[1月7日16:15.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 湯快爽快おおみや→タクシー車内]
時間になったので、魔道士3人は退館することにした。
精算して、シューズロッカーの所へ行く。
シューズロッカーからロングブーツを出したイリーナが、エントランスのたたきにそれを置くと、パンプスのように縮んでいた脛の部分がスルスルと伸びて、名実共にロングブーツとなった。
勇太:「タクシー来てますね」
先に建物の外に出た勇太は、『迎車』と書かれたタクシーに駆け寄った。
勇太:「予約していた稲生です」
運転手:「稲生様ですね。どうぞ」
今度はセダンタイプのタクシー。
グレーのモケットが高級感を出しているが、ナンバーは5だ。
マリア:「師匠、ロングブーツは歩きにくいのでは?」
イリーナ:「この歳になると、冬は足元が寒くてねぇ……。こういうブーツでも穿かないと、外を歩けないんだよぉ……」
マリア:「『ロシアより暖かい』とか言ってませんでした?」
イリーナ:「はてさて、そんなこと言ったかねぇ……」
マリア:(ボケたフリしやがって……)
勇太:「先生、どうぞ。こちらへ」
イリーナ:「ありがとう」
席順は同じ。
イリーナが上座の運転席後ろに座り、勇太が助手席に座った。
勇太:「それでは大宮駅までお願いします」
運転手:「かしこりました。西口でよろしいですか?」
勇太:「はい、お願いします」
運転手:「かしこまりました」
タクシーが走り出した。
送迎バスが入って来た所とは、別の出口から出る。
実は送迎バスも、大宮駅行きはそこから出る。
そして公道に出ると左に曲がり、突き当りの県道を送迎バスは右に曲がるのだが、タクシーは左に曲がった。
この県道は道が狭く、いかにマイクロバスであっても、走るのはちょっと……ということもあり、マイクロバスはなるべくバス通りに出て、そこから往路と同じ国道バイパスに出ようとする。
しかし、ルートが決められているバスと違い、タクシーは自由だ。
しかも、狭い道も難無く進む。
タクシーは最短距離を走ろうとする為、例え狭くても県道を進むのが良いと運転手は判断したようだ。
もっとも、県道とはいえ、国道からすれば裏道のようなもの。
国道バイパスはほぼ雪が無くなっている状態だったが、こちらはまだ雪が残っていた。
常に日当たりの悪い所にあっては、今だに凍結しているくらいである。
さすがにそういう所は徐行する。
イリーナ:「あら、マリア。髪がサッパリしてるじゃない。散髪したの?」
マリア:「はい。少し髪が伸びたので」
イリーナ:「勇太君も?」
勇太:「はい。僕もです。あそこ、カットサロンがあるので」
勇太は理容、マリアは美容で利用した。
イリーナ:「フム、そうか。マリアの場合、フェイシャルエステまで受けたようね?」
マリア:「じゅ、10分だけですよ!」
イリーナ:「もっと長い時間のコースで良かったのに……」
マリア:「私はこれで十分です」
イリーナ:「ふーん……」
勇太:「それより、休憩処の方が騒がしかったような気がしますが……」
イリーナ:「そお?気のせいよ」
マリア:「そうそう。パトカーのサイレンの音とか、結構凄かったですよ」
イリーナ:「そうなの?私は寝てて気づかなかったねぇ……」
勇太:「救急車も来てましたよね?」
イリーナ:「さあねぇ……」
マリア:(師匠がスットボケる場合、何かあるな……)
マリアは助手席の後ろに座っている。
このタクシー会社の助手席後ろには、モニタが付いている。
昔はタクシー会社によっては、助手席上にラジオの文字放送やCMが流れる機器を設置していた所もあった。
今はそれに代わり、支払方法も選択できるモニタが付いている。
そこではCMが流れていたのだが……。
ケンショーグリーン:「たっ、助けてください!私は今、生きながら地獄界にいます!嗚呼ッ!馬鬼が!牛鬼の獄卒が追い掛けてきます!助けてください!」
マリア:「huh?」
ケンショーグリーン:「せっ、せめて!美女鬼が沢山いる衆合地獄にしてください!」
