報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「鋼鉄人形(ドロイド)、それぞれの想い」

2015-05-21 19:41:25 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月17日10:00.天候:晴 仙台市宮城野区・夢メッセみやぎ 井辺翔太、結月ゆかり、Lily、未夢]

 多くの新技術が取り入れられたロボット博覧会のような会場。
 昨日は主に「造形美」がメインのイベントだった為、ゆかり達もその代表たるボーカロイドとしてミニライブを行った。
 今日は主に「機能美」がメインのイベント。
 だから展示されているロボット達は、いかにもメカっぽいのばかりであったが……。

「ちょっと、プロデューサー!私達、コンパニオンの仕事で来たんだよね!?」
 バドガールの衣装を着たLilyが井辺に詰め寄る。
 衣装自体は悪くない。
 イベントコンパニオンのユニフォームとして、バドスーツはベタなものである。
 MEIKOの、普段の赤を基調とした衣装もバドスーツをコンセプトにしたものだ。
 Lilyが詰め寄っている理由は、別に衣装が気に入らないからではない。
「Lily、やめよう」
 同じ衣装を着た未夢がLilyを制止する。
「会場の隅っこに、『展示』って何なの!?」
「す、すいません。急に、会場の構成が変わってしまいまして……」
「ボーカロイドは展示される為にいるんじゃないの!歌って踊る為に存在してるんだからね!?その仕事を稼ぐ為にグラビアの仕事をしたり、バラエティに出るのはしょうがないよ。だけど、あれはちょっと違うんじゃないの?」
「何も、人形のようにずっと立ったまま喋らずに……というわけではありません。会場の入口で、お客様をご案内する……という意味で、コンパニオンの仕事としては成り立っているかと……」
「……!」
 Lilyは『展示品』扱いされるのが気に入らないようだ。
「わ、私はやります。やらせてください」
「私もです」
 ゆかりが言うと、未夢も同調した。
「ゆかりはいいよ。アンタはボイスロイドとしての用途もあるんだから。私はボーカロイドとしての用途しか無いから」
 今ではミク達もだいぶ音声ソフトウェアが更新されて、滑らかに喋っているが、製造当初はエミリー以上に『ロボット喋り』であった。
 そこでメーカーによっては、普段の語りにおいても力を入れている所がある。
 ゆかりの製造に、だいぶ肝を入れた企業もその1つだ。
 歌の仕事だけでなく、喋る仕事も入るようにと……。
 あいにくと、この会場での放送係の仕事は取れなかったが。
「Lilyさん、お願いします。今度こそは、ちゃんと歌の仕事を取ってきますから」
「……劇場に戻りたい」
 Lilyはボソッと呟くと、渋々といった感じで、ゆかりと未夢に挟まれる形で、展示位置に向かっていった。
 メカっぽさが目立つロボット達が展示されている中、自分達もその1つとされたことが気に食わない様子だ。

[同日同時刻 仙台市青葉区 東北工科大学・南里志郎記念館 シンディ]

 記念館の内外の警戒に当たるシンディ。
 記念館に通じる一本道には大学が手配した警備会社の他、
(こんな奴らが役に立つのかしら?)
 シンディの周りには、警備ロボットが何機も巡回している。
 まだ財団があった頃、その事務所の警備に当たっていた機で、“スターウォーズ”のR2-D2がモデルということもあり、メカっぽさの中にもコミカルな動きが再現されている。
 基本的には人間の言葉は喋らず、他の仲間機やシンディとは様々な音程からなる電子音による機械語で会話している。
 シンディをロボット警備隊長として認識しており、シンディが近づいてくると、特徴のあるアームで“敬礼”してきた。
 で、コミカルな動きをするのは、何もR2-D2だけではない。
 C-3POみたいなヤツもいる。
 こいつは喋るのだが、
「こらっ!何をサボってるの!!」
 シンディの目を盗んで充電していたりしているので注意してやると、
「ピェッ!?さ、サボッてません!ちょっと、トイレ休憩を……!」
「人間か、キサマわ!」
 フザけた態度を取ることがあり、シンディが後ろから羽交い絞めにしてチョークスリーパーをかます場面もあった。
「いいねぇ!1枚!」
 それを待ち構えている科学雑誌の記者に撮影されたりと……。
「わ、私達じゃなくて、姉さんの特集をしてくださいよ」
 シンディは慌てて記者に言った。
 恥ずかしそうに、ドンとC-3POを突き飛ばすと、
「……きょ、キョーレツです……」
 壁にめり込むC-3PO……のようなもの。
 R2-D2のようなものが機械語で律儀に報告してくるので、シンディは、
「あんた達もここにいないで、ロボット・フェスタの方に行けば良かったのにね」
 と、苦笑いした。

