[1月5日15:40.天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
首都高を新橋出入口で降り、そこから近くのコインパーキングに車を止める。
平日なので空いているかどうか心配だったが、何とか空いている駐車場があった。
そこに車を止めて、デイライトの事務所が入っているテナントビルに向かう。
何とか車中、リサを宥めるのが大変だった。
善場:「愛原所長、お疲れ様です。退院、おめでとうございます」
事務所に到着すると会議室に通され、そこで待っていると、善場主任がやってきた。
愛原:「あ、善場主任。どうも、この度はお騒がせを……」
善場:「愛原所長の責任ではありませんので、どうかお気になさらないでください。逆に言えば、おかげさまで白井理事長を拘束することができましたので」
愛原:「白井理事長って、白井伝三郎の姪の……?」
善場:「そうです」
愛原:「拘束したんですか?何で?」
善場:「BSAAの待機命令に背いた廉です。愛原所長が襲われていた時、BSAAが駆け付けました」
愛原:「あ、はい。それは以前に聞いております」
善場:「その際、BSAAはホテル敷地内にいる人達全員に待機命令を出しました。これは法的拘束力のあるものです」
高橋:「コロナの自粛要請の1つだと勘違いしているオッサン達が文句言ってて、ついでに連行されてましたよ?w」
高橋は莫迦にするような笑みを浮かべて言った。
愛原:「ということは、白井理事長はBSAAの命令を無視して、敷地外に出ようとしたと?」
善場:「はい。それも、ヘリで脱出しようとしていたので、ヘリごと撃墜されてましたが」
愛原:「凄ェな、BSAA!死んでないですよね?」
善場:「数メートル離陸した時点で撃墜されたので、そんなに大きなケガはしなかったようですね」
愛原:「BSAA相手に、随分と度胸あるなぁ!」
善場:「現在、栃木県警にて取調中ですが、『弁護士が来てから話をします』の1点張りだそうです」
外国だとBSAAそれぞれの本部や支部、場所によっては地区本部がそのまま捜査権を持つのであるが、日本ではそこまで批准していない為(BSAAの国内活動そのものについては、米国の圧力もあり批准している)、バイオテロ絡みでBSAAに拘束されても、その後はそこを管轄している警察に引き渡されることになっている。
あそこは栃木県那須塩原市である為、栃木県警になる。
善場:「『BSAAの待機命令が及ぶ範囲はホテルの敷地内であって、隣接する天長会宗教施設ではない』とか、『私はその宗教施設で宗教儀式をしていただけだ』とかも言っているようです」
愛原:「ムリがありますな」
そもそもがホテル天長園自体、宗教法人天長会が運営する施設だ。
一般客も宿泊できるが、表向きは天長会の合宿所ということになっている。
なので、そこも宗教施設として税金が優遇されているはずである。
ということは、BSAAの待機命令は『天長会の施設』ということなり、当然ながらそうなると、『ホテルだけではなく、隣接する宗教施設も』ということになるわけである。
隣接と表現したが、あくまでも建物が隣接というだけであり、土地は同じである。
そういうわけで、白井理事長の言い訳は苦しいのである。
理事長が雇う弁護士は、どういう言い訳をするか見ものだがな。
善場:「まあ、そういうわけで、白井理事長の逮捕は別件ではありますが、日本アンブレラの悪行について、五十嵐元社長らよりも最も深く知る白井伝三郎の身内が逮捕できたのは、大きな前進です」
白井伝三郎には、他に医療関係に従事している兄弟がいるものの、日本アンブレラとは全く関係が無いことが分かっている。
強いて言えば、医師や歯科医師として、日本アンブレラの薬を治療に使用または処方していたということくらいだが、それらは全てちゃんと厚生労働省から認可されている薬ばかりなので、全く問題は無い。
