[7月25日07:32.天候:晴 東京都港区浜松町 東京モノレール浜松町駅→羽田空港線0705列車先頭車内]
東京駅から私達は、山手線で浜松町駅に移動した。
そして、そこから東京モノレールの浜松町駅に移動する。
目的は、沖縄から上京する絵恋さんを迎えに行く為。
本当は東京駅から羽田空港まで直通するリムジンバスに乗れれば良かったのだが、コロナ禍とはいえ、何故か全便運休ときた。
仕方が無いので、浜松町経由のモノレールにすることにした由。
朝食は羽田空港に着いてから食べるということにした。
高橋:「帰りに大井競馬場に寄って行くんスか?」
愛原:「寄らないし、帰りは別ルートだよ」
高橋:「あ、そうっスか……」
朝のラッシュで、混雑する浜松町駅。
上りもそうだが、羽田空港方面の下りも混雑する。
この路線には快速も運転されているが、朝のラッシュは通勤輸送が優先されるのか、各駅停車しか運転されていない。
浜松町駅は始発駅なので、やろうと思えば着席はできる。
先頭車の座席の配置は変わっていて、前半分がクロスシート。
後ろ半分がロングシート主体という感じになっている。
更に前半分の窓側は1人用の座席。
中央部分が運転室の方を向いて、尚且つ一段高い位置に2人席が並ぶというものだった。
これは跨座式モノレールならではの構造なのだろう。
〔「前の方に続いて、順序良くお乗りください」〕
せっかくなので、そのクロスシート部分に座らせてもらう。
中央部分の2人席に私と高橋が座り、進行方向左側の1人席にリサを座らせた。
愛原:「それじゃ、海に行くからな?」
高橋:「は?え?海って……」
愛原:「何だぁ?海に行く電車じゃないか?」
高橋:「海って、京浜運河とかっスよね!?江の島とかじゃないんスか!?」
愛原:「誰が江の島に行くって言った?」
高橋:「ええ~……」
〔「お待たせ致しました。7時32分発、各駅停車の羽田空港第2ターミナル行き、まもなく発車致します」〕
この時間帯は4分間隔。
すぐに折り返すので、慌ただしい。
鉄のレールではなく、コンクリートの軌道をゴムタイヤで走るモノレールは、独特の加速音を立てながら発車した。
リサ:「わぁ……!」
モノレールの最高速度は80キロ。
これは国内のモノレールとしては、高速である。
運河の上を軽やかに走る様は、まるで空を飛んでいるかのようである。
夜は夜景がきれいなことで有名であり、それは“ゆりかもめ”も同じだが、歴史は当然こちらの方が古い。
実際に、夜は一部車両の照明を消して、夜景を楽しんでもらうというようなことも行っていたという。
リサはその車窓に釘付け。
愛原:「どうだ?リサは海を楽しんでいるぞ?」
高橋:「先生、こっちの“海”も楽しみましょうよ?」
高橋は右手でパチンコのハンドルを回す仕草をした。
愛原:「う、うむ……そうだな……」
高橋:「新台、またマリンちゃんの萌え度が上がりましたよ?」
愛原:「そ、そうか。まあ、個人的にはどちらかというと、ワリンの方がいいのだが……」
高橋:「ほおほお。先生、渋いですねぇ……」
リサ:「先生……!?」
リサは私の方を向いて、瞳を金色に光らせた。
マスクをしていなければ、牙も剝いただろう。
愛原:「ぱ、パチンコの話だって!なぁ!?」
高橋:「そ、そうだ!せ、先生の御趣味に文句付けんじゃねーよ!」
リサ:「ふーん……?」
リサはジト目でジロジロ私を見ていた。
愛原:「せ、せっかくのいい景色なんだから、楽しんでくれよ!」
高橋:「その通りだ!」
愛原:「……“海”で思い出したんだが、最近、サム見かけなくね?」
高橋:「そういえば見ませんね!?」
サム、ついにリストラか?
