(そうは言っても、普段は単なる芸能事務所をやんないといけないけどな)
敷島はそう思って、再び社長室に戻った。
ミクが焼いてくれたクッキーを手にして。
[同日12:00.JR東京駅八重洲南口・JRバス乗り場 井辺翔太]
「……あ、もしもし。社長ですか?お疲れ様です。……はい。今、東京駅にいますが、取りあえず指示通りの物が用意できました」
{「ご苦労さん。俺の所に持って来るのは、営業の後ででいいから」}
「はい。でも、よろしいのでしょうか?」
{「これも経費節減だ。あれはボカロの仕事で行くわけじゃないからな。キミ達は逆に営業で行くんだから、いつものルートでいいよ」}
「はあ……」
{「帰りは一緒になるかもな」}
「そうですか」
{「心配するな。ミク達だって、最初は地方巡業がメインだったんだから。もっとも、研究所自体が地方にあったんだけどな。あっはっはっはっ!」}
「そうでしたね」
{「逆に向こうで仕事ができるのは、偏にミク達がそこで活躍していたからという実績もある。そこの所、忘れないようにな?」}
「はい、分かりました。では、私はKAITOに付いて、ドラマの撮影現場に向かいますので」
{「おお、そうだ。オレからも監督に謝っとかないとな。昨日、シンディが舞台セット壊したんだって?しょうがないヤツだ」}
「私が謝罪しておきました。今後は気をつけるようにとのことです」
{「それだけで許してくれたのか。意外と寛容な監督さん達なんだな」}
「私共の事務所には注目して下さっているようです。ありがたいことです」
[同日同時刻 都内某所・件の撮影現場 シンディ]
「……というわけでぇ〜、これがミクの生写真(≧▽≦)」
「おおっ!?」(←鼻の下を伸ばす作者雲羽監督)
「MEIKOの着替え中の盗撮DVDと、ルカのパンチラ&胸チラ映像もあるよぉ?これで壁に穴開けたの許してね(^_-)-☆」
「もち、OK!☆彡」
「いいのかよ……(;゜Д゜)」(←呆れる多摩名誉監督)
[同日18:00.敷島エージェンシー 井辺翔太、敷島孝夫、シンディ]
「ただいま、戻りました」
「おう、お疲れさん。どうだった?」
「はい。今日もKAITOの撮影は深夜に及ぶそうなので、予備のバッテリーに交換しておきました」
「深夜労働なんて関係無いボカロだからできることだな」
「そうです。それで昼間、社長に頼まれたものを……」
「おう、雑用頼んじゃって悪かったな。ありがとさん」
「いえ」
「シンディ、お前にも関係のあることだから」
「え?何が?」
シンディが2人の所へやってきた。
「今週末、お前のお姉さんのボディ交換に、妹として立ち会うんだ。俺も行く」
「えっ、いいの?」
「マルチタイプの動きを嗅ぎ付けて、変な組織が狙ってきても困るから、その護衛もあるんだけどな」
「しかし社長、移動が高速バスというのは……」
「テロリスト連中も、まさか俺達がと思うだろう?ノーマークだろうよ」
「そうでしょうか?」
「だから一応、護衛にシンディも一緒に来てもらうんだけど」
「本当に大丈夫なんですか?」
「心配要らん。エミリーなんて、バージョンシリーズの気配を感じてすぐ動くくらいだ。ましてや同スペックのシンディだ。安心だろ?」
「……はい、そうだと思います。私がアメリカを旅行した時は、グレイハウンドバスに……。!」
「どうした?」
「……い、いえ。何でも……」
「どうしたの?アメリカの長距離バスがバージョンシリーズに襲われたって?」
「い、いえ。そういうことでは……。すいません」
「?」
「?」
敷島とシンディは顔を見合わせて首を傾げた。
「わ、私も新人達を連れて……下準備をしなければなりませんので、失礼します」
「大丈夫か?何か、顔が青いぞ?」
「大丈夫です」
井辺は奥の部屋に行った。
