最後は・・・
来てしまった、この時が!
「さすらう若者の歌」 Le Chant du Compagnon Errant
マーラー作詞作曲のロマン主義の香り溢れる歌曲に20世紀最大のコレオグラファー、ベジャールによる振付。
ローラン・イレール(様)とマニュエル・ルグリによる珠玉のパフォーマンスは、前回のルグリガラで話題沸騰。
そしてこの2月にオペラ座エトワールとして定年を迎えたイレールの最後の舞台での最終演目としてこの眼に焼き付けたこの演目。
もう一度、東京で観たい。日本の純粋なバレエファンが固唾を呑んで見守る舞台でお見送りしたい・・・と叶うわけもない望みとして空しく切望していた願いが、故障者続出というハプニングにより、思いがけず実現・・・。
神様ありがとうございます。
という過剰な思いを眼に込めて、2日連続で、Bプロ2日目、3日目(千秋楽)を観て参りました。
2日目は前方7列目センターのお席ゆえ、裸眼でルグリ先生とのアンサンブルを堪能。
3日目は2F席3列目センターでしたので、オペラグラスを片時も離さず、ローランの表情を追い続け・・・。
それぞれに味わい深いものがございました。
この演目に関しては、過剰な思い入れがあるので、ファンモード注意!です。
他のレポとは違って客観性のかけらもありませんので・・・
(情緒的なものがお嫌いな方は飛ばしてくださって結構です)
2日目は、イレールにとっては今回日本では2日目の舞台。
もう、半月以上も日本で公演をこなしていて身体の出来上がっているルグリと比べるとイレールにお疲れが・・・?と不安に思う場面もありましたが、パッと開き、ゆっくりと降ろす指先まで沁み透った美しさは健在。
今回初めてオペグラなしで最初から最後まで観たのですが(いつもついついローラン・メインで観てしまうので・・・)厳しく堂々とした存在の赤の衣装のルグリと、どこかいつも心を彼方に漂わせているセンシティブなイレールの水色の衣装の若者の対比が見事。
隣の叔母様が「あら、この衣装、グレーじゃなかったのね・・」とつぶやいたのをすかさず「シッ」と押さえ込んだのはわたくしです(^^;)。
3日目・・・。
ルグリ先生を犠牲にして、今夜はローランに集中することにしました。
2F席にとっては美味しい演目。伸ばした手、視線の先が2Fセンターなのですから・・・
指先の動きがハッとするほど美しい。腕の動きも科を作っているわけでもないのに一つ一つが華麗で、青春の喜びを歌う場面などでは指先から蝶がヒラヒラと飛び立ち、花々が零れ落ちんとする様が見えるほど。
左肩を向いて片膝を立てて膝まづき、右手を左肩に添える仕草が振りの中で何度か繰り返されるが、その度にこの人の美しい肩甲骨の窪みと目元の陰りにセンチメンタルな気分にさせられてしまいます。
ローランとマニュエルが手に手を取って互いの腕を握り合い、微笑を交わす。青春。友情。
途中からドンドンとその関係が変容していく。対立。
互いに相手を威嚇するようなジャンプ。
その瞬間、ルグリの顔は鬼神のように激しく、百獣の王ライオンの威厳を湛えている。
ローランは目だけにバチッと炎のキラメキを見せるのですが、表情にはむしろ深い憂愁の色を漂わせて・・・。
ルグリが手を引き、いざなおうとする先は魔界か・・・。
その中にも、何度か、希望と憧れ、生命と光に満ちた世界を希求する表情を浮かべては闇に沈む青年。
雄弁に語る身体。そしてそれ以上に、一瞬ごとに変化する表情に人生の春夏秋冬を、そして彼の輝かしかったバレエダンサーとしてのキャリア、名舞台の数々を想うファンも多かったのではないでしょうか。
客席を向きながらも、ルグリに手を引かれてゆく彼の顔が闇に完全に消えたその瞬間、大きく沸き起こった拍手の中に、涙を埋めながら出来るだけの拍手を送って見送ったわたくしです。
・・・この舞台は、忘れません。
来てしまった、この時が!
