平成5年10月
元橋駐車場(7:30)登山口(8:20)平標小屋(9:25~40)巻道分岐(10:10)平標・仙ノ倉鞍部(10:30~10:40)
仙ノ倉(11:15~12:20)平標山(13:15~14:05)松手山(15:00~1515)元橋駐車場(16:35)
人気の高い平標山が今回の思い出に残る山です
この登山以降、季節を変えて数度 登りましたが
何時、登っても大らかな山体は心まで大きくしてくれます
三国海道沿いの元橋駐車場から松手山を経て直接登れますが
周回コースを選択する為には50分の林道歩きもやむを得ません
(略)
見上げると太陽が燦々と輝き雲一つない快晴、風も殆どない
林道を歩きながら松手山に目を向けるとちいさく登山者の姿が見えた
かなりの急登に喘いでいるのが見て取れる
少々解り辛い登山口から笹の中に切り開かれた道を登ると笹の中でガサガサと・・・
音が動き出した、雄さんが「コラ!」と二度言った
笹の中を透かして見ると若い男性が蹲っていた、何だそうだったのか!
笹道のジグザグは殆ど目隠し状態であり僅かに樹林の間から苗場方面が見えるだけ
右側の展望は大源太山からの支尾根で閉ざされている
雄さんが「紅葉(いろ)めきて 平標に 名残蝉」と即興の句を作った
(これから挑む谷川連峰の最高峰「仙ノ倉山」と「平標山」)
涸沢を渡って尚もジグザグを繰り返しそれが一直線に変わると急登となって
ヒョッコリ平標小屋が建つ県境稜線に飛び出した
2時間休まずに歩き続けた後のこの清々しさ
これが有るからどんなに苦しくてもまた山が恋しくなってしまうんだよな
登山道は一段低くえぐられた木道でとても歩きづらくきつかったが
両サイドの真っ赤なドウダンツツジや草紅葉、果てしない青空を
眺めながら今日、平標山を選んで良かった!としみじみ思った
振り返ると平標小屋は南下方に小さく赤い屋根を光らせている
平標と仙ノ倉の鞍部は一部 岩稜帯となっており所々ケルンが摘んで有る中
どこから集まって来たのかと思うほど大勢の登山者が休息していた
ニッコウキスゲが咲き乱れる場所はこの辺りかと思いながら仙ノ倉を見やれば
山頂を目指す登山者が一列になって登っている様子がハッキリ見える
15分の休憩を取り先ず最初のピークに向って登り出し次のピークを越せば
いよいよ仙ノ倉だ。 この間、濡れた石が滑りかなり緊張させられた
展望の凄さは谷川岳のど真ん中、言うまでもない
略
登頂祝いの乾杯で気持ち良くなった私は、ついウツラウツラと
略
仙ノ倉を後に再び平標に向かうが山の天気は特に谷川岳の天気は変わりやすく
北斜面からはガスが湧き始め今、登って来た仙ノ倉も見え隠れし始めた
私達は比較的、風の少ない場所にシートを敷きしばしの憩いを貪った
そうこうしている内、仙ノ倉はもう殆どガスに消されてしまった
しかし此処まではガスも及ばず緑のカーペットを敷き詰めた様な楽園は
時に陽を受けた銀色の笹が輝きを増し時折り吹く風を受けて波の様にうねる
略
山頂からはコースが4つに分かれるが私達がとったのは西に延び尾根道だ
略
景色を眺めながらの稜線漫歩は楽しい
そうした中、滑りやすいガレ場に差し掛かった時の事だ
精神上不自由な女の子が大声で泣きだしたのだ
その子供は怖がって降りようとしない
母親は泣きだした子供に手も貸さず優しく時に厳しく励ましながら誘導する
うっかり私が手を出したら「余計な事はしないで下さい」と言われた事だろう
自分の力で何とか下まで頑張らせたいと言う母親の愛に感動した一場面だった
その背後から女の子のお兄ちゃんで有ろう中学生くらいの男の子が
そっと手を添えて「頑張れ頑張れ」と励ましながらも
私達に向けて挨拶した爽やかな笑顔も忘れられない
きっと心根の優しいシッカリした大人になる事だろうな
私達は何とも清々しい想いでこのガレ場を通過した
幾つかのアップダウンを繰り返し松手山山頂で休憩
平標から大源太山に掛けての稜線の緩やかな起伏に目をやると
真っ赤なドウダンが西日を浴びていっそう赤く燃えその色彩は
笹の緑と相まって錦秋の世界を描き出していた
松手山からは転がる様に下って長い長い急下降に辟易した頃
下山口に着くと山行のフィナーレに相応しく
道の向こうに見事なコスモス畑が広がっていた
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