新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

大学4年生は"swearword"が何かを知らなかった

2016-01-19 13:12:53 | コラム
大学4年生と語り合った:

昨18日に偶然に四大私立大学の中の一校の4年生で、某都市銀行に就職が内定していると聞いた女子と語り合う機会があった。彼女は3歳から7歳までアメリカのコネテイカット州で過ごしたが、最早その頃話していた英語は覚えていないと言っていた。しかし、出身校である著名な都立の女子校では英語の授業は英語だけで行われていたので、良い勉強は出来ていたと思うと語った。

当方には他意はなかったが、「我が国の学校教育の英語は『科学としての英語』であり、例えば実際にアメリカのビジネスの世界、それも私が在籍した大手製造業の会社などで使われている英語とは全く異なるものである。特にそういう誇り高き会社の中では”swearword”(汚い言葉とでも言うか、悪い言葉を言う)などを使おうものなら上司から『我が社を何と心得るのか。そういう言葉を使うことは認めがたい』と厳重に注意されるものだ」と述べた。

するとその学生はキョトンとして「”swearword”て何ですか。知りません」と言うのだった。そこで得意とする「言葉の種類」を解説した。そして、本当の英語とは何たるかを知らずに英語を覚えようとしてアメリカなどに留学乃至は滞在し、現地人と会話などをしていると、このような悪い言葉から覚えてしまう危険性がかなり高いのだ」と指摘した。そして、何時も使ってきた沢尻エリカの”Oh, shit!”を例に挙げて、さらに説明した。

彼女は「確かに高校では文法重視の英語教育を受けたが、そういう種類の言葉があるとは知らなかった」と素直に驚いていた。ここで私が強調しておきたいことは、都立の優秀な高校と有名私立大学で学び大銀行に内定しているような学生でも、何が良い言葉でどれが覚えても使ってはならない下品な言葉かを知らずに育ってしまう辺りに、私は我が国の英語教育の現実を等閑にした一種の欠陥があるのではないかと、ここにあらためて指摘したいのだ。アメリカでは企業でも家庭でもこういう言葉の種類や文法の正確さを重視する点では、寧ろUKよりも厳格である事も忘れてはならない点だ。

これだけでは”swearword”とはどのような言葉を指すのかを述べていないので以下に長くなるのを承知で、以前に取り上げた「英語の言葉の分類」から”swearword”の項だけ抜粋しておきたい。

Swearwordとは:
「汚い言葉」と訳しておくが、その解説に入る前に、是非この言葉についての私の思い出を採り上げておきたい。

私が1972年8月に生まれて初めてアメリカに出張し、帰路はカナダ西海岸のヴァンクーヴァーからとなった。そこで母親と家内に土産でも買うかと、空港の免税店立ち寄った。応対してくれた販売員はかなり高齢の日系の女性だった。これはと思った物が予算を超過していたので何気なく“Jesus Christ!”と口走った。

するとその販売員がキッとなって急に日本語に変わって「貴方は何という言葉を使うのですか。少しくらい英語ができるからと言っていい気になって汚い言葉を使うとは何事ですか。即刻お止めなさい。私は戦争中にここで育ったために日本語も英語も中途半端になってしまったが、それでもswearwordを使ってはいけないくらいは心得ています。これから先は絶対に使わないようにしなさい」と将に声涙ともに下る忠告を戴いた。私は言葉もなかった。肝に銘じた。

だが、それでも懲りなかったようで、1975年3月にW社に転身後にも東京事務所で日系人のJ氏にも会議室に呼び出されて「貴方の品格を下げる言葉を使うな」と厳しく戒められた。当人はそれほど頻繁に使ったつもりではなかったが、W社のマネージャーともあろう者が使ってはならないとあらためて言われた。

また、本社事業部の副社長にも彼のオフィスに呼ばれて「外国人のお前がswearwordをそれほど上手く使うのは聞いていて気持ちが悪くなる。今後絶対に使うな」と叱責された。ここまでのエピソードでswearwordとはどういう種類の言葉かお解り頂けたと思う。