[同日07:54.天候:晴 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル駅→羽田空港第1ターミナル]
モノレールは1つ手前の新整備場駅から、地下トンネルに入ってしまった。
そして、下車駅の第1ターミナル駅も地下にある。
聞いた話、斉藤絵恋さんは那覇空港を朝一に出る飛行機に乗ったという。
航空会社はスカイマークとのことで、それなら羽田空港の第1ターミナルに到着するわけである。
なので、下車駅もここ。
愛原:「さあ、着いた」
高橋:「あのレズガキ、いつ到着するんスか?」
愛原:「スカイマークの時刻表だと、9時40分だそうだ」
高橋:「まだ時間たっぷりありますね?」
愛原:「ああ。リサも腹を空かせてるし、朝飯でも食って時間を潰そう」
リサ:「おー!」
私達はスカイマークのカウンターがある、北ウィング方面に向かった。
因みにこの方面のコンコースに向かうと、模型広場と言って、東京モノレールの鉄道模型が展示されているコーナーがある。
モノレールの鉄道模型というだけでも珍しいのに、それが実際に動く所が見れるのはここだけではないだろうか?(尚、現在は動かないようである)
愛原:「うーむ……これはレアものだ」
高橋:「はあ……」
私が垂涎の思いで見ていると、リサが私の手を引っ張った。
リサ:「ねー、先生、お腹空いた」
愛原:「おっと、そうだった。早いとこ、ターミナルに行こう」
高橋:「おいおい、空気読めよ、オメェ……」
愛原:「まあ、いいから」
[同日09:40.天候:晴 羽田空港第1ターミナル到着ロビー]
ターミナル内で朝食を済ませたり、色々と歩いてみたりする。
リサ:「高等部の修学旅行は3年生の春なんだって」
愛原:「そうなのか。すると、栗原さんは行ったんだな」
リサ:「うん。北海道だって」
愛原:「北海道かぁ……」
リサ:「本当は、海外に行くコースもあるんだって。コロナ前はシンガポールとか、昔は韓国にも行ってたんだってさ」
愛原:「ほおほお……」
しかし、日韓関係の冷え込みに伴い、東京中央学園は早々に韓国行きを取りやめるという英断を下している。
代わりに台湾を行き先に変えたようだ。
とはいうものの、アジアから外に出ることは無いらしい。
リサの言う通り、コロナ前だとマレーシアやシンガポールが海外組の主な行き先だったという。
で、現在は海外コースは休止。
国内のみ、行われているという。
その国内も沖縄行きがあったが、感染者数の増大に伴い、北海道に行き先が変更されている。
来年、リサの代ではどうなるのだろうか。
ただ、もし仮に海外コースが復活したとしても、リサにはパスポートが発給されない。
その為、どうしても国内限定になってしまう。
当初は飛行機に乗っても大丈夫かどうか懸念されたが、八丈島からの帰りに搭乗してみて、国内線なら大丈夫ということになった。
愛原:「でもリサは、国内しか行けないよ?」
リサ:「分かってるよ。でも、先生も来てくれるんならどこでもいいよ」
愛原:「何で俺も?」
リサ:「だって先生、PTA会長じゃない」
愛原:「会長代行だよ。実際、栗原さん達の修学旅行には付いて行ってないんだから」
今年の3年生の修学旅行には、副会長が同行した。
表向きは、私が中等部の代替修学旅行を引率したから、今度は副会長が、というもの。
そうなると、今度は私が会長代行として……ということになるのか?
