何故「観客様ファースト」ではないのか?
去る13日(日)に約1年振りで横浜のDeNAベイスターズが本拠地にしている横浜スタジアムに行ってきた。ここはその昔「横浜公園平和野球場」というせこい、失礼、古色蒼然とした野球場だったものを、1978年に人工芝の言うなれば近代的なプロ野球の試合も出来るスタジアムに改装したものである。この球場の特色はその敷地の狭さに合わせたのか、途中からスタンドが急勾配になってフットボールのような球技を観戦するのには好都合に出来ている珍しい施設である点だ。因みに「フットボール」とは俗に言うアメリカンフットボールのことだが。
遠慮なく言えば、フットボールのような球技は、と断言する前にサッカーもラグビーでも同様であるが、高い位置から俯瞰するように観戦する方が全体の動きが良く見えて解りやすく興味も増すものだ。私は横浜市がそこまで考えてあの球場を造り直したとは思えないが、好ましく出来ているのだ。但し、齢83歳ともなって、その前に3度も心筋梗塞を経験して痛めつけられた身には、あの急勾配を登っていって良い席に座るのはかなりな負担だったし、迂闊に手洗いでも立てば(下れば)登り直すのに苦しめられた。
ここまでは俗に言う「横スタ」を実質的に褒めてきたが、開場後40年近くの年月を経た施設はやや時代遅れであり、我が国のこういう設備にありがちな「ここをもう少し予算をかけてこうしておけば」という辺りを全て予算をかけてこなかった為に、観客にとっては余り快適とは言えない物になってしまっているのだ。しかも、もしも私の記憶違いか聞き違いでなければ、2020オリンピックの野球の本戦をここでやるはずだ。
ズバリと言えば「アメリカのスタジアムしか知らないアメリカ人がやってきたら驚くだろう」と思うほど「観客様ラスト」なのである。恥ずかしいとまでは言わないが、手直しをする必要がある箇所が多過ぎる。少なくとも、あの内野スタンドの最上階まで全員に歩いて上がれというのは一寸不親切だろう。現にあのスタジアムで散々フットボールの試合をやってきた者は「へー、そうなんだ。知らなかった」と言っていた。それでは「アスリート様ファースト」だけである。
私はアメリカでシアルでは今はもう取り壊された「キングドーム」の他にも、現在はイチロー君が在籍していた「シアトル・マリナーズ」の本拠地である「セーフコフィールド」、ワシントン大学のフットボール専用の7万人収容の「ハスキー・スタジアム」には何度も行ってきた。サンフランシスコでは今や野球はやっていないような「キャンドルステイックパーク」でもフットボールを見てきた。カリフォルニア州パサデイナのRose Bowl Parkは9万人収容だが、楽に席まで入って行けた。何処でもスタンドを息も絶え絶えで上がっていくような「観客様ラスト」のような素気ない設計にはなっていなかった。特にキングドームではボックス席には専用のエレベーターまであった。
言いたいことは、アメリカ人の文化では「予算はその為にあるもの故、ここをこうすればもう一段階良くなるとの見込みがあれば、躊躇わずにそのようにするもの」と言う思想が徹底されている。だが、その対極にある思想というか文化の我が国では「節約こそ美徳」で「あと少しで、とても良くなる」所を削ってしまう傾向が見える。あの横浜スタジアムでもスタンドの裏側にでもあの高いところにある座席まで易々と上がっていけるようなエスカレーターを設置するか、アメリカ人がやるようななだらかな螺旋階段式な通路を作ってあれば有り難いのだ。
キャンドルステイックパークでは最上部にあるフットボールの試合用の「スポッター席」まで上がったのだが、息も絶え絶えで階段などを上っていった記憶はないし、確かあのスタジアムの外側にはエスカレーターがあったような記憶がある。セーフコフィールドではスタンドに入る為の長い時間をかけて上がっていくなだらかなスロープがある。組織委員会でも何でも、今からでも遅くはないかも知れないから、アメリカのこういう施設を見てきたらどうだろう。ロッカールームなども参考になるだろう。
実は、私は恐らく1980年代から横浜スタジアムに行ってきたが、中で一度も野球を見たことがないのだ。常に一番高いところにある席からフットボールだけを見てきただけだった。「アスリート・ファースト」は聞こえは良いが、「何かお忘れではありませんか森さん、小池さん」と問いかけたい。この世にはアスリートとして下のフィールドで試合をするよりも、見に行く人の方が圧倒的に多いのだ。
