[8月29日07:38.天候:晴 東京都台東区上野 JR上野駅→東京中央学園上野高校]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、上野、上野です。低いホームの14番線に到着致します。お出口は、左側です。上野からのお乗り換えをご案内致します。上野東京ライン……【以下略】」〕
リサ達を乗せた特急列車は、尾久駅は比較的高速度で通過したものの、日暮里駅辺りから低速度で走行していた。
そして、高いホームへ行く線路とは別の、低いホームへ向かう方の線路を走行し、列車は高度を下げる。
薄暗いホームの入口を通過した後は、低速度を保ったまま、車止めのあるホームへと進入する。
ついに列車は、車止めの手前で停車した。
〔うえの、上野。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
ドアが開くと、乗客が一斉に降り出す。
リサ達も降りて、進行方向先にある中央改札口へと向かう。
その途中で車両の方向幕が『回送』へと変わった。
〔「14番線の列車は、回送となります。ご乗車にはなれませんので、ご注意ください」〕
愛原:「こういうので通勤できれば、楽だろうな……」
リサ:「でも、遠い所から通うのも大変だよね」
愛原:「まあな。……うん、それも考え物だな」
乗客の大半は、高いホームへ移動して行った。
恐らくこれから、上野東京ラインか京浜東北線、山手線に乗り換えて、更に南へと向かうのだろう。
リサ達は中央改札口を出ると、駅の外に出た。
しばらく歩くと、東京中央学園上野高校の正門が見える。
リサ:「それじゃ、ここまででいいから」
愛原:「分かった。何時ぐらいに終わる?」
リサ:「11時くらい?」
愛原:「分かった。それじゃ、11時半くらいに迎えに行くよ」
リサ:「迎えに来てくれるの?」
愛原:「高橋の病院に行くんだよ。俺達が行く頃には、何か分かるかもしれないだろ?」
リサ:「ん、確かに」
リサは愛原と別れると、学校の正門を潜った。
リサ:「おはようございます」
体育教師:「おう、おはよう!」
リサ:「……今日はスーツなんですね?」
体育教師:「ん?そりゃあ、始業式だからな。式のある日くらい、スーツを着るさ」
いつもはジャージ姿の体育教師も、始業式などの日はスーツである。
元々、授業も無いからだろう。
リサ:「ワクチン接種……」
もちろん、コロナでもなければ、インフルエンザでもない。
旧校舎に発生した特異菌の治療薬だ。
一連の学園内で発生した怪奇現象の正体は、全て特異菌による幻覚だったことが判明した。
リサ:「そう考えると、何だかつまらない」
小島:「リサぁ、おはよう」
淀橋:「よっ、魔王様!」
リサ:「2人とも、おはよう。……皆、日に焼けた?」
淀橋:「そりゃあね」
小島:「何だかお恥ずかしい」
リサ:「そうか……」
淀橋:「魔王様は焼けないね?」
リサ:「まあ、わたしは……」
日焼けも火傷の一種である。
BOWたるリサは、傷を受けてもすぐに回復してしまう。
つまり、日焼けしてもすぐに肌が再生するので、また元の色に戻ってしまうのである。
リサ:「それより、あれ穿いて来た?」
小島:「う、うん……」
淀橋:「ねぇ、ガチの話なの?」
リサ:「うん。ガチバナ。はい、服装チェック」
リサはチラッとスカートをまくった。
小島:「うぅ……本当に穿くことになるなんて……」
淀橋:「陸上部員でもないのに……」
小島と淀橋も、リサの指示通り、スカートの下には緑色のブルマを穿いていた。
かつて東京中央学園で採用されていた、女子用の体操着である。
今では事実上、廃止されている。
事実上の廃止というだけで、廃止が明記されているわけではなく、かといって着用が禁止されたわけでもない。
あくまでも、服装の規定に関する校則の中で、体操着の項目に『ブルマ』が削除されただけである。
私学の中では比較的保守的な考えを持つ東京中央学園は、時代の流れに仕方なく従ったという形のようだ。
