goo blog サービス終了のお知らせ 

うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

いや、拭いて拾え!

2022年07月10日 | カズコさんの事

なぜだか、分からないのだけれど・・・

 

おはようございます。

先週辺りから、「新たな時が始まってる」気がした。

ようやくセミが鳴き出したせいなのか、

この国に大きな事件が起きたせいなのか、

いや、それとは関係ない気がするが分からない。

とにかく、私個人的に、そう感じている。

 

ということで、かずこさんのタンスを断捨離してやった!

やってやった!!

以前から気になっていた。

洗濯したのか分からないような衣服が、

あっちこっちの隙間に丸めて突っ込んであったり、

思わぬところから、靴下が発掘されたり、

出掛けようと思っても、

「母さん?この間買った、お洋服はどこにしまっちゃったの?」

と、身支度する度に、家中を捜索する羽目となっていた。

 

それを解消すべき、

かずこさんと一緒に、タンスの整理をした。

「これ、要る?」

「それは、要らん!」

じゃ、

「これは、まだ着る?」

「それは、お前にやる」

という具合に、要らない衣服はゴミ袋3つに詰めた。

そして、分かりやすいように、こうしてみた。

タンスの隅に、何が入っているかを書いたシールを貼ってみた。

 

もちろん、かずこさんは、なにもかも覚えていない。

昨日のことは、一切合切覚えていないから、

タンスの隅に、こんなシールが貼ってあることや、

タンスの中身が減っていることにも、混乱しているだろう。

もしかすると、シールを剥がして、

また総入れ替えしているかもしれない。

『昨日の納得は、今日の不満の種になる』ことだって、あり得るのだ。

 

しかーし、あたしも馬鹿じゃない。

いや、ただの馬鹿じゃないんだ。

タダは好きだ。

お値打ちという言葉より、やっぱりタダは魅惑の響きだ。

でも、スカスカというの言葉は切ない。

あんなにギチギチに詰まっていたタンスがスカスカになっていたら、

かずこさんは切なさを覚えるだろう。

「なんか、わし、貧乏になった気がする」かもしれない。

かずこさんは、貧乏を嫌う。いや怖れている。

戦争を知っている時代の人ならではの、溜めこみ気質がある。

何でも捨てずに、溜めこんできた人生だ。

 

だから私は、捨てるゴミ袋3つ以外に、捨てない枠も設けていた。

昨日のかずこさんは、

「それは、要らん」と言った衣服の中から、

その枠の衣服をわけておいたのだ。

 

「お前が勝手に、わしの知らん間に、わしの服、捨てたんか?」

と言われたら、即座に、

「違う違う、捨ててないよ。洗って来たんだよ。」

と言って、手渡すための衣服だ。

そう伝えれば、かずこさんも納得してくれるのではないだろうか?

実は、ゴミ袋3つも捨てられてることも、覚えちゃいないのだし。

と、私は、こういう姑息なことには頭が回る馬鹿なのだ。

 

ただ、そんな浅はかな悪知恵など、

遥かに超えてくるのが、かずこさんだ。

ぶっ飛んだかずこさんは、今日はどんなかずこさんか、

これを書いてから、実家へ向かう。

く~、震えるぜ!

 

そして、

実家の世話を焼いてる時間があるくせに、

自分ん家の、こういうのは、放ったらかしなのが、私という人間だ。

テレビの後ろに、小さなシミ、これ、なんだろうね?

ある時、気付いちゃったんだけど、

 

壁に、何かが飛んでへばり付いたようだけど、

これ、何だろう?

ジャムみたいに見えるけど、ジャム食べたこと、ないじゃんね。

これ、なんだろうね?

と思いつつ、そっとそのまま見守っていること、早2週間。

育ってもいなければ、消えてもいない。

ずっと、このまま。

 

さて、こっちはどうしよう?

のんちゃん?

なぜに、ベッドをすべて落としちゃうの?

 

のんちゃん?

のんちゃん?

・・・・まっ、いっか!


