報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「検査終了と愛原のミス」

2021-11-04 17:30:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月16日14:00.天候:曇→雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 リサ:「ウゥウ……!ガゥウウ……!!」
 高橋:「オマエは野獣か!」

 殆ど昼食抜きにされ、物凄く機嫌の悪いリサ。
 第1形態に戻ってしまい、恐ろしい形相の鬼と化している。
 で、高橋に丸めた新聞紙でペシッと叩かれた。

 愛原:「まあまあ。リサ、腹減っただろ?焼肉弁当買っておいたから、冷蔵庫の中にあるから」
 リサ:「焼肉!?」

 リサ、脱兎の如く、給湯室の冷蔵庫に向かう。
 もしもそれを邪魔する者が現れたら、鋭く長く伸びた爪で引き裂かれることだろう。

 リサ:「早く食べたい……!」

 しかし、電子レンジでチンするくらいの理性はまだ残っているもよう。

 愛原:「主任、リサ達の検査はこれで終わりですか?」
 善場:「そうですね。あとはデータを持ち帰って調べるだけとなります」
 愛原:「なるほど。特異菌、見つかりそうですか?」
 善場:「……で、なければ困ります」

 善場主任はそう言って、事務所をあとにした。

 高橋:「何かいいモン、見つかりますかね?」
 愛原:「どうだかなぁ……」
 絵恋:「何がですか?」

 絵恋さんが不機嫌そうな顔でやってきた。
 広いおでこに、明らかに怒筋が浮かんでいる。
 これではまるで、絵恋さんも鬼化しそうな勢いだ。

 愛原:「あ、いや、何でもない」
 高橋:「それより用が済んだんだから、とっとと帰りやがれ」
 絵恋:「私の分のお弁当も入ってましたけど?」
 高橋:「う……」
 絵恋:「それに、ゲリラ豪雨が降ってきたので、雨宿りさせて頂けませんこと?」

 絵恋さんの言葉に合わせるようにして、外から雷鳴が聞こえて来た。

 愛原:「変な雲が出て来たと思ったら、やっぱり降って来やがったか……」
 絵恋:「そういうことです。いいですよね?」
 愛原:「しょうがないな。いいよ」
 絵恋:「やった!ありがとうございます!」
 高橋:「い、いいんスか?こいつ……」
 愛原:「どうせゲリラ豪雨だろ?1時間もすれば止むって」
 高橋:「うー……」

 と、そこへ電話が掛かって来た。

 愛原:「ほら、仕事だぞ」
 高橋:「へーい……。もしもし?愛原学探偵事務所……」

 リサと絵恋さんは給湯室のテーブルで、遅くなった昼食を食べていた。

 愛原:「悪いね、キミ達。弁当屋の弁当で……」
 リサ:「別にいい。お弁当美味しい」
 絵恋:「私もリサさんと食べるお弁当、最高ですぅ!」
 愛原:「そりゃあ良かった」
 絵恋:「まだ、雨止みそうに無いですよね?」
 愛原:「そうだな」
 絵恋:「それじゃ、リサさんと一緒に夏休みの宿題の続き、やっていいですかぁ?」
 リサ:「え?まだ終わってないの?」
 絵恋:「もーちょっと!もーちょっとで終わるの!リサさんの頭でないと解けない数学の宿題がぁぁ!」
 リサ:「自分でやれよ」
 絵恋:「お願い!ちょっとだけ教えて!」
 リサ:「ヤダ」
 絵恋:「ファミマのロールケーキ3つ!」
 リサ:「……やる!」
 愛原:「やるんかーい!」

 チョロBOW。

 高橋:「先生、ちょっといいっスか?」
 愛原:「ん?何だ?」

 高橋に手招きされ、私は事務室に戻った。

 高橋:「大手町中央ビル防災センターの熊谷って人から電話です」
 愛原:「な、何だってー!?」

 私は急いで、保留中の電話の受話器を取った。

 愛原:「も、もしもし!お電話かわりました!愛原です!」
 熊谷:「おーい、愛原氏ー?もしかしてエレベーター・キー、持ってってなーい?」
 愛原:「さ、サーセン。持って行っちゃいました……」

 し、しまったーっ!
 こっそり戻すの忘れてたーっ!!

