靴脱げたランナー春塵の入賞 横尾渉(Kis-My-Ft2)
題:つまずく
1位72点特待生に昇格 本上まなみ
あの崖の上がわらびの萌える野と
2位71点特待生に昇格 こがけん(おいでやすこが)
鍵失せてファミレスにいる春の月
3位70点特待生に昇格 勝村政信
つまずいて春を見つけた排水溝
4位55点 久代萌美
原稿に「摘出手術」春の虹
添削 「摘出手術」噛まずに言えた春の虹
添削 嚙みそうなニュース原稿春の虹
1ランク昇格 ◆森迫永依
春風のマーチ擦り傷にマキロン
添削 擦り傷にマキロン春風のマーチ
1ランク昇格 ◆森口瑤子
覚えなき青痣きっと春のせい
1つ前進 ◆横尾渉(Kis-My-Ft2)
靴脱げたランナー春塵の入賞
永世名人掲載ボツ ◆梅沢富美男
赤チンの膝の記憶や養花天
添削 赤チンとイジメの記憶養花天
今回は横尾の句について書いて見よう
この句の背景は
「こけちゃいました」
という名言で知られている谷口浩美さん(61)のことを句にしたものだ
谷口さんはマラソンランナーで、92年バルセロナ五輪男子マラソン大会に優勝を期待され出場した
だが、22キロ付近の給水所で、後続の選手に靴の踵を踏まれて、こけてしまったのだ
そのため成績はで8位に終わったのだが、
レース後彼はすがすがしい笑顔で「こけちゃいました」とこう話した
この句は、そのエピソードを知らない人にはわかりにくいかもしれない
ただ、知らなくても面白いエピソードで句としては成り立つのだろう
まさしく、つまずくの見本のような句だと思う
着目したいのは、マキロンと赤チンというのが出て来た
若者の森迫永依は、マキロンを使い、梅沢永世名人は赤チンを使った
梅沢永世名人は、自分の生きて来た時代背景を詠うという信念をを持っている
それで、その時代のこを敢えて使ったのだろう
同じ擦り傷に塗る薬でも、時代背景を感じる
赤チンは、子供の頃塗ったものだ
umeさんはそういう観点からも、
梅沢さんにはこれからもこういう句を作って欲しいと思う
今回の上位の三人とも特待生に昇格となった
三人とも、定型を保って真面目に作っている
夏井先生も、昇格してもやっていけると踏んだのだろう
今回は、つまずくという題に対して、いろいろな発想があり楽しかった