[1月8日07:00.天候:晴 東京都渋谷区代々木 ホテルサンルートプラザ新宿(マリアとイリーナの部屋)]
師匠より先に起床するのが弟子の使命。
先に起きたマリアは身支度を整えて、それからイリーナを起こすことにした。
同じ部屋で弟子がバタバタやっていても、イリーナは起きなかった。
マリア:「師匠、時間ですよ。起きてください。師匠」
マリアはイリーナを揺り動かした。
イリーナ:「ううん……あと5分……」
マリア:(またか)
マリアは自分の水晶玉を取り出した。
マリア:「……どうか、よろしくお願いします」
そして、水晶玉に映る人物に一言何かを告げる。
それから、室内のテレビを点けた。
何も映らないチャンネルであったが……。
ダンテ:「やあ、おはよう。イリーナ」
イリーナ:「ダンテ先生?!」
自分の師匠の声がして、イリーナは飛び起きる。
そして、青ざめた顔で声のした方を見ると、テレビ画面にダンテが映っていた。
姿は七変化できるダンテだが、今はデフォルトの初老の紳士の姿をしている。
髪は白い短髪。
しかし肌は中東系のような浅黒さである。
ダンテ:「キミの寝坊癖は見習いの頃からだったが、弟子に迷惑を掛けてはイカンな。特に、キミ達が潜伏している国、日本は世界一時間に厳しい国。その為、“魔の者”は日本には行けないが、だからといってルーズに過ごして良いわけではない。分かるね?」
イリーナ:「も、申し訳ございません!」
イリーナは飛び起きて、カーペットの床に片膝をつき、頭を垂れた。
マリア:(日本は世界一時間に厳しい国だから、“魔の者”は入って来れない?どういうことだ?)
同じく片膝をついているマリアは、大師匠の言葉に首を傾げた。
ダンテ:「そういうわけだ。今後も精進して行くように」
マリア:「Yes,sir.(御意)」
イリーナ:「仰せのままに……」
テレビ画面が消えた。
イリーナ:「あ~、ビックリしたー!ちょっと、マリア!これは一体、どういうこと!?」
マリア:「わ、私もビックリしましたよ!さっき朝の身支度をしていたら、水晶玉に着信があって、出てみたら大師匠様だったんです。すぐに師匠を起こそうしたんですが、『起床時刻は何時だ?』と聞かれましたので、『今日は7時です』とお答えしたら、さっきのようにやれとの御命令で……」
イリーナ:「全く。ダンテ先生もお茶目さんねぇ……。時折ああして、抜き打ちで様子を見に来るのよ。心臓に悪いわ」
イリーナはブツクサ文句を言いながら、再びベッドに入ろうとした。
マリア:「ちょっと、師匠……」
マリアがツッコミを入れようとした時だった。
ダンテ:「いいから早く起きなさい、キミ」
と、またテレビ画面にダンテが現れる。
イリーナ:「はいーっ!」
飛び起きようとしたら、ベッドから落ちたイリーナだった。
[同日07:30.天候:晴 同ホテル→JR新宿駅]
マリア:「……ということがあったんだ」
勇太:「そうだったんですか。それは大変でしたねぇ」
イリーナ:「朝から心臓に悪いわ。あれなら、まだ魔女狩りが襲撃してくる方がマシよ」
勇太:「は、はあ……」
エレベーターに乗って1階まで下りる。
そして、フロントに行ってチェックアウトの手続きをした。
勇太:「昔はレストランの飲食代も、エステの料金も、全部フロントで払えたんですよね?」
イリーナ:「そうね。今でも、まだそういう所はあるでしょう」
ここではレストランでもエステサロンでも、料金はその都度請求された。
なので、フロントでは特に追加料金を請求されることはなかった。
イリーナ:「マッサージ自体は、部屋でも頼めたのね」
勇太:「そのようですね。でも、サロンの方が良かったのでは?」
イリーナ:「そうね。アタシも気分転換できたし、あなた達も楽しめたでしょう?」
勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
マリア:(ちっ、やっぱバレてるか……)
イリーナ:「避妊具は使い切ったの?」
勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
マリア:「勇太!」
往路の道を引き返すようにして、新宿駅の南口に入る。
ここは、よくテレビ中継なんかが行われる場所だ。
特に、台風や大雪などの時、首都圏の鉄道情報などを伝える時にロケされることが多い。
これの他だと、新橋駅前SL広場が有名だろう。
勇太:「キップは1人ずつ持ちましょう」
イリーナ:「おっ、ありがとう」
改札口の前で、勇太は帰りの列車のキップをマリアとイリーナに渡した。
イリーナはグリーン車だ。
マリア:「勇太、レストランで朝食が取れなかったから、ここで買って行くんでしょう?」
勇太:「そうそう。駅弁買って行きましょう」
マリア:「あ、勇太。駅弁の前に、ちょっと買って行きたいものがある」
マリアはコンコース内のNEWDAYSを指さした。
勇太:「そうか。実は、僕も……」
イリーナ:「あいよ。私ゃ、店の外で待ってるよ」
イリーナはすぐにピンと来た。
イリーナ:(マリア、そろそろ生理用品が切れそうだからね。ここで買い足して行くか。で、勇太君はコンドームでも買い足して行くのかな?)