 熊谷:「やっぱりなぁ。返してよ」
 愛原:「す、すぐっ……!すぐ返しに行きます!すいません!」
 熊谷:「いいよ。幸い今日、隊長は休みで、他はみんな俺の後輩しかいないから。俺が上手く誤魔化しといてやるよ」
 愛原:「ほ、ホントすいません!」
 熊谷:「いいよ、返してくれれば」
 愛原:「ついでに複製しちゃいました」
 熊谷:「ん?何か言った?」

 私は急いで電話を切った。

 愛原:「悪い!急用ができた!ちょっと出かけて来るから留守番シクヨロ!」
 高橋:「あっ、先生!俺が車出しますよ?」
 愛原:「いいからオマエは、リサ達を見てろ!」
 高橋:「電車で行くんスか?」
 愛原:「急ぎだからタクシーで行く!」
 高橋:「この雨で拾えるかどうか分かんないんで、アプリで呼びますか?」
 愛原:「っ、あー!そうだな!頼む!」

 その間に私は準備をすればいいんだ。
 エレベーターの鍵は、私の鞄の中に入れっ放しであった。
 複製した鍵は、しっかりと机の中に入っている。

 高橋:「先生!5分後に来ます。日本交通っス」
 愛原:「よっしゃ!桜にNのマークな!」

 私が慌ただしく準備をしていると、リサが給湯室から戻って来た。
 さすがに昼食にありつけたことで、だいぶ機嫌は直ったようだ。
 第1形態の鬼姿から、第0形態の人姿になっている。

 リサ:「どこか行くの?」
 愛原:「あーっと……!」
 高橋:「先生はクライアントに急に呼ばれたんだ。オマエはお呼びじゃねぇ」
 リサ:「兄ちゃんも?」
 高橋:「俺はここで留守番だ。電話掛かって来るかもしれねーし、オマエを1人にするわけにはいかねぇ」
 絵恋:「私もいますけど?」
 高橋:「そういう問題じゃねぇ!事務所にJKしかいねぇっていう異常事態を避ける為だ!」
 リサ:「確かにその通り」
 高橋:「分かったら、給湯室でおとなしくしてろ!」
 愛原:「じゃ高橋、あとはシクヨロ!」
 高橋:「あっ、行ってらっしゃいっス!」
 リサ:「行ってらっしゃい」

 私は事務所を出ると、急いでエレベーターに乗り込んだ。
 そして、駐車場側に来た予約のタクシーに乗り込んだのだった。

 愛原:「大手町の大手町中央ビルまでお願いします!」
 運転手:「はい、大手町中央ビルですね」

 車はスーッと走り出した。
 ハイブリット車なので、音は静かである。
 響くのは、ゲリラ豪雨の強い雨の音。
 そして、規則正しく動くワイパーの音だった。
 ほんと、気のいい熊谷さんで良かった。
 後で、また菓子折りを持って行こう。
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“私立探偵 愛原学” 「特別検査」

2021-11-03 22:53:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月16日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 愛原:「そろそろ、リサ達が来る頃だな……」
 高橋:「善場の姉ちゃん、上手いことビアンガキを捕まえたみたいですね」
 愛原:「まあな」

 しかし、私は何だか腑に落ちない顔になっていた。
 ここまで来て、斉藤社長が全く出てこないことに、何かあるのではないかと勘ぐっているのだ。
 と、その時、事務所の電話が鳴った。
 高橋が電話に出る。

