滝峨山は榛名山の北、吾妻町に在る。登山口が分からず地元の人に尋ね尋ね(地元の人も分らない人が多かった)どうにか登山口に建つ不動尊に辿り着いた。
次々に現れる岩窟には其々数個の地蔵が並んでおり、何れもあまり古いものではないが信仰の山の異様な空気がそこはかとなく漂っている。
金堀り跡は敬遠して先に進むと分岐の先に象の鼻岩。その名の通り大きな岩の塊が3m、ズンと突き出た岩の下に出た。何でこんな形になったのか、どれ程の年月このままの形を保っているのか不思議な岩だ。
先に通じる道を進むと「山頂へ行く道はそっちじゃない」そう言うと雄さんは分岐まで戻ってしまった。地図をみると、こちらからも山頂へ行けるので大声で呼んだが返事が帰って来ない。「まったくー」と思いながら分岐に戻り見晴らし台を経て雄さんを追うと何とまぁ枝で作った簡易ベンチに腰を下ろし原町方面に目を向けているではないか。
山頂に到着。説明書には木々に囲まれ展望は無いと有ったのだが最近一部を伐採したらしく小野子山や榛名山などの眺めが得られたのは嬉しい。
象の鼻岩からは南斜面を歩いて数分で大岩窟に着くと見上げる岩陰から無数の石仏が見下ろしていた。日暮れ時であったら居たたまれないだろうなと思える石仏の数である。
(丸印に私)
ここは秘密の窟、2mほど登り上げると、そこから更に5mほど狭い竪穴が延びどん詰まりに石仏が鎮座している。雄さんが体をくねらせる様にして石仏の所まで登っていったが、さすが降りる時には手間取っていた。
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(写真に写せなかった坑道探検)
誰も居ないと思っていた山中に子供の賑やかな声が響いた。その声を追っていくと往時敬遠した金堀り跡に男性二人と子供が数人、どうやら坑道内に入るらしい。私達もザックを入り口に置き後に続いた。
真っ暗闇の坑道内は一人がかがみながら、やっと通れる狭さで時には這いつくばって進んだり梯子で降りたりに手に分れる所も有ったりで懐中電灯と子供たちを誘導する「梯子だぞ」「段差が有るぞ」と言う言葉が無かったらとても先に進めそうもない所だ。
初めは冗談を言い合いながら歩いていた子供たちも半ば過ぎる頃には泣き出す子供も出てきた。
何とか坑道内を脱出し不動尊近くの三重の滝を見物、切り立った岸壁からかなりの落差で落下する滝の水量はけっこう多い。
滝で一休みした後、滝峨山西峰に向かう事にした。案内書では不動尊を回り込むようにして林道を歩き登山口に至るコースが紹介されているが時間がかなり掛かりそうだ。「ちょっとスリルは有りますが滝の脇を登った方が近道ですし登山に来たという実感が味わえますよ」と言う男性のアドバイスを頂いて滝の脇から急坂を登る事にした。すぐ岩窟(第二石門)に突き当たり岩の中を鎖や梯子で潜り抜けて滝の落ち口付近から林道へ。
何の標識も無いので見当をつけて右折、暫く歩くとカーブの所に山林標識が立っていたので何気なく目をやると上部に「←西峰」の文字が薄っすらとと読み取れた。幅広の林道を行き左に大きな石が蹲る地点い差し掛かると前方に集落が見え始め道はそこから集落に向かって下り始めてしまった。
雄さんは「タカが右に曲がったから何気なく付いて来てしまったけど本当にこっちでいいのか?」ともう完全に疑いの眼。雄さんはあの消え入りそうな文字を確認していなかったのだ。
それにしてもおかしいと思い振り返ると後方にヘアピンカーブとなって林道が山腹を絡むように続いている。「これだ」と向きを変え担々とした道を緩登して鉄塔広場に出た。その先に延びる結構、明確な道を更に登ると再び鉄塔広場に出たがここで道は途切れてしまった。
風が出てきて周辺の木々がざわつき電線が唸りを上げている。案内図を出して位置確認をすると「山頂は360度の展望が得られる」と有ったのでどうやら最初の鉄塔広場が西峰らしい。
こうして、子供たちの探検心をそそる滝峨山、訪れる人も少なそうな西峰、静かと言うより寂しいと言う表現が当てはまりそうなハイクを終えたのでした。今日はこれから出かけますのでコメント欄はお休み致します。