去る13日(日)に約1年振りで横浜のDeNAベイスターズが本拠地にしている横浜スタジアムに行ってきた。ここはその昔「横浜公園平和野球場」というせこい、失礼、古色蒼然とした野球場だったものを、1978年に人工芝の言うなれば近代的なプロ野球の試合も出来るスタジアムに改装したものである。この球場の特色はその敷地の狭さに合わせたのか、途中からスタンドが急勾配になってフットボールのような球技を観戦するのには好都合に出来ている珍しい施設である点だ。因みに「フットボール」とは俗に言うアメリカンフットボールのことだが。
遠慮なく言えば、フットボールのような球技は、と断言する前にサッカーもラグビーでも同様であるが、高い位置から俯瞰するように観戦する方が全体の動きが良く見えて解りやすく興味も増すものだ。私は横浜市がそこまで考えてあの球場を造り直したとは思えないが、好ましく出来ているのだ。但し、齢83歳ともなって、その前に3度も心筋梗塞を経験して痛めつけられた身には、あの急勾配を登っていって良い席に座るのはかなりな負担だったし、迂闊に手洗いでも立てば(下れば)登り直すのに苦しめられた。
ここまでは俗に言う「横スタ」を実質的に褒めてきたが、開場後40年近くの年月を経た施設はやや時代遅れであり、我が国のこういう設備にありがちな「ここをもう少し予算をかけてこうしておけば」という辺りを全て予算をかけてこなかった為に、観客にとっては余り快適とは言えない物になってしまっているのだ。しかも、もしも私の記憶違いか聞き違いでなければ、2020オリンピックの野球の本戦をここでやるはずだ。
ズバリと言えば「アメリカのスタジアムしか知らないアメリカ人がやってきたら驚くだろう」と思うほど「観客様ラスト」なのである。恥ずかしいとまでは言わないが、手直しをする必要がある箇所が多過ぎる。少なくとも、あの内野スタンドの最上階まで全員に歩いて上がれというのは一寸不親切だろう。現にあのスタジアムで散々フットボールの試合をやってきた者は「へー、そうなんだ。知らなかった」と言っていた。それでは「アスリート様ファースト」だけである。
私はアメリカでシアルでは今はもう取り壊された「キングドーム」の他にも、現在はイチロー君が在籍していた「シアトル・マリナーズ」の本拠地である「セーフコフィールド」、ワシントン大学のフットボール専用の7万人収容の「ハスキー・スタジアム」には何度も行ってきた。サンフランシスコでは今や野球はやっていないような「キャンドルステイックパーク」でもフットボールを見てきた。カリフォルニア州パサデイナのRose Bowl Parkは9万人収容だが、楽に席まで入って行けた。何処でもスタンドを息も絶え絶えで上がっていくような「観客様ラスト」のような素気ない設計にはなっていなかった。特にキングドームではボックス席には専用のエレベーターまであった。
言いたいことは、アメリカ人の文化では「予算はその為にあるもの故、ここをこうすればもう一段階良くなるとの見込みがあれば、躊躇わずにそのようにするもの」と言う思想が徹底されている。だが、その対極にある思想というか文化の我が国では「節約こそ美徳」で「あと少しで、とても良くなる」所を削ってしまう傾向が見える。あの横浜スタジアムでもスタンドの裏側にでもあの高いところにある座席まで易々と上がっていけるようなエスカレーターを設置するか、アメリカ人がやるようななだらかな螺旋階段式な通路を作ってあれば有り難いのだ。
キャンドルステイックパークでは最上部にあるフットボールの試合用の「スポッター席」まで上がったのだが、息も絶え絶えで階段などを上っていった記憶はないし、確かあのスタジアムの外側にはエスカレーターがあったような記憶がある。セーフコフィールドではスタンドに入る為の長い時間をかけて上がっていくなだらかなスロープがある。組織委員会でも何でも、今からでも遅くはないかも知れないから、アメリカのこういう施設を見てきたらどうだろう。ロッカールームなども参考になるだろう。
実は、私は恐らく1980年代から横浜スタジアムに行ってきたが、中で一度も野球を見たことがないのだ。常に一番高いところにある席からフットボールだけを見てきただけだった。「アスリート・ファースト」は聞こえは良いが、「何かお忘れではありませんか森さん、小池さん」と問いかけたい。この世にはアスリートとして下のフィールドで試合をするよりも、見に行く人の方が圧倒的に多いのだ。