 高橋:「はい、愛原学探偵事務所です。……ああ、姉ちゃんか。……下に着いたのか?……ああ、分かった。先生に伝える。それじゃ」

 高橋は電話を切った。

 高橋:「先生、姉ちゃん達が下に着いたそうです。すぐに検査を始めるので、下に来いってことです」
 愛原:「俺達も検査を受けることになるわけだ。こりゃ、昼飯抜きかな?」
 高橋:「カンベンして欲しいっスね」
 愛原:「まあ、しょうがない。大口契約先の依頼じゃな……」

 私と高橋は事務所を出てエレベーターに乗り込んだ。
 そして1階に下り、駐車場側の出口から出る。
 するとそこには見覚えのある黒塗り高級ミニバンと、マイクロバスタイプの移動診療車が3台駐車していた。
 傍から見れば、レントゲン車や献血バスのようである。
 うち1台はハイエースであった。

 善場:「お疲れ様です。愛原所長」
 愛原:「善場主任、お疲れ様です」
 善場:「早速ですが、検査をさせて頂きます」
 高橋:「どんだけ本格的にやるつもりだ?」
 善場:「愛原所長と高橋助手にあっては、血液検査と尿検査、それとX線検査のみで結構です」
 高橋:「そうなのか」
 善場:「プラス、医師による問診ですね」
 愛原:「あくまで私達が、特異菌に感染していないかどうかの検査だからですね?そしてそれは、そのような簡単な検査で分かる、と……」
 善場:「そういうことです。特異菌は、あくまで新種のカビを生物兵器に転用したものです。それまでのウィルスと違い、簡単に検出できます。これは、今までの生物兵器ウィルスは、使用者はもちろん、開発者をも自滅に追い込んでしまうことが多々あった為の対策でしょう」

 ウィルスみたいに、ただばら撒くのでは、使用者も制御しきれない。
 リサやエブリンのように、明確な意思を持った制御者が調整しながら感染させるのが良いという判断に至ったようである。

 愛原:「だけど、絵恋さんは違うと……」
 善場:「はい。所長方のように、単なる感染者ではないと見ています」
 愛原:「分かりました。それで、絵恋さん達は?」
 善場:「あっちのバスの中です」

 善場主任は、献血バスのようなマイクロバスを指さした。
 何だか知らないが、そのバスが少し揺れている。

 善場:「よほど納得できないのか、抵抗しているようです」
 愛原:「リサは?」
 善場:「同じバスの中です。彼女からも絵恋さんを説得してもらっているのですが、それでも嫌がる有り様で……」
 高橋:「けっ、アホビアンが。先生、俺達はさっさと済ませましょう」
 愛原:「そ、そうだな」

 私達はまず検尿を行なった。
 それからレントゲン車で、レントゲンを取る。
 その前に本人確認の為、虹彩を撮られた。

 検査技師A:「はい、目を大きく開いてー。虹彩を撮ります。……はい、愛原学さん。本人確認が取れました。それでは、あちらでレントゲンの撮影を……」

 政府機関に虹彩データが保存されているとは……。

 検査技師B:「はい、息を大きく吸ってー。はい、息を止めまーす。……はい、撮りました。次は、血液検査になります。隣のバスへどうぞ」
 愛原:「はい」

 何だか本当に健康診断を受けてるみたいだなぁ……。

 愛原:「レントゲンの撮影で、特異菌の感染状況が分かるのですか?」
 善場:「アメリカのルイジアナ州で起きたバイオハザード事件においては、感染者の肺に特異菌が寄生していたというデータがあるそうです。そして、それは感染者が変質化する前には既に撮られていたとのことです」

 つまり、私も感染者であるのなら、肺に何かしらの影が写るということか。
 特に今のところ、変な咳が出るとかは無いんだがな。
 私達が他の検査をしている間、リサ達はバスを降りたようである。

