報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” BOWリサ・トレヴァーについて。

2020-11-27 21:13:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 BOWとはBio Organic Weaponの略称で、生物兵器のこと。
 ここでは炭疽菌や天然痘ウィルスのようなウィルスそのものではなく、それらを使って人工的に生み出された兵器生物のことを指すことが多い。

 リサ・トレヴァーとは1960年代にアメリカのアンブレラ本社の策略により監禁され、様々な非人道的実験を受けてBOW化した少女のこと。
 日本ではそのデータを引き継いで研究を続け、生み出された少女達のことをBOW名として呼ぶ。
 オリジナル版は14歳の時にアンブレラ社に捕まり、1990年代後半に警察の特殊部隊と初めて交戦した(ゲーム“バイオハザード hdリマスター”)。
 なので、ゲームに登場した際は既に40代であったと思われる。

 日本では様々な方法によって日本各地から捕らわれた少年少女が非人道的な実験・改造手術により生み出された(一部、『0番』の善場優菜や『6番』の吉田美亜など、成人女性もいる)。

 『0番』:善場優菜。大学生の時、日本アンブレラより派遣されていた客員教授の男に騙されて捕らわれ、リサ・トレヴァーとなる改造手術を受けた。本来のナンバリングは『12番』。但し、改造手術直後、目覚めるまでの昏睡状態の間にNPO法人デイライトがBSAAと共に突入。研究所は制圧され、関係者は全員逮捕された。善場も救出され、人間に戻る為の改造手術を受け、それに成功。大学に復学後、デイライトに入ってエージェントの仕事をしている。

 『1番』:現在判明しているリサ・トレヴァーの中で最も謎の多い存在。霧生市内に潜伏していると見られ、善場達が捜索するものの、現段階に至るまで情報すら掴めず。日本アンブレラによれば、『2番』と共に完成品であることのこと。

 『2番』:愛原リサ。最後まで霧生市の研究所に取り残され、そこでバイオハザードを引き起こした。タイラントを使役し、またハンターなどの下級BOWを一睨みで怯ませることができる。本人の記憶並びに公式資料にも、彼女が人間を捕食したことが無い為、善場に見込まれ、人間に戻る為の方法を模索している(善場と同じ方法は、こちらのリサには無理らしい)。人間の血肉は食らったことが無いとされるが、食欲が無いわけではなく、『6番』が展開した惨殺現場を見て、涎を垂らしたくらい。最近では人間の老廃物でもその食欲を満たせることが分かった為、それで代用している(糞尿でも良いようだが、体の外に出た物は汚らしくて食えたものではないとのこと)。但し、その際は口ではなく、触手で吸い出している。愛原学を心底から慕っており、愛原の命令は何でも聞くと誓っている。その為、その誓いが破られなければ、2度と人間を襲うことはないとされる。

 『3番』:西日本に潜伏していたリサ・トレヴァー。栗原蓮華によって斬り伏せられている。

 『4番』:宮城県仙台市郊外に暫く『2番』と共に潜伏していた。BSAA突入の際に暴走し、おぞましい化け物となったものの、BSAAによって最終的には殺処分された。

 『5番』:『3番』とは違う西日本地域に潜伏していたらしいが、同じく栗原蓮華に斬り伏せられている。

 『6番』:宮城県美里町に潜伏していた。吉田美亜という成人女性に化けて潜伏していたが、人肉食習慣は止められず、それを続けていた。訪問してきた高橋と『2番』のリサを襲うものの、太陽の光に弱く、突入してきた愛原学と愛原公一の車によって家の壁を壊され、そこから差してきた西日の直射を浴び、断末魔を上げながら消えていった。

 『7番』:霧生市に潜伏していた。県道・霧生バイパス上で愛原達と交戦。ハンターを使役できるものの、それより超絶強いタイラントを使役できる『2番』の前では大して強くはなかった。

 『8番』:霧生市に潜伏していた。市役所庁舎1階ホールにて栗原蓮華、善場と交戦していたが、蓮華によって首を刎ねられる。直後、ホールにやってきた愛原達に狙いを定め、体内に有したウィルスを濃縮還元した血反吐を高橋に浴びせて道連れとするものの、それを庇った愛原が感染してしまう。直後、激昂した高橋に残った頭部をマグナム44で撃ち抜かれ、とどめを刺された。『9番』とは双子の姉妹の姉。