これの定番的日本語訳はないだろう。私が好んで採り上げる使用例に「沢尻エリカの“Oh, shit!”」がある。そして、これは最も使ってはいけないswearwordの一つである。Oxfordは”A rude or offensive word, used especially to express anger.としているが、これでは弱いと思う。Websterは”to swear”を”Use profane or obscene language.”としている。

私は当初はこれが何であるかという性質を知らずに覚えていた。だが、知らないのは恐ろしいもので、一旦覚えると何となく使ってみたい誘惑に駆られるものであった。これは戦後に駐在した占領軍の兵士たちが使ったために我が国で広まったのである。特に「ゴッダメ」=“God damn it.”がその代表格だっただろう。英語が何であるか良く知られていなかったあの頃には、何の躊躇いもなくアメリカ人が使う言葉を真似していたと思っている。

何故いけないかは上に述べたように明かである。それは我々が所属した(大)会社の本社組織に属する年俸制の社員ともなれば、人前では使ってはいけないものなのである。それだけでは具体性がない。これを使うと、言いたいことを強調できるのだが、それが同時に「語彙の貧弱さ」と「無教養」とを表し「お里が知れる」ことになるのが良くないのである。例を挙げるが、それを見ればslangとは明確に一線を画していると解ると思う。

shit.=「チクショウ」か「何だよ」辺りになるだろうが、下品である。
bull shit=これも「コンチクショウ」であり「この野郎」にもなるだろうか。“horse shit”と言う場合もある。
He is a hell of a salesman.=「彼は凄腕のセールスマンだ」なのだが、このhellがいけないのだ。“hell of a driver”と言えば「運転が凄く上手い人」という具合だ。
God damn it! これも「コンチクショウ」で、日本語でも余り褒められない表現だ。
Jesus Christ.=「なんてこった」か「コンチクショウ」辺りが訳語だろうか。
fuck.→日本語に訳すのも躊躇うような言葉。fuckingとも言う。
ass hole=日本語にも「何とかの穴の小さい奴」という表現があるが、それとは意味が違うものの、汚い言葉の代表格であろう。
Oh, brother.=「何としたことか」とでも言おうか。


要注意事項:


汚い言葉の例はまだ山ほどあるが、この辺で打ち止めにする。その言葉がswearwordかどうかの判断の基準には、先ず”four letter word”がある。日本語と妙な符号であるが4文字の言葉を指す。例えば上記の例にも4文字のものが幾つかある。次が動物である。そして最後に宗教関連である。その例は上に掲げたが”brother”もそのうちだろう。

英語を話す際にはswearword=「汚い言葉」は絶対に避けるべきだ。迂闊に使えば上述のように品格の問題になる。”idiom”や”slang”の二つについては、時と場合を熟慮して使って欲しい。だが、例を挙げてくれなくてはどれがそうと解らないと言われそうだが、対策を述べておくに止める。

それは、数年前に気が付いたのだが、映画やテレビのドラマに出てくる警官や守衛等の役ではこの言葉が多用されている。私は口語を知ろうと思えば映画を見ると良いと言ってはきたが、英語を学ぼうと思って気安く副音声にしないことだ。私が最も巧みにswearwordを操っていると見た映画は、一寸古い例になるが、“Die hard 2”の空港警備隊のLorenzo隊長役だった。この役者は日常生活でもこの言葉だけで暮らしているのかと思うほど巧みだった。

参考までにswearwordを知って置こうと思われれば、このDVDかVideoを買うか借りて見ることか?これ以外では、アメリカ人を主体として外国人と話をしている時に生ずる問題だから、こちらが知らずに使ってしまったか否かを相手に尋ねればよいし、相手が使ったのかと思えば、”What do you mean by saying so?”であるとか、”What do you mean by using such an expression like hell of a salesman?”のようにでも尋ねてみることだろう。