報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「デイライト・コーポレーション・ジャパン」

2015-05-27 19:25:25 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月27日10:00.埼玉県さいたま市西区 デイライト・コーポレーション埼玉研究所 井辺翔太&シンディ]

 どことなく牧歌的な風景が広がる中を走る1台の路線バス。

〔「デイライト・コーポレーション前〜……」〕

 ノンステップバスの前扉(両側に開くタイプはグライド・スライドドアという)が開いて、降りた乗客は2人だけ。
 即ち、井辺とシンディである。
「ここに来るのも久しぶりです」
「アタシも2回目だね。ってか、どうしてプロデューサーがここにいるの?」
「社長が『アンドロイドがどういう整備をしているか知るのも研修だ』と……」
「とても芸能プロダクションの仕事とは違うよね」
「そうですね」
 正門から中に入ると守衛所があり、そこで来訪者受付を行う。
 そこにいた警備員は警備服を着た人間の警備員だったが、
「入館人員に『人間◯名、ロボット◯機』というのはここだけでは?」
「アタシの知ってるロシアの研究所も似たようなものだよ」
「そうですか……」
 受付簿に記入する井辺。
 人間用のビジターカードは普通の首からぶら下げるタイプだったが、シンディの場合は、
「じゃ、左手出して」
「はい」
 左手の掌のど真ん中を開けると、見た目はクリアレンズみたいなものがある。
 それで警備員の横にある読取機に翳すと、シンディの情報が照合されるというもの。
 人間なら出向元の社員証や名刺などで身元確認するが、ロボットだとそうなる。
「西館3階の『アンドロイド技術開発センター』へどうぞ」
「お邪魔します」
 研究所の佇まいは、例えば製薬会社のそれと外観はそんなに変わらない。
 実際に中に入ってみても、どこかの企業のオフィスのような感じなのだが、総合受付があって受付嬢がいて、ロビーがあって……という感じではない所が事務所ではなく研究所という感じだった。
「いずれはメイドロボットに受付係をさせるという話らしいですね」
 井辺が言った。
「挨拶で『お帰りなさいませ』って言われたところで、ビックリするだけじゃない?」
 と、シンディ。
「一海さんみたいなタイプが受付係をする分には問題無いと思いますが……。!」
 すると廊下の向こうから、バージョン5.0などの警備ロボットがドカドカやってきた。
 4.0まではドクター・ウィリーの開発したテロリズム用途で、今でもどこかしらのテロ組織が使用しているが、5.0以降のシリーズはアリスが実際に製造に関わっている為、本来の警備用途に使用されている。
 4.0まではずんぐりむっくりした体型だが、5.0になってからはスリムになり、より人間に近い感じになっている。
「来たよ……」
「な、何ですか!?」
 さすがの井辺も一瞬怯む。
 ざっと数えて10機。
 ズラッと5機ずつ廊下の両脇に立って、
「シンディ閣下ニ対シ、敬礼!!」
 ビッと一斉に敬礼を行う警備ロボット達。
「大げさだからやめろって前に言っただろ!」
 シンディは5.0達を窘めた。
 財団在りし頃、エミリーとシンディは特権階級として、メイドロボット達からはもちろん、こういったいかつい警備ロボット達からも畏怖の対象だったという。

 エレベーターで3階に上がる。
 これもまた面倒なもので、まずエレベーターに乗る時に読取機にカードを当てなくてはならない。
 そして乗り込んで動かし、3階に到着してもドアはすぐに開かない。
 エレベーターのボタンが並んでいる所にモニターがあり、ドアを開ける条件が提示される。
 3分以内にそれができないと、再び1階に戻されるという仕組みだ。
 例えば、『ビジターカードに記載されている番号に2を掛けた後、3で割った数字を入力してください』と、階数ボタンとは別のテンキーで入力したり。
 今回は比較的簡単で、『同行のアンドロイドのシリアルナンバーを入力してください』とのことだった。
「シンディさん?」
「2424188。『ニシニヨイパパ』って覚えて」
「はい、ありがとうございます」
 因みにシンディがマルチタイプ3号機だから、3と入力すると間違い。
 ポーン♪というチャイムが1打鳴り、ドアが開いた。
「どこかの電話番号みたいですね」
「頭に仙台市の局番付けて掛けてみたら?どこかに繋がるかもよ?」
「いえ、結構です」