馬鬼(馬頭)に捕まった瞬間、画面が切り替わり、再び普通のCMが流れた。
マリア:「師匠?今のは?」
イリーナ:「さあ……?映画の宣伝じゃないかしら?」
衆合地獄には確かに美女鬼が沢山いますが、彼女らの体に触れることはできません。
触れようとすると、美人局の如く、男鬼が現れ、あとは【お察しください】。
[同日16:30.天候:晴 同区内 JR大宮駅]
タクシーは無事に大宮駅西口のロータリーに到着した。
運転手:「ありがとうございます。お支払いは……」
イリーナ:「アタシのカードで」
運転手:「ありがとうございます」
イリーナは運転手に自分のプラチナカードを渡した。
その間、勇太が先に車から降りる。
勇太:「鉄道のダイヤは戻ったのか?まだタクシーが少ないな」
マリア:「さすがに、午前中と比べて雪はだいぶ融けたみたいだからね」
イリーナがタクシーから降りる時、勇太が手を取る。
勇太:「今日はありがとうございます」
イリーナ:「いいんだよ。アタシもリフレッシュできたからね。今度は電車に乗り換えかね?」
勇太:「はい。その前に、荷物を取りに行きませんと」
イリーナ:「そうだったね」
エスカレーターで2階に上がり、コインロッカーに預けていた荷物を回収した。
その荷物の中に隠れていた、ミク人形とハク人形が顔を出す。
勇太:「よしよし。お待たせー」
マリアの人形なのだが、勇太が頭を撫でても嫌がらなくなった。
ダニエラが真っ先に勇太の専属メイド人形になったことは、他のメイド人形達からも異端視されていたが、今ではだいぶ信頼されるようになった。
勇太:「キップは1人ずつ持ちましょう」
イリーナ:「ありがとう」
マリア:「特急“スペーシアきぬがわ”……?」
勇太:「これで新宿まで速く、座って行けるよ」
マリア:「どこかで聞いたことあるような……?」
勇太:「『ダンテ先生を囲む会』で、鬼怒川温泉の帰りに乗った電車だね」
マリア:「ああ!」
勇太:「車両が同じという意味で、行き先は違うけど……」
囲む会の時、帰りは浅草行きに乗ったのだった。
今日は新宿行きに乗る。
勇太:「それでは行きましょう」
キップを片手に、改札口を通過する魔道士3人だった。
時間になったので、魔道士3人は退館することにした。
精算して、シューズロッカーの所へ行く。
シューズロッカーからロングブーツを出したイリーナが、エントランスのたたきにそれを置くと、パンプスのように縮んでいた脛の部分がスルスルと伸びて、名実共にロングブーツとなった。
勇太:「タクシー来てますね」
先に建物の外に出た勇太は、『迎車』と書かれたタクシーに駆け寄った。
勇太:「予約していた稲生です」
運転手:「稲生様ですね。どうぞ」
今度はセダンタイプのタクシー。
グレーのモケットが高級感を出しているが、ナンバーは5だ。
マリア:「師匠、ロングブーツは歩きにくいのでは?」
イリーナ:「この歳になると、冬は足元が寒くてねぇ……。こういうブーツでも穿かないと、外を歩けないんだよぉ……」
マリア:「『ロシアより暖かい』とか言ってませんでした?」
イリーナ:「はてさて、そんなこと言ったかねぇ……」
マリア:(ボケたフリしやがって……)
勇太:「先生、どうぞ。こちらへ」
イリーナ:「ありがとう」
席順は同じ。
イリーナが上座の運転席後ろに座り、勇太が助手席に座った。
勇太:「それでは大宮駅までお願いします」
運転手:「かしこりました。西口でよろしいですか?」
勇太:「はい、お願いします」
運転手:「かしこまりました」
タクシーが走り出した。
送迎バスが入って来た所とは、別の出口から出る。
実は送迎バスも、大宮駅行きはそこから出る。
そして公道に出ると左に曲がり、突き当りの県道を送迎バスは右に曲がるのだが、タクシーは左に曲がった。
この県道は道が狭く、いかにマイクロバスであっても、走るのはちょっと……ということもあり、マイクロバスはなるべくバス通りに出て、そこから往路と同じ国道バイパスに出ようとする。
しかし、ルートが決められているバスと違い、タクシーは自由だ。
しかも、狭い道も難無く進む。
タクシーは最短距離を走ろうとする為、例え狭くても県道を進むのが良いと運転手は判断したようだ。