善場:「この報酬も、後で支払わせて頂きます」
愛原:「私は何もしていないのに、いいんですかね」
善場:「所長が以前から内偵調査をして頂いていたのと同じですから」
愛原:「内偵調査ね……」
善場:「それではそろそろ、当時の状況をお聞きしたいと思います。1人ずつ、隣の応接室で伺いますので、まずは高橋助手からお願いします」
高橋:「俺から?」
善場:「恐らくあなたが短く話が終わりそうですので」
高橋:「そういうもんか?」
愛原:「高橋、行ってこい」
高橋:「分かりました」
高橋は大浴場で私が先に上がってから、体に痛みを感じた。
それで慌てて上がろうとしたのだが、突然貧血のような症状が現れて、倒れてしまい、浴槽へダイブ。
それに気づいた他の宿泊客が救助してくれたようだ。
長湯などによる『のぼせ』も貧血の症状の1つなので、それで他の宿泊客は高橋がのぼせたと思ったのだろう。
あとは、救護室に運ばれるまでの記憶が無い。
一時期意識不明になり、気が付いたら救護室のベッドだったからだ。
善場:「お次は、愛原所長です」
愛原:「あ、はい」
因みに待っている間、私とリサが2人っきりになってしまったが、今度はリサは一転して私に無関心であり、私が呼び出されるまで、ずっとスマホをいじっていた。
愛原:「高橋と別れて、脱衣場に行ったんですよ。で、先に浴衣を着ようとロッカーを開けたら、メモが入ってまして……」
善場:「どんなメモですか?」
愛原:「『湯上り処で待つ 白井』というメモです」
善場:「1人で行かれたんですか?」
愛原:「湯上り処なら、脱衣所から出てすぐの所にありますし、他の宿泊客もいるだろうから大丈夫だと思ったんです」
善場:「そこに白井はいましたか?」
愛原:「いませんでした。いたのは、あの女将さんです。『白井理事長がお待ちです。ご案内致します』と言われ、そのまま付いていきました」
善場:「高橋助手やリサと一緒に行こうとはしなかったのですか?」
愛原:「それが、女将さんが、『白井理事長は愛原様と2人でお話ししたいそうです。高橋様方には、私からお話ししておきます』ということだったもので……」
そして私は、従業員用のバックヤードにあるエレベーターに乗ったのだが、その直後、甘い香りが漂って来たと思うと、そこで意識が無くなってしまった。
そして、夢の中で女将さんに犯されていたと思うと、もうあとは【お察しください】。
善場:「……分かりました。ただ単に、『捕食』されただけではなく、『所有の証』も付けられたのですね?」
愛原:「『所有の証』!?」
善場:「日本版リサ・トレヴァー……つまり、『最も危険な12人の巫女達』に共通するのですが、最も気に入った人間には、マーキングする習性があるようです」
愛原:「そ、そういえば、『1番』に捕まった時、オシッコ掛けられた記憶が……」
JCの少女にベッドに拘束され、大股で立ちションされたのだ。
この時は、如何に『1番』の性癖が歪んでいるかということだったが、どうやら『最も危険な巫女』には、そもそもそういう習性が植え付けられているらしい。
それが女将さんは歯形や引っ掻き傷だったわけである。
リサもそうしようとしたことから、そこは姉妹だということだろうか。
愛原:「これは……大丈夫なんでしょうか?」
善場:「所長にはTウィルスの抗体がありますし、リサからGウィルスの寄生虫を植え付けられたことがありましたでしょう?そのおかげで、今はGウィルスの抗体もありますから、しばらくすればその傷は治るはずです」
愛原:「それは良かった……」
私はホッとした。
因みにその寄生虫は、グリーンハーブを煎じた虫下しを使用して排除している。
回復薬として名高いグリーンハーブであるが、実は虫下しの効能もあることが分かっている。
そしてそれは、リサのウィルスに感染した寄生虫であっても効果がある。
善場:「ありがとうございました。それでは最後にリサですね」