 『9番』:霧生市に潜伏していた。市役所庁舎8階市民ラウンジに愛原、高橋、『2番』と交戦。高橋の銃撃を触手や手を変化させた盾で弾くなどの強い防御力を見せたが、『2番』の強さは格上で、簡単にやられた(愛原に御褒美を約束されていたので、それも精神的に強化された理由かもしれない)。尚、仮面の下はおぞましい化け物となっており、リサ・トレヴァー達が一部を除いて白い仮面を着けるのは、それを隠す為でもあることが分かった。『8番』とは双子の姉妹の妹であるという。非常階段の鍵を持っており、これが愛原達の脱出の手助けとなった。

 『10番』:東京中央学園中等部に在籍し、新聞部の部長も務めていた加藤。今まで登場してきたリサ・トレヴァーの中でも唯一の少年。彼もまた人肉食の経験があったようだが、蓮華や『2番』の敵ではなかった。

 『11番』:神奈川県相模原市緑区の国家公務員特別研修センターに乱入してきた。決闘終了直後で疲弊した蓮華や『2番』のリサを狙って来た卑怯者だが、こちらもその場で排除された。

 『12番』:善場優菜のこと。人間に戻る為の改造手術に成功し、『0番』に変更した為、現在は欠番である。人間に戻れても尚、ナンバリングされているのは、その手術ですら実験の延長線であり、未だに経過観察中だからである。

 『13番』以降:存在するのかどうか不明。今のところ押収した資料には、明確な数が記載されていないらしい。

 
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“私立探偵 愛原学” 「『8番』の特攻」

2020-11-27 20:39:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日17:00.天候:晴 某県霧生市中心街 市役所庁舎]

 いや、こりゃもうヒドいなんてもんじゃないよ!

 私は後に善場主任にそう報告している。
 どうやら屋上に別のリサ・トレヴァーがいるらしいのだが、私達が行くより先にBSAAが発見して総攻撃しているらしい。
 庁舎の中に私達がいることを知らずに。
 私達は階段を駆け下りて、1階に辿り着いた。
 そして、ホールへのドアを開けようとした時だった。

 リサ:「あ、開かない!?開かないよ、先生!」

 天井が崩れて来ている中、リサは絶望的な声を上げた。
 どうやら鍵が掛かっているらしい。
 そこで私は、『9番』が持っていた鍵を使った。

 愛原:「開いた!」

 どうやら本当にキーアイテムだったらしい。
 ということは、『9番』は中ボスか何かか?
 大ボスとして現れるのは『8番』か、それとも『1番』か。
 はたまた『0番』か……。
 ドアを開けて、1階のホールに飛び出した私達が見たのは……。

 善場:「死になさい、『8番』!」
 栗原蓮華:「でやぁーっ!」

 ズバッと敵の首を跳ね飛ばす栗原蓮華さんの姿だった。
 どうやら無事だったらしい。
 で、刎ね飛ばした首というのは……リサ・トレヴァーかな?
 その首が私達の所に飛んできて……。

 『8番』:「ブボッ!」

 首だけになった『8番』と思しきリサ・トレヴァーが私達の方を見てニヤリと笑い、血反吐を吐き掛けた。

 愛原:「高橋、危ない!」

 それは高橋に降り掛かるところであり、私は咄嗟に庇った。
 その為、私はヤツの血反吐をモロに被ることになった。

 『2番』:「先生!!」

 『2番』のリサが青ざめた顔で私に駆け寄って来る。

 『8番』:「ハハハ……!フザけやがって……!こうなったら……道連れだ……!」
 高橋:「てめぇ!」

 高橋がマグナム44を『8番』の首に何発も撃ち込む。
 それで『8番』の頭は潰れたスイカのようになった。

 『2番』:「先生!先生!」

 『2番』のリサは『8番』が私に何をしたか知っているようだ。
 ああ、そうだ……。
 ヤツは……道連れとか言ってたな……。
 か、体に力が入らない……悪寒がする……頭が痛い……。