愛原:「えー……」
高橋:「あ、先生。そろそろ到着するみたいですよ?」
高橋は到着案内の電光表示板を指さした。
愛原:「あ、ああ、そうか」
高橋:「飛行機、欠航すりゃ良かったのに」
愛原:「まあまあ」
高橋:「もしくは、『臨時に名古屋空港に着陸します』なんて……」
愛原:「それでも、後で羽田空港に向かうものだよ」
私は肩を竦めた。
東京駅から私達は、山手線で浜松町駅に移動した。
そして、そこから東京モノレールの浜松町駅に移動する。
目的は、沖縄から上京する絵恋さんを迎えに行く為。
本当は東京駅から羽田空港まで直通するリムジンバスに乗れれば良かったのだが、コロナ禍とはいえ、何故か全便運休ときた。
仕方が無いので、浜松町経由のモノレールにすることにした由。
朝食は羽田空港に着いてから食べるということにした。
高橋:「帰りに大井競馬場に寄って行くんスか?」
愛原:「寄らないし、帰りは別ルートだよ」
高橋:「あ、そうっスか……」
朝のラッシュで、混雑する浜松町駅。
上りもそうだが、羽田空港方面の下りも混雑する。
この路線には快速も運転されているが、朝のラッシュは通勤輸送が優先されるのか、各駅停車しか運転されていない。
浜松町駅は始発駅なので、やろうと思えば着席はできる。
先頭車の座席の配置は変わっていて、前半分がクロスシート。
後ろ半分がロングシート主体という感じになっている。
更に前半分の窓側は1人用の座席。
中央部分が運転室の方を向いて、尚且つ一段高い位置に2人席が並ぶというものだった。
これは跨座式モノレールならではの構造なのだろう。
〔「前の方に続いて、順序良くお乗りください」〕
せっかくなので、そのクロスシート部分に座らせてもらう。
中央部分の2人席に私と高橋が座り、進行方向左側の1人席にリサを座らせた。
愛原:「それじゃ、海に行くからな?」
高橋:「は?え?海って……」
愛原:「何だぁ?海に行く電車じゃないか?」
高橋:「海って、京浜運河とかっスよね!?江の島とかじゃないんスか!?」
愛原:「誰が江の島に行くって言った?」
高橋:「ええ~……」
〔「お待たせ致しました。7時32分発、各駅停車の羽田空港第2ターミナル行き、まもなく発車致します」〕
この時間帯は4分間隔。
すぐに折り返すので、慌ただしい。
鉄のレールではなく、コンクリートの軌道をゴムタイヤで走るモノレールは、独特の加速音を立てながら発車した。
リサ:「わぁ……!」
モノレールの最高速度は80キロ。
これは国内のモノレールとしては、高速である。
運河の上を軽やかに走る様は、まるで空を飛んでいるかのようである。
夜は夜景がきれいなことで有名であり、それは“ゆりかもめ”も同じだが、歴史は当然こちらの方が古い。
実際に、夜は一部車両の照明を消して、夜景を楽しんでもらうというようなことも行っていたという。
リサはその車窓に釘付け。
愛原:「どうだ?リサは海を楽しんでいるぞ?」
高橋:「先生、こっちの“海”も楽しみましょうよ?」
高橋は右手でパチンコのハンドルを回す仕草をした。
愛原:「う、うむ……そうだな……」
高橋:「新台、またマリンちゃんの萌え度が上がりましたよ?」
愛原:「そ、そうか。まあ、個人的にはどちらかというと、ワリンの方がいいのだが……」
高橋:「ほおほお。先生、渋いですねぇ……」
リサ:「先生……!?」
リサは私の方を向いて、瞳を金色に光らせた。
マスクをしていなければ、牙も剝いただろう。
愛原:「ぱ、パチンコの話だって!なぁ!?」
高橋:「そ、そうだ!せ、先生の御趣味に文句付けんじゃねーよ!」
リサ:「ふーん……?」
リサはジト目でジロジロ私を見ていた。
愛原:「せ、せっかくのいい景色なんだから、楽しんでくれよ!」
高橋:「その通りだ!」
愛原:「……“海”で思い出したんだが、最近、サム見かけなくね?」
高橋:「そういえば見ませんね!?」
サム、ついにリストラか?
