報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「東京へ戻る」

2022-12-06 15:42:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月29日14:13.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区天沼町 自治医科大学附属さいたま医療センター→自治医大医療センターバス停]

 病院内でのレストランにおいて、私達は小一時間ほど善場主任と話した。
 デイライトは高橋のことも疑っていたようだが、本物の高橋のことについては疑いは晴れたことも話した。
 デイライトは、高橋自身もどこかのスパイだと思っていたようである。
 それからレストランを出て、リサはトイレに行き、その後でまた暑い建物の外に出た。
 尚、善場主任は交替要員が来るまで、待機しているという。
 バス停には屋根があるが、病院帰りの利用者達は皆、日陰の下でバスを待っていた。
 やってきたバスは、同じバス会社の違う車種。
 本数は多いので、複数のバスで運行しているのだろう。
 私達はバスに乗り込むと、今度は1番後ろの席に座った。

 リサ:「先生、もっとこっち来て」

 リサが私に密着するように言って来る。

 愛原:「はいはい」

 2人席の時は狭いので、元々密着する形になるが……。
 バスはエンジンを掛けた。
 またもや、冷房の強い風が吹いて来る。

〔「大宮駅行き、発車致します」〕

 引き戸式のドアを閉めて、バスはロータリー内を発車した。

〔♪♪♪♪。次は自治医大医療センター入口、自治医大医療センター入口です〕

 リサ:「お兄ちゃん、命が助かって良かったね」
 愛原:「ああ。まあ、パールのことだ。殺す気までは無かったんだろう」

 警察は他にも、パールに余罪が無いかどうか追及しているようだ。
 監禁の他にも暴行くらいは加わるか?
 それとも、ナイフとか持っているから、銃刀法違反か。
 いずれにせよ、前科があるから、またもや実刑を食らうことになるだろう。
 札付きの極悪メイドだ。

 愛原:「ん?待てよ……」
 リサ:「なに?」
 愛原:「いや、確かに高橋は救出できた。しかし、退院しないことには……」
 リサ:「……ああ!しばらく2人暮らしだね?
 愛原:「それもそうなんだが……」

 家事を俺とリサ、2人でやらないといけないということだ。

 愛原:「リサ、帰ったら取りあえず、夕食の買い出しだ」
 リサ:「分かった。お兄ちゃん、スーパーのカード、どこにしまってるか、わたし知ってるよ」
 愛原:「そ、そうか。それは助かる」

 そ、そうだ。
 スーパーにも何がしかのカードがあるだろうから、それを持って行った方がいいんだ。
 こういうことも忘れているほど、私は高橋に家事を依存してしまっていた。
 反省しなくては……。
 いつまでも、外食や出前ばかりではアレだからな……。

 リサ:「先生、夕食で思い出したけど……」
 愛原:「何だ?」
 リサ:「この前、吉野家で当てた牛角のクーポンはいつ使うの?」
 愛原:「高橋の快気祝いに使うさ。それまでに退院できるといいがな」
 リサ:「やった!」

[同日14:30.天候:晴 さいたま市大宮区 大宮駅東口バス停→JR大宮駅]

 バスは途中、道路混雑に巻き込まれ、多少遅れて大宮駅東口に到着した。
 降車場は駅ロータリー内ではなく、その外側。
 大宮中央通りの高島屋の前である。

 愛原:「大人2人で」
 運転手:「はい、どうぞ」

 ここでも、バス代は2人分払っておいた。

 リサ:「ありがとう」
 愛原:「いやいや。まあ、電車は自分のPasmoで乗ってもらうけどな」
 リサ:「分かった」

 この時間帯だと、リサと同じ、制服姿の中高生の姿も多く見られる。
 それぞれが地元の中高らしく、リサと同じ制服を着ている者は誰もいなかった。
 夏服は、スクールカラーである緑色(モスグリーン)のスカートを穿く。
 リサも膝小僧が見えるくらいの丈の長さであるが、太ももまで見えるくらい短くしている子はあまり見受けられなかった。

 リサ:「何線に乗る?」
 愛原:「秋葉原乗換だろ?楽に京浜東北線で行こう。……お、最後の快速に乗れるみたいだ」

 上野東京ラインが秋葉原にも止まるのならそうするところで、実際に検討までされたらしいが、さすがにホームを設置する用地が確保できないという理由で断念したそうな。

[同日14:49.天候:晴 JR大宮駅・京浜東北線ホーム→京浜東北線1407B電車10号車内]

 

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。1番線に停車中の電車は、14時49分発、快速、大船行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 

 今日最後の快速電車の最後尾に乗り込む。
 こっちの車両はガラガラで、私とリサはドア横の座席に隣り合って座った。
 リサはスマホを出して、友人達とLINEをやっているようだ。

〔この電車は京浜東北線、快速、大船行きです〕

 恐らく、世界中どこを見ても、人間の友人とLINEやっているBOWはここにいるリサ1人だけだろう。

〔「お待たせ致しました。14時49分発、京浜東北線、快速、大船行き、まもなく発車致します」〕

 次の折り返し電車が1番線にやってくると、信号が開通したのか、車掌がホームに降りて、発車メロディのボタンを押した。
 静かな感じの発車メロディがホームに流れる。
 さいたま市の市歌が原曲だという。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車は何回かドア再開閉を繰り返すと、ようやく発車した。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は京浜東北線、快速、大船行きです。停車駅は田端までの各駅と、上野、秋葉原、神田、東京、浜松町、浜松町からの各駅です。次はさいたま新都心、さいたま新都心。お出口は、右側です〕

 私はふと、リサのスマホを見てみた。
 そしたらリサ、LINEではなく、Twitterをやっていた。
 アカウント名は『リサ・トレヴァー』で、アイコンが、正にあのオリジナルのリサ・トレヴァーである。

 愛原:「お前、Twitterやってるのか?」
 リサ:「うん」

 フォロワーを見ると……。

 愛原:「BSAA関係者ばっかりじゃん。てか、高野君がいる!?」
 リサ:「“青いアンブレラ”もいるよ」

 これもリサの監視の為だと、リサにTwitterを許可しているのだろう。
 確かにTwitterもやろうと思えばユーザーの特定ができるので、監視者側としては逆に使わせた方がいいのかもしれない。

 愛原:「え、エイダ・ウォン……。本人かな?」
 リサ:「さあ?」

 何か他にも、タイラントとかネメシスがフォロワーになっているのだが大丈夫か?

 リサ:「先生もフォローしてよ」
 愛原:「い、いや、俺はそもそもTwitterやってないし……」

 因みに高橋も、フォロワーになっているようだった。

 愛原:「で、今は何を呟いてるんだ?」
 リサ:「『大宮駅から京浜東北線の快速の1番後ろに乗りました』って。そしたら、BSAAの人達が『いいね』と『確認済み』とか『報告ご苦労』とか、リプしてくれる」
 愛原:「BSAAの皆さん……」

 リサを射殺したい人達のはずなのだが、一緒にTwitterで遊ぶとは……。

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