今日は、あやの日

2022年07月08日 | あやの事

今日は、あやの日。

 

おはようございます。

七夕の翌日は、あやの日だ。

10年前の7月8日、

私は川岸にへばり付いている子猫を拾い上げた。

震える子猫を抱いて、

「うわ~、どうしよう?」と空を仰いだら、太陽がまぶしかった。

ちょうど、今日みたいな空だった。

まるで、あやの頭の中みたいに晴天だ。

 

我が家のおじさんにとっては、

生まれて初めて子猫を抱いた日でもある。

「子猫って、こんなに可愛いんですか?!」

と、もはや泣きそうな顔であやを抱く男に、私はきっぱり言った。

「あのね、この子はそこまで可愛い子猫じゃないよ。

可愛い子猫の破壊力は、こんなもんじゃないから!」と。

 

この言葉は、まるで予言だった。

実際、その2年後、おたまを拾って、それを証明した。

その1年後、正統派可愛い3匹を拾った時、

私はおじさんに披露する前に、

「いい?まず気を確かに持ってよ。

あり得ないぐらい可愛いのが来ちゃったからね。まず、心臓を叩け!」

と伝えてから3匹を見せたが、おじさんは秒速で壊れた。

あり得ない可愛さを前に、人は酸欠になるものなのだ。

 

あやを拾った当時、この部屋には4匹のメス猫が暮らしていた。

とっくにキャパオーバーだった。

さらに私は、その数年前に患った、くも膜下出血の後遺症で苦しんでもいた。

だけど、私はあやを誰かに貰ってもらおうとは、最初から考えていなかった。

見た目が、そんなに可愛くない子猫だったから。

酷い話だが、本当にそういう理由で、あやをここへ残した。

その代わりに、私は

「あやは、私の集大成だ。大いに可愛がって育てるぞ」

と張り切った。

 

私の脳内は、いつ脳卒中が再発してもおかしくない状態だった。

主治医は

「あなたの脳は、まるで爆弾みたい。

何万人の脳内を見て来たけれど、こんな細い血管は初めて見た。

いつ、どこで切れても、おかしくない。

むしろ、今まで無事だったのが不思議だとさえ思えてしまう。」

と言い、

「だから、思うように生きなさい。

怖がらず、生きている限り、思うように生きて下さい。」

と励ました。

私は思った。

そんなこと言われたら、怖いわ!

でもだから、私にとって、あやは集大成だったのだ。

あやが、私にとって最後の猫になると思ったからだ。

 

あや、10年だね。

私は、生きてるよ。

けっこう、楽しく生きてる。

あやのおかげだ。

あやと見送った4匹のメス猫達のおかげだ。

あやが仕切っている3バカ兄弟のおかげかは分からないが、

あや、私は貴女のことも、最後まで見送るよ。

だから、それまで、大いに遊ぼう。

 

あや「こいつとも遊びましょうよ」

どうやって?

 

あや「せいや!って、やってやるわ!」

やめてあげて~

 

あや「おばちゃん、こいつはもっと、簡単よ」

 

あや「シャー!」

 

あや「はい、一丁上がり~」

かわいそーーーー

 

あや「のんちゃんはいいのぉ。コロンちゃんしましょうね~。」

えこひいきが凄い!

 

あや「さっ、洗濯物畳みの邪魔、続行よ~」

退いて~お願い退いて~。

 

あや、貴女は本当に、楽しい猫だ。

あや「見た目が可愛くないタイプとか、言わないでよ~」

可愛い、可愛い。

オスのカンガルーみたいで、可愛いよ。

 

私は、あなた達と生きる。

必ず。


爪切りの儀式

2022年07月06日 | カズコさんの事

そろそろ、爪を切ろうと思い、

私は忘れないように、メモを書いた。

『爪切り かずこさん』

 

おはようございます。

普段、猫の爪を切るのに、わざわざメモを書いたりはしない。

そろそろ伸びてきた頃だと気付いた時でもなく、

なんとなく、やる気が出た時に切る程度だ。

 

