[6月26日11:00.天候:晴 新潟県新潟市東区新松崎 スーパー銭湯極楽湯松崎店]
私達はスーパー銭湯で汗を流していた。
高橋:「それでは不肖、この高橋正義が、先生の御背中を流して差し上げ奉り候~也~ッ!」
愛原:「だから、そのノリやめろっつってんだろ」
私は苦笑いしつつも、高橋に背中を流してもらう。
男性客:「高橋正義……?」
愛原:「ん?」
私の隣の洗い場にいた若い男が、高橋の名前を呟いたような気がした。
そして、いそいそと脱衣場に向かって行った。
愛原:「気のせいか……?」
高橋:「何がっスか?」
愛原:「いや……」
高橋に背中を流してもらった後は、自分で体を洗う。
それから、露天風呂に行くのは定番。
高橋:「先生、洞窟風呂がありますよ」
愛原:「ハハハ。入口がドラクエの洞窟みたいだな」
高橋:「入ったらモンスターとエンカウントしますかね?」
愛原:「したところで、オマエがいたら、ドラクエじゃなくて、バイオハザードだけどな」
高橋:「さすがに風呂にまでマグナムは持ってきてませんよ。もっとも、下半身のマグn……」
愛原:「それ以上言うなぁっ!」
高橋:「あ、でも、先生のロケランには叶いません」
愛原:「誰がロケランだ!」
高橋:「先生のロケランなら、きっとリサも倒せますよ」
愛原:「リサみたいなこと言うなァ……」
だが、恐らく露天風呂の男湯と女湯は仕切り壁1つで隔たれているのだろう。
何か、隣の女湯からキャーキャー女性の悲鳴が聞こえるような気がする。
愛原:「な、なあ?何か、隣の女湯、騒がしくないか?」
高橋:「ったく。女はすぐキャーキャー騒いでうるさいっスね」
愛原:「まさか、痴漢でも出たんじゃ?」
高橋:「いや、まさか……。仮にそうだとしても、心配無いですよ」
愛原:「どうして?」
高橋:「向こうにはリサがいるじゃないスか。痴漢の1人、2人出たところで、リサが軽~くあの世に送ってくれますよ」
愛原:「撃退する分にはいいが、あの世にまで送る必要は無いと思うがな」
風呂から出たところで、女湯が騒がしかった理由が明らかになる。
愛原:「え、何だって!?洞窟風呂に入ってたら、騒がれた!?」
リサ:「そーなの!失礼しちゃう!」
基本的に男湯と女湯の構造は変わらない。
男湯にある洞窟風呂が女湯にもあるのだが、そこに入ったリサがリラックスしていたら、第1形態に戻ってしまったらしく、そこへ後から入って来た別の女性客が、『化け物が出た!』と言って騒いだらしい。
リサ:「ちょーっと角が生えて、耳が尖って、牙と爪が尖っただけじゃない!」
高橋:「バカ!それを人間は『化け物』っつーんだ!」
スタッフ:「困りますね。他のお客様を驚かせるのは……」
愛原:「ど、どうもすいません……」
ちょっと角が生えて、耳が尖って、牙と爪が長く伸びただけなら、まだ誤魔化せる。
愛原:「マスクは処分しておきましたので……」
スタッフ:「そういう物の持ち込みは困ります」
愛原:「あ、はい。それはもう……」
リサが鬼のマスクを持ち込んで、他の客を驚かせたということにしておいた。
取りあえず今回は、厳重注意だけで済んだ。
愛原:「気を取り直して、マッサージでも受けるか」
リサ:「先生……!他の女にマッサージされるの?」
リサ、ジト目で私を見る。
せっかくまた第0形態(普段から変身している人間の姿)になったというのに、また牙を覗かせた。
愛原:「いや、大丈夫だよ。ちゃんと男性スタッフにやってもら……はっ!?」
高橋:「先生……!他の男にマッサージされる気ですか?俺という者がありながら……!」
高橋もまたジト目で私を見てくる。
愛原:「マジか……!」
仕方が無いので、マッサージチェアを使うことにした。
愛原:「機械なら文句無ェだろ、あぁッ!?文句は言わせねーからなっ、あぁッ!?」
高橋:「は、はい……」
リサ:「は、はい……」
ついでに3人一緒に使う。
愛原:「うー、そこそこ……!」
高橋:「先生、後で俺がボディケアしてあげますからね!」