 善場:「高橋助手!早く愛原所長を外へ!」
 高橋:「お、おう!」
 善場:「メーデー!メーデー!こちらデイライト!至急、救助隊をハート2に派遣されたし!1名感染したもよう!」

 段々と落ちて行く意識の中、善場主任が手持ちの無線機で救助を呼ぶ声だけが、私が最後に聞いた言葉だった。

 HQ:「HQよりデイライト!ハート2は“青いアンブレラ”の攻撃を受けている。救助隊を派遣するのは難しい。速やかにハート1より離脱されたし!」

 何だって……?
 ここを攻撃してるのは……“青いアンブレラ”だぁ……?
 何でだ……?
 彼らは……BSAAの友軍ではないのか……?

                         To be continued...
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“私立探偵 愛原学” 「『9番』を倒して脱出」

2020-11-27 14:34:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日16:30.天候:晴 某県霧生市中心部 市役所8F「市民ラウンジ」]

 『9番』:「え……?カハッ……!」

 勝負は一瞬で付いた。
 『2番』のリサが両手から出した触手が『9番』の心臓と喉を貫いたのだ。
 バタッと倒れる『9番』。

 『2番』:「言ったでしょ?私の勝ちだって」

 『2番』のリサは仮面を取ると、愛らしい顔に笑みを浮かべた。

 愛原:「何だって、そんなに強いんだ!?」
 『2番』:「私は完成品で、あいつは失敗作なんでしょ?だからじゃない?」
 愛原:「いや、それにしたって……」

 高橋はマシンガンではなく、マグナム44を構えたまま『9番』に近づいた。
 どうやら、とどめを刺すつもりらしい。

 高橋:「その前に顔見せろや!」

 高橋は仰向けに倒れた『9番』の仮面を取り去った。
 日本版リサ・トレヴァーは、成人女性だった『6番』や唯一の男子である『10番』を除いて、全員が白い仮面とセーラー服を着ている。
 大抵は顔立ちの美しい女性または少女である。
 『7番』も鬼の姿をしていたが、人間だった頃は美少女だったのだろうという面影があった。
 しかし、この『9番』は……。

 高橋:「うわっ、化け物!」

 仮面の下はおぞましい化け物の顔をしていた。
 まず、目が4つある。
 通常の2つ以外に、額の右寄りに1個、左の頬に1個ある。
 額の上には小さな角が3本生えていて、半開きになった口からは牙が覗いていたが、全ての歯が尖っていた。

 高橋:「死ねや!」

 高橋は『9番』の頭にマグナムを3発も発砲した。
 頭が無くなった『9番』は、周囲に血の海を作る。

 『2番』:「化け物は死ぬまで化け物。とんだブーメランだよね」

 リサも第1形態の鬼の姿はしていたが、こちらはまだ『鬼』であって、『化け物』ではない。
 触手も、もう掌に収めている。

 愛原:「なあ、リサ」
 『2番』:「なに?」
 愛原:「お前達が仮面をしている理由って、もしかして、顔があんな風に化け物になるからなのか?それを隠す為に……」
 『2番』:「それもあるのかもね」
 愛原:「お前がさっき仮面をしてたのは、まさか……」
 『2番』:「私は第2形態以降になるかもしれなかった。そうなると、私も顔が化け物になっちゃう。だから、それを隠したかったの。でも、どうやらその心配は無かったみたい」

 第2形態までは何とか人間の顔を保てていれたはずだが、変異してしまって、それもダメになってしまったのだろうか?
 それとも、思春期特有の気にし過ぎか?