けれど、きくが居た頃は違った。

きくの爪だけは、切った日時を必ずメモしていた。

あの子の爪は、放っておくと肉球に爪が刺さってしまうくらい、

酷い巻き爪だったからだ。

そんな子に限って、皮肉にも爪切りが大っ嫌いだった。

嫌いという言葉で片付けられないくらい、嫌いだった。

だから、私の気持ちも書いたメモも、実にじれったいものだった。

『10月11日 右手の人差し指』

『10月13日 右手の薬指』

『10月15日 きく激怒により一旦休止』

『10月20日 左手の親指、やったぜ!』

 

きくに騙し討ちは効かない。

何度も騙されれば、折れて諦めてくれるような猫じゃない。

騙せば騙すほど、扱いづらくなる。

きくは、そういう猫だった。

だから私は、きくの機嫌が良さそうな時を見計らって、

あえて、爪切りを見せて、

「1本、切らせて。お願い。」

と、内緒話をするみたいな声で、きくを説得した。

そこで、きくが納得しなければ、切ることは叶わなかった。

逆に言えば、納得すれば切らせてくれたということだ。

 

当時の私は、まるで綱渡りみたいな気持ちで日々を過ごしていた。

あの時、きくが、どうあっても納得しなかったら、

私は、どうしていたんだろう。

捕獲機を使ってでも捕まえて、獣医へ連れて行ったのだろうか。

 

そんなわけで、

私は、『爪切り かずこさん』と書いた時、

ふと、きくを思い出していた。

かずこさんは、昔から身だしなみに余念のない人だったが、

ある日、足の爪が酷く伸びていることに気が付いた。

「かずこさん、足の爪が伸びとるよ。切ったろか?」

「まんだ、そんな伸びとらん。わし自分で切るでええ。」

きっぱりと断われた。

でも、次の日もその次の日も、爪は伸び続けている。

母は、ますます認知機能が衰えてきている。

もう自分で爪の管理は出来なくなっているのだ。

それでも、我が母かずこは、昔から人に頼ることを、誰よりも嫌う。

何でも一人で達者に生きていると思っているのだ。

昔っから、どうしようもなく世話の掛かる人なのにだ。

まるで、あの猫みたい。

そう、ほんと、きくみたい。

とはいえ、

そろそろ、本気で切った方がいいなぁ。

そう思った私は、明日こそは切ろうとメモを書き、

次の朝、カバンに爪切りを入れ、実家へ向かった。

なんだか、ドキドキする。

あぁぁ、このドキドキ感、懐かしい。

また、ピシャリと断られるだろうか・・・

 

「かずこさん、足の爪、切ろうか?」

私は、きくにやっていた時のように、

爪切りを見せて、内緒話をするみたいな声で言った。

すると、椅子に腰かけていた、かずこさんは

「うん」

と頷いて、右足をピーンとこちらへ伸ばした。

「かずこさん、足が高く上がるな~凄い!」

まるで体操選手みたいに美しく伸ばされた右足に、私は笑っちゃった。

笑いながら、足の爪を慎重に切り始めた。

 

この感覚も、知ってる。

きくが死ぬ前の数か月間に味わった感覚だ。

ゴロゴロと喉を鳴らしながら、大人しく抱かれて爪を切らせてくれた時だ。

何年も、爪切りの死闘を繰り返してきたのに、

あの日を境に、きくは爪切りも抱っこも、なんでもさせてくれるようになった。

久し振りに抱いたきくは、子猫みたいに小さくなっていた。

私に体を委ねるきくの頭の上に、私の目から零れる涙が落ちないように

焦って上を向いた。

それでも気付いた頃、きくの頭上は濡れていたというのに、

そんなことは気にもせず、きくは無垢な子猫のように目を細めていた。

あの神経質な猫が、身体を投げ出すように委ねる姿に、

私はさらに泣けてきた。

嬉しいんだか、切ないんだか、よく分からない涙。

 

私は、かずこさんの足の爪を切りながら、

不覚にも泣きそうになって、顔を上げた。

その時のかずこさんは、やっぱり、あの時のきくみたいに

無垢な子供のようだった。

 

そんな、今の我が家のたれ蔵は、

爪切りなんて、へっちゃらぴーで切らせてくれる。

ぴーのぴーだ。

なんかさっきから、ピーピー、ピーピー鳴ってるけど・・・

 

何の音だろうか?

