[7月16日09:51.天候:晴 東京都八王子市高尾町 JR高尾駅→中央本線437M列車6号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の列車は、9時57分発、普通、松本行きです。この列車は、3つドア、6両です。……〕
私が先頭車が来る辺りで電車を待っていると、リサ達がやってきて、高橋も合流した。
〔まもなく4番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、3つドア、6両です。折り返し、9時57分発、普通、松本行きとなります。……〕
普通列車にしては、随分と遠くへ行く列車だ。
JR東日本の列車というのは、中途半端に走行距離が短かったり、或いは中途半端に長かったりする。
もちろん、18きっぱーとしては後者の方が良いのだろうが……。
〔「4番線、ご注意ください。普通列車の松本行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください」〕
私が予想した通り、211系と呼ばれる中距離用の車両が入線してきた。
ロングシートオンリーの車両かなと思ったが、ボックスシート付きの車両が来た。
これなら、長野県まで乗って行っても……疲れるか。
私達は先頭車に乗ったが、私はあえてドア横の2人席に腰かけた。
高橋も、ホイホイと隣に座って来る。
リサ達はボックスシートに座った。
〔「ご案内致します。この電車は9時57分発、中央本線下り、普通列車の松本行きです。大月、甲府、小淵沢方面、松本行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
リサ達はまるでこれから遠くまで行くかのように、窓の桟にジュースを置いたり、駅で売っていたであろうお菓子を食べて寛いでいた。
上野姉妹にとっては、やっとの思いで母親が仮釈放になるのだから、はしゃぐのはしょうがないと思う。
だが、リサにとってはどうなのかと思うが、あの様子だと大丈夫かな?
[同日09:57.天候:晴 JR中央本線437M列車6号車内]
発車の時刻になり、ホームから発車メロディが聞こえてくる。
どうやら、定刻通りに発車できそうだ。
私はスマホを取り出して、定時連絡を入れることにした。
〔4番線の、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕
旧国鉄時代からJR化初期に掛けて製造された車両。
だいぶ旧型化してきているが、あまり鉄ヲタからの注目度は高くない。
初期型は旧国鉄時代から製造されているが、その時期があまりにも末期過ぎて、あまり国鉄っぽい所が少ないからだろう。
また、まだJR東日本やJR東海を始め、亜種の213系という車両等まで含めれば、JR西日本やJR四国にまで残っている為、レア感が無いというのもある。
とはいえ、何のドアチャイムも無く、大きなエアー音を響かせて開閉する乗降ドアや、その後、発車の際に響いて来るモーター音を聞けば、昔の電車という感じがする。
尚、JR東海の車両だと、後付けでドアチャイムが付けられている物もある。
〔「お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。9時57分発、中央本線、普通列車の松本行きです。これから先、相模湖、藤野、上野原、四方津、梁川、鳥沢、猿橋、大月の順に、終点の松本まで各駅に停車致します。【中略】次は相模湖、相模湖です」〕
自動放送が無いのも、今ではレアな感じがする。
高尾までは、それなりに賑わってていた車窓だったが、高尾駅を出ると、一気に景色は一変する。
それまでは郊外であっても、まだ大都市近郊区間って感じの雰囲気だったが、高尾から西は一気にローカル線の雰囲気と化す。
また、トンネルが全く無かった中央快速線だったのに対し、ここからは断続的にトンネルが続く。
愛原:「よし、送信完了」
LINEの送信が完了すると、また善場主任から返信があった。
車で藤野駅まで、迎えに来てくれるらしい。
それに乗って、研究施設に向かうとのことだ。
[同日10:15.天候:晴 神奈川県相模原市緑区小渕 JR藤野駅]
〔「まもなく藤野、藤野です。お出口は、右側です」〕
高尾駅から次の相模湖駅までは駅間距離が長く、10分近くも走行する。
また、相模湖駅で後続の特急の通過待ちで5分停車した。
たった2駅の距離なのにも関わらず、20分弱も掛かったのは、それが理由だ。
トンネルが断続的に続くような所では、駅も造れないのだろう。
で、ようやく下車駅に着いたというわけだ。
〔ふじの~、藤野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、上野原に止まります〕
