新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

何時か何処かで見たような

2014-04-08 16:02:22 | コラム
理研と小保方女子の件に思う:

deja vuとでも言うのかな。

私は以前からいくら学問や芸術やスポーツ等の分野で、その道で図抜けた実績を残した方々であっても、それが直ちに学会や協会での優れた管理能力か統治能力を表す尺度にはならないと指摘してきた。その良い(悪い?)例は全柔連、スケート協会、相撲協会でイヤというほど見せつけられてきたではないか。

この度の小保方女史のSTAP細胞について(彼女が自分で過ちを申告したと言われる)画像の取り違いに始まって捏造と剽窃の問題の「あれよ、あれよ」という間の進み方を見ていると、遺憾ながらこの案件は何時か何処かで大騒ぎになったと言うか、マスコミが大騒ぎにした、上記の例に酷似している気がしてならない。即ち、後難を怖れずに具体的に言えば、ノーベル賞を受賞されたとか、その分野で有数の研究者ないし権威と言われる方々が管理者として果たして適任であったかという人選の問題である。

何回か言ってきたことだが、私には小保方女史の研究が如何なるものか、正統なものかあるいは理研の権威者が指摘されたような捏造的なものかを判断することな出来る訳がない。だが、マスコミがあれほど褒めそやした研究が彼女が単独で為し得て、誰の検閲も査読もされずに外部(Nature誌)に発表されてしまったものだとすれば、理研そのものの管理能力とは如何なるものなのかと甚だ疑問に感じるのだ。簡単に言えば、世界的なその分野の権威者を管理者に据えたこと自体が適当であったのか、という疑問である。

我々会社の世界でも屡々聞かれた俗説に「優れたセールスマンをその際だった実績を評価して管理職に昇進させたら云々」というのがある。間違っていたら御免だが、この理研対小保方女史の一件がこの説に似ているような気がしてならない。聞くところでは(また、アメリカかと言われそうだが)アメリカのMBAには多くの種類があって、その中には病院経営のMBAもあるそうだ。即ち、お医者様ではない院長がいるということ。文科省もこういうことを考えても良くはないのか。

余談だが、某局では通産を辞めたとか辞めざるを得なかったと言われるコメンテーターの某氏が「理研は新法で割り当てられる研究費を確保するためにそれに相応しい実績を挙げておく必要があり、焦ってSTAP細胞で長打を放とうとしたが、以外にもファウルボールに終わって対策に汲々としているのだ」と穿った見方をしていたのが印象的だった。

私のアメリカ論

2014-04-08 10:40:44 | コラム
個人としてアメリカは良い国であると思う:

私はアメリカの会社員として20数年も慣れ親しんだアメリカを今でも好きだし、良い国だと思っている。共に仕事をした人たちも皆能力が高い良い人ばかりに恵まれた。しかし、それはそれとして、我が国ほど良い国はないという真剣な思いは変わらない。そして、長い年月の経験でアメリカの欠陥というか至らざるところが見えすぎたので、日米双方に誤解が生じないようにと、日米文化比較論を繰り返し採り上げたしお互いにこれほど違う国だと知って貰いたいと強調してきた。正直に言えばアメリカの批判を何度も語ってきた。私は仮令好きな国であっても、これまでに手放しでアメリカ礼賛をしたことないと思っているのだが。

ここでは我が国の民主党政権の外交政策に致命的な失策があったとは言え、かなり弱体化してしまった日米関係の一因にはアメリカの民主党の責任もあることを論じていきたい。彼等の対日政策は明らかに共和党とは異なっているものだと認識せねばならないことを強調して置きたい。特にオバマ政権が誕生した頃の民主党は明らかに我が国にとっては芳しからぬリベラル派だったのだ。

私は感情的では?と批判されても仕方ないほど、アメリカの民主党に不信感を持っている。その対日政策は共和党政権時代とは大きな違いがあり、私が現職リタイヤー後の1990年代後半にはクリントン政権は対日輸出に注力し、それも何を勘違いしたのか「原料ばかり輸入して世界最高のアメリカの紙を輸入しない日本は怪しからん」と居丈高になって、「紙類の輸入を拡大しなければスーパー301条を適用する」とまで言い出したのだった。

これは彼我の市場の違いを全く弁えていない暴論だった。アメリカの紙は使用する原木と市場の要求の違いがあるだけではなく、その拙劣な技術では国産紙の優れた質に馴れてきたて日本市場では一朝一夕に受け入れられるものではないことは、私が在職中の1980年代ににアメリカ大使館から問い合わせて受けた際に担当の一等書記官に極めて具体的に余程の改良を加えないと無理だと説明し納得して貰っていた。またその詳細はワシントンDCの商務省内に記録があると確認済みである。

それにも拘わらず」クリントン政権のためにアメリカの製紙会社は無理を承知で再度攻勢をかけて無為に終わった。アメリカでは対日輸出に適した設備があるのは西海岸のW社と小規模な数社があるだけなのだ。アメリカではロッキー山脈の東側の産業は紙パのみならず基本的に国内を主たる市場とし、輸出では欧州が主であり、アジア向けは地理的にも不向きなのは解りきっていること。

その頃のことだったが、世界最大の東海岸の市場を本拠とするインターナショナル・ペーパー(IP)の日本法人の社長だった日系人のH氏は「一日で最も時間をかける最重要な仕事は、本社に『何故、極東のこれほど小さい日本市場に無理をしてでも売らねばならないか』を説得することだ」と本音を聞かせてくれた。東海岸からの日本を含むアジア向けの輸出はそれほど無理があるものである。

私は製造業の立場から見れば、アメリカ国内の多くの製造業は東海岸が主要マーケットで、対外的にはヨーロッパに顔が向いていると認識させられていた。あのクリントン政権の下で紙類の対日輸出の大号令がかかった頃は私は現職でではなく、懸命の努力をしておられる在日外紙のメーカーはお気の毒だと思っていたが何が出来る立場でもなく、業界の専門誌に解説記事を載せる程度の援助くらいしか出来なかった。

このような日本重視かと疑いたくもなる民主党で、しかも一部の共和党支持者が懸念したように政治・経済・外交・軍事・防衛に経験が乏しい大統領を選んでしまっただけでも、今日アメリカが置かれている内政・外交両面でお苦境は予測可能だっただろう。、また、我が国の対米関係はそういう条件下で民主党政権が要らざる混乱を生じさせていったのは甚だ残念なことだった。私の元の上司・同僚・友人たちは繰り返して述べてきたように、皆、新大統領の今日あるを予測していた。それでもオバマは「日本は同盟国だ」と曰うのである。であれば、ここから先は信頼する安倍内閣に託す以外ないと思う。

私は安倍総理は上記の困難が事情をお解りで、また外務省といえどもあの駐日大使の人選を見れば果たしてオバマ政権が何処ま同盟国の日本を重視しているかの事態は認識出来ていると信じている。それでも気になるのがマスコミである。彼等は未だにNYタイムスだのワシントンポストの反日というか日本批判の論説を有り難がって報じている。これでは、アメリカにおける新聞の在り方を知らない多くの国民の皆様をミスリードするだけとと危惧するのだ。

以上は敢えて極端だと批判されかねない表現を用いたが、アメリカが全て善意で我が国に対応しているというような我が国独特の性善説で物事を判断されることがないよう申し述べてきた。上記が考え過ぎであれば良いのだが、私は今のアメリカでは他国(他人?)の心配して援助の手をさしのべる余裕はないのではないかと危惧しているのだが、如何なものだろう