たれ蔵「ピーピー、ピーピー」

 

たれ蔵のイビキなのね?

たれ蔵「ん?」

ごめんごめん、寝てちょうだい。


人生初を2つ制覇

2022年07月04日 | 日記

私は、険しく上へ続く山道を見上げた。

息を切らせながら、何度も見上げた。

そして、私は分かったんだ。

 

おはようございます。

どうして、人は山を登るのか。

その答えは、そこに山があるから~!

 

土曜日、愛知の最高峰『茶臼山』へ登ってきた。

標高は、1415メートル。

1415=い~よ!いっちょ、ゴー!だ。

私は、山に登る気など、なかった。

ふもとにある『カエル館』が目的だったからだ。

弊社の隣のデスクの熟女さんは、ツーリストだ。

その熟女さんから

「茶臼山にはカエル館っていう、生きたカエルが展示してあるの。」

という情報を得た。

 

私は、カエル好きだ。

カエルが好き過ぎて、でも触れないから、ぬいぐるみを買って、

毎日抱きしめているくらい、好きなんだ。

でも触れない。

生のカエルは、観るのが丁度いい距離感だ。

 

「そのカエル館と周辺は、パワースポットとしても知られているの。

いわゆるゼロ磁場だそうなのよ。」

「パパパパパっパワースポットなんですね?

い~よ~、いっちょゴーだ。

パワースポットで運気を爆上げして、サマージャンボを買います!」

この時、私はカエルそっちのけで、

まるで虫に食い付くカエルのごとく、凄まじい速度でパワースポットに食い付いた。

行く目的が、秒速ですり替わった瞬間だ。

「いやあのね、おかっぱちゃん?

ゼロ磁場は、そういうとこじゃないから。

体の不調を整えるとか、そういう効果があるとかじゃない?

そんな運気が上がるなら、あの界隈の住民、みんな億万長者になってるでしょ?!」

そんな冷静な熟女さんの言葉を聞いて、私は思った。

 

なってる!

きっと、みんな億万長者になってるに違いない!

 

信じ込んだ私は、この暑い最中、

己の出不精をも忘れて、とっとと行って来た。

午前9時、街中は既に、34度。

東へ愛車を走らせ、東へ東へ、さらに東へ・・・・

「もういやだー!帰りたーい!!」

とぐずり始める助手席の私をしり目に、おじさんは東へアクセルを踏み続けた。

到着した頃には、気温27度。

「涼しい~!」

私のご機嫌が治った。

 

真っ先にカエル館へ入館した。

大人は400円で入れる。

小さな館だ。

その中に幾つかの水槽があり、その中にカエルが暮らしている訳だが、

「どこ?これ?これなのか?」

と、水草にひっそり隠れるカエル達を、1匹たりとも見つけえられない。

館長らしき男性が、

「ここ、立ってみて。足からピリピリくるよ。」

と館内のパワーを強く感じる場所を案内してくれる。

おじさんは、

「あぁぁ、なんか違いますね。」

とパワーを感じているらしいが、私は何も来ない。

ビクともピリとも来ない。一切来ない。

 

あたし・・・こんなんじゃ運気上がらない。

 

軽い絶望感のせいで、

死にかけのカエルみたいな目をした私に、館長らしき男性は焦ったのかもしれない。

「あっ、こっちのカエルは触れるよ。」

「はい?」

「抱き上げて写真撮っていいよ。ほら、こっちこっち、このカエル触って。」

 

いやです!

即座に、そう叫びたかった。

私は、カエルは好きだが、触るのは怖いって昔から言っているじゃないか!