 検査技師C:「それでは血液検査を行います。少し、チクッとするかもしれませんよ」
 愛原:「はい」

 特に、問題は無かった。

 検査技師C:「それでは、今度は隣のワゴン車で、先生による問診です」
 愛原:「分かりました」

 私が隣のワゴン車に行くと、先に高橋が問診を受けていた。

 高橋:「何だか、ネンショーや少刑に入る前の身体検査を思い出しましたよ」
 愛原:「別に番号札持って、写真撮影したわけじゃないだろう?」

 問診も至って普通だった。
 健康診断の時に行われるものとほぼ同じ。
 両目をライトで照らされたり、体に異常が無いかどうか聞かれたり、聴診器を胸や背中に当てられたり、ペンライトとアイスの棒みたいなヤツで口の奥を覗かれた。

 医師:「あとは検査の結果次第ですが、特に心配は無いでしょう」

 とのことだ。

 愛原:「主任、私達は昼食を取っても?」
 善場:「はい、結構です」
 愛原:「リサ達は……」
 善場:「あの2人はもう少し時間が掛かるので、所長達は先に食べててください」
 リサ:「わたしも食べたーい!」
 善場:「あなたはまだ検査項目が残ってるでしょ!全部終わるまで昼食抜き!」
 リサ:「そんなぁ……!」

 後輩BOWには厳しい先輩BOW(元、だけど)であった。

 愛原:「しょうがない。俺達は事務所に戻って弁当食べよう」
 高橋:「そうっスね」

 私達は一旦、事務所に戻ることにした。
 リサ達にも一応、食事は用意しておいてあげなきゃ。

 高橋:「先生、俺達は大丈夫みたいですね」
 愛原:「そのようだな。問題はリサと絵恋さんだが、まあ、俺の予想ではリサも大丈夫だろう。問題は絵恋さんだな。絵恋さんは何がしかの特異菌が見つかるんじゃないかと、俺は思ってる」
 高橋:「俺も同感です。いっそのこと、BSAAに射殺してもらいたいもんですね」
 愛原:「そのBSAAなんだが、欧州本部辺りではキナ臭いことが起こったらしいぞ?」
 高橋:「何スか?」
 愛原:「今年の2月、ルーマニアで起きたバイオハザード事件に投入されたBSAA部隊に、BOWの兵士が使われたらしいんだ」
 高橋:「何スか、それ?リサみたいなヤツを使ったってことっスか?」
 愛原:「分からないが、多分そうなんだろうな。リサだって、大人になれば、善場主任の部下として就職が決まってるしな」

 この時、私はまだBSAA欧州本部の事について、楽観的に捉えていた。
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“愛原リサの日常” 「夏休みの登校日」 3

2021-11-02 20:37:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月16日11:30.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・教育資料館(旧校舎)]

 リサ:「花子大先輩、いますかー?」

 リサは白い仮面を着けて、教育資料館を訪れた。

 花子さん:「おお、来たか」

 リサと同じく、白い仮面を着けてセーラー服を着た“トイレの花子さん”が現れた。

 リサ:「オリンピック観戦、楽しかったですか?」
 花子さん:「まさかこの世にいる間に、2回もオリンピックが観れるとは功徳だな。今度はパラリンピックを観戦するぞ」

 花子さんは校長室に設置されたテレビを指さして言った。

 花子さん:「今ではトイレよりも、ここにいる時間の方が長いくらいだ」
 リサ:「“トイレの花子さん”じゃなくなりましたね」
 花子さん:「それより、憎き白井伝三郎の情報は何か掴んだか?」
 リサ:「まだです。本当に日本にいるのかなぁ……と。先輩は何か思い出されましたか?死ぬ前の人間だった頃の記憶……」
 花子さん:「ダメだ。むしろ、日に日に記憶が薄らいでいくよ。小耳に挟んだ噂では、新校舎だかどこかにも、私みたいな幽霊が棲み付いているらしいな?」
 リサ:「いや、すいません、聞いたことないです。私、霊感は無いんですよ」
 花子さん:「そうか。いや、そいつは長いこと幽霊をやっているうちに、悪霊化してきたというんだな。今もそこにいるのかどうかは分からんが、もしかしたら、私もいずれそうなるのかもしれない」
 リサ:「花子さんは意識がハッキリしていますから、大丈夫なんじゃないですか」
 花子さん:「いや、いずれ私もそうなる。遅いか早いかだけだ。そうなる前に、ここに白井伝三郎を連れて来てもらいたいものだな」
 リサ:「警察か国家機関が逮捕したら、それは無理ですよ」
 花子さん:「ならば、ヤツが逮捕されたら、教えてほしい。オマエの話しぶりからして、かなりの大悪人なのだろう?それが逮捕されれば新聞に載るはずだ。それを持って来てくれればいい」
 リサ:「分かりました。先輩は、ここから出られませんもんね」
 花子さん:「いや、出る方法は1つだけある」
 リサ:「何ですか?」
 花子さん:「オマエに憑依することだ」

