[8月27日15:59.天候:晴 宮城県仙台市若林区荒井 仙台市地下鉄荒井駅]
〔荒井、荒井、大成ハウジング本店前。終点です。降り口は、右側です。お忘れ物の無いよう、ご注意願います〕
仙台駅西口バスプールで斉藤絵恋さんと合流した私達。
彼女の父親である斉藤秀樹社長から、確かに仕事の依頼があった。
それは予想通り、絵恋さんのお守りであったが、問題はその場所である。
それは仙台市地下鉄東西線に乗り、東の終点駅に向かうというものらしい。
電車を降りて、地上の改札口を出る。
平日の夕方のラッシュに差し掛かっている頃だが、あんまり利用者の数は多くない。
愛原:「あ、もしもし。斉藤社長ですか?愛原ですけど、いつもお世話になっております」
斉藤秀樹:「おお、愛原さん。今、宮城だそうですね。どうですか?そちらは涼しいですか?」
愛原:「いや、あんまり東京と変わんないです。って、それよりお嬢さんのことですが……」
秀樹:「娘から聞きましたよ。引き受けて下さるそうで、ありがとうございます。ちょっと変わった場所になりますが、よろしくお願いしますよ」
愛原:「それはいいんですが、観光とかでなくていいんですか?」
秀樹:「娘は友達と遊べればいいんです。それも、愛原リサさんとね。これから行って頂くところは、正に打ってつけですよ。ホテルも併設されてますから、今日一日、時間を気にせず遊べると思います」
愛原:「分かりました。お引き受けしましょう」
秀樹:「ありがとうございます。娘には十分なお金を渡してありますから、娘にはお金を使わなくて結構ですよ」
愛原:「でしょうね。現金を使わなくていいようにしていますもんね」
タクシーなんて、タクシーチケットだよ。
どんだけだよ。
愛原:「ついでに、ちょっとお願いしたいことがあります」
秀樹:「アンブレラ・コーポレーション・ジャパンの代表取締役社長だった五十嵐皓貴氏のことですか?」
愛原:「よく御存知で……」
秀樹:「それも娘から聞きました。そうですね。世田谷に住んでいたことまでは知っていますが、その後のことは知りません。何か愛原さんの方でヒントは無いですか?」
愛原:「あ、それなら……」
私は五十嵐親子の車のナンバーを伝えた。
秀樹:「ほお、川口ナンバーですか。なるほどなるほど……」
愛原:「何か、お心当たりでも?」
秀樹:「実は五十嵐家は、代々薬屋を営む家系だったそうなんですよ。それが埼玉県にあると聞いたことはあります。川口ナンバーの地域に限定すれば、意外と早く見つかるかもしれません。そこは私にお任せください」
愛原:「ありがとうございます!で、でも……」
秀樹:「心配せずとも、私とてバイオテロを憎む者です。使用者責任逃れをしている者を追い詰める為なら、協力は惜しみませんよ」
斉藤社長も大企業家。
恐らく、大企業の社長という同じ立場上、主犯ではないことは知っているようだ。
しかし、主犯格に主犯たらしめた責任は取ってもらうということか。
会社が潰れて、富を手放したくらいでは許されないということだ。
私は斉藤社長との電話を切った。
そこへ高橋がやってくる。
高橋:「先生。バスはあと30分以上あります。とんでもない田舎のバスですよ。どうします?」
愛原:「30分か。微妙だな……。あっとその前に……リサ」
リサ:「はい?」
私はリサを手招きした。
リサ:「なに?先生」
私は自動券売機に連れて行くと、リサのPasmoにチャージしてやった。
愛原:「多分、向こうでも使うだろうから、今のうちに入れておいたよ」
リサ:「おー!ありがとう!」
高橋:「ございます、だろ!」
リサ:「……ございます」
愛原:「別にいいよ。また報酬入ることになったし」
斉藤絵恋:「あの、もし良かったらタクシーで行きましょうか?チケットならありますし」
絵恋さんはバッグの中からタクシーチケットの束を取り出した。
どんだけぇ~!