ほんと、昔から口癖みたいに、そう言っているが、

初対面の人が知るはずがない。

姿も見えない水槽に

「どこかしら?良い子ちゃんね~良い子ちゃんね~」

と話し掛けている私の、触れない事情など知る由もない。

 

「ほら、触って!」

館長は無垢の微笑みで、追い込んでくる。

私は蛇に睨まれた蛙みたいな気分になった。

ということで、

やってやりました!

このサイズのカエルを人生初、抱いちゃいました。

 

こんな、しょぼい顔で・・・。

ありがとう、ヒキガエルさん。

我が憧れのヒキガエル、本当に可愛かった。

※カエルは体温が低いので、流水で充分に手を冷やしてから、

カエルに触るのも、ごく短い時間におさめ、すぐ離してあげてください。

 

「これでもう、思い残すことはありません。

ありがとうございました。」

私は半べそのまま、館長らしき男性に深々と頭を下げた。

よし帰ろう。もう帰ろう。

そう思ったが、我が家のおじさんが、

「えっ?茶臼山には、登らないの?」

と発言したせいで、館長らしき男性は

「このすぐ横の道、これ行って~。

30分で登れるから行ってきて~。」

と案内してくれた。

私にとって、この男性は蛇だ。

蛇が言うなら行ってきますのノリで登った。

 

途中、あたし、死ぬのかもって思った。

けれど、山は続く。

下山する人々は、すれ違いざま声を掛け合う。

「こんにちは~。頑張って~。」

「はい、ありがとうございます。」

山ガールならぬ、山の女神みたいな女性たちも、

「もう少しよ~、頑張って。

下りもきついからね~、うふふふふふ~」

と、もはや這いつくばったカエルみたいな恰好で

必死に傾斜にしがみ付く私を、大いに励ましてくれた。

 

そうして、45分

茶臼山、登頂!

人生初の登山、やってやりました。

ちなみに、この茶臼山、登山レベル1です。

体力、テクニックとも、レベル1です。

 

とにもかくにも、

土曜日はいい日だった。

パワースポットのパワーは、一切感じ取れなかったが、

図らずも人生初を2つも経験できて、まったく愉快な旅でした。

 

あれ?

我が家にも、なにやら御利益ありそうな姿が?

なんか、珍しい生き物みたいだけど

 

こういうウミウシ、海にいそう・・・

よし、次は海に行ってみようか。


我らの泉

2022年07月02日 | 日記

私は、案外、

優しい人と言われる。

その度、そうだろうか?と心苦しくなるんだ。

 

おはようございます。

そりゃあ、私にだって心に優しさの泉は湧いている。乾くことはない。

ひとたび好きになった人間は、決して嫌いにはならない。

なるものかと意地になる訳ではなく、嫌いになれないのだ。

騙されてるな~っと気付いても、そんな時は知らぬ顔で騙される。

それが、今、その人が望んでいることなら、嘘にも付き合う。

そもそも、私には嫌いだなって思える人がいない。

無類の人間好きなわけでは無い。

どちらかというと、人間は苦手だ。

苦手だけれど、嫌いじゃない。とても好きだ。

俗にいう嫌われ者にも、きらりと輝く魅力がある。

もちろん、わざわざ嫌われ者に近寄らないが、魅力は見逃さない。

 

ただ、優しさの泉が溢れてしまうと、私は危険な人物になる。

後先考えず、猫を拾ってくるのも、傍から見れば危険人物だ。

6匹の飼い猫と暮らすこの狭い部屋に、3匹の子猫を拾って来たこともあった。

あれは、楽しかった。

「なんですか?ここは楽園ですか?」って思ったもんな~。

しかし、6匹や同居する男や、近所の両親は、いい迷惑だ。

実際、母は

「お前、あかん。頭おかしい」と口にしたけれど、

その直後、プニプニの子猫をほいっと手渡したら、

母はすっかりメロメロになったから、何の問題もない。

 

問題だったのは、柴犬を保護した時だ。

迷子かと思いきや、首輪がボロボロできつそうだ。

それ以外にも、その犬には何某かの違和感を感じ、

私は警察に『迷子の犬』と連絡したが、捨てられたかもと思った。

そこで、さすがに猫屋敷の我が家へ連れて行けず、私は迷わず実家へ向かった。

「柴犬を、しばらく、ここに置いてやってください。」

父はすかさず返した。

「なんで?」と。

そりゃそうだ。

唐突に、犬を飼えと言われれば、そうなる。

それでも、私は泣きながら、頭を下げた。

もう、大泣きだった。

「お前は、そういうとこが弱いんだ。

迷子の犬に会っただけだろう?