もっとも、県道とはいえ、国道からすれば裏道のようなもの。
国道バイパスはほぼ雪が無くなっている状態だったが、こちらはまだ雪が残っていた。
常に日当たりの悪い所にあっては、今だに凍結しているくらいである。
さすがにそういう所は徐行する。
イリーナ:「あら、マリア。髪がサッパリしてるじゃない。散髪したの?」
マリア:「はい。少し髪が伸びたので」
イリーナ:「勇太君も?」
勇太:「はい。僕もです。あそこ、カットサロンがあるので」
勇太は理容、マリアは美容で利用した。
イリーナ:「フム、そうか。マリアの場合、フェイシャルエステまで受けたようね?」
マリア:「じゅ、10分だけですよ!」
イリーナ:「もっと長い時間のコースで良かったのに……」
マリア:「私はこれで十分です」
イリーナ:「ふーん……」
勇太:「それより、休憩処の方が騒がしかったような気がしますが……」
イリーナ:「そお?気のせいよ」
マリア:「そうそう。パトカーのサイレンの音とか、結構凄かったですよ」
イリーナ:「そうなの?私は寝てて気づかなかったねぇ……」
勇太:「救急車も来てましたよね?」
イリーナ:「さあねぇ……」
マリア:(師匠がスットボケる場合、何かあるな……)
マリアは助手席の後ろに座っている。
このタクシー会社の助手席後ろには、モニタが付いている。
昔はタクシー会社によっては、助手席上にラジオの文字放送やCMが流れる機器を設置していた所もあった。
今はそれに代わり、支払方法も選択できるモニタが付いている。
そこではCMが流れていたのだが……。
ケンショーグリーン:「たっ、助けてください!私は今、生きながら地獄界にいます!嗚呼ッ!馬鬼が!牛鬼の獄卒が追い掛けてきます!助けてください!」
マリア:「huh?」
ケンショーグリーン:「せっ、せめて!美女鬼が沢山いる衆合地獄にしてください!」
馬鬼(馬頭)に捕まった瞬間、画面が切り替わり、再び普通のCMが流れた。
マリア:「師匠?今のは?」
イリーナ:「さあ……?映画の宣伝じゃないかしら?」
衆合地獄には確かに美女鬼が沢山いますが、彼女らの体に触れることはできません。
触れようとすると、美人局の如く、男鬼が現れ、あとは【お察しください】。
[同日16:30.天候:晴 同区内 JR大宮駅]
タクシーは無事に大宮駅西口のロータリーに到着した。
運転手:「ありがとうございます。お支払いは……」
イリーナ:「アタシのカードで」
運転手:「ありがとうございます」
イリーナは運転手に自分のプラチナカードを渡した。
その間、勇太が先に車から降りる。
勇太:「鉄道のダイヤは戻ったのか?まだタクシーが少ないな」
マリア:「さすがに、午前中と比べて雪はだいぶ融けたみたいだからね」
イリーナがタクシーから降りる時、勇太が手を取る。
勇太:「今日はありがとうございます」
イリーナ:「いいんだよ。アタシもリフレッシュできたからね。今度は電車に乗り換えかね?」
勇太:「はい。その前に、荷物を取りに行きませんと」
イリーナ:「そうだったね」
エスカレーターで2階に上がり、コインロッカーに預けていた荷物を回収した。
その荷物の中に隠れていた、ミク人形とハク人形が顔を出す。
勇太:「よしよし。お待たせー」
マリアの人形なのだが、勇太が頭を撫でても嫌がらなくなった。
ダニエラが真っ先に勇太の専属メイド人形になったことは、他のメイド人形達からも異端視されていたが、今ではだいぶ信頼されるようになった。
勇太:「キップは1人ずつ持ちましょう」
イリーナ:「ありがとう」
マリア:「特急“スペーシアきぬがわ”……?」
勇太:「これで新宿まで速く、座って行けるよ」
マリア:「どこかで聞いたことあるような……?」
勇太:「『ダンテ先生を囲む会』で、鬼怒川温泉の帰りに乗った電車だね」
マリア:「ああ!」
勇太:「車両が同じという意味で、行き先は違うけど……」
囲む会の時、帰りは浅草行きに乗ったのだった。
今日は新宿行きに乗る。
勇太:「それでは行きましょう」
キップを片手に、改札口を通過する魔道士3人だった。