とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2017千国街道塩の道トレイル:千国越えコース

2017-11-06 21:11:20 | マラソン
4~5日にかけて長野県小谷村の千国街道塩の道をトレランで全コース走破してきた。まずは、前日泊まった白馬村のペンションから栂池高原の駐車場まで3台の車で移動する。メンバーは全部で8名だが、ワンウェイである事と公共交通機関の利用が不便なので、どうしても車は複数台必要だ。

ここで、「塩の道」について説明しておこう。「塩の道」とは、塩や海産物を内陸に運び、逆に内陸からは山の幸や、木材・鉱物などを運んだ道で、日本各地に存在している。この千国街道もその一つで、江戸時代、松本藩では、塩の流入を糸魚川からの塩のみ許可したため、日本海から松本までを結ぶ「千国街道」は重要な流通路として利用された。当時は、日本海からは塩をはじめ海産物、信州からは麻やタバコなどが運ばれ、牛馬を連れた牛方や、ボッカと呼ばれる荷運び人たちが盛んに行き交ったという。越後の糸魚川から信州の松本城下まで約120kmあるが、今回は当時の名残がより多く残っている小谷村の約38キロを走破する計画だ。

運転手以外の5人を栂池高原のバス停前で降ろし、3人の運転手は、それぞれの車を運転して白馬大池駅まで向かう。2台の車を白馬大池駅に駐車してから、1台の車に3人乗って栂池高原まで戻る。7:00。全員揃ったところで、栂池高原をスタートする。


栂池高原スキー場のメインストリートを走る。


5分ほどで、塩の道“千国越えコース”の入り口につく。“千国越えコース”は、松沢口から小谷村郷土館までの約7キロのコースで、難易度はファミリー向けとなっている。ずっと下り坂なので、気持ちよく走れるコースだ。


松沢口から走り出す。前方には、スキージャンプの練習場らしき建物が見える。


前山百体観音前に到着する。江戸時代、伊那高遠の石工の作といわれ、西国三十三カ所、坂東三十三カ所、秩父三十四カ所の礼所を合わせ百として観音礼所巡りができるように彫られたものという。ただ、現在百体はなく88体しか残っていないようだ。


観音様を見て行く。


街道沿いの木々は、既に黄色く色付いている。


千国街道に唯一残る塩蔵。塩を保管するため、金属が腐食しないよう釘を使っていない。半地下式の建物で、幕末頃建立されたと推定される。


牛方宿。かつて物資を運んだ牛方と牛が一緒に寝泊まりした宿。現在は、小谷村栂池高原の沓掛に位置するこの牛方宿のみが現存し、昔の塩の道を物語る証となっている。


弘法清水水飲み場。水飲み場には1個の石舟があり、1個は人用で高く、他の1個は低く据えられ、牛馬用だったと伝えられる。


雨に濡れると石の色が赤く変わるという錦岩。


錦岩を過ぎてさらに先に進む。


ところどころに庚申信仰の象徴である庚申塔が立っている。庚申塔は、60年に一度の庚申の年に建立される石仏である。庚申信仰とは、十干十二支(じっかんとじゅうにし)による60日に一度巡ってくる庚申の日に、夜を寝ずに身を慎んで過ごす庶民の信仰のこと。道教によると、人の体の中には、「三巳(さんし)」という虫がいて、庚申の日になると、天に昇り、天帝 にその人の罪過を告げ、それにより寿命が縮まってしまう。これを防ぐために一晩中起きていれば三巳が体から出られず、命も縮まらないと説いている。


千国番所跡に到着する。


現在は、千国街道の要所に建てられた番所跡を復元した史料館だ。


小谷小学校前を通り抜ける。


源長寺の下を通る。


落ち葉でフカフカになった道は歩きやすい。


黒川沢を渡る。


天上の苗場みたいな雰囲気だ。


段々畑の間を走る。


小高い場所からは、紅葉に染まった山の斜面が見渡せる。雲が垂れ込め、小雨模様の天気が残念だ。


水場で一休み。ところどころに冷たい水が湧きだしているのがありがたい。


鐘馗様。良く見ると、鐘馗様(しょうき=中国の民間伝承に伝わる道教系の神で魔除けの霊験があるとされる)の像が浮かんでくる。


小土山石仏群。庚申塔のほか線彫りの鍾馗も配されている。


千国越えコースもあと僅かだ。


水車の横を通り抜ける。


二十三夜塔。二十三夜とは、旧暦23日の夜、すなわち二十三夜に講員が宿に集まって飲食をともにしながら月の出を待つことをいう。庚申信仰が男性の集まりに対して、月待ち供養は女性の集まりとされている。


幅が広く、石畳になっている三夜坂を通り抜けると千国越えコースの終点が近い。


塩の道の案内標識は至る所にあって分かりやすく、アスファルトにも、白ペンキで文字と矢印が書かれているのがありがたい。


8:30。千国越えコースの終点である小谷村郷土館に到着する。ガイドマップでは、所要時間が3時間10分と書いてあったが、トレランでは1時間半で着いてしまった。

「2017千国街道塩の道トレイル:石坂越えコース」に続く。