[同日同場所 記念館地下・研究室 平賀太一以下研究者数名……と、敷島孝夫]

(俺はどうせオマケだよ→↑)
「どうしました、敷島さん?」
「い、いえっ!何でもありません!」
 平賀の質問に慌ててカメラを構え直す敷島。
 平賀はカメラの方に向かって説明した。
「えー、今現在、エミリーの旧ボディのデータを全て抜き取り、別の媒体に移しております。データ移行が完了次第、新ボディの稼働に入ります。で、旧ボディとの違いは何といっても自重の差ですね。旧ボディより約50キロの軽量化に成功しました」
(それでも自重150か……。歩く人型兵器だな)
 と、敷島は思った。
 エミリーにはだいぶ助けられたが、上で警備に当たっている妹機にはさんざんっぱら死線を潜り抜けさせられた。
「……この、ウィル・ハマー社が開発した新型燃料電池。従来の物よりも大容量かつ軽量なので、これも軽量化に貢献していますね。実は既に妹機であるシンディに対し、実験的に使用していますが、なかなかの高性能です。ただ、“セクサロイド”モードを使用すると、極端にバッテリーが減る現象が見受けられました。これは欠陥なのか仕様なのか、じっくり見極める必要があります」
「平賀先生、マルチタイプの動力源はバッテリーのみのようですが、ちょっと機動力に不足感が否めません。スマホでも一日稼働するとかなり減ります。この問題は、どうクリアしたのですか?」
「権部先生、実は彼女らの装備に秘密が隠されています。この新型電池は、スマホのものとは若干違います。でも、そこは重要ではないんですね。それまでのリチウム電池よりも、容量が大きくなって軽量化しただけですから。で、彼女達が何故、銃火器が標準装備なのかといいますと、正にそれ自体が……」

 ビーッ!ビーッ!ビーッ!

「な、何だ!?」
「侵入警報です!敵がやはり来ましたか!」
「だとしたらシンディが応戦してるはずですが!」
 敷島は急いで地上に向かおうとした。
「敷島さん!逆に危険です!ここにいた方がいい!」
 平賀が叫ぶ。
「しかし!状況を把握しませんと!」
 奈津子が通信機を手にする。
「シンディ!シンディ!聞こえる!?応答して……!」
{「ううッ……!くっ……!」}
 通信機の向こうから、シンディの呻き声が聞こえてきた。

 一体、何があったのか!?
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ウィキペディアから見た日蓮正宗の歴史

2015-05-21 15:28:08 | 日記
 厳虎独白への渡航自粛令は解除されたもよう。
 沖浦の爺さんもいなくなって、やっと静かになったかと思ったが、また論争なんかおっ始めやがって、正に修羅のブログと言えよう。
 さて、私は宗門の歴史は大聖人御在世の頃と日興上人の身延離山、そして大東亜戦争以降のことしか知らない。
 厳虎独白のコメント欄で日郷上人のことが出ていて、戦時中の大石寺について語られていた部分がある。
 顕正会の浅井会長が記した“試練と忍従の歴史”でも軽く、旧・客殿(今の客殿から2代前)が戦時中に全焼したと触れられている。
 私は最初、「米軍が富士宮市内にも?」と思った。
 当時の富士宮市内がどれくらいの人口だったか分からないが、他の大都市からの疎開先になるくらいのローカルな町で、米軍が攻撃先にするとは思えないのだが。
(余談だが、埼玉県の熊谷市に米軍が猛攻をしたことがある。今でも熊谷市は、そんなに大きな町ではない。で、当時はもっと小さな町だったはずだが、軍需工場なんかあったりすると、そこが狙われたりする。富士宮市にも、そういう施設があったのかと予想してしまった)
 そしたら、真相は坊さんのタバコの不始末って……。
 確かにそんなかっこ悪い理由じゃ、そんなに大々的に教えられないよなぁ……。
 浅井会長も人が悪い。
 “試練と忍従の歴史”では如何にも御仏智的な何かみたいな書き方をしていたが、堂々とモノホンの理由を書けば良かったのに。