なんで、お前がそんな泣きながら右往左往するんや?

お前は、そういうとこが、脆い。」

父は、そう言ったが、私は違うっと断言した。

「違うよ、父さん。

私は泣きながら苦しみながらでも、逃げない。

苦しいな~っと思いながらも逃げない。

逃げ腰の父さんの方が、ずっと弱いんだ!」

そう言ったが、強いも弱いもあったものじゃない。

突然、犬を飼えと強制されている人に言う言葉とは思えない。

私の犬を助けんとする優しさの泉の津波によって、父の日常が床上浸水だ。

いわれなき暴挙に他ならない。

私の優しさは、とてもアンバランスで危険だ。

 

ちなみに、柴犬は動物愛護センターで保護してもらい、

その後、譲渡会で見事、新たな家族に出会えた。

3匹の子猫も、今は申し分のない家族と暮らしている。

ここでも、熱心な愛護センターの職員さんと、

3匹一緒に引き取ってくれた里親さんの、

冷静かつ適正な優しさが無ければ、今どうなっていただろうかと、

我ながら、ぞっとする。

 

しかし、我が家のおじさんも、危険なくらい優しい。

上記の一連にも、彼は文句も言わず付き合ってくれた。

おじさんは、いつだって、私の溢れる泉に脱力泳法で、ぷかぷか浮かんでいる。

クラゲのように。微笑みながら。

ただ、この男の優しさも危険だ。

というか、恐ろしいと感じる時がある。

 

私は、マドレーヌが大の好物な訳でない。

なのに、どういう訳か、男はこれでもかってくらい、

毎日毎日、私にマドレーヌを1個買って来た。

毎日マドレーヌ生活だ。

なんの健康法ですか?って思った。

思いながらも2週間食べ続けた結果、マドレーヌを見たくないとさえ思った。

これじゃ、心の健康が害される。

だから思い切って、男に言った。

「あのさ、毎日マドレーヌ1個あるじゃん?あたしさ、別に好きじゃないんだよね。

せっかく買いに行ってるなら、他のも買ってきてくれたらいいじゃん?」

男は、

「そうだったんですね。分かりました。」

と、微笑んで言ったが、その表情は寂しげだった。

そんな男を見て、私の胸はチクリと痛くなったが、ごめんねとは言えなかった。

ごめんって言えばよかった。

 

その日は、ずっと「ごめん」と心の中で連呼し続けた。

しかし、仕事から帰宅してみて「ごめん」が天高くぶっ飛んでいった。

「マドレーヌ、2個に増えとるやないかーーー!」

戦慄が走った。

しかしよく見れば、別の種類のマドレーヌだ。

でもマドレーヌだ。

 

そういうことじゃない!

そういうことじゃない!!

 

私は思わず、2度同じことを叫んだが、

まだ、このことを男には伝えていない。

更に、男の優しさが暴走する気がするからだ。

 

だから、このことも伝えていない・・・。

皆さんは覚えておられるだろうか

 

猫によって壁紙が剥がされた壁に、

おじさんは、こういう優しさを発揮してくれた。

 

この優しさが、今、

不意に見ると、ホラーに感じる状態に仕上がっている。

なんか、怖いよ~

 

べローンとしてて、無意識に見ると

「うわっ!」ってなるよ~。

 

たれ蔵、これは言った方がいいのかな?

 

たれ蔵「大丈夫、残りはボクがやっとくよ~」

君がさらに、剥がしてくれちゃうということだね・・・