 高橋:「先生。確かCウィルスを『薬』として投与したヤツが、ああいう顔になるんじゃなかったでしたっけ?」
 愛原:「Cウィルスか!そうだな」

 Cウィルスを細菌兵器としてばら撒くと、感染した人間はゾンビになる。
 しかしそれを原材料とした薬剤を、決められた量で投与すると、また別の化け物になる。
 それまでのウィルスと違うのは、顔以外は人間の姿を留めていられること。
 ある程度の知能や知性は保てていられ、普通に言葉は話せるし、被投与者同士にも仲間意識が現れる。
 顔が化け物になるだけで。
 その為、被投与者は化け物になった顔を隠す為、仮面を着けるのである。

 愛原:「しかし、Cウイルスが世に出たのは2013年頃だ。日本版リサ・トレヴァーはそれ以前だろ?おかしくないか?」

 リサ・トレヴァーが体内に有したTウィルスだのGウィルスだのを合成して、偶然にできたのだろうか?
 資料では、Cウィルスはそのような作り方ではなかったはずだが……。

 愛原:「いつもの間にか外が暗くなった。もうこんな時間だ。『9番』が来るのか?」
 高橋:「そんな感じしないっスね?」

 いつまで待っててもしょうがない。
 私はさっき乗って来たエレベーターのボタンを押した。
 だが、電源が切れてしまったのか、エレベーターはうんともすんとも言わなかった。

 愛原:「しょうがない。階段で下りるか」
 『2番』:「先生、『9番』のヤツ、何か持ってるよ?」

 『2番』のリサが『9番』のセーラー服の中から、1つの鍵を取り出した。

 愛原:「キーアイテムか。もらっとけもらっとけ」

 で、ついでに『2番』のリサ、『9番』のスカートをまくる。

 『2番』:「リサ・トレヴァーって、スパッツ穿く習慣無いんだよ」
 愛原:「いいから放っとけよ。さすがに化け物のパンツは見たくない」
 『2番』:「ああ、それもそうだよね」

 『2番』のリサは鍵だけ持ってくると、私の横に来た。

 高橋:「先生、向こうに非常階段があります。ただ、シャッターが邪魔で……」
 愛原:「分かった。今行く」

 私達はエレベーターホールの向こうに行った。
 すると確かに防火シャッターが、これまた3分の1程度開いた状態で下りていた。

 愛原:「よし、開けるぞ」

 私と高橋でシャッターを半分くらいまで開け、その隙に『2番』のリサがするりと向こう側に行く。
 今度は四つん這いではなかった。
 そして、今度は私達が向こう側に行き、シャッターから手を放す。
 するとやっぱりシャッターが、ガッシャーンと大きな音を立てて勢い良く閉まった。

 愛原:「よし。このまま下へ向かうぞ」
 『2番』:「待って!上からリサ・トレヴァーの気配がする!」
 愛原:「なに!?」

 上は屋上になっている。
 どうやら、『8番』は屋上にいるようだ。

 高橋:「先生、行きましょう」
 愛原:「ああ。……いや、ちょっと待て」
 高橋:「何ですか?」
 愛原:「まずは善場主任に連絡しよう」
 『2番』:「電波が入らないんだよ、この町」
 愛原:「あっ!」

 バイオハザードのせいで携帯電話の基地局も全滅した為、町全体で電波が入らない地域と化していた。
 ゲームシリーズでも、主人公達が仲間との連絡に携帯電話を使わず、トランシーバーや固定電話などを使うのはそれが理由である。

 愛原:「だったら、あれだ。1度、善場主任と合流しよう。もう1度、例の爆発現場に行くんだ。その周辺にいるかもしれない」
 高橋:「マジっスか?敵が上にいるのに、逃げるみたいで……」
 愛原:「善場主任だって、ここのリサ・トレヴァーに尋問したいと言ってただろう?だけど、『9番』は倒してしまった。もちろん、俺達が聞き出したことはあるが、善場主任が聞き出したいこともあるだろう。特に、『1番』の場所な」
 高橋:「な、なるほど」
 愛原:「というわけで、一旦引き上げよう。リサ、『8番』の動きに注意してくれ。もしかしたら、追ってくるかもしれないからな」
 『2番』:「分かった」

 私達が下への階段を下り始めた時だった。
 突然、頭上から大きな爆発音と共に、大きな揺れが私達を襲った。

 愛原:「なっ、何だァ!?」
 高橋:「奴の攻撃っスかね!?」
 『2番』:「爆弾の音みたいだったけど!?」

 そして、もう1回!
 今度は天井板が落ちて来た。

 愛原:「もしかしたら、BSAAが『8番』を見つけて攻撃しているのかもしれないぞ!?」

 実際、外からヘリコプターの音も聞こえる。
 グレネードランチャーで攻撃すれば、こんな感じになるかもしれない。
 そういえば、ガトリング砲の音もする。
 ガトリング砲で攻撃しながら、時折グレネードも発射して攻撃しているものと思われる。