 しかし、当時の境内(大書院)に朝鮮人徴用兵がいたというのもまた驚きだ。
 いかに兵の足りない大戦末期とはいえ、国家や天皇陛下への忠誠が第一の日本軍兵士に朝鮮人とは……。
 犠牲の大きさに対して戦果の小さすぎる特別攻撃隊と言い、どうも当時の軍高官に頓珍漢がいたのは事実のようだ。
 んっ?さんの話では消火活動が悉くできなかった現象について仏罰だと断罪しておられたが、あの話が本当だとするならば、本当に運が悪かったとしか言いようがない。
 これもまた信徒には堂々と話のできない内容だろう。
 しかし、日恭上人が焼死されたのも事実で、ウィキペディアにも記載されている。
 それを学会員と思しき人物は仏罰だ何だと騒いでいるわけだが、いかんせん信徒にもそういった情報が伝えられないのも問題のような気がする。
 伝えられたら伝えられたで、それはそれである程度の美談として語られる恐れはあるが。

 このように学会員は仏罰と言い、法華講員は否定するわけだが、やはり御法主上人が焼死してしまうというのはどうだろうかと思う。
 もしかして、大御本尊の功徳の大きさは今現在登座されている御法主上人の祈りの力の強弱に比例してたりして。
 なーんてな。失礼!不良信徒の戯言だった。

 タバコの火の不始末による失火がトラウマになっているのか分からないが、今では大石寺境内での喫煙場所は厳しく定められている。
 そして毎年、消防訓練の模様が大日蓮に掲載されている。
 それより奉安堂内部にも火災感知器が取り付けられているのは当たり前だが、構造上、大御本尊が安置されている場所の上にも感知器が取り付けられていると思われ、点検する時どうやっているのだろうと気になっている。

 職業柄、どうしても防火管理とか気になってしまうのだ。
 因みに、数年ほど前にも大石寺の国道より南側の境内で、一部の商店が全焼する火災が起きている。
 火事には気をつけよう。
コメント (11)
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“新アンドロイドマスター” 「作業前の緊張」

2015-05-21 02:28:22 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月17日07:00.仙台市青葉区 ホテル法華クラブ 敷島孝夫&井辺翔太]

「おはようございます、社長」
「ああ、おはよう」
 ホテルの朝食会場で再会する2人のプロデューサー。
「昨日はご苦労さん。思いの外、盛り上がったんだって?」
「はい。未夢も、『お客さんが何人集まったかではなく、その中で何人の人達に笑顔を送れたかなのですね』と、学んでくれたようです」
「元がマルチタイプだから、自分で学習することに長けているわけだ。その点、Lily辺りは、『劇場時代の方がまだ良かった』とか言いそうだな」
「さすがにそこまでは言ってませんでしたね。しかし、彼女達は新ユニットとして、バランスを調整しなくてはなりません」
「……キミがそれでいいというなら、そのようにやってくれ。人間のアイドルもそうだが、ボーカロイドも個性に富んだ存在だから」
「はい。分かっております」
 敷島はモーニングコーヒーを啜った。
「俺は今日、平賀先生の大学に行って、エミリーの新ボディ稼動に立ち会ってくるよ」
「はい。どのように行われるのでしょうか?」
「まず旧ボディからのデータやメモリーを、別の媒体に移す。そこから今度は、新ボディに移す。電源を入れて、数々のソフトウェアの起動を確認して……ってところかな。まあ、お昼くらいには終わると思う。上手く行けば、そこから井辺君達の方へ行けるんだけどな」
「今日はイベント会場内で、コンパニオンの仕事があるだけです。逆にステージの後だったので、気は楽かと」
「気を気にせず仕事ができるのが、ボーカロイドのいい所だよ」
「はい。よく覚えておきます」

[同日08:00.同場所→東北工科大学 敷島&シンディ]