 エレベーターを降りると、シンディが先行する。
 目的地からシンディを呼ぶ信号が発信されているのだそうだ。

[同日10:15.DC西館3階・アンドロイド技術開発センター 井辺翔太、シンディ、アリス・シキシマ]

「Hi.よく来たわね」
「おはようございます、奥様」
 産休を取っていたアリス、無事に職場復帰が叶ったようだ。
 これというのも、平賀から送られたメイドロボット二海の稼働による。
 七海の成功例もあり、子守りが可能となった。
『メイドロボットの普及が超少子高齢化社会を救う』が、平賀の提唱だ。
「早速下で、5.0達の熱烈歓迎を受けたみたいね?」
「ここに来る度に毎回あんなのされてたんじゃたまりませんわ」
 どうやらアリスの仕込みだったらしく、シンディは肩を竦めた。
「じゃ、早速整備と実験を始めるから」
「はい」
「実験?何の実験ですか?」
 井辺は首を傾げた。
「何だと思う?」
「100メートル先を飛ぶゴルフボールを撃ち落とす実験ですか?」
「それはもうとっくの昔にやってるわ。まあ、ゴルフボールじゃなくて、ベースボールだけど」
「そ、そうですか」
「もっと細かい作業をこなす実験よ。そうだ。ミスター井辺、あなた実験台にならない?」
「ええっ?」
「もちろん実験台といっても、サーカスみたいなことをする実験じゃないから。まあ、少しスリルあるかもだけど」
「な、何でしょう?」
「まあ、その前に整備してからだね。そして、実験用のソフトをインストールするから」

 シンディの前頭部を開けて作業をするアリスと研究員達。
 まるで人間と見紛うシンディだが、さすがこれはロボットなんだと改めて認識させられる姿だ。
 人間の脳に値する部分だが、見た目は意外とシンプル。
 それでもよほど珍しいのか、世界中に研究所から研究員達が見学に訪れるそうである。
 それは偏にこの会社が世界企業で、世界各国に現地法人を置き、研究所を置いているからに他ならないのだが。
 ネットや何かでは、『ロボット開発のアンブレラ』なんて呼ばれているらしい。
 “バイオハザード”シリーズで、悪の製薬企業として名高いアンブレラ・コーポレーションが登場するが、それのロボット開発製造会社版とのこと。
 それでも社内には、ロボット・テロ対策本部なる部署がある辺り、少なくともアンブレラ社とは違う気はするのだが……。
 井辺はそんなことを考えながら、他の見学者に交じって、シンディの整備風景を眺めていた。
コメント (18)
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コメントレス

2015-05-27 15:18:00 | 日記
 えー、まず、山門入り口さん、タイトルと手法のパクリ、大変恐縮であります。

 私のつぶやきが物議を醸し出しているようだが(んなワケない!)、“愛の戦士レインボーマン”は実写版とアニメ版の2つがあって、実写版の方が原作のようである。
 私は朝鮮玉入れパチスロのイメージからアニメ版しか思いつかず、つぶやきではアニメ版を出させて頂いた。

   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E3%81%AE%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)

 以上がアニメ版に関するウィキペディアの記事。
 尚、ちゃんと実写版についての記事も別にある。
 私が昔、CRをやった時はボロ負けした記憶しか無いのだが、そこに実写版の映像が使われなかった為、それもまた私にとってアニメのイメージが強くなったものだ。

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E3%81%AE%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3#.E3.83.91.E3.83.81.E3.83.B3.E3.82.B3