制服で女子用のスラックスを採用している学校もある中で、東京中央学園では、まだ検討段階に入っているに過ぎない。
体育教師:「ほら、そこ!早く教室に入れ!」
スーツ姿でも、ホイッスルは手放していない体育教師が、ホイッスルを吹きながらリサ達に注意してきた。
淀橋:「ヤベ、怒られた」
リサ:「早く行こう」
リサ達は校舎内に入った。
[同日08:30.天候:晴 東京中央学園上野高校・新校舎2F教室]
坂上:「皆さん、おはようございます!」
倉田:「おはようございます」
担任の坂上と副担任の倉田が教室に入って来る。
坂上:「これから始業式が行われますが、終了後、ワクチン接種が行われます。それを受けてから、帰るようにしてください」
表向きはワクチン接種ということになっているが、実際は特異菌の治療薬である。
リサ:(ん?待てよ……)
因みに、既に治療薬の接種を受けたリサは対象外である。
リサ:(今まで学校で起きていた怪奇現象の数々が、特異菌による幻覚だったってことになるのなら……)
少なくともお化けや妖怪、幽霊が出て来るような怪奇現象は、全てそれによるものとされるだろう。
しかし、そうではなく、この学園に伝わる怖い話の中には、人間だけが織り成す怖い話なんてのもある。
これは、特異菌による怪奇現象は関係無いだろう。
生きている人間が狂って起こした殺人事件なんてのも、狂った人間が特異菌に感染していたのかもしれないが、それ自体は本当に起こった話だ。
そうではなくて、今現在進行形で起きている怪奇現象の正体は……。
リサ:(今ウワサされている怖い話の原因……全部わたしか!)
リサ、BOWとして、『東京中央学園七不思議』の全てを支配するモノに昇格だ。
おめでとう!
坂上:「高校生活も折り返し地点に入ったことだし、ここからは更に気を引き締めて、進路についてもそろそろ決めて……」
担任の坂上の話が、なかなか頭に入らないリサであった。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、上野、上野です。低いホームの14番線に到着致します。お出口は、左側です。上野からのお乗り換えをご案内致します。上野東京ライン……【以下略】」〕
リサ達を乗せた特急列車は、尾久駅は比較的高速度で通過したものの、日暮里駅辺りから低速度で走行していた。
そして、高いホームへ行く線路とは別の、低いホームへ向かう方の線路を走行し、列車は高度を下げる。
薄暗いホームの入口を通過した後は、低速度を保ったまま、車止めのあるホームへと進入する。
ついに列車は、車止めの手前で停車した。
〔うえの、上野。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
ドアが開くと、乗客が一斉に降り出す。
リサ達も降りて、進行方向先にある中央改札口へと向かう。
その途中で車両の方向幕が『回送』へと変わった。
〔「14番線の列車は、回送となります。ご乗車にはなれませんので、ご注意ください」〕
愛原:「こういうので通勤できれば、楽だろうな……」
リサ:「でも、遠い所から通うのも大変だよね」
愛原:「まあな。……うん、それも考え物だな」
乗客の大半は、高いホームへ移動して行った。
恐らくこれから、上野東京ラインか京浜東北線、山手線に乗り換えて、更に南へと向かうのだろう。
リサ達は中央改札口を出ると、駅の外に出た。
しばらく歩くと、東京中央学園上野高校の正門が見える。
リサ:「それじゃ、ここまででいいから」
愛原:「分かった。何時ぐらいに終わる?」
リサ:「11時くらい?」
愛原:「分かった。それじゃ、11時半くらいに迎えに行くよ」
リサ:「迎えに来てくれるの?」
愛原:「高橋の病院に行くんだよ。俺達が行く頃には、何か分かるかもしれないだろ?」
リサ:「ん、確かに」
リサは愛原と別れると、学校の正門を潜った。
リサ:「おはようございます」
