新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

中国のなり構わぬ南進戦略

2014-05-15 17:00:31 | コラム
中国の南進戦略に対するベトナムの強硬姿勢に思う:

報道によれば、ベトナム国内では中国系の工場に対して大規模なデモが仕掛けられている。中国が南シナ海で何をしているかを知れば、かかる事態に至るのは当然かとも感じる。同時にこのニュースを聞いて、ベトナム戦争(1960~1975)と中越戦争(1979年2月)を思い出した。ベトナムの中国に対する強気の姿勢は極めて明解であると思わずにはいられない。

私はベトナム国民が自国内で仕掛けていることというか、中国に対する国民感情の発露のようなものが、果たして善なのか正しいのかを論じる前に、その中国を怖れぬ無謀とでも形容したいやり方には何となく凄ささえ感じて恐れ入っている次第だ。

さらにあの海上における中国の艦隊(なのだろう)に対する強硬な出方を見ていて、我が国の民主党政権の頃に無法な中国漁船(なのだろう)の船長を逮捕して、那覇地検に責任を押し付けて釈放してしまったあの中国に対する弱腰と外交に不馴れな情けない姿勢を思い出さずにはいられなかった。その背景には彼等の対中国政策の影響もあったかもしれぬが、あの仙谷官房長が弄した詭弁を想起するにつけても、出てくるのは「情けない」という憤懣やるかたない思いだけだ。

ベトナムの国民がどこまでここから先を読み切ってあの挙に出ているのかを知る由もない。だが、中国の高圧的な外交姿勢と拡張の一途にある軍備をものともせずに挑んで行く勇敢さを、民主党政権の対中国政策と対比すれば、一瞬礼賛しても良いのかなとすら思ってしまう。

中国はこの海域ではフィリピンに対しても色々とやりたい放題で、彼等は臆面もなくその政策を正当化する発表に終始している。彼等はオバマ大統領が見せる外交的軟弱さを良いことにして今後ともこの海域では色々と仕掛け続けるだろうし、オバマ大統領が尖閣に安保が適用されると表明しても、意に介せず乗っ取りを図ってくるかと危惧している。

私には「中国が現在の国際情勢下で、ベトナムに対してこれ以上の挑発というか中越戦争を再現しかねないような無法を継続するとは予期していないが、習近平政権下では今後ともやりたい放題を続けかねないと怖れている。しかも彼等はUNのSecurity Councilでの"Permanent member"の地位を濫用し、ロシアとともにUNの介入を許さない方向に進むと思えてならないのだ。