 因みに上記が実写版について書かれたウィキペディア記事。
 えー、どちらも放送された時、私はまだ生まれてませんw
 だから件の作品については、CR機で知ったというのがバレバレ。

 http://www.sankyo-fever.co.jp/pachinko/2008/rainbowman/index2.html?r=sankyo_his

 上記が件のCR機。
 死ね死ね団という名前がインパクトで、後に日蓮会(死のう団)の存在を知った時に、
「死ね死ね団みたいな名前だなー」
 と思っていたのだが、ウィキによると、本当に日蓮会をモデルにしたと書かれている。
 CR機ではCGが使用されており、今こうして見ると実写版をイメージしているのかなと思うが、その当時の私はそのせいでむしろアニメだと思っていた。
 ほら、よく昔のアニメがCR機になる時、よくCGでリメイクされるじゃない?
 確変時の演出を大げさにする為だと思うが。

 多分しばらくCR機は出ないと思うが、ポテンヒットさん、出たらやってみます?
 というわけでムーディさん、正解!

 尚、ゴンベさんの仰る通り、川内先生の宗派は日蓮宗だった。
 あいにくと正宗ではなかったが、同じ時に折伏大行進で盛り上がっていた創価学会についてどう思われていたのか。

「憎むな、殺すな、赦しましょう」

 これ、月光仮面の有名なセリフなのだが、今聞いても何か感じる名句だ。
 まあ、殺しは違うものの、某妙観講に聞かせてあげたいセリフだ。

 殺すなを潰すなに変えたら、妙観講向けになるかな?
コメント (17)
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“新アンドロイドマスター” 「敷島エージェンシー営業中」

2015-05-27 02:26:07 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月27日10:00.天候:曇 敷島エージェンシー 井辺翔太]

「……はい、もしもし。……どうも、いつもお世話になっております。……はい。それでしたら、既に準備の方は整っております。……はい」
 取引先からの電話に出ている井辺。
 視線の先には、スケジュール修正を受けている鏡音リンの姿があった。
 手元の端末で自動修正しているのである。
「……では、よろしくお願い致します」
 電話を切る井辺。
「鏡音リンさん。修正の通り、急遽午後イチで○○イベントの依頼がありましたので、お願いします」
「はーい!了解だYo~!……んじゃ、今のうちに充電の方を……」
 コソコソと事務所の外に出て行こうとするリン。
「さっき、バッテリー交換したばかりでしょ!」
「ぅあぁあぁあ!」
 待ち構えていたシンディに掴まれ、ズルズルと事務所の奥の部屋に連れて行かれた。
「相変わらずですね」
 その様子を微笑ましく見ているのは一海。
「そうですね」
 相変わらず無表情で頷く井辺だった。
「やり手の優秀なプロデューサーさんだって、みんな褒めてますよー」
「ありがとうございます。……が、自分はまだまだです」
「そんなことないって」
 リンを奥の部屋に連れて行った後、戻って来たシンディが言った。
「少なくとも社長が駆け出しだった頃より、本当に優秀かもよ?」
「社長が、ですか?」
「そう。何かね、エミリーからぼんやり聞いた話なんだけどー、ダブルブッキングやらかしたり、取引先との連絡バックレたりしてたらしいよ」
「……社長、元サラリーマンですよね?」
「面白い人だったんですね、その頃から」
 一海がクスッと笑った。
「スケジュール管理を手動でやってたからだよ」
「えっ!?あの複雑なスケジュールをですか!?」
「昔は確かに今よりも仕事が少なかったからね。手動管理で良かったと言えるかもしれなかったけど、それで失敗してたもんね」
「よくご存知で」
「エミリーから、色々と聞いてるのよ」
「当時の事務所警備は、エミリーさんがされてたんでしたっけ」
「そういうこと。ミクですら仕事が無くて、ソファで寝てたからね」
「えっ?あのトップアイドルがですか?」
 井辺は驚いた。
 思わずミクのスケジュール表を見たが、ぎっしり詰まっている。
 敷島が1番最初にプロデュースしたボーカロイドということもあり、その思い入れが強いせいか、よく仕事先に一緒に行くことが多い。
「そういう下積み時代もあったのよ」
 するとそれに一海が乗っかってきた。
「あー、それなら聞いてます。『今月もお仕事が無いと、来月の電気代がピンチですぅ!』って涙ながらに訴えていたらしいですね。七海から聞きました」
 当時の事務所で事務作業ロボットをしていたのは、メイドロボットの七海。
 平賀が実験の一環として、当時の事務所に出向させていた。
 その時の成果が、後継機の一海に継承されている。
「あのトップアイドルにも、そういう時代があったんですね」
 井辺は話の内容に、耳を傾けていた。
「そういうわけですから皆さん、決して心配なさらず、それぞれできる事を行ってください」
 井辺は隣の部屋から通じるドアの前で話を立ち聞きしていた、新人ボーカロイド達に向かって言った。
「は、はい!」
「頑張ります!」
「…………」
「あ、あんた達、いつの間に?」
 シンディが目を丸くした。
「え、エヘヘヘヘ……」
 ゆかりはばつの悪そうに笑って誤魔化した。
(……っていうか、よくプロデューサー、気づいたわね???)
 シンディは井辺の勘付きの早さに驚いた。
「午後から、大物アイドルのPV撮影のお手伝いに行きます。皆さんは、バッテリー交換を行っていませんので、それまでの間に済ませておいてください」
「はい!」
「分かりました!」
 ゆかりと未夢は大きく頷いたが、Lilyは小さく頷いただけだった。
 そして、
「プロデューサー、私達自身のPV撮影は無いの?」
「と、言いますと?」
「私達、いつCD出せるの?」
「……企画検討中です」