体育教師:「おう、おはよう!」
リサ:「……今日はスーツなんですね?」
体育教師:「ん?そりゃあ、始業式だからな。式のある日くらい、スーツを着るさ」
いつもはジャージ姿の体育教師も、始業式などの日はスーツである。
元々、授業も無いからだろう。
リサ:「ワクチン接種……」
もちろん、コロナでもなければ、インフルエンザでもない。
旧校舎に発生した特異菌の治療薬だ。
一連の学園内で発生した怪奇現象の正体は、全て特異菌による幻覚だったことが判明した。
リサ:「そう考えると、何だかつまらない」
小島:「リサぁ、おはよう」
淀橋:「よっ、魔王様!」
リサ:「2人とも、おはよう。……皆、日に焼けた?」
淀橋:「そりゃあね」
小島:「何だかお恥ずかしい」
リサ:「そうか……」
淀橋:「魔王様は焼けないね?」
リサ:「まあ、わたしは……」
日焼けも火傷の一種である。
BOWたるリサは、傷を受けてもすぐに回復してしまう。
つまり、日焼けしてもすぐに肌が再生するので、また元の色に戻ってしまうのである。
リサ:「それより、あれ穿いて来た?」
小島:「う、うん……」
淀橋:「ねぇ、ガチの話なの?」
リサ:「うん。ガチバナ。はい、服装チェック」
リサはチラッとスカートをまくった。
小島:「うぅ……本当に穿くことになるなんて……」
淀橋:「陸上部員でもないのに……」
小島と淀橋も、リサの指示通り、スカートの下には緑色のブルマを穿いていた。
かつて東京中央学園で採用されていた、女子用の体操着である。
今では事実上、廃止されている。
事実上の廃止というだけで、廃止が明記されているわけではなく、かといって着用が禁止されたわけでもない。
あくまでも、服装の規定に関する校則の中で、体操着の項目に『ブルマ』が削除されただけである。
私学の中では比較的保守的な考えを持つ東京中央学園は、時代の流れに仕方なく従ったという形のようだ。
制服で女子用のスラックスを採用している学校もある中で、東京中央学園では、まだ検討段階に入っているに過ぎない。
体育教師:「ほら、そこ!早く教室に入れ!」
スーツ姿でも、ホイッスルは手放していない体育教師が、ホイッスルを吹きながらリサ達に注意してきた。
淀橋:「ヤベ、怒られた」
リサ:「早く行こう」
リサ達は校舎内に入った。
[同日08:30.天候:晴 東京中央学園上野高校・新校舎2F教室]
坂上:「皆さん、おはようございます!」
倉田:「おはようございます」
担任の坂上と副担任の倉田が教室に入って来る。
坂上:「これから始業式が行われますが、終了後、ワクチン接種が行われます。それを受けてから、帰るようにしてください」
表向きはワクチン接種ということになっているが、実際は特異菌の治療薬である。
リサ:(ん?待てよ……)
因みに、既に治療薬の接種を受けたリサは対象外である。
リサ:(今まで学校で起きていた怪奇現象の数々が、特異菌による幻覚だったってことになるのなら……)
少なくともお化けや妖怪、幽霊が出て来るような怪奇現象は、全てそれによるものとされるだろう。
しかし、そうではなく、この学園に伝わる怖い話の中には、人間だけが織り成す怖い話なんてのもある。
これは、特異菌による怪奇現象は関係無いだろう。
生きている人間が狂って起こした殺人事件なんてのも、狂った人間が特異菌に感染していたのかもしれないが、それ自体は本当に起こった話だ。
そうではなくて、今現在進行形で起きている怪奇現象の正体は……。
リサ:(今ウワサされている怖い話の原因……全部わたしか!)
リサ、BOWとして、『東京中央学園七不思議』の全てを支配するモノに昇格だ。
おめでとう!
坂上:「高校生活も折り返し地点に入ったことだし、ここからは更に気を引き締めて、進路についてもそろそろ決めて……」
担任の坂上の話が、なかなか頭に入らないリサであった。
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