そこには新人達が控えている。
「朴訥、朴念仁とも言える井辺君が学生時代、アメリカ旅行をしていたなんて信じられんな」
「まあ、人は見かけによらないものだからねぇ……」
(三人称に戻ります)
敷島は社長室でシンディが撮影・編集した、事務所関係者のPR動画を閲覧していた。
〔(初音ミク)「敷」、(MEIKO)「島」、(未夢)「エー」、(結月ゆかり)「ジェン」、(Lily)「シー」、(井辺翔太)「を」、(鏡音リン)「どうぞ」、(鏡音レン)「よろ」、(KAITO)「しく」、(一海)「お願い」、(巡音ルカ)「します」〕
「どう?バッチリ撮れてるでしょ?これでこの事務所も、年内にはメジャーだよ!」
シンディは片目を瞑って得意げに笑った。
「演出はいいと思うんだが……。1つ問題が……」
「なに?ミクの縞パンチラくらい、いいじゃない。どうせライブでも、あの衣装じゃ、パンチラ上等でしょ?」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「何気にMEIKOとルカにも、巨乳のセクシーポーズを取ってもらったよ」
「いや、そういうことじゃないって」
「女性ファンが付くよう、KAITOにはちゃんと……」
「いや、今映っているこのコ達は別に問題無いんだ」
「じゃあ何?」
「俺はこの事務所の関係者全員を撮るように言ったよな?」
「そうよ。だから、プロデューサーや一海も撮ったじゃない。あ、今さらそれは関係無いなんて言わないでよね!」
「いや、それでいいんだ。だが、お前は1つ忘れてるぞ」
「だから何?」
「お前もこの事務所の関係者だってことを忘れてるみたいだな!?」
「ああーっ!?」
「つーわけで撮り直し!ったく、せっかくカメラ渡したのに、横着して自分の目で撮りやがって!」
「そんなぁ……」
[同日11:00.同場所 MEIKO&敷島孝夫]
「ただいまぁ」
「おっ、お疲れさん。午後も仕事入ってるから、少し休憩したらまた頼む」
「はーい。今度は河童酒造さんの広告撮影だったっけ?」
「酒瓶片手のあのポスターがウケたみたいだからな。河童酒造の沖浦社長も大絶賛だったよ」
「お役に立てて何よりです」
MEIKOはペコリと頭を下げた。
ロイド達の口から出て来た今のセリフは、彼らにとって至上の喜びの言葉である。
MEIKOが奥の休憩室に行くと、今度は事務机にいた一海が話し掛けた。
「社長、昨日、平賀教授から電話がありました」
「平賀先生が?」
「社長へ出産祝いに、私の姉妹機、二海を子守り用として送るそうです」
「そうか。それはありがたい。何しろ、マリオ達じゃ子守りにならないもんな」
「代わりに、この事務所の警備をさせますか?」
「まあ……このビル自体、機械警備が入ってるから大丈夫だと思うけど……」
「社長のマンションも機械警備入ってますよね?」
「まあね。埼玉の賃貸マンションと、こっちのマンスリーマンションもそうだ」
「それと、まもなくエミリーさんの新ボディが完成するので、立ち会いをお願いしたいとのことです」
「……そうなのか。意外と早いな。まあ、学界で天才児と呼ばれてる平賀先生が本気を出せば当たり前か」
「そうですね」
「良かった。あの人が敵に回ったら、世界の終わりがやってくる。正義感の強い先生で良かったよ」
「はい」
「この事務所は……単なる芸能プロダクションではないということだよ」
「分かってます」
そこへ電話が掛かって来た。
「はい、お電話ありがとうございます。敷島エージェンシーです。……あ、はい。いつもお世話になっております。……はい」
(そうは言っても、普段は単なる芸能事務所をやんないといけないけどな)
敷島はそう思って、再び社長室に戻った。
ミクが焼いてくれたクッキーを手にして。