[同日11:00.埼玉県さいたま市内・某テレビ番組ロケ現場 敷島孝夫、初音ミク、MEIKO]

「……一旦休憩、テープチェック入ります!休憩は10分です!」
 ADの大声が現場に響く。
 とあるバラエティ番組にゲスト出演しているミクとMEIKO。
 メインMCを務めるお笑い芸人コンビが、ディレクターから何かダメ出しを受けている。
「ご苦労さん、2人とも」
 敷島が2人に水の入ったペットボトルを渡した。
「ありがとう」
「ありがとうございます、たかおさ……社長!」
 ミクはまだ敷島がプロデューサーだった頃の名残か、『さん付け』の癖が修正されないようだ。
「それより何かあったの?さっき、随分長い事電話してたみたいだけど?」
 と、MEIKOが聞いてきた。
「あ、いや、アリスからの私用電話だよ、全く」
「アリス博士から?」
「いや、今日はミク達のロケ立会いでずっと埼玉にいるってバレたせいか、『帰りに卵買ってきて』って、ばかやろ!俺は単身赴任中だっての!」
 するとボカロ達はクスクスと笑った。
「いいじゃないの。今日は『直帰』したら?どうせ明日はシンディの整備で、あの研究所に行くんでしょ?」
 MEIKOがそう言った。
「私達、ちゃんと帰れますから」
 ミクも同調する。
「うーん……。いや、だったら井辺君に迎えに来させるか……。シンディを無事、埼玉まで連れて行かないといけないし……」
「シンディも1人で行動できると思うけどね」
 変に心配性になる敷島の顔を見て、MEIKOは首を傾げた。
「シンディのヤツ、大掛かりな研究所になかなか行きたがらないんだよ。何かトラウマでもあるのかね?」
「さぁ……。強いて言うなら、『病院嫌いのお年寄り』的な感覚じゃない?」
 MEIKOがニヤッと笑った。
 すると通信機の向こうから、
{「誰がお年寄りだ、コラァーッ!!」}
 シンディの怒声が聞こえてきたのだった。
「それだけ元気なら、検査の方も大丈夫だろう。明日、ちゃんと来るんだぞ?」
 敷島はここぞとばかりに、シンディに念押ししたのだった。
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