高尾以西は、本当は乗降ドアは半自動となる。
乗客はドア横のボタンを押して、ドアを開閉させるのだ。
しかし、昨今のコロナ禍で、車内保温よりも車内換気が優先されたことで、その機能は止められている。
つまり、高尾以東のように自動ドアというわけである。
さすがにワンマン列車においては、不正乗車防止の方が更に優先され、半自動ドアは引き続き行われている。
愛原:「こっちの方が涼しい……という程でも無いか?」
高橋:「まあ……若干涼しいって感じっスかね。若干」
愛原:「そうだな」
まあ、多少は標高のある場所で、しかも近くに相模湖があることから、風が吹けば少しは涼しいのかもしれない。
平地の少ない場所に造った駅ということもあり、ホームの幅は狭い。
島式ホームだが、少しでも幅を確保する為、上下線ホームは、やや互い違いになるような構造になっている。
普通列車しか止まらない駅であり、特急列車はもちろん通過で、この辺りは貨物列車も通過する。
小さな駅ではあるが、それでも駅員が配置されているし、まだSuicaやPasmoが使える自動改札機が設置されている。
またまだ都内への通勤圏なのだと分かる。
正直、私はここから通勤したいとは思わないが。
善場:「お疲れ様です。愛原所長」
自動改札機を通って、駅の外に出ると、スーツ姿の善場主任が待っていた。
愛原:「あっ、善場主任、お疲れさまです」
善場:「無事に彼女達を連れて来てくれたようですね。では、早速向かいましょう。車に乗ってください」
愛原:「ありがとうございます」
駅前の広場に行くと……。
愛原:「こ、これは……!」
中型の観光バスに、赤色灯が付いた車が止まっていた。
高橋:「護送車じゃないっスか!」
善場:「その通りです」
しかも、警察の護送車ではなかった。
バスの車体はくすんだ緑色に塗られており、後ろ半分には窓が無い。
まるで、荷物を載せるスペースのようである。
バスに乗り込むと、前半分は普通の内装だった。
しかし、後ろ半分の所へ行こうとすると、頑丈なドアがある。
BSAAの護送車であった。
なので、運転席にはBSAAの軍服を着た職員が座っている。
愛原:「善場主任、もしかして、この奥にあの人を……?」
善場:「はい。現地に着くまでは、油断できませんから」
愛原:「はは……」
バスは研究施設に向かって走り出した。
仮釈放といっても、人間のそれとはだいぶ違うのだなと改めて思い知らされる。
リサ:「わたしも暴れたりしたら、後ろに乗せられる?」
善場:「場合によっては、そうなるかもね」
リサ:「わー……」
リサはヒくような反応をした。
仮釈放というよりは、ただの護送のような気がする。
聞いた話では、仮釈放の後は栃木のホテル天長園に戻るようだが……。
そこまで、このバスで向かうのだろうか。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の列車は、9時57分発、普通、松本行きです。この列車は、3つドア、6両です。……〕
私が先頭車が来る辺りで電車を待っていると、リサ達がやってきて、高橋も合流した。
〔まもなく4番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、3つドア、6両です。折り返し、9時57分発、普通、松本行きとなります。……〕
普通列車にしては、随分と遠くへ行く列車だ。
JR東日本の列車というのは、中途半端に走行距離が短かったり、或いは中途半端に長かったりする。
もちろん、18きっぱーとしては後者の方が良いのだろうが……。
〔「4番線、ご注意ください。普通列車の松本行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください」〕
私が予想した通り、211系と呼ばれる中距離用の車両が入線してきた。
ロングシートオンリーの車両かなと思ったが、ボックスシート付きの車両が来た。
これなら、長野県まで乗って行っても……疲れるか。
私達は先頭車に乗ったが、私はあえてドア横の2人席に腰かけた。
高橋も、ホイホイと隣に座って来る。
リサ達はボックスシートに座った。
〔「ご案内致します。この電車は9時57分発、中央本線下り、普通列車の松本行きです。大月、甲府、小淵沢方面、松本行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
リサ達はまるでこれから遠くまで行くかのように、窓の桟にジュースを置いたり、駅で売っていたであろうお菓子を食べて寛いでいた。
上野姉妹にとっては、やっとの思いで母親が仮釈放になるのだから、はしゃぐのはしょうがないと思う。
だが、リサにとってはどうなのかと思うが、あの様子だと大丈夫かな?