「東北工科大学、南里志郎記念館までお願いします」
 ホテルの前に呼んだタクシーに乗り込み、大学に向かう2人。
 LPガスが燃料の普通のタクシーだったが、やはり自重のあるシンディが乗ると、車が重い物を運んでいるような走り方になるのが何となく分かる。
 大型車である高速バスに乗った時は、そんなに気にならなかったが。
「昨夜はお楽しみだったみたいだな?」
 運転席の後ろに座っている敷島が隣に座るシンディに言うと、シンディは、
「ぴっ……!」
 と、顔を赤らめた。
「メモリーは消したはずだけど……」
「最初のシーンだけ残ってたぞ」
(ってことは、おでこを合わせてキスしたところまで……!?)
「まあ、いいさ。それはそれで。エミリーも、ずっと1人で寂しがってたんだ。心置きなく抱きしめ合える同型機がいるってのは、物凄い嬉しいことなんだろうな」
「そうかぁ……」
「いかに前期型とはいえ、さすがにスクラップにされた時は泣いてたしな。で、後期型のお前を見つけた時は驚いてたし、それを稼動させるってなった時は喜んでたし……」
「うん……」
 後期型のボディを発見したのは全くの偶然だったし、崩壊し始めていた山奥の廃ホテルから脱出を図る中、それを持ち出すという判断を下したのは敷島だ。
 今ではその判断は正しかったと思っている。
 メモリーは、前期型から抜き取って保管したものがあった。
 前期型がどうしてあんな残忍な無差別テロを起こすようになったのか、解析する為だ。
 コンピューター・ウィルスの開発もしていたウィリアム・フォレスト。
 彼が新開発のウィルスの実験の為、次々と色んな種類のウィルスを前期型に感染させたからというのが、研究者達の結論だ。
 ついには自分の製作者(のコピーサイボーグ)を、笑いながら惨殺するに至る。
 後期型は全くのまっさらな状態ということもあってか、本来の性格設定で稼動して今に至っている。
「まあ、仲良くして、これからは人類に貢献してくれ」
 そこまで言って、敷島はふと思った。
(新ボディの稼動に成功した後、どうするんだ?)
 エミリーのオーナーは平賀、登録ユーザーは敷島である。
 シンディのオーナーはアリス、登録ユーザーはやっぱり敷島だ。
(事務所に2体も置いとけないぞ……?)

[同日08:30.東北工科大学・南里志郎記念館 敷島、シンディ、平賀太一、平賀奈津子]

 大学構内は物々しい雰囲気に包まれていた。
 日曜日ということもあって正門は閉じられており、構内に入るには通用門で許可証(学生なら学生証)の提示が必要なのだが、予め平賀が警備室に話をしていたこともあり、敷島は実際に乗ったタクシーの会社とナンバーを連絡しておけばそれで良かった。
「えー……提灯の方の個人タクシーです。名前は小原タクシー、白い塗装のクラウン・セダン、ナンバーが仙台320……」
 警備室の前で、警備員が無線で車の特徴を伝えている。
 ようやく中に入れたはいいのだが、今度は記念館に通じる一本道の入り口手前にも臨時のゲートが設けられていた。
 しかし警備室から無線連絡を受けていた警備員は直ぐ様タクシーを確認すると、すぐにゲート(というか安全柵)を手で開けた。
「逆に、あからさま過ぎて目立っちゃうかもね」
 挙手の敬礼をする警備員を横目で見ながら、シンディが言った。
「まあ、しょうがない。新ボディ稼動は非公開だが、それ自体は非公表じゃないんだから。実際に後で記者会見もある」
「姉さんも一緒に?」
「まあ、そうだな」
「社長は?」
「俺はだだの立会人だから。このプロジェクトの責任者の平賀先生と奈津子先生、それに学会の偉い先生が2人くらいってとこだろー」

「おはようございます、敷島さん」
「おはようございます」
 タクシーを降りて記念館の中に入ると、平賀奈津子が出迎えてくれた。
「昨夜はどうも。御馳走様でした」
「いえいえ」
 奈津子は平賀と結婚前はほっそりしていたのだが、子供を2人産んだからなのか、少しふくよかになっていた。
「シンディもいいコにしてた?」
「お久しぶりです。奈津子博士」
 シンディは深々と頭を下げた。
「前期型とは別人のようですよ」
 敷島が代わりに答えた。
「まあ、世間には表向き、そういうことになってますからね」
 さすがに前期型のシンディは評判が悪過ぎた。
 十条が率先して前期型を処分したがった理由はその辺りにある。
 学術的な見地から勿体ないという声もあったのだが、それを押し切った形だ。
 十条本人の口から具体的に語られたわけではないが、実は後期型のボディが実在していることを実は知っていたからなのではないかと勘繰る者も学界内ではいる。
「平賀……太一先生は?」
「奥で、他の先生達と打合せをしています」
「奈津子先生はいいんですか?」
「私は今回、助手みたいなものですから」
 因みに今、平賀家には奈津子の両親が来ていて、幼児達の面倒を見てくれているもよう。
 七海もいるので、平賀家の警備も大丈夫だろう。
「まだ少し時間があるので、旧ボディのエミリーと最後の話でもしますか?」
「あー、それはいいですね。『頑張れ』の一言くらい伝えておきましょう」
「こっちです」
 敷島は奈津子について行った。
「シンディはいいのか?」
「昨夜で最後のお別れはしてきたし、私はそろそろ記念館の警備態勢に入るわ」
「そうか」

 作業開始時間は9時より。
 緊張高まる中、ロボット工学の歴史に残る作業がまもなく始まろうとしている。
コメント (4)
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