Aプロ後半です
「ジゼル」 第二幕より アダージョ
精霊になったジゼルが、自分のお墓参りに来たアルブレヒトを、男を呪い殺す精霊(ウィリー)から守ろうとするシーンのプロローグです。
舞台下手に設けられた十字架(=ジゼルのお墓に)夜、忍んでくるアルブレヒト=ボッレ。
ベルベットの上着にマントがなんとも美しい。
そこに精霊ウィリーとなったジゼル=フェリが音もなく現れて、静かにアルブレヒトにリフトされて浮遊しつつ、ゆったりとした情感を通わせる、静謐なシーン。
貴族であること、婚約者がいることを隠して、自分を欺き死に至らしめたアルブレヒトをジゼルは静かに許し、これからのウィリー仲間からの罰から守る決意をほのかに滲ませる・・・。
伏目がちにたゆたう静かな動きの中にドラマを感じさせる至難の技を、しかも連続性のない一場面だけを切り取って、鮮やかにフェリは見せてくれました。
彼女の全幕「ジゼル」の名場面の数々が浮んでは消えて行きます。これが彼女の最後のジゼルかと思うと・・・。ボッレは登場時こそ、その持ち前の華で目を奪いますが、PDDでは、完全に受けに回ってでしゃばらず、静かに彼女の世界に同調している様に好感が持てます。
確か、ダーシー・バッセルの引退公演の際にも請われて共演したのではなかったかしら。
トリノオリンピックの開会式でも活躍し、ユニセフ親善大使としての顔なども持つ彼、成長著しい注目株ですね。
「太陽が降り注ぐ雪のように」
アリシア・アマトリアンとロバート・テューズリー。
これは2003年のバレフェスで、確かフリーデマン・フォーゲル、アリシアのヤングカップルが、黒鳥のPDDを予定していたのを、NBSの佐々木氏が、ベテランのロシアペアなどを前にグラン・クラシックを若手が踊っても見劣りするだけだと判断、急遽衣装(伸び~るピンクのTシャツ)を調達して変更。ショパンのプレリュ-ドをアレンジしたノスタルジックな曲想とTシャツを引っ張ったりユーモラスな動きを取り入れた独創的な動きが若い2人のキャラクターにピタリと合って評判を呼んだ作品。
実際、当時デーモン・アルバーンのようだったフォーゲル君とアリシアの2人がふざけ合うような振りが哀愁溢れるメロディーに乗って繰り広げられる様は、2度と帰らぬ子供時代の夏休みを郷愁を持って打ち眺めるような感慨をもたらしたもので、今でもはっきりと記憶に残っています・・。
大人で硬い踊りの輪郭を持つテューズリーがまた異なる味を出してはいたのですが、初見の印象には届かず。
「シンデレラ」
クデルカ版。
1920年代調の衣装のジュリー・ケントも美しいが、タキシードにロイヤルブルーのアクセントをつけた衣装がゴメスに似合うこと!
踊られるのは第2幕の舞踏会のPDD.
淡いオレンジとラベンダーを重ねた衣装のジュリーがなんとも優美。その彼女をサポートしつつ熱い視線を向けるゴメスがコワモテだけれど目が情熱的な感じで、うっとりとさせられる一幕。
プロコフィエフの華麗な音楽に乗せて、お互い自分にないものを感じ取る恋の芽生えと深化を表現して見事でした。
「ハムレット」
ノイマイヤー版のハムレットは一風変わっている。
シルヴィア・アッツォーニのオフィーリアは花輪や人形で遊ぶまだ子供と言っていい少女。
そこにパステルカラーのオーバーサイズ気味のシャツやジャケットやネクタイを手当たり次第に着込んだようなハムレット=リアブコが旅行かばん片手に駆け込んできます。
大人の振りをした彼もまだほんの少年。
鞄からバラバラと落ちる本、ハムレットがオフィーリアに故郷を離れることを告げるシーン。
明るく2人で踊ってみせるがリフトされたオフィーリアが別れなくてはならない現実に顔を覆うとその手にキスをしてハンカチーフを落として駆けて行ってしまうハムレット。
そのハンカチーフにそっと頬を押し当てるオフィーリア・・・。
リアブコがシャツの裾を片方出したドジな王子振りでいつもの端正さを崩す演技がどことなく往年の少女マンガのドジっ子キャラっぽい。ノイマイヤーの語る物語は興味深いのですが、残念ながらそこのところ、わたくしの好みではありませんでした。