[同日09:57.天候:晴 JR中央本線437M列車6号車内]
発車の時刻になり、ホームから発車メロディが聞こえてくる。
どうやら、定刻通りに発車できそうだ。
私はスマホを取り出して、定時連絡を入れることにした。
〔4番線の、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車を、ご利用ください〕
旧国鉄時代からJR化初期に掛けて製造された車両。
だいぶ旧型化してきているが、あまり鉄ヲタからの注目度は高くない。
初期型は旧国鉄時代から製造されているが、その時期があまりにも末期過ぎて、あまり国鉄っぽい所が少ないからだろう。
また、まだJR東日本やJR東海を始め、亜種の213系という車両等まで含めれば、JR西日本やJR四国にまで残っている為、レア感が無いというのもある。
とはいえ、何のドアチャイムも無く、大きなエアー音を響かせて開閉する乗降ドアや、その後、発車の際に響いて来るモーター音を聞けば、昔の電車という感じがする。
尚、JR東海の車両だと、後付けでドアチャイムが付けられている物もある。
〔「お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。9時57分発、中央本線、普通列車の松本行きです。これから先、相模湖、藤野、上野原、四方津、梁川、鳥沢、猿橋、大月の順に、終点の松本まで各駅に停車致します。【中略】次は相模湖、相模湖です」〕
自動放送が無いのも、今ではレアな感じがする。
高尾までは、それなりに賑わってていた車窓だったが、高尾駅を出ると、一気に景色は一変する。
それまでは郊外であっても、まだ大都市近郊区間って感じの雰囲気だったが、高尾から西は一気にローカル線の雰囲気と化す。
また、トンネルが全く無かった中央快速線だったのに対し、ここからは断続的にトンネルが続く。
愛原:「よし、送信完了」
LINEの送信が完了すると、また善場主任から返信があった。
車で藤野駅まで、迎えに来てくれるらしい。
それに乗って、研究施設に向かうとのことだ。
[同日10:15.天候:晴 神奈川県相模原市緑区小渕 JR藤野駅]
〔「まもなく藤野、藤野です。お出口は、右側です」〕
高尾駅から次の相模湖駅までは駅間距離が長く、10分近くも走行する。
また、相模湖駅で後続の特急の通過待ちで5分停車した。
たった2駅の距離なのにも関わらず、20分弱も掛かったのは、それが理由だ。
トンネルが断続的に続くような所では、駅も造れないのだろう。
で、ようやく下車駅に着いたというわけだ。
〔ふじの~、藤野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、上野原に止まります〕
高尾以西は、本当は乗降ドアは半自動となる。
乗客はドア横のボタンを押して、ドアを開閉させるのだ。
しかし、昨今のコロナ禍で、車内保温よりも車内換気が優先されたことで、その機能は止められている。
つまり、高尾以東のように自動ドアというわけである。
さすがにワンマン列車においては、不正乗車防止の方が更に優先され、半自動ドアは引き続き行われている。
愛原:「こっちの方が涼しい……という程でも無いか?」
高橋:「まあ……若干涼しいって感じっスかね。若干」
愛原:「そうだな」
まあ、多少は標高のある場所で、しかも近くに相模湖があることから、風が吹けば少しは涼しいのかもしれない。
平地の少ない場所に造った駅ということもあり、ホームの幅は狭い。
島式ホームだが、少しでも幅を確保する為、上下線ホームは、やや互い違いになるような構造になっている。
普通列車しか止まらない駅であり、特急列車はもちろん通過で、この辺りは貨物列車も通過する。
小さな駅ではあるが、それでも駅員が配置されているし、まだSuicaやPasmoが使える自動改札機が設置されている。
またまだ都内への通勤圏なのだと分かる。
正直、私はここから通勤したいとは思わないが。
善場:「お疲れ様です。愛原所長」
自動改札機を通って、駅の外に出ると、スーツ姿の善場主任が待っていた。
愛原:「あっ、善場主任、お疲れさまです」
善場:「無事に彼女達を連れて来てくれたようですね。では、早速向かいましょう。車に乗ってください」
愛原:「ありがとうございます」
駅前の広場に行くと……。
愛原:「こ、これは……!」
中型の観光バスに、赤色灯が付いた車が止まっていた。
高橋:「護送車じゃないっスか!」
善場:「その通りです」
しかも、警察の護送車ではなかった。
バスの車体はくすんだ緑色に塗られており、後ろ半分には窓が無い。
まるで、荷物を載せるスペースのようである。
バスに乗り込むと、前半分は普通の内装だった。
しかし、後ろ半分の所へ行こうとすると、頑丈なドアがある。
BSAAの護送車であった。
なので、運転席にはBSAAの軍服を着た職員が座っている。
愛原:「善場主任、もしかして、この奥にあの人を……?」
善場:「はい。現地に着くまでは、油断できませんから」
愛原:「はは……」
バスは研究施設に向かって走り出した。
仮釈放といっても、人間のそれとはだいぶ違うのだなと改めて思い知らされる。
リサ:「わたしも暴れたりしたら、後ろに乗せられる?」
善場:「場合によっては、そうなるかもね」
リサ:「わー……」
リサはヒくような反応をした。
仮釈放というよりは、ただの護送のような気がする。
聞いた話では、仮釈放の後は栃木のホテル天長園に戻るようだが……。
そこまで、このバスで向かうのだろうか。