絵恋:「多分、あのタクシー会社なら使えます」
どうせ交通費は、経費として後で請求することになる。
愛原:「じゃあ、お願いしようかな。帰りはバスの時間に合わせるからね」
駅の外に出てタクシー乗り場に向かう。
今や東京都心では見かけなくなった、トヨタ・コンフォート(クラウンコンフォートではない)が客待ちしていた。
こういう時は高橋が助手席に乗る。
リアシートの助手席の後ろに座った私が運転手に行き先を告げた。
愛原:「仙台コロナワールドまでお願いします」
運転手:「はい。ありがとうございます」
車が走り出す。
絵恋:「愛原先生、先にホテルにチェックインしてからの方が荷物も少なくなると思います」
愛原:「それもそうだな。すいません、車はホテルの前に着けてもらえますか?」
運転手:「ホテルの前ですね。かしこまりました」
リサはリアシートの真ん中に座っている。
運転席の後ろに絵恋さんが座っているわけだが、そんな絵恋さんをリサが見た。
絵恋:「なぁに?リサさん」
リサ:「サイトー、いい服着てる。でも、その服だと遊びにくくない?」
絵恋さんが着ているのはアイボリーホワイトを基調としたワンピースに、麦わら帽子である。
いかにも御嬢様といった感じだ。
とても空手を習っていて、しかも黒帯だということが信じられないくらいである。
絵恋:「もちろん着替えてから行くよ。ちゃんと着替え持って来たもの。リサさんも着替え持って来たよね?」
リサ:「うん。他に制服も入ってる」
絵恋:「せ、制服!?どうして?」
リサ:「先生の御両親に御挨拶する為」
絵恋:「そ、そうなの」
そうか。
リサには制服を着させたけど、別に、絵恋さんのように、もっと高い服でも良かったんだな。
うーん……。
絵恋:「今は普通に私服だね」
リサ:「うん。動き易さ重視。午前中、ハンターと格闘したから」
絵恋:「は、ハンターって、あのトカゲだかカエルの化け物みたいな奴!?」
リサ:「そう!」
愛原:「リサ。そういうのは堂々と話さない」
リサ:「はーい」
絵恋:「あ、先生。父には先生のお仕事のこと、お話しておきましたので」
愛原:「うん。お父さんから聞いたよ。どうもありがとう」
あとは斉藤社長からの情報待ちだな。
〔荒井、荒井、大成ハウジング本店前。終点です。降り口は、右側です。お忘れ物の無いよう、ご注意願います〕
仙台駅西口バスプールで斉藤絵恋さんと合流した私達。
彼女の父親である斉藤秀樹社長から、確かに仕事の依頼があった。
それは予想通り、絵恋さんのお守りであったが、問題はその場所である。
それは仙台市地下鉄東西線に乗り、東の終点駅に向かうというものらしい。
電車を降りて、地上の改札口を出る。
平日の夕方のラッシュに差し掛かっている頃だが、あんまり利用者の数は多くない。
愛原:「あ、もしもし。斉藤社長ですか?愛原ですけど、いつもお世話になっております」
斉藤秀樹:「おお、愛原さん。今、宮城だそうですね。どうですか?そちらは涼しいですか?」
愛原:「いや、あんまり東京と変わんないです。って、それよりお嬢さんのことですが……」
秀樹:「娘から聞きましたよ。引き受けて下さるそうで、ありがとうございます。ちょっと変わった場所になりますが、よろしくお願いしますよ」
愛原:「それはいいんですが、観光とかでなくていいんですか?」
秀樹:「娘は友達と遊べればいいんです。それも、愛原リサさんとね。これから行って頂くところは、正に打ってつけですよ。ホテルも併設されてますから、今日一日、時間を気にせず遊べると思います」
愛原:「分かりました。お引き受けしましょう」
秀樹:「ありがとうございます。娘には十分なお金を渡してありますから、娘にはお金を使わなくて結構ですよ」
愛原:「でしょうね。現金を使わなくていいようにしていますもんね」
タクシーなんて、タクシーチケットだよ。
どんだけだよ。
愛原:「ついでに、ちょっとお願いしたいことがあります」
秀樹:「アンブレラ・コーポレーション・ジャパンの代表取締役社長だった五十嵐皓貴氏のことですか?」
愛原:「よく御存知で……」