「ジゼル」 第二幕より アダージョ
精霊になったジゼルが、自分のお墓参りに来たアルブレヒトを、男を呪い殺す精霊(ウィリー)から守ろうとするシーンのプロローグです。
舞台下手に設けられた十字架(=ジゼルのお墓に)夜、忍んでくるアルブレヒト=ボッレ。
ベルベットの上着にマントがなんとも美しい。
そこに精霊ウィリーとなったジゼル=フェリが音もなく現れて、静かにアルブレヒトにリフトされて浮遊しつつ、ゆったりとした情感を通わせる、静謐なシーン。
貴族であること、婚約者がいることを隠して、自分を欺き死に至らしめたアルブレヒトをジゼルは静かに許し、これからのウィリー仲間からの罰から守る決意をほのかに滲ませる・・・。
伏目がちにたゆたう静かな動きの中にドラマを感じさせる至難の技を、しかも連続性のない一場面だけを切り取って、鮮やかにフェリは見せてくれました。
彼女の全幕「ジゼル」の名場面の数々が浮んでは消えて行きます。これが彼女の最後のジゼルかと思うと・・・。ボッレは登場時こそ、その持ち前の華で目を奪いますが、PDDでは、完全に受けに回ってでしゃばらず、静かに彼女の世界に同調している様に好感が持てます。
確か、ダーシー・バッセルの引退公演の際にも請われて共演したのではなかったかしら。
トリノオリンピックの開会式でも活躍し、ユニセフ親善大使としての顔なども持つ彼、成長著しい注目株ですね。
「太陽が降り注ぐ雪のように」
アリシア・アマトリアンとロバート・テューズリー。
これは2003年のバレフェスで、確かフリーデマン・フォーゲル、アリシアのヤングカップルが、黒鳥のPDDを予定していたのを、NBSの佐々木氏が、ベテランのロシアペアなどを前にグラン・クラシックを若手が踊っても見劣りするだけだと判断、急遽衣装(伸び~るピンクのTシャツ)を調達して変更。ショパンのプレリュ-ドをアレンジしたノスタルジックな曲想とTシャツを引っ張ったりユーモラスな動きを取り入れた独創的な動きが若い2人のキャラクターにピタリと合って評判を呼んだ作品。
実際、当時デーモン・アルバーンのようだったフォーゲル君とアリシアの2人がふざけ合うような振りが哀愁溢れるメロディーに乗って繰り広げられる様は、2度と帰らぬ子供時代の夏休みを郷愁を持って打ち眺めるような感慨をもたらしたもので、今でもはっきりと記憶に残っています・・。
大人で硬い踊りの輪郭を持つテューズリーがまた異なる味を出してはいたのですが、初見の印象には届かず。
「シンデレラ」
クデルカ版。
1920年代調の衣装のジュリー・ケントも美しいが、タキシードにロイヤルブルーのアクセントをつけた衣装がゴメスに似合うこと!
踊られるのは第2幕の舞踏会のPDD.
淡いオレンジとラベンダーを重ねた衣装のジュリーがなんとも優美。その彼女をサポートしつつ熱い視線を向けるゴメスがコワモテだけれど目が情熱的な感じで、うっとりとさせられる一幕。
プロコフィエフの華麗な音楽に乗せて、お互い自分にないものを感じ取る恋の芽生えと深化を表現して見事でした。
「ハムレット」
ノイマイヤー版のハムレットは一風変わっている。
シルヴィア・アッツォーニのオフィーリアは花輪や人形で遊ぶまだ子供と言っていい少女。
そこにパステルカラーのオーバーサイズ気味のシャツやジャケットやネクタイを手当たり次第に着込んだようなハムレット=リアブコが旅行かばん片手に駆け込んできます。
大人の振りをした彼もまだほんの少年。
鞄からバラバラと落ちる本、ハムレットがオフィーリアに故郷を離れることを告げるシーン。
明るく2人で踊ってみせるがリフトされたオフィーリアが別れなくてはならない現実に顔を覆うとその手にキスをしてハンカチーフを落として駆けて行ってしまうハムレット。
そのハンカチーフにそっと頬を押し当てるオフィーリア・・・。
リアブコがシャツの裾を片方出したドジな王子振りでいつもの端正さを崩す演技がどことなく往年の少女マンガのドジっ子キャラっぽい。ノイマイヤーの語る物語は興味深いのですが、残念ながらそこのところ、わたくしの好みではありませんでした。