 愛原:「急げ!巻き込まれるぞ!」
 高橋:「は、はい!!」

 私達は急いで非常階段を駆け下りた。
 これは外階段ではなく、建物の内側にあり、窓も一切無いので外の様子は分からない。
 その為、外からも私達がいることに気づかず、遠慮無く攻撃しているのだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「『9番』と勝負」

2020-11-25 19:42:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日16:00.天候:曇 某県霧生市中心街 市役所8F「市民ラウンジ」]

 私達は誘われるかのようにエレベーターに乗り込み、8階へと向かった。
 非常予備電源で動いているエレベーターの中は薄暗く、動きも緩慢だ。
 そんな時、リサは持っていたバッグの中から何かを取り出した。
 それは、あの白い仮面。
 裏側に小さく『2』という数字が印字されていることから、リサ用の仮面だろう。
 リサはそれを顔に着けた。
 これで着ている服がブレザーではなく、セーラー服なら、敵側のリサ・トレヴァーだ。

 愛原:「どうして仮面なんか着けるんだ?」
 リサ:「リサ・トレヴァー達は互いの素顔を知らない。ここでは私は先生達の味方のリサ・トレヴァーとして戦うわけだから、敵にすぐ認識してもらえるよう、仮面を着けておいた方がいいと思った」
 高橋:「何を今さら……」

 高橋は呆れたかのように肩を竦めた。

〔ドアが開きます〕

 愛原:「やっと8階だ」

 ピンポーン♪とチャイムが鳴る。

〔8階です。下に参ります〕

 エレベーターを降りると、雲間から西日が差し込んでいた。
 もう夕方なのか。
 時間が経つのは早いな。
 そして、その夕日を背にして立っているのは、セーラー服に白い仮面を着けたリサ・トレヴァーが1人だけだった。

 リサ・トレヴァー:「ようこそ」

 リサと同じショートボブであるが、あちらは金髪だ。
 もしかして、外国人なのか?
 今喋った日本語は流暢なものだが……。

 リサ(以下、『2番』とする):「『9番』だね?」
 『9番』:「その声は……何番だっけ?忘れたw」
 『2番』:「どうせ日本のリサ・トレヴァーなんてそんなもの。私は『2番』。あなたは『9番』でいいね?」
 『9番』:「そう、私は『9番』」
 高橋:「一匹だけか?『8番』はいねーのか?」
 『9番』:「『8番』ね。あなた達が弱そうだからって、先に帰っちゃった」
 高橋:「あぁ?」
 『2番』:「ウソだね。『8番』は太陽に弱い。だから、日暮れまで動けない」
 高橋:「ウソついてんじゃねぇぞ、コラ!」

 ということは、だ。
 16時30分くらいに日没になるとして、それまでにカタを付ければ私達に有利ってことじゃないか?

 愛原:「キミを地獄に送る前に、2つ聞きたいことがある」
 『9番』:「なぁに?」
 愛原:「1つは、『0番』と『1番』はどこにいる?」
 『9番』:「あー……『1番』ねぇ……」

 『9番』は困ったかのように頭をかく仕草をした。

 『9番』:「私を倒すことができたら、『8番』が来る。『8番』に聞けばいいよ」
 愛原:「『0番』は?」
 『9番』:「? ここには来てないよ」
 愛原:「そうか……」

 私はこの時、『1番』は別行動をしていて、『0番』もまた別行動をしているのだと思っていた。

 高橋:「いや、もう少し丁寧に答えろや。『1番』のことが分かんねーんだったら、せめて『0番』が今どこにいるか教えろっつってんだ」

 すると『9番』は不思議そうに首を傾げた。

 『9番』:「えっ、知らないの?今は別行動になってるけど、それまでずっと一緒に行動してたじゃない」
 愛原:「はあ???」
 『2番』:(ま、まさか……)