これから乗る電車は、白馬駅まで乗り換え無し。
そして、駅前にはもう車の迎えが来ているから、あとは屋敷まで直行。
調達したいものがあれば、この新宿駅構内で完結さなければならない。
平日なら通勤客でごった返している駅構内だが、今日は土曜日ということもあって、人の多さは相変わらずだが、平日ほどではなかった。
客層も通勤客は半減し、行楽客が倍増している。
勇太:「お待たせしました」
マリア:「お待たせしました」
イリーナ:「いいよ。それじゃ、次こそは駅弁かね?」
勇太:「はい。向こうで売ってますので」
買った物は、早々に自分達の手荷物の中に入れている。
それから同じコンコース内にある駅弁屋“頂”に向かった。
ここはNEWDAYS以上に賑わっている。
勇太達と同じく、これから長距離旅行をする客達だろう。
この時間だと、中央本線の特急“あずさ”と成田空港行きの特急“成田エクスプレス”が出ている。
もっとも、“成田エクスプレス”はコロナ禍で閑古鳥だろう。
感染者数が減った時には、少し盛り返した所もあるが、それはあくまでも国内旅行だ。
羽田空港は一瞬また賑わいを取り戻したとしても、成田空港はそうもいかないだろう。
勇太:「何にしますか?」
イリーナ:「いいよ。勇太君達の好きなの選んで」
和風テイストの駅弁売り場。
マリア:「こういうのも、ルーシーは喜ぶ」
と、マリアは勇太に外観の写真を撮らせた。
勇太:「早く日本に来られるようになるといいねぇ」
イリーナ:「何がいい?」
勇太:「朝から肉は重いかな……」
マリア:「じゃあ、魚にするか」
勇太:「やっぱり“深川めし”かなぁ……。僕はどっちかっていうと、JR東海版の方が好きなんだけど……」
同じ“深川めし”でも、JR東日本版とJR東海版で違うのだ。
マリア:「私はチキン弁当でいいや」
勇太:「ほおほお。先生は?」
イリーナ:「この、カニとイクラにしてくれるかい?」
勇太:「分かりました」
勇太が代表してレジで会計しに行った。
勇太:「それじゃ、行きましょう」
もちろん、ついでに飲み物も買うのは忘れない。
この駅弁屋の横に、特急ホームの9番線と10番線がある。
駅弁を手に、エスカレーターに乗ってホームに降りる魔道士達だった。
師匠より先に起床するのが弟子の使命。
先に起きたマリアは身支度を整えて、それからイリーナを起こすことにした。
同じ部屋で弟子がバタバタやっていても、イリーナは起きなかった。
マリア:「師匠、時間ですよ。起きてください。師匠」
マリアはイリーナを揺り動かした。
イリーナ:「ううん……あと5分……」
マリア:(またか)
マリアは自分の水晶玉を取り出した。
マリア:「……どうか、よろしくお願いします」
そして、水晶玉に映る人物に一言何かを告げる。
それから、室内のテレビを点けた。
何も映らないチャンネルであったが……。
ダンテ:「やあ、おはよう。イリーナ」
イリーナ:「ダンテ先生?!」
自分の師匠の声がして、イリーナは飛び起きる。
そして、青ざめた顔で声のした方を見ると、テレビ画面にダンテが映っていた。
姿は七変化できるダンテだが、今はデフォルトの初老の紳士の姿をしている。
髪は白い短髪。
しかし肌は中東系のような浅黒さである。
ダンテ:「キミの寝坊癖は見習いの頃からだったが、弟子に迷惑を掛けてはイカンな。特に、キミ達が潜伏している国、日本は世界一時間に厳しい国。その為、“魔の者”は日本には行けないが、だからといってルーズに過ごして良いわけではない。分かるね?」
イリーナ:「も、申し訳ございません!」
イリーナは飛び起きて、カーペットの床に片膝をつき、頭を垂れた。
マリア:(日本は世界一時間に厳しい国だから、“魔の者”は入って来れない?どういうことだ?)