最後にリサが呼ばれた。
意外なことに、リサが一番時間が掛かった。
その為、デイライトの事務所を出る頃には、もう外は暗くなっていたのである。
首都高を新橋出入口で降り、そこから近くのコインパーキングに車を止める。
平日なので空いているかどうか心配だったが、何とか空いている駐車場があった。
そこに車を止めて、デイライトの事務所が入っているテナントビルに向かう。
何とか車中、リサを宥めるのが大変だった。
善場:「愛原所長、お疲れ様です。退院、おめでとうございます」
事務所に到着すると会議室に通され、そこで待っていると、善場主任がやってきた。
愛原:「あ、善場主任。どうも、この度はお騒がせを……」
善場:「愛原所長の責任ではありませんので、どうかお気になさらないでください。逆に言えば、おかげさまで白井理事長を拘束することができましたので」
愛原:「白井理事長って、白井伝三郎の姪の……?」
善場:「そうです」
愛原:「拘束したんですか?何で?」
善場:「BSAAの待機命令に背いた廉です。愛原所長が襲われていた時、BSAAが駆け付けました」
愛原:「あ、はい。それは以前に聞いております」
善場:「その際、BSAAはホテル敷地内にいる人達全員に待機命令を出しました。これは法的拘束力のあるものです」
高橋:「コロナの自粛要請の1つだと勘違いしているオッサン達が文句言ってて、ついでに連行されてましたよ?w」
高橋は莫迦にするような笑みを浮かべて言った。
愛原:「ということは、白井理事長はBSAAの命令を無視して、敷地外に出ようとしたと?」
善場:「はい。それも、ヘリで脱出しようとしていたので、ヘリごと撃墜されてましたが」
愛原:「凄ェな、BSAA!死んでないですよね?」
善場:「数メートル離陸した時点で撃墜されたので、そんなに大きなケガはしなかったようですね」
愛原:「BSAA相手に、随分と度胸あるなぁ!」
善場:「現在、栃木県警にて取調中ですが、『弁護士が来てから話をします』の1点張りだそうです」
外国だとBSAAそれぞれの本部や支部、場所によっては地区本部がそのまま捜査権を持つのであるが、日本ではそこまで批准していない為(BSAAの国内活動そのものについては、
あそこは栃木県那須塩原市である為、栃木県警になる。
善場:「『BSAAの待機命令が及ぶ範囲はホテルの敷地内であって、隣接する天長会宗教施設ではない』とか、『私はその宗教施設で宗教儀式をしていただけだ』とかも言っているようです」
愛原:「ムリがありますな」
そもそもがホテル天長園自体、宗教法人天長会が運営する施設だ。
一般客も宿泊できるが、表向きは天長会の合宿所ということになっている。
なので、そこも宗教施設として税金が優遇されているはずである。
ということは、BSAAの待機命令は『天長会の施設』ということなり、当然ながらそうなると、『ホテルだけではなく、隣接する宗教施設も』ということになるわけである。
隣接と表現したが、あくまでも建物が隣接というだけであり、土地は同じである。
そういうわけで、白井理事長の言い訳は苦しいのである。
理事長が雇う弁護士は、どういう言い訳をするか見ものだがな。
善場:「まあ、そういうわけで、白井理事長の逮捕は別件ではありますが、日本アンブレラの悪行について、五十嵐元社長らよりも最も深く知る白井伝三郎の身内が逮捕できたのは、大きな前進です」
白井伝三郎には、他に医療関係に従事している兄弟がいるものの、日本アンブレラとは全く関係が無いことが分かっている。
強いて言えば、医師や歯科医師として、日本アンブレラの薬を治療に使用または処方していたということくらいだが、それらは全てちゃんと厚生労働省から認可されている薬ばかりなので、全く問題は無い。
善場:「この報酬も、後で支払わせて頂きます」
愛原:「私は何もしていないのに、いいんですかね」
善場:「所長が以前から内偵調査をして頂いていたのと同じですから」