 『2番』のリサだけが何となく分かった。
 初めて会った時から、何となく違和感そのものは感じていた。
 その『0番』と思しき人物は、『バイオテロに立ち向かう為、様々なワクチンを体内に投与しているから、それでそう思うのだ』と説明していたが、やはり何となく怪しいのを覚えている。

 高橋:「ダメだ、やっぱり。先生、こいつらウソつきみたいです。さっさとブッ殺しましょう」

 高橋はマグナム44を構えた。

 愛原:「待て。まだ質問は終わっていない。もう1つの質問だ。キミは……今まで何人の人間を食い殺した?」
 『9番』:「ああ。………………………………………………………」
 高橋:「おい!早く答えろや!」
 『9番』:「よくは覚えてないけど、3ケタは行ってないと思うよ、多分」
 『2番』:「100人行くか行かないか、か……」
 『9番』:「さて、私からも質問いい?」
 愛原:「いいだろう」
 『9番』:「『2番』を飼ってるみたいだけど、どうするの?バイオテロに使うの?それとも性奴隷?」
 愛原:「いや、飼ってるんじゃない!一緒に住んでるだけだ!」
 『9番』:「ふーん……?GPSを仕込んでるみたいだから、首輪着けてるのかと思った」

 それは『2番』のリサが制服のリボンとして首に着けているものだ。
 リボンの裏には、超小型GPSが搭載されている。
 これで善場主任達が逐一、『2番』のリサの行動を監視するのである。
 学校では私の監視から外れるからだ。
 但し、今ではリサにはスマホを買い与えている為、そのGPSが使用されている。
 その為、リボンの方は殆ど稼働していない。

 『9番』:「『2番』は人間を何人食べた?」
 『2番』:「私は(自分が記憶している限り)人間の血肉は食べていない」
 『9番』:「プッwww 食べてないって、あんた……ハハハハハ……!ウソつかなくていいんだよ」
 『2番』:「本当に食べてない。だから私は人間に戻る」
 『9番』:「はあ?今更何を……」
 『2番』:「私は人間に戻る。だから、もう戻れないあんた達には用は無い」
 『9番』:「夢見てんじゃねーよ。化け物は死ぬまで化け物なんだよ」

 『9番』は右手から触手を出した。
 どうやら、『2番』のリサと同じく、ネメシスの細胞が強いらしい。

 『2番』:「どうかな?」

 『2番』のリサも右手から触手を出した。
 それを掴んで鞭のようにしならせる。
 だが、高橋が先に『9番』に発砲した。
 善場主任のハンドガンは的確に『7番』の仮面を撃ち壊したが、『9番』は予想通り『7番』より強いようだ。
 何故なら……。

 高橋:「あっ!?」

 バシッと、まるで蝿を叩き落とすかのように、マグナム弾を触手で払い落したのだ。

 『9番』:「あんたから死にたいみたいね?」
 高橋:「ま、マジかよ……?」

 まさか銃弾を叩き落とすとは……。

 高橋:「しゃらくせぇっ!」

 高橋、今度はマシンガンを『9番』に放つ。
 だが、これも『9番』は左手を大きな盾に変形させて身を守った。

 高橋:「な、何いっ?!」
 『9番』:「もう終わり?ハハッ、弱い弱い」
 『2番』:「先生達、下がって。私が戦う」
 愛原:「だ、大丈夫なのか?」
 『2番』:「うん。今ので分かった。私は勝てる」
 『9番』:「ハハっw 人間を1人も食べたことが無いくせにwww」

 嘲笑う『9番』。
 『2番』は無言で左手からも触手を出す。
 一体、『2番』のリサは何を持って自信タップリに勝算ありと分かったのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「ついに善場の正体判明!」

2020-11-25 16:04:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月7日15:00.天候:曇 某県霧生市中心部]
(この話に限り、愛原不在の三人称とします)

 栗原蓮華:「う……」

 蓮華が意識を取り戻した。
 暴走トラックと装甲車の激突事故により、漏れ出した燃料が引火し、大爆発を起こした。
 栗原蓮華と妹の愛里は爆発する直前、善場に庇われ、ビルとビルの間の路地に飛び込んだのだ。
 おかげで爆風の直撃は避けられたわけだが……。

 蓮華:「愛里、愛里。しっかりして」
 栗原愛里:「う……ん……」

 幸い姉妹共に大きなケガは無く、意識レベルも通常値(概算)であった。

 愛里:「お姉ちゃ……」
 蓮華:「うん、怖かったね」

 愛里は必死に泣くのを堪える妹を抱き抱えた。
 が!

