報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰省中の稲生勇太」 2

2022-01-15 20:05:19 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月5日17:34.天候:晴 埼玉県川口市前川 イオンモール川口前川バス停(構内)→国際興業バスSC01系統車内]

 勇太:「わっ、もうこんな時間だ!急がないと!」
 マリア:「ついつい、ゆっくりしちゃったなぁ……」

 2人はイオンモール内で買い物などを楽しんだ。
 大きな物で、尚且つ屋敷で使う物に関しては宅配サービスを使用する。
 その為、爆買いした量に対して、実際の手荷物はそんなに大きくなかった。
 ただ、タクシーにしようかどうか迷うくらいではあったが。

 勇太:「バスが10分に1本出てるし、夕食会場、バスを降りてすぐの所にあるから、バスで行こう」
 マリア:「分かった。多分、日本のバスはアメリカより正確に走るだろう」

 イギリスのバスの方がアメリカより正確だと、暗にマウント取りしていると勇太は思った。
 10分に1本という高頻度運転をしているということは、それだけ利用者が多いということだ。
 イオンモールは地方にも無数に存在するが、その公共アクセスは様々である。
 駅近にある所は少なく、やはり車でのアクセスを念頭に置いてあることが多いようだ。
 但し、かつてダイエーだった所や、イオンスタイルなど、たまに駅近に存在する店舗もある。
 地方によってはイオンモール川口前川のように、路線バスを構内に乗り入れさせたり、独自に送迎バスを運行したりしている店舗もある。

 勇太:「あっ、来た」
 マリア:「夕方でも賑わってるな」
 勇太:「そりゃ、これだけ大きいとねぇ……」

 蕨駅方面からやってきたバスが、ここまでの乗客を降ろして行く。
 それから折り返し便となって、今度は『蕨駅東口』という表示に変わって、乗車場までやってくる。
 下り便にはショッピングセンターを意味する『SC』という系統表示が付くが、上り便には表示が無い。
 バスに乗り込んで、空いている2人席に座る。
 荷物の置き場に困るので、膝の上に乗せてみる。

 マリア:「大丈夫か?」
 勇太:「う、うん。ちょっと前方の視界がアレだけど、何とか……」
 マリア:「勇太が買ったのは鞄に入る程度の大きさだけど、そのペーパーバッグとか、殆ど私が買ったものだよね。ゴメン、持たせちゃって」
 勇太:「いや、いいよ。どうせ、すぐだし……」

 ペーパーバッグの中には、モール内の色々な店で買った物が纏めて入っている。
 勇太の家に置いてある、勇太のキャリーバッグには全部入るだろうが、まさか今日寄る予定には無かったので、それは持って来ていなかった。
 また、ペーパーバッグの中から覗いている白いビニール袋の中身が、マリアの買った新しい下着だということも知っていた。
 後で着て、見せてくれることを期待している。

〔お掴まりください。発車します〕

 発車の時間になり、バスは中扉を閉めて発車した。
 車内は満席になり、立ち客が何人かいるほどだった。
 本数が多いからか、乗客の一部は次の便に乗る為に、この便には乗らず、バス停の前で待つ者もいた。

〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは、蕨駅東口行きです。途中、お降りの方は、お手近のブザーでお知らせください。次はイオンモール川口前川、イオンモール川口前川でございます。……〕

 構内始発の蕨駅行きは、構内のバス停を出た後、改めて県道上の同じ名前のバス停に停車する。

 勇太:「今、向かってるって父さんに連絡しておこう」
 マリア:「私からも師匠に連絡しておいた」
 勇太:「ああ、さっきの無線交信ですか」
 マリア:「無線じゃない!」

 どうしても、マリアが水晶玉で交信しようとすると、まるで無線交信のような会話になる。

 マリア:「会場で落ち合おうということなったそうだ」
 勇太:「一応、僕もメールを送っておいた。やっぱり、そうみたいだね」
 マリア:「恐らくロビーかどこかで待っているんだろう」
 勇太:「何だか、悪いなぁ……」
 マリア:「ちょっと時間配分をミスったか。時間配分なんて殆どしない師匠から怒られることはないと思うが、勇太の両親に迷惑が掛かるのなら謝っておこう」
 勇太:「まあ、このバスがダイヤ通りに着いてくれれば、そんなことはないんだけどね」

[同日17:50.天候:晴 同市内芝新町 蕨駅東口バス停]

 バスは県道111号線を西進する。
 片側1車線のベタな規格の道路だ。
 このバス路線の最大のネックは、県道35号線(産業道路)との交差点である。
 さいたま市大宮区内では地方ローカル国道並みの規格のくせに川口市内では、まるで国道4号線や国道122号線と間違えるほどの規格を誇ることから、そちらが優先道路である。
 つまり、県道111号線側からすれば、青信号が短く、赤信号が長い交差点なのである。
 案の定、ここで足止めをされてしまったので、遅延が発生したことだろう。
 また、111号線自体も、夕方のラッシュで車が多いというのもネックだった。
 それでも何とか、約束の時間には間に合いそうだった。