「さすらう若者の歌」 Le Chant du Compagnon Errant
マーラー作詞作曲のロマン主義の香り溢れる歌曲に20世紀最大のコレオグラファー、ベジャールによる振付。
ローラン・イレール(様)とマニュエル・ルグリによる珠玉のパフォーマンスは、前回のルグリガラで話題沸騰。
そしてこの2月にオペラ座エトワールとして定年を迎えたイレールの最後の舞台での最終演目としてこの眼に焼き付けたこの演目。
もう一度、東京で観たい。日本の純粋なバレエファンが固唾を呑んで見守る舞台でお見送りしたい・・・と叶うわけもない望みとして空しく切望していた願いが、故障者続出というハプニングにより、思いがけず実現・・・。
神様ありがとうございます。
という過剰な思いを眼に込めて、2日連続で、Bプロ2日目、3日目(千秋楽)を観て参りました。
2日目は前方7列目センターのお席ゆえ、裸眼でルグリ先生とのアンサンブルを堪能。
3日目は2F席3列目センターでしたので、オペラグラスを片時も離さず、ローランの表情を追い続け・・・。
それぞれに味わい深いものがございました。
この演目に関しては、過剰な思い入れがあるので、ファンモード注意!です。
他のレポとは違って客観性のかけらもありませんので・・・
(情緒的なものがお嫌いな方は飛ばしてくださって結構です)
2日目は、イレールにとっては今回日本では2日目の舞台。
もう、半月以上も日本で公演をこなしていて身体の出来上がっているルグリと比べるとイレールにお疲れが・・・?と不安に思う場面もありましたが、パッと開き、ゆっくりと降ろす指先まで沁み透った美しさは健在。
今回初めてオペグラなしで最初から最後まで観たのですが(いつもついついローラン・メインで観てしまうので・・・)厳しく堂々とした存在の赤の衣装のルグリと、どこかいつも心を彼方に漂わせているセンシティブなイレールの水色の衣装の若者の対比が見事。
隣の叔母様が「あら、この衣装、グレーじゃなかったのね・・」とつぶやいたのをすかさず「シッ」と押さえ込んだのはわたくしです(^^;)。
3日目・・・。
ルグリ先生を犠牲にして、今夜はローランに集中することにしました。
2F席にとっては美味しい演目。伸ばした手、視線の先が2Fセンターなのですから・・・
指先の動きがハッとするほど美しい。腕の動きも科を作っているわけでもないのに一つ一つが華麗で、青春の喜びを歌う場面などでは指先から蝶がヒラヒラと飛び立ち、花々が零れ落ちんとする様が見えるほど。
左肩を向いて片膝を立てて膝まづき、右手を左肩に添える仕草が振りの中で何度か繰り返されるが、その度にこの人の美しい肩甲骨の窪みと目元の陰りにセンチメンタルな気分にさせられてしまいます。
ローランとマニュエルが手に手を取って互いの腕を握り合い、微笑を交わす。青春。友情。
途中からドンドンとその関係が変容していく。対立。
互いに相手を威嚇するようなジャンプ。
その瞬間、ルグリの顔は鬼神のように激しく、百獣の王ライオンの威厳を湛えている。
ローランは目だけにバチッと炎のキラメキを見せるのですが、表情にはむしろ深い憂愁の色を漂わせて・・・。
ルグリが手を引き、いざなおうとする先は魔界か・・・。
その中にも、何度か、希望と憧れ、生命と光に満ちた世界を希求する表情を浮かべては闇に沈む青年。
雄弁に語る身体。そしてそれ以上に、一瞬ごとに変化する表情に人生の春夏秋冬を、そして彼の輝かしかったバレエダンサーとしてのキャリア、名舞台の数々を想うファンも多かったのではないでしょうか。
客席を向きながらも、ルグリに手を引かれてゆく彼の顔が闇に完全に消えたその瞬間、大きく沸き起こった拍手の中に、涙を埋めながら出来るだけの拍手を送って見送ったわたくしです。
・・・この舞台は、忘れません。