新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

コスト意識

2017-04-12 08:19:37 | コラム
小池都知事のコスト意識を問う:

私は都民の一人として豊洲移転問題に一向に結論を出さない小池都知事を批判するというか、未だに都知事に迎合するかのような姿勢で百条委員会などを設けて時間を浪費しているかの感もある都議会議員たちも批判している。しかし、反省すると「何故批判するか」の理由が明快ではなかったと思う。その表現が単に「多額の資金を投じて建設した豊洲の施設を放置したままなのが怪しからん」と言うに止まっていた。

これでは舌足らずの表現だった。即ち、製造業に携わった経験がない為に「コスト意識」が欠如していると言うべきだったのだ。私は日本の会社で17年間流通業で販売を担当した後で、アメリカの紙パルプ産業界の最大手のメーカーに転出したのだった。そこで経験した「常にコストを意識して、それを死守して売ること」という厳しい姿勢だった。そんなことは当たり前だろうと言われそうだが、そうではなかった流通部門にいた身に取っては大きな文化の変化だった。

流通業では値段が通らなければ製造元に値引きを願い出れば何とかなるという、言わば安易な考え方が通用した。だが、製造業では「何としてコストを守って絶対的に必要な利益を取って販売しなければ会社が存続出来なくなる」のであると完全に認識出来るまでには、暫く時間がかかった。だが、如何なる事業においても「コスト」があり、それを守っていくべきなのである。このコスト意識は製造業にいなければ強烈に意識出来ないのだと、流通部門から転身して思い知らされたのだった。

そこで豊洲だが、これまでに建設に7千億円だったかが投じられていて、これが言わばイニシャルコストである。その上に、築地から転出していたはずの業者が既に設備投資をしている。その他にあの建物の管理費がかかっている。私はこの辺りまでは寧ろ初期投資であって、カタカナ語に言う「ランニングコスト」(正しくはオペレーティングコストだと思うが)は未だ発生していないと思う。

現在の金融情勢では金利が低いから未だ少しは救われているが、ここで発生している金利は決して看過出来ないと思う。その金利は我々都民が負担せざるを得ないコストなのではないか。そういう負担をかけた上に、尚且つ移転時期(なのか?)を決定しないで新たな会議を設けている小池都知事と、それを許す都議会へ疑問を呈しているのだ「あなた方のコスト意識は何処に」と言って。

東京都の市場はコストを守って尚且つ利益を生み出すような組織か否かは私は知らない。だが、私は気になっているのだ。もしかすると、コスト意識の欠如は小池都知事に始まったことではなく、歴代の都知事や都議会の問題なのかも知れないと思うのだ。豊洲を政争の具にしたり、選挙対策にして貰うのは困るのだ。