リサ:「わたしは足ツボ!」
愛原:「あー、そー。それは楽しみだ……」
もうすぐマッサージチェアの使用時間も終わろうという時、バタバタと若い男達がやってきた。
愛原:「な、何だ何だ!?」
高橋:「チッ、いやがったのか……」
男達は私達を取り囲むように整列すると……。
ヤンキーA:「ボス!お久しぶりです!」
ヤンキーB:「お久しぶりです!」
明らかにガラの悪い、普通なら入館を断られるであろうタトゥを入れまくっている男達が現れた。
ヤクザではなく、明らかに半グレである。
ヤンキーC:「『下越の総長』の御帰りですね!」
愛原:「お、おい、高橋。これはどういうことだ?オマエ、暴走族やめたんだよな?」
高橋:「そうです」
ヤンキーA:「おい、コラ、オッサン!ボスを呼び捨てかぁ、ゴルァッ!!」
いきなり1人が私の胸倉を掴んで来た。
駆け付けた男達の中では、1番体が大きい。
鼻ピアスにチェーンを着けている。
高橋:「てめェ、コラ!先生に何すんだぁっ!!」
ヤンキーA:「ええっ!?」
高橋、ヤンキーAを私から引き離すと、そいつに向かって腹パンチを食らわせた。
ヤンキーA:「ごぶっ……!ぐ、ぐお……っ!」
ヤンキーA、両目を見開いて、高橋にパンチされた腹を押さえながら、前のめりに倒れた。
高橋は1発しかパンチをしていないのに、確実に仕留めるとは……。
高橋:「ここにいる愛原先生は俺の恩人だ!ちょっとでも無礼なことをしやがった奴はブッ殺す!!」
ヤンキーB:「は、はい!!」
ヤンキーC:「承知しました!!」
高橋:「先生、大丈夫ですか?お怪我は!?」
愛原:「いや、大丈夫だ」
高橋:「どうもすいませんでした!後でこのバカ、東港に沈めておきますんで!」
愛原:「い、いや、いいよ。次から気をつけてくれれば……。そ、それより、早くここを出よう……」
高橋:「ど、どうしてですか?」
愛原:「今、スタッフが警察に通報してるとこ」
高橋:「はぁーっ!?」
もうこいつら連れて、温泉行くのやめようかな……。
私達はスーパー銭湯で汗を流していた。
高橋:「それでは不肖、この高橋正義が、先生の御背中を流して差し上げ奉り候~也~ッ!」
愛原:「だから、そのノリやめろっつってんだろ」
私は苦笑いしつつも、高橋に背中を流してもらう。
男性客:「高橋正義……?」
愛原:「ん?」
私の隣の洗い場にいた若い男が、高橋の名前を呟いたような気がした。
そして、いそいそと脱衣場に向かって行った。
愛原:「気のせいか……?」
高橋:「何がっスか?」
愛原:「いや……」
高橋に背中を流してもらった後は、自分で体を洗う。
それから、露天風呂に行くのは定番。
高橋:「先生、洞窟風呂がありますよ」
愛原:「ハハハ。入口がドラクエの洞窟みたいだな」
高橋:「入ったらモンスターとエンカウントしますかね?」
愛原:「したところで、オマエがいたら、ドラクエじゃなくて、バイオハザードだけどな」
高橋:「さすがに風呂にまでマグナムは持ってきてませんよ。もっとも、下半身のマグn……」
愛原:「それ以上言うなぁっ!」
高橋:「あ、でも、先生のロケランには叶いません」
愛原:「誰がロケランだ!」
高橋:「先生のロケランなら、きっとリサも倒せますよ」
愛原:「リサみたいなこと言うなァ……」
だが、恐らく露天風呂の男湯と女湯は仕切り壁1つで隔たれているのだろう。
何か、隣の女湯からキャーキャー女性の悲鳴が聞こえるような気がする。
愛原:「な、なあ?何か、隣の女湯、騒がしくないか?」
高橋:「ったく。女はすぐキャーキャー騒いでうるさいっスね」
愛原:「まさか、痴漢でも出たんじゃ?」
高橋:「いや、まさか……。仮にそうだとしても、心配無いですよ」
愛原:「どうして?」
高橋:「向こうにはリサがいるじゃないスか。痴漢の1人、2人出たところで、リサが軽~くあの世に送ってくれますよ」
愛原:「撃退する分にはいいが、あの世にまで送る必要は無いと思うがな」