 花子さんは青白く冷たい手を、リサの顔に伸ばしてきた。
 思わずリサは、大きく飛び退いた。
 その動きは、さすがBOWといった感じである。
 因みに、ここでのリサは第1形態に戻っている。
 どちらも人外として会っているからだ。

 リサ:「私のこの姿は鬼と呼ばれています。幽霊が鬼に憑りつくなんて、お笑いのネタですよ」
 花子さん:「はは、冗談だ。さすがの私も、憑依するなら人間と思っている。オマエへの憑依は無理だ」
 リサ:「でしょうね。それじゃ、私はこれで」
 花子さん:「その制服、かわいくなったな。私の時なんて、こんな野暮ったいセーラー服だ」
 リサ:「白井は萌えていたようですよ。だから、あなたを模した人体実験者達にセーラー服を着せたんだ」
 花子さん:「気持ち悪い……」

 リサは第0形態に戻り、白い仮面を取った。
 白い仮面は目の部分に横長の切れ込みが入っているだけなので、夏は結構蒸れて暑かったりする。

 絵恋:「お帰り、リサさん」
 リサ:「ただいま」
 絵恋:「花子さんとは会ったの?」
 リサ:「ああ。オリンピック、開会式から閉会式までコンプしたそうだ。今度は、パラリンピック観るんだって」
 絵恋:「テレビが好きなのね」
 リサ:「花子先輩が生きていた頃は、テレビくらいしか無かっただろうからね。私が死んで化けたら、スマホやゲーム機差し入れてもらう」
 絵恋:「リサさんはそんなこと無いから!リサさんはマグナム撃ち込まれても死なないんでしょう!?」
 リサ:「ああ……。まあ、そうだな」

 2人して学校の裏門から出ようとした時だった。

 善場:「登校、ご苦労さま」
 リサ:「善場さん」
 絵恋:「あなたは……」
 善場:「お久しぶりです。NPO法人デイライト東京事務所の善場優菜です。斉藤絵恋さんに、大事なお話があります」
 絵恋:「おあいにくさま、私はリサさんに大事なお話がありますので」
 リサ:「サイトー。善場さんの話、私も一緒に聞く」
 絵恋:「えぇえ?リサさんがそう言うなら、吝かじゃないですがぁ……!」
 善場:「ここでは何ですので、車に乗ってください」

 裏門の前の通りには、黒塗りの高級ミニバンが止まっていた。
 もっとも、絵恋の実家の車の1台と同じ車種なので、絵恋にとっては馴染み深い車種かもしれない。
 また、都内ではたまにタクシー車両に使われていることがあるので、一般人も乗車可能である。

 絵恋:「どこまで行くんですか?」
 善場:「菊川に帰るところでしょう?送って行きますよ」
 絵恋:「はあ……。でも、私、リサさんと昼食……」
 リサ:「サイトー。事務所に行けば、そこで昼食食べれる」
 絵恋:「はあ、分かりました」