同じく片膝をついているマリアは、大師匠の言葉に首を傾げた。
ダンテ:「そういうわけだ。今後も精進して行くように」
マリア:「Yes,sir.(御意)」
イリーナ:「仰せのままに……」
テレビ画面が消えた。
イリーナ:「あ~、ビックリしたー!ちょっと、マリア!これは一体、どういうこと!?」
マリア:「わ、私もビックリしましたよ!さっき朝の身支度をしていたら、水晶玉に着信があって、出てみたら大師匠様だったんです。すぐに師匠を起こそうしたんですが、『起床時刻は何時だ?』と聞かれましたので、『今日は7時です』とお答えしたら、さっきのようにやれとの御命令で……」
イリーナ:「全く。ダンテ先生もお茶目さんねぇ……。時折ああして、抜き打ちで様子を見に来るのよ。心臓に悪いわ」
イリーナはブツクサ文句を言いながら、再びベッドに入ろうとした。
マリア:「ちょっと、師匠……」
マリアがツッコミを入れようとした時だった。
ダンテ:「いいから早く起きなさい、キミ」
と、またテレビ画面にダンテが現れる。
イリーナ:「はいーっ!」
飛び起きようとしたら、ベッドから落ちたイリーナだった。
[同日07:30.天候:晴 同ホテル→JR新宿駅]
マリア:「……ということがあったんだ」
勇太:「そうだったんですか。それは大変でしたねぇ」
イリーナ:「朝から心臓に悪いわ。あれなら、まだ魔女狩りが襲撃してくる方がマシよ」
勇太:「は、はあ……」
エレベーターに乗って1階まで下りる。
そして、フロントに行ってチェックアウトの手続きをした。
勇太:「昔はレストランの飲食代も、エステの料金も、全部フロントで払えたんですよね?」
イリーナ:「そうね。今でも、まだそういう所はあるでしょう」
ここではレストランでもエステサロンでも、料金はその都度請求された。
なので、フロントでは特に追加料金を請求されることはなかった。
イリーナ:「マッサージ自体は、部屋でも頼めたのね」
勇太:「そのようですね。でも、サロンの方が良かったのでは?」
イリーナ:「そうね。アタシも気分転換できたし、あなた達も楽しめたでしょう?」
勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
マリア:(ちっ、やっぱバレてるか……)
イリーナ:「避妊具は使い切ったの?」
勇太:「は、はは……。おかげさまで……」
マリア:「勇太!」
往路の道を引き返すようにして、新宿駅の南口に入る。
ここは、よくテレビ中継なんかが行われる場所だ。
特に、台風や大雪などの時、首都圏の鉄道情報などを伝える時にロケされることが多い。
これの他だと、新橋駅前SL広場が有名だろう。
勇太:「キップは1人ずつ持ちましょう」
イリーナ:「おっ、ありがとう」
改札口の前で、勇太は帰りの列車のキップをマリアとイリーナに渡した。
イリーナはグリーン車だ。
マリア:「勇太、レストランで朝食が取れなかったから、ここで買って行くんでしょう?」
勇太:「そうそう。駅弁買って行きましょう」
マリア:「あ、勇太。駅弁の前に、ちょっと買って行きたいものがある」
マリアはコンコース内のNEWDAYSを指さした。
勇太:「そうか。実は、僕も……」
イリーナ:「あいよ。私ゃ、店の外で待ってるよ」
イリーナはすぐにピンと来た。
イリーナ:(マリア、そろそろ生理用品が切れそうだからね。ここで買い足して行くか。で、勇太君はコンドームでも買い足して行くのかな?)
これから乗る電車は、白馬駅まで乗り換え無し。
そして、駅前にはもう車の迎えが来ているから、あとは屋敷まで直行。
調達したいものがあれば、この新宿駅構内で完結さなければならない。
平日なら通勤客でごった返している駅構内だが、今日は土曜日ということもあって、人の多さは相変わらずだが、平日ほどではなかった。
客層も通勤客は半減し、行楽客が倍増している。
勇太:「お待たせしました」
マリア:「お待たせしました」
イリーナ:「いいよ。それじゃ、次こそは駅弁かね?」
勇太:「はい。向こうで売ってますので」
買った物は、早々に自分達の手荷物の中に入れている。
それから同じコンコース内にある駅弁屋“頂”に向かった。
ここはNEWDAYS以上に賑わっている。
勇太達と同じく、これから長距離旅行をする客達だろう。
この時間だと、中央本線の特急“あずさ”と成田空港行きの特急“成田エクスプレス”が出ている。
もっとも、“成田エクスプレス”はコロナ禍で閑古鳥だろう。
感染者数が減った時には、少し盛り返した所もあるが、それはあくまでも国内旅行だ。
羽田空港は一瞬また賑わいを取り戻したとしても、成田空港はそうもいかないだろう。
勇太:「何にしますか?」
イリーナ:「いいよ。勇太君達の好きなの選んで」
和風テイストの駅弁売り場。
マリア:「こういうのも、ルーシーは喜ぶ」
と、マリアは勇太に外観の写真を撮らせた。
勇太:「早く日本に来られるようになるといいねぇ」
イリーナ:「何がいい?」
勇太:「朝から肉は重いかな……」
マリア:「じゃあ、魚にするか」
勇太:「やっぱり“深川めし”かなぁ……。僕はどっちかっていうと、JR東海版の方が好きなんだけど……」
同じ“深川めし”でも、JR東日本版とJR東海版で違うのだ。
マリア:「私はチキン弁当でいいや」
勇太:「ほおほお。先生は?」
イリーナ:「この、カニとイクラにしてくれるかい?」
勇太:「分かりました」
勇太が代表してレジで会計しに行った。
勇太:「それじゃ、行きましょう」
もちろん、ついでに飲み物も買うのは忘れない。
この駅弁屋の横に、特急ホームの9番線と10番線がある。
駅弁を手に、エスカレーターに乗ってホームに降りる魔道士達だった。