風呂から出たところで、女湯が騒がしかった理由が明らかになる。
愛原:「え、何だって!?洞窟風呂に入ってたら、騒がれた!?」
リサ:「そーなの!失礼しちゃう!」
基本的に男湯と女湯の構造は変わらない。
男湯にある洞窟風呂が女湯にもあるのだが、そこに入ったリサがリラックスしていたら、第1形態に戻ってしまったらしく、そこへ後から入って来た別の女性客が、『化け物が出た!』と言って騒いだらしい。
リサ:「ちょーっと角が生えて、耳が尖って、牙と爪が尖っただけじゃない!」
高橋:「バカ!それを人間は『化け物』っつーんだ!」
スタッフ:「困りますね。他のお客様を驚かせるのは……」
愛原:「ど、どうもすいません……」
ちょっと角が生えて、耳が尖って、牙と爪が長く伸びただけなら、まだ誤魔化せる。
愛原:「マスクは処分しておきましたので……」
スタッフ:「そういう物の持ち込みは困ります」
愛原:「あ、はい。それはもう……」
リサが鬼のマスクを持ち込んで、他の客を驚かせたということにしておいた。
取りあえず今回は、厳重注意だけで済んだ。
愛原:「気を取り直して、マッサージでも受けるか」
リサ:「先生……!他の女にマッサージされるの?」
リサ、ジト目で私を見る。
せっかくまた第0形態(普段から変身している人間の姿)になったというのに、また牙を覗かせた。
愛原:「いや、大丈夫だよ。ちゃんと男性スタッフにやってもら……はっ!?」
高橋:「先生……!他の男にマッサージされる気ですか?俺という者がありながら……!」
高橋もまたジト目で私を見てくる。
愛原:「マジか……!」
仕方が無いので、マッサージチェアを使うことにした。
愛原:「機械なら文句無ェだろ、あぁッ!?文句は言わせねーからなっ、あぁッ!?」
高橋:「は、はい……」
リサ:「は、はい……」
ついでに3人一緒に使う。
愛原:「うー、そこそこ……!」
高橋:「先生、後で俺がボディケアしてあげますからね!」
リサ:「わたしは足ツボ!」
愛原:「あー、そー。それは楽しみだ……」
もうすぐマッサージチェアの使用時間も終わろうという時、バタバタと若い男達がやってきた。
愛原:「な、何だ何だ!?」
高橋:「チッ、いやがったのか……」
男達は私達を取り囲むように整列すると……。
ヤンキーA:「ボス!お久しぶりです!」
ヤンキーB:「お久しぶりです!」
明らかにガラの悪い、普通なら入館を断られるであろうタトゥを入れまくっている男達が現れた。
ヤクザではなく、明らかに半グレである。
ヤンキーC:「『下越の総長』の御帰りですね!」
愛原:「お、おい、高橋。これはどういうことだ?オマエ、暴走族やめたんだよな?」
高橋:「そうです」
ヤンキーA:「おい、コラ、オッサン!ボスを呼び捨てかぁ、ゴルァッ!!」
いきなり1人が私の胸倉を掴んで来た。
駆け付けた男達の中では、1番体が大きい。
鼻ピアスにチェーンを着けている。
高橋:「てめェ、コラ!先生に何すんだぁっ!!」
ヤンキーA:「ええっ!?」
高橋、ヤンキーAを私から引き離すと、そいつに向かって腹パンチを食らわせた。
ヤンキーA:「ごぶっ……!ぐ、ぐお……っ!」
ヤンキーA、両目を見開いて、高橋にパンチされた腹を押さえながら、前のめりに倒れた。
高橋は1発しかパンチをしていないのに、確実に仕留めるとは……。
高橋:「ここにいる愛原先生は俺の恩人だ!ちょっとでも無礼なことをしやがった奴はブッ殺す!!」
ヤンキーB:「は、はい!!」
ヤンキーC:「承知しました!!」
高橋:「先生、大丈夫ですか?お怪我は!?」
愛原:「いや、大丈夫だ」
高橋:「どうもすいませんでした!後でこのバカ、東港に沈めておきますんで!」
愛原:「い、いや、いいよ。次から気をつけてくれれば……。そ、それより、早くここを出よう……」
高橋:「ど、どうしてですか?」
愛原:「今、スタッフが警察に通報してるとこ」
高橋:「はぁーっ!?」
もうこいつら連れて、温泉行くのやめようかな……。