秀樹:「それも娘から聞きました。そうですね。世田谷に住んでいたことまでは知っていますが、その後のことは知りません。何か愛原さんの方でヒントは無いですか?」
愛原:「あ、それなら……」
私は五十嵐親子の車のナンバーを伝えた。
秀樹:「ほお、川口ナンバーですか。なるほどなるほど……」
愛原:「何か、お心当たりでも?」
秀樹:「実は五十嵐家は、代々薬屋を営む家系だったそうなんですよ。それが埼玉県にあると聞いたことはあります。川口ナンバーの地域に限定すれば、意外と早く見つかるかもしれません。そこは私にお任せください」
愛原:「ありがとうございます!で、でも……」
秀樹:「心配せずとも、私とてバイオテロを憎む者です。使用者責任逃れをしている者を追い詰める為なら、協力は惜しみませんよ」
斉藤社長も大企業家。
恐らく、大企業の社長という同じ立場上、主犯ではないことは知っているようだ。
しかし、主犯格に主犯たらしめた責任は取ってもらうということか。
会社が潰れて、富を手放したくらいでは許されないということだ。
私は斉藤社長との電話を切った。
そこへ高橋がやってくる。
高橋:「先生。バスはあと30分以上あります。とんでもない田舎のバスですよ。どうします?」
愛原:「30分か。微妙だな……。あっとその前に……リサ」
リサ:「はい?」
私はリサを手招きした。
リサ:「なに?先生」
私は自動券売機に連れて行くと、リサのPasmoにチャージしてやった。
愛原:「多分、向こうでも使うだろうから、今のうちに入れておいたよ」
リサ:「おー!ありがとう!」
高橋:「ございます、だろ!」
リサ:「……ございます」
愛原:「別にいいよ。また報酬入ることになったし」
斉藤絵恋:「あの、もし良かったらタクシーで行きましょうか?チケットならありますし」
絵恋さんはバッグの中からタクシーチケットの束を取り出した。
どんだけぇ~!
絵恋:「多分、あのタクシー会社なら使えます」
どうせ交通費は、経費として後で請求することになる。
愛原:「じゃあ、お願いしようかな。帰りはバスの時間に合わせるからね」
駅の外に出てタクシー乗り場に向かう。
今や東京都心では見かけなくなった、トヨタ・コンフォート(クラウンコンフォートではない)が客待ちしていた。
こういう時は高橋が助手席に乗る。
リアシートの助手席の後ろに座った私が運転手に行き先を告げた。
愛原:「仙台コロナワールドまでお願いします」
運転手:「はい。ありがとうございます」
車が走り出す。
絵恋:「愛原先生、先にホテルにチェックインしてからの方が荷物も少なくなると思います」
愛原:「それもそうだな。すいません、車はホテルの前に着けてもらえますか?」
運転手:「ホテルの前ですね。かしこまりました」
リサはリアシートの真ん中に座っている。
運転席の後ろに絵恋さんが座っているわけだが、そんな絵恋さんをリサが見た。
絵恋:「なぁに?リサさん」
リサ:「サイトー、いい服着てる。でも、その服だと遊びにくくない?」
絵恋さんが着ているのはアイボリーホワイトを基調としたワンピースに、麦わら帽子である。
いかにも御嬢様といった感じだ。
とても空手を習っていて、しかも黒帯だということが信じられないくらいである。
絵恋:「もちろん着替えてから行くよ。ちゃんと着替え持って来たもの。リサさんも着替え持って来たよね?」
リサ:「うん。他に制服も入ってる」
絵恋:「せ、制服!?どうして?」
リサ:「先生の御両親に御挨拶する為」
絵恋:「そ、そうなの」
そうか。
リサには制服を着させたけど、別に、絵恋さんのように、もっと高い服でも良かったんだな。
うーん……。
絵恋:「今は普通に私服だね」
リサ:「うん。動き易さ重視。午前中、ハンターと格闘したから」
絵恋:「は、ハンターって、あのトカゲだかカエルの化け物みたいな奴!?」
リサ:「そう!」
愛原:「リサ。そういうのは堂々と話さない」
リサ:「はーい」
絵恋:「あ、先生。父には先生のお仕事のこと、お話しておきましたので」
愛原:「うん。お父さんから聞いたよ。どうもありがとう」
あとは斉藤社長からの情報待ちだな。