誰が風を見たでしょう
僕もあなたも見やしない
けれど木の葉を震わせて
風は通り抜けて行く
(西條八十)
カラカラ・カラカラ
木の葉が音を立て走ります
名物、空っ風
雪の冷たさを運んで正体も見せずに木の葉をただ蹴散らかすだけ
琴線も揺れました
奏でる音も無く身を震わせて
まるで弾き手が来るのを待っているかのよう
ふと「落葉の舞」が聴こえてきました
あれは空耳だったのでしょうか
外の寒さを他所に障子から漏れる陽の光は柔らかく温かい
例え映った影が波打とうと、ここに厳しさは探せない
うつらうつらと惰気を催し気が付けば壁に寄り添う我が身
おぼろげに残る夢は温かさだけを残し
彩りも奪い去る空っ風
せめて一輪の彩りを
心なしか華やいだ茶室に春を感じて、そっと障子に手をやれば
荒れ狂った風も影を潜め僅かに木の葉が揺れるだけ
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