〔♪♪♪♪。終点、蕨駅東口でございます。お足元に、ご注意ください。ご乗車、ありがとうございました〕

 バス停の手前の交差点に差し掛かった時、勇太の両親とイリーナが歩道を歩いているのが分かった。

 勇太:「あっ、先生達いた」
 マリア:「ちょうど合流できそうだな」

 2人はホッとした。
 そして、バスは降車場代わりにバス停の手前に停車し、そこで前扉を開けた。

 勇太:「大人2人で」
 運転手:「はい。ありがとうございます」

 勇太は手持ちのSuicaで、マリアの分の運賃も払った。

 マリア:「ありがとう」
 勇太:「いえいえ」

 バスを降りると、歩道を歩いているイリーナ達と合流した。

 稲生宗一郎:「遅かったじゃないか。ギリギリだぞ」
 勇太:「ごめんなさい」
 稲生佳子:「こりゃまた随分買ったわねぇ……」
 イリーナ:「私が頼んだ分も入っているはずですので」
 佳子:「あ、そうなんですか」
 宗一郎:「とにかく、早く中に入ろう。さすがに寒い」
 勇太:「それは確かに」

 明らかにバス車内と比べて、外は寒かった。
コメント (1)
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“大魔道師の弟子” 「帰省中の稲生勇太」

2022-01-15 16:02:47 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月5日12:40.天候:晴 埼玉県川口市 ムービックス川口]

〔「……このカプセルはここに置いておこう。2度とバイオテロに使われないように」「善場の姉ちゃんが怒りますよ?」「構わない。リサもいいな?」「うん。先生の言う事は絶対!」(カメラ、ズームアウト。エンディング開始。廃墟となった霧生市の全景が映し出される)〕

 稲生勇太:「終わった終わった」
 マリア:「このシリーズ、いつまで続くんだ?」
 勇太:「どうだろうねぇ……」

 勇太はポップコーンの入っていたカップや、飲み物の入っていた空き容器が置かれているトレイを持った。
 勇太とマリアは市内の映画館で、映画を観ていた。

 マリア:「屋敷から出る度に、映画観賞は鉄板だねぇ」
 勇太:「あ、分かる?」
 マリア:「まあ、いいけど。うちにもホームシアターあるじゃん?」
 勇太:「こういう大スクリーンで観るから面白いんだよ」
 マリア:「そうか。……師匠に凄く頼んだら、屋敷にミニシアターとか造ってくれないかなぁ?」
 勇太:「僕達が造る分には、2つ返事でOKしてくれるとは思うけどね」
 マリア:「まだ私の魔力では、ミニシアターを造ることはできない……」orz
 勇太:「ま、しばらくは映画館に足を運ぶことだね。幸い、映画を観るくらいのお小遣いは貰えてる」
 マリア:「まあな」

 外に出て川口駅方向に向かう。

 勇太:「今日の夕食は、家の近所で食べるらしい。日本料理らしいね」
 マリア:「何だか悪いね。却って気を使わせちゃって……」
 勇太:「いや、いいよ。うちの両親が好きでやってることだし。それに、先生の占いが目的だろうからさ」
 マリア:「それは仕方が無い」

 駅の方に向かう。

 勇太:「昼食はどこにしようかなぁ……」
 マリア:「夕食は日本料理レストランなんだろう?それじゃ、昼食はそれ以外だな」
 勇太:「分かった。そうしよう」

[同日13:00.天候:晴 同市内栄町 マクドナルド川口駅東口店]

 昼はマック。
 テーブル席に向かい合って座る。

 勇太:「先生はまだ寝てる?」
 マリア:「寝てるみたい。よっぽど勇太の家が気に入ったみたいだよ」
 勇太:「何だか、さいたま市よりもわさわさしていて、あんまり落ち着かないんだよね。新築の家ではあるけど……」
 マリア:「うちの毒親が本っ当申し訳ない……」

 さいたま市にあった稲生家、行方不明だったマリアの母親アレックスの魔法によって全壊させられた。
 のみならず、勇太や娘のマリアにも危害を加えようとした廉で、今は大師匠ダンテの監視下に置かれ、冥界(西洋の地獄界)にて禁固中とのこと。
 どこの魔法門にも入門せず、独自に魔法を会得した執念の魔女であった。
 もちろん、ダンテやイリーナから見舞金が出た上、家に掛けられた保険金も出たことで、再建費用には事欠かなかったのだが、そもそも家のあった場所自体、土地がダメになってしまっており(大きなクレーターが発生した上、当然大騒ぎになって、元の場所へ再建することは断念した)、父親の宗一郎の知り合いの不動産業者に土地を用立ててもらって、そこに現在の家を建てた。
 但し、面積はさいたま市時代よりも狭い為、前の家と同じ延べ床面積を確保しようとすると、地上3階、地下1階の家を建てなくてはならなかった。
 もちろんその費用はあったのだが、ホームエレベーターを設置したりして、当初の予算はオーバーしたという(保険金だけでは賄い切れなかったが、イリーナやダンテの見舞い金で何とかなった)。