[同日12:00.JR東京駅八重洲南口・JRバス乗り場 井辺翔太]
「……あ、もしもし。社長ですか?お疲れ様です。……はい。今、東京駅にいますが、取りあえず指示通りの物が用意できました」
{「ご苦労さん。俺の所に持って来るのは、営業の後ででいいから」}
「はい。でも、よろしいのでしょうか?」
{「これも経費節減だ。あれはボカロの仕事で行くわけじゃないからな。キミ達は逆に営業で行くんだから、いつものルートでいいよ」}
「はあ……」
{「帰りは一緒になるかもな」}
「そうですか」
{「心配するな。ミク達だって、最初は地方巡業がメインだったんだから。もっとも、研究所自体が地方にあったんだけどな。あっはっはっはっ!」}
「そうでしたね」
{「逆に向こうで仕事ができるのは、偏にミク達がそこで活躍していたからという実績もある。そこの所、忘れないようにな?」}
「はい、分かりました。では、私はKAITOに付いて、ドラマの撮影現場に向かいますので」
{「おお、そうだ。オレからも監督に謝っとかないとな。昨日、シンディが舞台セット壊したんだって?しょうがないヤツだ」}
「私が謝罪しておきました。今後は気をつけるようにとのことです」
{「それだけで許してくれたのか。意外と寛容な監督さん達なんだな」}
「私共の事務所には注目して下さっているようです。ありがたいことです」
[同日同時刻 都内某所・件の撮影現場 シンディ]
「……というわけでぇ〜、これがミクの生写真(≧▽≦)」
「おおっ!?」(←鼻の下を伸ばす
「MEIKOの着替え中の盗撮DVDと、ルカのパンチラ&胸チラ映像もあるよぉ?これで壁に穴開けたの許してね(^_-)-☆」
「もち、OK!☆彡」
「いいのかよ……(;゜Д゜)」(←呆れる多摩名誉監督)
[同日18:00.敷島エージェンシー 井辺翔太、敷島孝夫、シンディ]
「ただいま、戻りました」
「おう、お疲れさん。どうだった?」
「はい。今日もKAITOの撮影は深夜に及ぶそうなので、予備のバッテリーに交換しておきました」
「深夜労働なんて関係無いボカロだからできることだな」
「そうです。それで昼間、社長に頼まれたものを……」
「おう、雑用頼んじゃって悪かったな。ありがとさん」
「いえ」
「シンディ、お前にも関係のあることだから」
「え?何が?」
シンディが2人の所へやってきた。
「今週末、お前のお姉さんのボディ交換に、妹として立ち会うんだ。俺も行く」
「えっ、いいの?」
「マルチタイプの動きを嗅ぎ付けて、変な組織が狙ってきても困るから、その護衛もあるんだけどな」
「しかし社長、移動が高速バスというのは……」
「テロリスト連中も、まさか俺達がと思うだろう?ノーマークだろうよ」
「そうでしょうか?」
「だから一応、護衛にシンディも一緒に来てもらうんだけど」
「本当に大丈夫なんですか?」
「心配要らん。エミリーなんて、バージョンシリーズの気配を感じてすぐ動くくらいだ。ましてや同スペックのシンディだ。安心だろ?」
「……はい、そうだと思います。私がアメリカを旅行した時は、グレイハウンドバスに……。!」
「どうした?」
「……い、いえ。何でも……」
「どうしたの?アメリカの長距離バスがバージョンシリーズに襲われたって?」
「い、いえ。そういうことでは……。すいません」
「?」
「?」
敷島とシンディは顔を見合わせて首を傾げた。
「わ、私も新人達を連れて……下準備をしなければなりませんので、失礼します」
「大丈夫か?何か、顔が青いぞ?」
「大丈夫です」
井辺は奥の部屋に行った。
そこには新人達が控えている。
「朴訥、朴念仁とも言える井辺君が学生時代、アメリカ旅行をしていたなんて信じられんな」
「まあ、人は見かけによらないものだからねぇ……」