報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤絵恋と再会」

2022-09-25 21:04:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月25日09:45.天候:晴 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル→京浜急行電鉄羽田空港第1・第2ターミナル駅]

 絵恋:「きゃーっ!リサさーん!会いたかったーっ!」(≧∇≦)
 リサ:「サイトー、分かった分かった……」

 リサを見るなり、いきなりハグする絵恋さん。
 リサは想定していたとはいえ、少し呆れ顔。

 愛原:「絵恋さん、少し変わったね?」
 リサ:「うん、サイトー、こんがり焼けた」
 絵恋:「沖縄は日差しが強くて……」
 愛原:「那覇市だったっけ?」
 絵恋:「そうです!モノレールの沿線です!リサさん、遊びに来てね!」
 リサ:「えーっと……」

 リサは私を見た。

 愛原:「で、デイライトさんの許可次第だな……」

 八丈島がOKだったんだから、多分、沖縄の、それも本島かつ県庁所在地の那覇市内なら多分OKだろう。
 いや、待て待て。
 八丈島は離島でも、東京都。
 だから、OKだったのかもしれない。
 まさかと思うかもしれないが、お役所というのは、そういう所に拘るフシがあるからな。

 愛原:「そ、それよりも、立ち話も何だから、一先ず家に行こうか」
 リサ:「サイトー、今日は一緒のベッドだよ」
 絵恋:「り、リサさんと一緒のベッド……!?も、萌えええええっ!!」
 愛原:「おおっ、懐かしい叫び」
 高橋:「ムンクの叫びよりキメェ……」

 私達はモノレールではなく、京急の乗り場に向かった。

[同日10:11.天候:晴 京浜急行電鉄羽田空港第1・第2ターミナル駅→京急空港線1021T電車先頭車内]

 

 絵恋さんは大きなキャリーバッグをゴロゴロと引いている。

 リサ:「サイトー、まるで海外旅行みたい」
 絵恋:「何しろ1週間の滞在予定ですから」
 高橋:「オマエ、ちゃんと宿泊費用払えよな?」
 絵恋:「もちろんですとも」

 広い地下ホームで電車を待っていると、都営地下鉄の車両がやってきた。

〔「……折り返しは10時11分発、都営地下鉄浅草線、北総鉄道線直通、快特、印西牧の原行きです」〕

 列車番号の末尾がTだと、都営地下鉄の車両が運用に当たるという印である。
 Tとは、都営のT。
 予備車となっている5300形だろう。
 ピンク色の座席が特徴的だ。

 リサ:「サイトー、荷物重くない?」
 絵恋:「大丈夫よ。これでも力には自身があるから」
 リサ:「向こうでも空手やってるの?」
 絵恋:「一応、向こうの空手部には入ったけど、何だか、こっちのと違うのよね」
 リサ:「違う?」
 高橋:「……琉球空手か」
 リサ:「もっと厳密に言えば、『ウチナーディー』、那覇手よ」
 高橋:「なるほどな」
 リサ:「良かったら、後で教えて?」
 絵恋:「もちろんよ!」

 リムジンバスが減便したり、全便運休しているということもあってか、電車が発車する頃には満席状態になっていた。
 電車は時刻表通りに発車する。

〔「本日も京急電車をご利用頂き、ありがとうございます。この電車は都営地下鉄浅草線、北総鉄道線直通、快特、印西牧の原行きです。次は羽田空港第3ターミナル、羽田空港第3ターミナルです。羽田空港第3ターミナルを出ますと、次は京急蒲田に止まります。天空橋、穴守稲荷、大鳥居、糀谷には止まりませんので、次のエアポート急行、逗子・葉山行きにお乗り換えください」〕

 電車は暫く、地下線内を進む。
 乗っているのが地下鉄車両なだけに、本当に地下鉄に乗っているかのようだ。

[同日11:03.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原のマンション]