 愛里:「ひっ!?」

 姉の背後にいる人物を見て、愛里は息を呑んだ。

 蓮華:「え!?」

 蓮華が咄嗟に後ろを見ると、そこには姉妹を庇った善場が倒れていた。
 しかも、背中には鉄材のような物が背中に突き刺さっていた。

 蓮華:「そ、そんな……」

 蓮華は善場に駆け寄った。

 蓮華:「善場さん!善場さん!しっかりしてください!」

 蓮華が善場を揺り動かすと、善場はゆっくり目を開けた。

 蓮華:「だ、大丈夫ですか!?」
 善場:「大丈夫……だけど、これは……良くないわね……。背中に何か刺さってるでしょう?」
 蓮華:「て、鉄の棒みたいなのが突き刺さっています」
 善場:「近くに大人の男性はいる?」
 蓮華:「い、いません。愛原先生達も、軍人さん達もです」
 善場:「まあ……愛原所長達は大丈夫でしょう。しょうがないから、あなたがこれを抜いてくれる?」
 蓮華:「だ、ダメです!確か、これ、ヘタに抜いたりしたら、血が噴き出して、もっと大変なことになるんですよね!?」
 善場:「普通はね。でも、私は大丈夫なの。だから、抜いてくれる?」
 蓮華:「え……?」
 善場:「うん……。私は、大丈夫だから……。だから、お願い……。まだ高校生のあなたに……お願いするのはアレだけど……」
 蓮華:「ほ、本当に大丈夫なんですね?」
 善場:「ええ。だから、お願い」

 蓮華は善場の後ろに回り、鉄材を掴んだ。
 爆発で飛んで来た物だからか、それはまだ熱かった。
 火傷するほどの熱ではなかったが。

 蓮華:「くっ……!」
 善場:「ううっ!」
 蓮華:「や、やっぱりやめた方が……!」
 蓮華:「いいから続けて!」

 蓮華は何とかして鉄材を引き抜くことに成功した。
 勢い余って、後ろに倒れてしまったが。
 当然、善場の背中から血が噴水のように噴き出した。
 愛里は完全に顔を覆っている。
 だが、呆然と見つめる蓮華の前で、噴き出した血は、まるで水道の蛇口を締めるように止まっていった。
 そして完全に血が止まると、今度はズプズプと傷が塞がって行く。
 気が付くと、既に傷は跡形も無く消え失せていた。

 蓮華:「あ……あ……」

 さしもの蓮華も、しばらくは口をパクパクさせるだけだった。

 蓮華:「な……ど……どうなってるの?」

 そこで蓮華、ハッと気づく。
 同じような現象を見せたBOWがいたことに。
 その名をリサ・トレヴァーという。
 すぐに傷が回復するものだから、無闇に斬るだけでは埒が明かない。
 だから、首を一気に刎ね飛ばさないといけないのだ。

 蓮華:「ま、まさか!」

 蓮華は手持ちの日本刀をスラッと抜いた。

 蓮華:「愛里!そいつから離れて!!」
 愛里:「え?」
 善場:「心配しないで。確かに私は普通の人間と違うけど、別にあなた達を取って食べるつもりはないから」
 蓮華:「どういうことなんですか?ここまで来たら教えてもらいませんと。教えなかったら、あなたをBOWとして斬ります」
 善場:「分かったわ。周りに男性はいない?」
 蓮華:「いませんけど?」
 善場:「それじゃあ……」

 善場は黒いスーツの上着を脱ぎ、その下のブラウスも脱いだ。
 そして、上だけ下着姿になると、左腋の下を見せた。
 そこには……。

 蓮華:「0!?『0番』!?」
 善場:「そう。私はリサ・トレヴァーの『0番』なの。だけど、何でトップナンバーより前の0番なのか知ってる?」
 蓮華:「知りません」
 善場:「もっとこの数字をよく見てくれる?」
 蓮華:「……?何か、下に書いてありますね」

 元々あった入れ墨を消して、その上から改めて0という数字を入れ墨したようである。
 1と2という数字がうっすら見えるような……?