愛原:「内偵調査ね……」
善場:「それではそろそろ、当時の状況をお聞きしたいと思います。1人ずつ、隣の応接室で伺いますので、まずは高橋助手からお願いします」
高橋:「俺から?」
善場:「恐らくあなたが短く話が終わりそうですので」
高橋:「そういうもんか?」
愛原:「高橋、行ってこい」
高橋:「分かりました」
高橋は大浴場で私が先に上がってから、体に痛みを感じた。
それで慌てて上がろうとしたのだが、突然貧血のような症状が現れて、倒れてしまい、浴槽へダイブ。
それに気づいた他の宿泊客が救助してくれたようだ。
長湯などによる『のぼせ』も貧血の症状の1つなので、それで他の宿泊客は高橋がのぼせたと思ったのだろう。
あとは、救護室に運ばれるまでの記憶が無い。
一時期意識不明になり、気が付いたら救護室のベッドだったからだ。
善場:「お次は、愛原所長です」
愛原:「あ、はい」
因みに待っている間、私とリサが2人っきりになってしまったが、今度はリサは一転して私に無関心であり、私が呼び出されるまで、ずっとスマホをいじっていた。
愛原:「高橋と別れて、脱衣場に行ったんですよ。で、先に浴衣を着ようとロッカーを開けたら、メモが入ってまして……」
善場:「どんなメモですか?」
愛原:「『湯上り処で待つ 白井』というメモです」
善場:「1人で行かれたんですか?」
愛原:「湯上り処なら、脱衣所から出てすぐの所にありますし、他の宿泊客もいるだろうから大丈夫だと思ったんです」
善場:「そこに白井はいましたか?」
愛原:「いませんでした。いたのは、あの女将さんです。『白井理事長がお待ちです。ご案内致します』と言われ、そのまま付いていきました」
善場:「高橋助手やリサと一緒に行こうとはしなかったのですか?」
愛原:「それが、女将さんが、『白井理事長は愛原様と2人でお話ししたいそうです。高橋様方には、私からお話ししておきます』ということだったもので……」
そして私は、従業員用のバックヤードにあるエレベーターに乗ったのだが、その直後、甘い香りが漂って来たと思うと、そこで意識が無くなってしまった。
そして、夢の中で女将さんに犯されていたと思うと、もうあとは【お察しください】。
善場:「……分かりました。ただ単に、『捕食』されただけではなく、『所有の証』も付けられたのですね?」
愛原:「『所有の証』!?」
善場:「日本版リサ・トレヴァー……つまり、『最も危険な12人の巫女達』に共通するのですが、最も気に入った人間には、マーキングする習性があるようです」
愛原:「そ、そういえば、『1番』に捕まった時、オシッコ掛けられた記憶が……」
JCの少女にベッドに拘束され、大股で立ちションされたのだ。
この時は、如何に『1番』の性癖が歪んでいるかということだったが、どうやら『最も危険な巫女』には、そもそもそういう習性が植え付けられているらしい。
それが女将さんは歯形や引っ掻き傷だったわけである。
リサもそうしようとしたことから、そこは姉妹だということだろうか。
愛原:「これは……大丈夫なんでしょうか?」
善場:「所長にはTウィルスの抗体がありますし、リサからGウィルスの寄生虫を植え付けられたことがありましたでしょう?そのおかげで、今はGウィルスの抗体もありますから、しばらくすればその傷は治るはずです」
愛原:「それは良かった……」
私はホッとした。
因みにその寄生虫は、グリーンハーブを煎じた虫下しを使用して排除している。
回復薬として名高いグリーンハーブであるが、実は虫下しの効能もあることが分かっている。
そしてそれは、リサのウィルスに感染した寄生虫であっても効果がある。
善場:「ありがとうございました。それでは最後にリサですね」
最後にリサが呼ばれた。
意外なことに、リサが一番時間が掛かった。
その為、デイライトの事務所を出る頃には、もう外は暗くなっていたのである。