 私達の乗った電車が優等列車であるのは、京急線内だけ。
 乗り入れ先の都営地下鉄浅草線から先は、各駅停車となる。
 もっとも、乗った電車は都営地下鉄の車両なので、厳密には乗り入れとは言わないか。
 それで東日本橋駅で降りて、そこから都営新宿線の馬喰横山駅に移動する。
 2つとも駅名は違うが隣接しており、地下道を通って乗り換えができる。
 形式こそ違うが、都営新宿線内でも、乗車したのは都営地下鉄の車両だった。

 愛原:「へえ、絵恋さんのお母さんの実家も、地元では手広く事業をやってるんだ」
 絵恋:「そうなんです。もっとも、後継ぎには伯父さんがいますけどね」
 愛原:「なるほどなるほど」
 絵恋:「あ、それとですね……」
 愛原:「ん?」

〔「まもなく菊川、菊川です。お出口は、右側です」〕

 高橋:「降りる駅ですよ」
 愛原:「そうだな」

 ここで話が終わってしまった。

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 絵恋:「何だか帰って来たって感じ」
 愛原:「そうだろうな」

 絵恋さんは髪形も変わっていて、転校前より髪が伸びただけでなく、ハーフアップにしている。
 いわゆる、『御嬢様結び』という髪形である。
 元々お嬢様なのだから、似合うのは当然かもしれない。
 空手をやっているのは、護身術の為。
 多分、稽古の時は普通のポニーテールとかにするのだろうが……。

 愛原:「高橋、俺はこのコ達と一緒に一旦マンションに戻る。オマエは先に事務所に戻っててくれ」
 高橋:「分かりました」

 駅を出て、新大橋通り上で高橋とは一旦別れる。
 私はリサと絵恋さんを連れて、マンションに戻った。

 愛原:「暑ィ!疲れただろ?」
 絵恋:「リサさんと会う為なら、このくらい平気です。それに……東京の方が暑いですよ」
 愛原:「た、確かに……」

 日によっては沖縄より、東京の方が暑かったりする。
 部屋に入ると、私はすぐにリビングのエアコンを入れた。

 愛原:「荷物は部屋の中に入れて」
 絵恋:「はーい」

 リサの部屋のベッドが、セミダブルで良かった。
 女の子2人なら、何とか寝れる広さだ。

 愛原:「……セミダブルだけど、大丈夫かい?狭いなら、簡易ベッド出すよ?」
 リサ:「うーん……」
 絵恋:「大丈夫です!むしろ狭い方が、リサさんと……萌えへへへへ……」

 御嬢様にあるまじき、下品な笑いと笑みを浮かべた絵恋さんだった。

 リサ:「サイトー、寝る時は何着るの?」
 絵恋:「あ、ちゃんとパジャマを持って来たわ」
 リサ:「この家では、ユニフォームがある。この家で過ごすには、そのユニフォームに着替えなくてはならない」
 絵恋:「えっ?」
 愛原:「ユニフォーム?そんなのあったか?また変なこと言って……。あ!」

 私は嫌な予感がした。
 するとリサは、クロゼットを開けて、中から何かを取り出す。
 それは体操服とブルマーだった。

 リサ:「これに着替えないと、先生に追い出されるよ?」
 絵恋:「そ、そうなの!?」
 愛原:「またそんなもの用意しておくー。ってか、勝手に決めるな!」
 絵恋:「ということは、リサさんもこれを着るのよね?」
 リサ:「もちろん。これを着ると、先生が喜ぶ」
 愛原:「おい!」
 絵恋:「り、リサさんとお揃いであるなら、分かったわ……。あ、後で着ればいいんでしょ?」
 リサ:「先生?」
 愛原:「事務所に来てもいいし、ここにいてもいいよ。ただ、お昼は向こうだけどな?」
 リサ:「じゃあ、まずは事務所に行こう。これは後で着ることにする」
 絵恋:「そ、そうね……」

 やっぱり絵恋さんも恥ずかしいのか、心底ホッとしたような顔になった。
 高そうな白いワンピースから、いきなり体操服じゃなぁ……。
 普段からラフな格好のリサはともかく。
コメント (1)
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