 リサ達は車に乗った。

 善場:「じゃ、出して」
 部下:「はい、主任」

 最後に善場が乗り込むと、車が走り出した。

 善場:「斉藤さん、埼玉の実家、リフォーム中なんですって?」
 絵恋:「地下の水道管が故障したので、その修理ですよ。プールが使えなくなって残念です」
 善場:「そう。でも工事しているのは、プールの下じゃないかしら?」
 絵恋:「プールの排水口が詰まったそうで、要はその先の水道管が壊れたわけですから、そうなりますね」
 善場:「ふーん……。最近そのプール、誰か入った?」
 絵恋:「いいえ。これからリサさんと入ろうとしていた矢先に壊れて残念です」
 善場:「あなたはプールの下に行ったことは?」
 絵恋:「は?水道管なんか入れないですよ」
 善場:「誰が水道管だと言ったの?プールの下には、更に地下2階があるんでしょう?」
 絵恋:「ちょっと何仰ってるか分かりません。うちは地下1階までですよ」
 善場:「まあ、いいわ」
 リサ:「サイトー……」

 リサは愛原と高橋が、実際にあのエレベーターで地下2階まで行ったことを言いたい衝動に駆られた。
 実際に絵恋が愛原達の妨害をしたのかの真偽はともかく、地下2階の存在まで否定されると、まるで愛原達が嘘をついていることになってしまうからだった。
 だが、ここでそれを言ってしまうと、余計ややこしくなるような気がしたので、リサは黙っていることにした。
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“慧妙”2021年11月1日号を読んで。

2021-11-02 19:55:58 | 日記
 “慧妙”11月1日号が届いた。
 順不同で感想を述べたいと思う。

 4面のマンガのタイトルが“新・となりの沖田くん”なのに、沖田君が一切登場しないことに、顕正会員や学会員はツッコミを入れても良いかもしれないw
 最近の新規読者は、『沖田君って誰?』って思ってるかもしれないよ。
 アマチュア作家の私だが、さすがにタイトル通りにはしないと。

 1面の体験発表だが、3回も結婚できた妙観講員さん、その経緯をkwsk!

 2面の顕正会教学部の狂学的行動について。
 ぶっちゃけ、浅野氏のことは私は面識は一切無いのでスルーさせて頂く。
 坪田さん、部長にまで出世したのはいいけど、まだいたの!?
 この人とは面識があってね。
 当然向こうは私のことなんて覚えていないだろうけど、何を隠そう、私が初めて顕正会に縁した時の入信勤行の導師役だったんだな。
 まだ本部会館だった頃の東京会館で、時間は夜だった。
 季節は春で、5月くらいだったと思う。
 まだ髪の毛も黒々していて、いかにも敬虔な仏教信者という感じだった。
 今の坪田さんがどんな感じなのかは知らないが、少なくとも“慧妙”を見る限りではだいぶ変わったみたいだね。
 あれから22年になるのか。
 私も歳を取ったし、坪田さんも歳を取った。
 失礼な話ながら、だいぶ髪が薄くなられたようで……い、いや、トチロ~さんのことじゃないっスよ?!
 入信してから足しげく東京会館に通ったが、昼過ぎてから夕勤行の始まる時間前くらいに行くと、坪田さんが会館前の掃除をしていたり、打ち水をしていたりしてね、さすがは敬虔な仏教信者だと思ったものだよ。
 目が合うと、微笑を浮かべながら挨拶してくれたりしてね。
 あの頃の顕正会は楽しかった。
 もちろん、あの当時から謗法団体ではあったが、少なくとも今の顕正会や法華講と比べても面白い所だったんじゃないかな。
 これというのも、克衛さんの存在が大きかったからだろう。

 そういえばケンショーグリーンとして登場して頂いている横田理事も、髪はまだボリュームはあるが、かなりもう白髪が目立っているんだってね。
 あの人は凄く地味な感じで、そのキャラクターがポテンヒットさん不朽の名作、“ケンショーレンジャー”で再現されていたのだが。
 あまりにも面白いので、許可を取って、私の作品で使わせて頂いている。
 残念ながら坪田さんとポテンヒットさんは面識が無かったのが、彼が“ケンショーレンジャー”に登場することはなかった。
 浅野氏は知らんのでスルーさせて頂くが、坪田さんと横田理事には是非とも報恩坊に来て頂きたいものだ。
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