 善場:「12よ。元々私は『12番』だったの」
 蓮華:「はあ!?」
 善場:「だけど私が捕まっていた研究所が、今の私の政府組織に摘発されて、私はある実験を受けた。それが、『人間に戻す実験』だった。実験は今のところ成功。だけど、まだ実験段階」
 蓮華:「あの……『2番』をさっさと捕まえて、実験しないんですか?」
 善場:「私はまだ完全にリサ・トレヴァーになりきれていなかったの。だから、まだ人間に戻すことができた。私が助け出された時、まだ私はカプセルの中にいたからね。だから、私はまだ誰も人を食い殺していないよ。そうなる前に助け出されたから」
 蓮華:「だから?」
 善場:「だけど、『2番』は完全にリサ・トレヴァーになってしまってる。しかも、製造者側が完成品と謳うほどのもの。私と同じやり方ではダメなの。もちろん、私に使われた薬剤などは参考になるだろうけど、まだ足りない。それと、今すぐ彼女を人間に戻しても、人間らしい生活ができるかどうかわからない」
 蓮華:「?」
 善場:「まだ化け物になる寸前だった私ですら、後遺症で、『人間って何?』という所から始めなければならなかったからね。ましてや、今の『2番』もまだ感覚が普通の人間とズレている部分とかあったりするでしょう?愛原省所長達と一緒に暮らしているうちに、だいぶ良くなったみたいだけど……」
 蓮華:「それでもうちの妹を『捕食』しようとしました」
 善場:「そう。彼女の中から『化け物』を消さなければならない。科学的に人間に戻せたとしても、精神的に化け物ではダメだから。ちゃんとした方法が見つからない限り、『2番』を『治療』することはできないわけ」
 蓮華:「もう一度聞きますが、あなたはもう化け物ではないんですね?」
 善場:「ええ。私はあのコ達と違って触手を出したり、鬼に化けたりとかはもうできないから」
 蓮華:「分かりました」
 善場:「愛原所長達は爆発の向こう側に行ったようね。ちょうど鉄道の駅の中を通って行けるようだから、それで行きましょう」
 蓮華:「はい。愛里、付いてこれる?」
 愛里:「うん……」
 蓮華:「愛里はやっぱり来ない方が良かったかもね」
 善場:「今度BSAAと合流できたら、このコを保護してもらいましょう」

 善場は服を着直すと、まだ無事に口を開けている市役所前駅のB2出入口へ向かった。
 蓮華と愛里も付いていく。

 蓮華:「もしも『2番』が人間に戻れたら、番号はどうなるんですか?」
 善場:「そうねぇ……。『00番』とかにでもなるのかしら」
 蓮華:「野球の背番号みたいですねぇ……」
 善場:「ふふっ、そうね。でも、リサ・トレヴァー達を全滅させることができたら、もう番号で識別する必要も無くなるから、そもそもナンバリングそのものが廃止されるかもね。私も、この『0番』を消すことになるのかも」
 蓮華:「その『0番』さんでも、『1番』の居場所は分からないと?」
 善場:「だから直接来る他無かったのよ」

 地下駅への階段を下りる。
 途中でシャッターが3分の1だけ開いた状態で下りていた。
 善場と力を合わせてシャッターを引き上げ、先に愛里を中に入れる。
 それから2人同時に入って、手を放すと、ガッシャーンと勢い良く閉まった。
 これでもうここから地上に戻ることはできない。

 善場:「行きますよ」

 善場はマグライトを点灯させた。

 善場:「愛里さんは私から離れないで。蓮華さんは日本刀を抜いていても構いません」
 蓮華:「はい。(『7番』が言ってたこと、実は本当たったりして……)」

 町の入口の県道バイパスで戦ったリサ・トレヴァー『7番』。
 彼女は、『「1番」はいない』と言っていた。
 それはただ単なる言い逃れの為のウソだと思っていた。
 だが、これだけの騒ぎでも、他のリサ・トレヴァーが現れない所をみると……そんな気がしてきてしょうがないのだ。
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