報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「善場からの依頼」

2023-11-02 11:54:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月23日17時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 そろそろ事務所をお開きにしようかなと思っていた時だった。
 既にパールと高橋は、夕食の準備の為に3階のダイニングにいる。
 リサは4階の自室にいると思う。
 リサのことは信じているが、勝手に外に出ないように、この建物にはそういったセキュリティも仕掛けられている。

 愛原「ん?」

 事務所に電話が掛かって来た。

 愛原「はい。愛原学探偵事務所です」
 善場「愛原所長、お疲れ様です。もう事務所は閉所でしたか?」
 愛原「いえ、まだですよ。何かありましたか?」

 本当は、もう閉めようとしていたところw

 善場「それなら良かったです。リサのことなんですが、春休みとその前週に事前検査を行うという話をしましたよね?」
 愛原「ええ。もちろん覚えてますし、リサにもちゃんと話してますよ」
 善場「ありがとうございます。それでプラス、急きょのことで申し訳ないのですが、もう1点追加でよろしいでしょうか?」
 愛原「はあ……。何でしょうか?」
 善場「これは盲点だったのですが、歯科項目も入っておりまして……」
 愛原「歯科?」
 善場「鬼型BOWが生やしている牙ですよ。あれをサンプルに欲しいのだとか」
 愛原「そうですか。……って、ええっ!?それってつまり……」
 善場「どこかの牙の1本、あるいは全部かは分かりませんが、そのサンプルが今まで無かったのです。それが欲しいということでした」
 愛原「欲しいったって、牙を抜いたりしたら……」
 善場「また生えてくると思います。私もBOW化直後、突入してきたBSAAの発砲直後、弾が牙に当たって折れましたが、また生えてきました」
 愛原「シュールですな!」
 善場「ましてや今のリサは、当時の私よりも強い力を持っています。そこは心配無いでしょう。いざとなったら、差し歯を造ります」
 愛原「そんな簡単に……。あれ?ということは、その場所は浜町ではない?」
 善場「そうですね。浜町では歯科の設備が無いので、また別の場所でお願いします。なるべく首都圏にしますので」
 愛原「まだ、場所は決まってないんですね?」
 善場「はい。明日までにはお知らせします」
 愛原「分かりました」

 私は電話を切った。
 また、リサには試練だな。

[同日18時00分 天候:晴 同地区 愛原家3階ダイニング]

 善場主任との話が終わり、事務所を閉めて3階に移動する。

 愛原「事務所、閉めて来たぞ」
 高橋「お疲れさまです!」
 パール「では、夕食の用意ができましたので……」
 愛原「あいよ。今夜は何かな?」
 パール「先生には、スーパーの福引で当てて頂いたホッケの開きです」
 愛原「おお、それはありがたい!」
 高橋「リサは骨ごとバリバリ行くでしょうけどね」
 愛原「だろうな」
 リサ「わたしが何だって?」

 リサは4階から階段で下りてきた。

 愛原「いや、何でもない」

 リサは半袖の体操服と紺色のブルマに着替えていた。
 確かにリサの言う通り、少し体が成長したか?
 少しブルマがキツいように見える。
 それなら、新しいサイズに買い替えるのも致し方無いか。

 愛原「それじゃ、食べよう」
 リサ「いただきまーす」
 高橋「先生、ビールをどうぞ」
 愛原「ああ、ありがとう」
 リサ「わたしもわたしも!」
 愛原「慌てなくていいから」

 リサは思った通り、魚の頭を鋭い牙でガブリと行った。

 愛原「あー、リサ。ちょっと食べながらでいいから聞いて欲しいんだが……」
 リサ「なに?デートの誘い!?」
 高橋「ンなわけわるか!」
 愛原「デートではないんだが、まあ、出掛ける話ではあるな」
 高橋「ええっ!?」
 リサ「おーっ!」
 高橋「先生、そんな殺生な……」
 愛原「いいから、お前はパールとデートしてろ」

 パールは大きく頷いた。

 リサ「ということは週末!?」
 愛原「そうだ」
 高橋「こんな化け物、外に出したら、週末が終末になりますよ?」
 リサ「ガーッ!」
 高橋「ヤんのか、コラ!」
 愛原「お前ら、静かにしろ!高橋も黙ってろ!」
 高橋「さ、サーセン……」
 愛原「実はな、今週末、リサの牙について検査したいらしいんだ」
 リサ「牙?」

 リサはパカッと口を開いた。
 鋭い牙が覗く。

 リサ「特に虫歯とか無いよ?」

 当たり前だ。
 リサのGウィルスや特異菌などに掛かれば、虫歯菌も歯周病菌も棲息できないだろう。

 愛原「牙のサンプルが欲しいんだって。ただ、浜町では歯医者の設備は無いから、別の場所ですることになる」
 リサ「えー?もう藤野に行くの?あそこには、歯医者さんの設備があったなぁ……」
 愛原「そうだったな。……あー、まあ、一応あそこも首都圏か。でもだったら、最初から善場主任も『藤野で』って言うよ」
 リサ「それもそうか」

 だが、見る見るうちにリサの顔が青ざめていく。
 どうやら、気づいたようだ。

 リサ「ねぇ、もしかして、わたしの牙を抜くって話じゃ……?」
 愛原「う、うん。そうなんだ」
 リサ「ヤダ!行かない!」
 愛原「だ、大丈夫だ。俺も親知らずを抜いた経験があるが、少なくとも抜く時は麻酔注射を打つから」

 採血の注射針は案外嫌がらないリサだが、麻酔は嫌がるのか?

 リサ「……麻酔、する?」
 愛原「いや、するだろ、普通!今時、虫歯の治療の時でも麻酔打つぞ?」
 リサ「アンブレラの研究所ではね、『こんな化け物達に麻酔なんて必要無い』って……」

 他の日本版リサ・トレヴァーも同じ目に遭ったらしく、リサが他の実験を受けていた時、別の実験室からは麻酔無しで牙を抜かれた少女達の悲鳴が響いていたのだとか。

 愛原「いや、今度はアンブレラじゃないから、麻酔するって。明日、善場主任からまた連絡があるから、その時確認するよ」

 それとその時、分かったことがある。

 愛原「リサもアンブレラの研究所にいた時、牙を抜かれたんだな?」
 リサ「うん」
 愛原「でも今、こうして立派な牙が生えてる」
 リサ「すぐまた生えてくるからね。この角と同じで」

 リサはいつの間にか鬼形態になっていた。

 愛原「そうか。じゃあ、その心配はしなくていいか」
 リサ「うん」
 愛原「まあ、俺も一緒に行くからさ」
 リサ「うん」

 確かに、牙のことについては、今まで触れられることはなかったな……。

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