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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第三夜 ルグリガラ特別全幕プロ「白鳥の湖」 ①

2007-08-22 11:27:28 | BALLET
8月18日(土)15:00開演。

最終日です。
長い長い日本公演、ルグリ先生にとって日本で最後の座長公演「ルグリと輝ける仲間たち」。
 
地方公演、東京でのAプロ4日間、Bプロ3日間、そして「白鳥の湖」3日間(内、一日はルグリ先生はオフでしたが)、全力疾走で全くブレのないクォリティの演技を見せてくださり、その昔、完璧だけれども、それが冷たさにつながるようであまり心惹かれない・・・などと思っていたのが嘘のよう。
今はかつてと変わらぬ完璧さ、ながらも、深い作品理解と、ゆるぎないテクニックから来るゆとりが生む自然な感情表現が彼の舞台を輝かしいものにしていることを、今更ながら感じます。

彼の舞台、それはすなわち、同じ時代を駆け抜けてきたルディエール、イレールといった大アーティストとの競演では凄みさえ感じさせるバレエ芸術の求道者であり、また、ミリアム、ドロテといった若手との舞台では、ノーブルでエレガントなサポートで彼女たちの可能性を大きく引き上げ、作品世界の真ん中に誘いそこで演ずるということを直に体験させている、師としての彼の懐の深さ。

今回、モニク、ローランといった、なかなか観ることの叶わなくなった元エトワールとの魂のこもった珠玉の短篇とともに、クラシックバレエ界の最高峰、全幕での「白鳥の湖」をルグリが踊る、ということがどれほど貴重な機会であるか・・・。
多くのレパートリーを持ち、コンテンポラリーを意欲的に発表している今のパリ、オペラ座において、ルグリが残されたエトワールとしての期間に再び「白鳥の湖」を踊ることは叶わないでしょう。
しかも、今日は最もエトワールに近い位置にいる、若手注目株ドロテ・ジルベールの初の「白鳥の湖」全幕の主演。
二つの意味でバレエ史上に残る公演となるでしょうし、この感動を呼び起こした話題のルグリガラの締め、ということもあり、仕事を半休して通いなれた五反田ゆうぽうとに到着したときには、もう、立見席も完売状態でした。

前から2列目、指揮者ソトニコフさんの横顔を間近に見られる席。
今日はルグリ先生とドロテを肉眼でしかと見届ける所存です。

全幕

オデット/オディール: ドロテ・ジルベール
ジークフリート王子: マニュエル・ルグリ
王妃: 加茂律子
悪魔ロットバルト: ステファン・ビュヨン
道化: 松下祐次

第一幕

家庭教師; 野辺誠治
パ・ド・トロワ: 小出領子、長谷川智佳子、古川和則
ワルツ(ソリスト): 西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、前川美智子

ガラのときのマチアスの印象が強すぎる道化は、東バの松下さんもなかなかの好演。
ルグリ先生が王子として登場してからは、驚くべき吸引力で、宮廷中の皆が、常に王子を見、王子に微笑みかけ、王子を誘う。観客の眼も勿論釘付け。
ルグリ王子は極々自然に道化をあしらい、トロワの自分がエスコートすべき女性=小出さんに実にノーブルに接します。
小出さんもそれに応えての好演で、ちょっとしたパートを踊るだけでもまるでパ・ド・ドゥの小品のような薫り高さ。頑張ってはいたけれども古川ー長谷川ペアとは大差が。。。

そしてソロでは・・・高いジャンプ、高速のフェッテ、かなり力の入っている演技でその若々しさと勢いには長丁場の公演最終日であるということはカケラも感じさせず、それでいて着地一つ一つ、表情至るまで、どこまでも落ち着いたノーブルな王子そのもの。
クラシックバレエの王子のソロとしては、これ以上のものはないのでは・・・。
ルグリの到達した地点に眩暈を起こしそうになりながら、二幕、白鳥のドロテ登場に期待が高まります。