[同日07:54.天候:晴 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル駅→羽田空港第1ターミナル]
モノレールは1つ手前の新整備場駅から、地下トンネルに入ってしまった。
そして、下車駅の第1ターミナル駅も地下にある。
聞いた話、斉藤絵恋さんは那覇空港を朝一に出る飛行機に乗ったという。
航空会社はスカイマークとのことで、それなら羽田空港の第1ターミナルに到着するわけである。
なので、下車駅もここ。
愛原:「さあ、着いた」
高橋:「あのレズガキ、いつ到着するんスか?」
愛原:「スカイマークの時刻表だと、9時40分だそうだ」
高橋:「まだ時間たっぷりありますね?」
愛原:「ああ。リサも腹を空かせてるし、朝飯でも食って時間を潰そう」
リサ:「おー!」
私達はスカイマークのカウンターがある、北ウィング方面に向かった。
因みにこの方面のコンコースに向かうと、模型広場と言って、東京モノレールの鉄道模型が展示されているコーナーがある。
モノレールの鉄道模型というだけでも珍しいのに、それが実際に動く所が見れるのはここだけではないだろうか?(尚、現在は動かないようである)
愛原:「うーむ……これはレアものだ」
高橋:「はあ……」
私が垂涎の思いで見ていると、リサが私の手を引っ張った。
リサ:「ねー、先生、お腹空いた」
愛原:「おっと、そうだった。早いとこ、ターミナルに行こう」
高橋:「おいおい、空気読めよ、オメェ……」
愛原:「まあ、いいから」
[同日09:40.天候:晴 羽田空港第1ターミナル到着ロビー]
ターミナル内で朝食を済ませたり、色々と歩いてみたりする。
リサ:「高等部の修学旅行は3年生の春なんだって」
愛原:「そうなのか。すると、栗原さんは行ったんだな」
リサ:「うん。北海道だって」
愛原:「北海道かぁ……」
リサ:「本当は、海外に行くコースもあるんだって。コロナ前はシンガポールとか、昔は韓国にも行ってたんだってさ」
愛原:「ほおほお……」
しかし、日韓関係の冷え込みに伴い、東京中央学園は早々に韓国行きを取りやめるという英断を下している。
代わりに台湾を行き先に変えたようだ。
とはいうものの、アジアから外に出ることは無いらしい。
リサの言う通り、コロナ前だとマレーシアやシンガポールが海外組の主な行き先だったという。
で、現在は海外コースは休止。
国内のみ、行われているという。
その国内も沖縄行きがあったが、感染者数の増大に伴い、北海道に行き先が変更されている。
来年、リサの代ではどうなるのだろうか。
ただ、もし仮に海外コースが復活したとしても、リサにはパスポートが発給されない。
その為、どうしても国内限定になってしまう。
当初は飛行機に乗っても大丈夫かどうか懸念されたが、八丈島からの帰りに搭乗してみて、国内線なら大丈夫ということになった。
愛原:「でもリサは、国内しか行けないよ?」
リサ:「分かってるよ。でも、先生も来てくれるんならどこでもいいよ」
愛原:「何で俺も?」
リサ:「だって先生、PTA会長じゃない」
愛原:「会長代行だよ。実際、栗原さん達の修学旅行には付いて行ってないんだから」
今年の3年生の修学旅行には、副会長が同行した。
表向きは、私が中等部の代替修学旅行を引率したから、今度は副会長が、というもの。
そうなると、今度は私が会長代行として……ということになるのか?
愛原:「えー……」
高橋:「あ、先生。そろそろ到着するみたいですよ?」
高橋は到着案内の電光表示板を指さした。
愛原:「あ、ああ、そうか」
高橋:「飛行機、欠航すりゃ良かったのに」
愛原:「まあまあ」
高橋:「もしくは、『臨時に名古屋空港に着陸します』なんて……」
愛原:「それでも、後で羽田空港に向かうものだよ」
私は肩を竦めた。