 勇太:「いや、いいんだよ。マリアのせいじゃない」
 マリア:「私も3階の部屋が好きだ。前の家と同様、シャワールームもあっていい」

 マリアは前の家では、2階にあったシャワールームが気に入り、勇太の実家に泊まる時は、そこで沐浴した。
 それに鑑み、今回の家では3階にシャワールームが設けられた。
 広さは、ネカフェにあるシャワールームと同様のものである。
 但し、前の家のは後付けだった為、脱衣所が無かったが、今の家では脱衣所もある。
 で、3階は勇太の部屋とゲストルームがあった。
 マリアとイリーナは、そのゲストルームに泊まっている。

 勇太:「まだ時間あるな……。次はどこ行こう?」
 マリア:「師匠のせいで、変なエリア縛りがあるからな」

 マリアは自分の水晶玉を取り出した。
 手を翳すと、『Do not go outside Kawaguchi city.However,JR Warabi station is excluded.』という文字が浮かんだ。
 そして、それは勇太のスマホの画面にも現れる。

 勇太:「『川口市より外に出てはならない。但し、JR蕨駅を除く』か。何かあるんだろうか?」
 マリア:「知らない。多分、弟子達が自由に動き回るのが嫌なんじゃない?」
 勇太:「いつも、のほほんとしている先生なのにねぇ……。何か、お土産でも買って行った方がいいんだろうか?」
 マリア:「別にいいよ。今はちゃんと言い付けを守っているんだから」
 勇太:「まあ、そうだね……」
 マリア:「ショッピングモールにでも行こうか。どうせ明日は大雪で身動きが取れない」
 勇太:「分かるの?」
 マリア:「天気予報で言ってた」
 勇太:「その予報、当たり?」
 マリア:「私の占いではね」
 勇太:「そうかぁ……」
 マリア:「この町にもイオンはあるんだろう?」
 勇太:「イオンがいいの?あるよ。取りあえず、電車に乗ろうか」

 昼食のマックを食べ終えると、2人は店を出た。
 そして、川口駅に向かった。

[同日13:42.天候:晴 同市内 JR川口駅→京浜東北線1270C電車1号車内]

〔まもなく2番線に、各駅停車、南浦和行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、西川口に止まります〕

 蕨駅や西川口駅よりも幅の広いホームで電車を待つ。
 それはつまり、それだけ利用者が多いからである。
 とはいえ、平日の昼下がりの時間、南浦和止まりの電車とあらば、車内は空いていた。

〔かわぐち~、川口~。ご乗車、ありがとうございます。次は、西川口に止まります〕

 埼京線のとは色違いのスカイブルーの電車がやってきて、座席のカラーリングもブルー系だ。
 だからなのか、モブキャラ的にいつの間にか現れるマリアの契約悪魔、ベルフェゴールは登場しない。
 彼のシンボルカラーは緑だからだ。
 エレーナの契約悪魔マモンのシンボルが青なので、エレーナが一緒だったら現れたかもしれない。

〔2番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアとホームドアが閉まり、電車は北に向かって走り出した。

〔次は、西川口です〕
〔The next station is Nishi-Kawaguchi.JK40.〕

 勇太:「蕨駅東口から、イオンモール川口前川行きのバスが出てる。それで行こう」
 マリア:「分かった」
 勇太:「というか……映画もそうだけど、イオンモールで爆買いもそうだね」
 マリア:「あー……。屋敷の周りじゃ、村のスーパーくらいしか無いからなぁ……」
 勇太:「そのスーパーもイオン系だからね。凄いもんだよ」
 マリア:「ふーん……。あ、それじゃ、そこのイオンにも100円ショップは?」
 勇太:「あるね。あるある」
 マリア:「爆買い場所はそこだな……」
 勇太:「先生からのお小遣いで、もっと高い物買えそうな気がするけどね」
 マリア:「あと、師匠からのお使いも頼まれてる」
 勇太:「あ、そうなの!?」
 マリア:「期日的には明日でもいいんだけど、明日は大雪だから」
 勇太:「なるほどねぇ……」

 最近の天気予報は精度が上がったことで、よく当たるようになったが、更に魔道士が予知すれば、全くその通りなのだろうと思う勇太だった。
 但し、彼が今のところ、天気の予知をしたことはあまり無い。
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